11月10日(日)「第14回絆カップ」(オープン 盛岡1200m)
最内1番枠に入ったグットフォーチュンが逃げたが、ジュランビルも手をしごいて先手を主張。ハイペース模様となった。3番手ブンロート、4番手外にゴールデンヒーラーがつける。スタートで後手を踏んだウラヤは5番手インまで押し上げ、6番手にレディブラウン、後にトーセンキャロル、ホッコーライデンは後方3番手からの競馬となった。
隊列はほとんど変わらなかったが、ゴールデンヒーラーが外に進路を取ってスパートをかけたが、反応ひと息。逃げたグットフォーチュンの最内をついてウラヤが抜け出し、外レディブラウン、大外ルチルクォーツ、中トーセンキャロルも伸びてきたが、早め先頭に立ったウラヤが押し切って1馬身差で完勝。2着にはレディブラウン、3着にホッコーライデンが入り、ゴールデンヒーラーはよもやの10着。3連単23万7050円の特大万馬券が飛び出した。
1着・ウラヤ=村上忍騎手
「この馬自身、1200mが初めてだったし、自分も初騎乗の影響もあってスタートはひと息だったが、そのあとの行きっぷりが良くて回復できた。4コーナーでの手応え十分でバラけるのを待っていたら、内が開いたので迷わず進路を選んだ。返し馬から気合いを前面に出していたし、道中も上手に走ってくれた。先日の楠賞(フジユージーン)、そして今回と、いい馬に乗せてもらって感謝です」
畠山信一調教師
「転入2連勝を飾った後、青藍賞で凡走したが、水沢コースにとまどった印象。今回は体が絞れたのも勝因だったかもしれない。1200mは中央時代に未経験だったが、今日の感じだとむしろ合ったと思う。このレース前に笠松グランプリの申し込みを済ませた。選出されるかどうかだが、中央3勝が1400mだから距離は合うと思う」
ウラヤはニューアプローチ産駒でイギリス生まれ。中央ダート1400mで3勝をマークして転入。あっさり2連勝を飾り、青藍賞で1番人気に支持されたが、伸びひと息で6着。続いて南部杯13着から今回の絆カップに駒を進めた。コメントにもあるとおり勝因は広い盛岡コースに替わったこととマイナス12キロで体が絞れたこと。先日の楠賞を優勝したフジユージーンが笠松グランプリをスキップする可能性が高く、ウラヤが選出される目も出てきた。
10着・ゴールデンヒーラー
今季は短距離路線へシフトして4戦4勝。岩鷲賞を含めて短距離重賞3勝をマークしたが、体調が思わしくなくクラスターカップは自重。北海道で完全休養に入り、今回は4ヵ月ぶりに戦列復帰。過去、休み明け4戦4勝、今季の強さから単勝1・3倍の圧倒的1番人気に支持されたが、直線失速10着。今後のローテーションも再考することをになるだろう。
今週の岩手競馬
11月17日(日)メイン12R「第51回南部駒賞」(2歳・地方競馬全国交流 水沢1600m)
11月18日(月)メイン12R「ノベンバーカップ」(B2級 水沢1400m)
11月19日(火)メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B2級二組 水沢1600m)
11月10日に行われた今シーズンの盛岡競馬での最後の重賞『絆カップ』は2番人気のウラヤが優勝。岩手転入後5戦目での嬉しい重賞初制覇となりました。
若干行き脚がつかない感じのスタートになったウラヤでしたが巻き返す脚はしっかりあって向こう正面半ばくらいまでには内の5番手あたり、先行集団の直後に取り付きます。 しかし外側に他馬が固まり始めてこのままでは行き場がないかと思われた4コーナー、内ラチ沿いが開いたところにさっと飛び込んだウラヤは即座に伸び脚を発揮してリードを広げます。直線は差し馬勢がそれぞれ脚を伸ばしてきましたがそれも1馬身差に迫るまで。この距離ではセーフティリードとも思える差を保ったままゴールを駆け抜けたウラヤはこれが岩手転入5戦目、自身のキャリアで初の重賞タイトルを獲得しました。
2着は外から追い込んだレディブラウン、3着はウラヤの後を追って内を突いてきたホッコーライデンが食い込み馬番3連単は23万7千円余りの高配当。1番人気ゴールデンヒーラーは10着に終わる波乱の結末ともなりました。
2024シーズンの盛岡競馬はこの11月12日をもって終幕となります。今季の盛岡競馬も様々な出来事がありましたが、ひとまずOROでのレースは来春までのお別れですね。
何度も書いていますけども自分は盛岡に住んでいるのでどちらかと言えば盛岡競馬の方がいろいろ楽で、早くも来年の盛岡競馬が待ち遠しくなっているのですけども、この後の水沢競馬にも各世代の重賞競走が続きますし大晦日には桐花賞も控えています。今シーズンの岩手競馬、次週からは水沢競馬を最後までお楽しみください。
さて予想に行きましょう。11月12日のメインレースは12R『2024盛岡ファイナル特別』、A級三組ダート1600mの12頭立てです。レース名通りにこれが今季の盛岡競馬のラストレース、自分もしっかり当てて盛岡開催を終えたいところですが果たして。
このレースの本命は(8)グラシアスです。
転入初戦の前走は2着だった同馬でしたが、外々を周らされる形になって、それでも先頭に立ったところを勝ち馬に差されてしまった・・・という2着でしたからこれは現級通用・岩手通用のメドは十分に立った内容だったと評価していいでしょう。
そして今回はその前走の勝ち馬が抜けて、前走比較では本馬が最先着になるメンバー構成にもなりました。となれば今度は勝機、この馬の順番と考えるのが妥当なはず。
(7)ジャッジが対抗。今年の前半戦ころまでは逃げ先行を主戦法にしていた本馬でしたが夏頃からは好位・差しの形を採り始め、それが徐々に板についてきています。近走も勝ち切れないまでも立ち回りは堅実。もう一歩前進があっても不思議ではない段階と見ます。
三番手に(2)ウイニングライブ。昇級になりますが近走の時計比較で遜色がないですし、前走などもケープライトを相手に最後まで食い下がっての3着だったことを思えば力に不足はないでしょう。ここでも流れひとつで白星まで。
(3)マルーントリックは古馬戦に入って苦戦の印象ですが、前走は3着ジャッジからなら2馬身ほどの差ではありました。一気に勝ち負けとまではまだ言えないまでも馬券圏内争いくらいなら加わってきていい頃合い。もう一頭は(11)マイネルアストリアを。前走のように結果的に目標にされるとしても行き切れれば面白い存在に。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(7)、(8)=(2)、(7)=(2)、(8)→(3)、(8)→(11)
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追悼・トーホウエンペラー②
トーホウエンペラーは当初、中央デビューの予定だったが、慢性的な脚部不安を抱えてたため未出走で岩手入り。常に脚元と相談しながら、3歳・12月31日、ようやくデビューにこぎつけた。
さすが後のGI2勝馬。無敗9連勝を飾った。東京カップけやき賞4着に敗れたが、オープンまで出世したJRA・ウインマーベラスでは仕方なし。その後は軌道修正し、翌年の12月31日、桐花賞を優勝。わずか丸1年で最下級から岩手トップを極めた。
菊池武くんが振り返った。「現在も馬にかかわっていますが、あれ以上の馬に出会ったことがありません。とにかくパワフルでした。球節に爆弾を抱えていましたし、骨が固まるのも遅かったけど、体力がけた違いでした。IQも高かったと思います。桐花賞の勝利は村上忍くんといっしょに考えた頭脳プレー。バンチャンプがいましたから、意識的に下げたのも勝因でした。桐花賞の勝利は大きかったと思います。これで全国でも通用する手ごたえをつかみました」
翌シーズンも快進撃を続け、赤松杯、シアンモア記念を連勝し、帝王賞へ挑戦。初グレードがいきなりGIだったが、5着に健闘。続いてマーキュリーカップ3着、エルムステークス2着、青藍賞1着、マイルチャンピオンシップ南部杯2着。グレード制覇も手の届くところまで近づいた。
*このコーナーは次週に続きます。
11日メインはA級一組「晩秋特別」(盛岡ダート1600m)。年度代表馬を目指すヒロシクンが登場。トウケイニセイ記念の前哨戦にこの一戦を選んだ。
ヒロシクンは中央1勝クラスから転入後、B1級で3連勝をマークして岩手の伝統重賞・一條記念みちのく大賞典へ強気の挑戦。メンバーが一気に強化されたが、鮮やかな逃げ切りを決めた。最大勝因は淡白な性格を高松亮騎手が理解していたから。自分の型に持ち込まないと走る気をなくす癖を分かっていたので、強気に攻め続けて金星をあげた。
マーキュリーカップ13着後、福島へ移動して休養。青藍賞で復帰して2着に0秒8差で完勝。秘めた才能を全面開花させた。南部杯15着後、適クラがなかったが、トウケイニセイ記念へ向けてひと叩きが欲しかった。佐藤雅彦調教師「確認したところ56キロで出走できると聞いたので、この一戦を使います」。トウケイニセイ記念へ向けて弾みをつける。
グローリーグローリは昨年、中央オープンから転入後、赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。今季当初は脚元不安から順調さを欠いたが、徐々に調子を上げて1勝2着3回。夏に弱いタイプで2ヵ月半休養し、復帰2戦目の前走2着。これで本来の動きを取り戻した。
ボウトロイは調子の波が少なくコンスタントに結果を出すタイプ。準重賞・桂樹杯優勝を含めて今季4勝2着2回3着5回。前走3着だったが、気配落ちなく上位争いの一角を形成する。
マツリダワールドは先行力と粘りを身上に毎回好走。今回は願ってもない1番枠を引き当て逃げ必至。あとはヒロシクンが可愛がってくれるかどうか。楽に逃げることができれば残り目は十分。
サクラトップキッドは東北優駿でフジユージーンの2着から重賞・やまびこ賞を快勝。待望の初重賞を手にした。古馬初対決の青藍賞でも3着を確保したが、すずらん賞7着。展開に注文つくが、決め手上位。
セイバイラックは通算1勝のみだが、一連の安定度一目。前走A級一組2着も評価に値する。
◎⑦ヒロシクン
〇⑥グローリーグローリ
▲②ボウトロイ
△①マツリダワールド
△④サクラトップキッド
△⑤セイバイラック
<お奨めの1頭>
5R アージェント
転入初戦を持ったままで圧勝。能力の違いを見せつけた。1400m延長も問題なく、追いかける一手
10日メインは今シーズンの盛岡競馬で行われるラスト重賞「第14回絆カップ」(盛岡ダート1200m)。3歳馬から10歳馬まで幅広くエントリーし、牝馬も12頭中7頭。盛岡重賞フィナーレを飾るにふさわしいメンバーが顔をそろえた。
このレースに合わせてゴールデンヒーラーが戦列に戻ってきた。2歳時から主役を演じ続け、牡馬も相手に重賞11勝。2歳時、最優秀短距離馬、3、4歳時には最優秀牝馬に選ばれた強豪牝馬。今シーズンは短距離路線にシフトして白嶺賞を皮切りに栗駒賞、岩鷲賞と重賞3勝をマークし、4戦4勝のパーフェクト成績。破竹の進撃を続け、クラスターカップ挑戦も視界に入れていたが、体調が思わしくなく断念。生まれ故郷の北海道へ移動して休養に入った。
今回は4ヵ月ぶりの実戦となるが、休み明け実績4戦4勝。まったく苦にしないどころか、久々の方がレースに集中できるのがゴールデンヒーラー。ご存じの方も多いと思うが、今年一杯で現役にピリオド。来期から生まれ故郷の下河辺牧場で繁殖に入るため、競走生活も残りわずか。重賞12勝目に王手をかけた。
トーセンキャロルは3歳時、ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラの牝馬クラシック二冠を獲得。翌年は重賞・岩鷲賞を制し、絆カップ2着。冬場は南関東へ移籍して4戦消化後、3ヵ月半の休養をはさんで帰郷。OROターフスプリント4着、ヴィーナススプリント3着。前走は5着止まりだったが、1000mの忙しい競馬が合わなかった。
今度は4戦1勝2着2回の盛岡ダート1200mが舞台。状態も申し分なく、ゴールデンヒーラーがもたつくようなら逆転の目は十分ある。
グットフォーチュンは中央ダート1400m1勝、ダート1000m1勝から転入。水沢2戦・早池峰スーパースプリント9着、前々走・ヴィーナススプリント8着に凡走。輸送競馬が合わない印象だった。対して盛岡は6戦2勝2着2回3着2回とすべて3着以上。交流・OROターフスプリントはマッドシェリーに0秒1差の惜敗だった。
前走は伸びを欠いて3着止まりが不満だが、盛岡戦も今回がシーズン最後。何とか勝利を飾り、重賞初制覇で締めくくりたいところだろう。
ジュランビルは中央芝3勝、ダート1勝・オープンから南関東へ移籍。以降は積極的に遠征し、イヌワシ賞(金沢)2着、佐賀ヴィーナスカップ優勝、秋桜賞(名古屋)3着。その後、半年の休養を経てOROターフスプリント5着から転入。ヴィーナススプリントで2着を確保した。1200mは芝2勝、前走・水沢1400m2着なら距離は問題なし。好メンバーがそろったが、格でアッサリのシーンまで。
ウラヤは中央3勝クラスから転入。余裕の2連勝を飾り、青藍賞で1番人気に支持されたが、好位一杯6着。南部杯13着と2戦着外に沈んだが、今回はメンバー緩和。1200mは未経験だが、タイプ的にはむしろ合いそうなムード。
ルチルクォーツは水沢1300mのコースレコードを更新。ヴィーナスSP4着、前々走3着に終わったが、前回直線一気を決めて快勝。これで勢いを取り戻した。
◎⑧ゴールデンヒーラー
〇⑤トーセンキャロル
▲①グットフォーチュン
△④ジュランビル
△②ウラヤ
△⑨ルチルクォーツ
<お奨めの1頭>
4R ドリーミンマン
デビュー戦の東京ダート1600mで6着を確保。今回は5月以来の実戦だが、能力検査を使って態勢は整った
11月3日(日)「第40回プリンセスカップ」(2歳 盛岡ダート1400m)
ラポジートが果敢に先手を主張。それを見てリコーシュペルは2番手に控える。3番手外にハッピータレイア、4番手インにスティールブライト。スタートで若干後手を踏んだエイシンナデシコだったが、5番手まで押し上げる。その外にヴィルミーキスミー。
前半3ハロン35秒8、上がり3ハロン39秒4。ラポジートはハイラップを刻んで逃げたが、厳しい競馬を続けている北海道勢には普段どおりだったか。後述するが、レース後、エイシンナデシコに初騎乗した山本政聡騎手のコメントでも裏付けられている。
4コーナーを回る時、ラポジートのリードは2馬身ほどあったが、後続が一気に差を詰める。最内からピカンチフラワー、中を割ってスティールブライト、外からリコーシュペルが残り200mでラポジートを交わし、その中からスティールブライトが抜け出したが、大外からエイシンナデシコが一完歩ごとに差を詰め、ゴール前できっちり差し切って快勝。初重賞を手にした。
昨年同様、1着から3着まで北海道所属馬が独占し、岩手勢ではピカンチフラワーの4着が最高。日程変更によりエーデルワイス賞出走組は今年も1頭もいなかったが、改めて北海道2歳のレベル、層の厚さを見せつける一戦となった。
1着・エイシンナデシコ=山本政聡騎手
「ゲートで腰を落としたが、すぐに態勢を立て直してくれた。相手はヴィルミーキスミーだと思ってレースを進め、あとは流れ次第。意外にペースが落ち着いたので2、3番手の馬が渋太く粘りそうなムードだったので一瞬、(山本)聡哉のスティールブライトにやられたかなと思った。この馬は仕掛け始めの反応ひと息だが、エンジンがかかってからがいい感じのタイプ。最後はしっかり伸びてくれた。前回の重賞制覇も北海道のゼロアワー(門別・フローラルカップ)ですからね。いい馬に乗せていただいて、ありがたいと思っています」
村上正和調教師
鞍上がこの馬の能力をうまく引き出してくれたと思う。ひと頃、走れない時期もあったが、よく立ち直ってくれた。まだ幼い面があってモタれたり、ササったりするが、能力は間違いなくある。今回でようやく結果を出してくれた。次走以降については考えていない。グランダムもあるし、中央入りの選択肢もありますから、オーナーと相談のうえで決めたいと思っています」
*11月6日(水)、第12R「夢・希望 未来へ」(B2級三組 盛岡ダート1600m)で1着ニーケススマイル(4番人気)→2着ホーリーバジル(8番人気)→エナジーフォルテ(10番人気)の着順で入線し、3連単340万1740円の特大万馬券が飛び出した。なお岩手競馬の最高配当記録は2009年12月13日(日)、第7R・B2(水沢1600m)の537万8900円です。
*11月7日(木)、園田競馬場で3歳・地方競馬全国交流「第58回楠賞」(園田1400m)が行われ、フジユージーン(瀬戸幸一きゅう舎・水沢)が快勝。1番人気ギガースとの叩き合い、イン強襲ストリームとの競り合いを制し、重賞7勝目。JpnII・不来方賞、JpnI・ジャパンダートクラシック挑戦の経験を生かしました。関係者の皆さん、おめでとうございます!!
今週の岩手競馬
11月10日(日)メイン12R「第14回絆カップ」(オープン 盛岡ダート1200m)
11月11日(月)メイン12R「晩秋特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
11月12日(火)メイン12R「2024盛岡ファイナル特別」(A級三組 盛岡ダート1600m)