5月26日(日)「第25回あすなろ賞」(3歳以上オープン 盛岡ダート1800m)
グリニッジシチーが手綱をしごいて先手を主張。2番手にタイセイメガロスがつけ、3番手インにスズカゴウケツ。1番人気グローリーグローリは4番手に控え、後方3番手にフレイムウィングス、その後ろにゴールドギアが追走した。
向こう正面の途中まで坦々とした流れでレースが進んだが、残り800m地点でゴールドギアが一気にスパート。グローリーグローリも一瞬だけ反応したが、先に行かせて仕掛けを遅らせた。先陣グループでは3コーナー過ぎにグリニッジシチーが一杯となり、替わってタイセイメガロスが先頭。スズカゴウケツは持ったままで追走し、馬なりでタイセイメガロスを交わす。追い出しをぎりぎりまで我慢したスズカゴウケツはゴーサインを出されると鋭く反応。2着ゴールドギアに3馬身差をつけて完勝。待望の初の重賞制覇を果たした。
スズカゴウケツは父スズカコーズウェイ、母リバティーベル、母父アサティスの牡7歳馬。一昨年10月、中央3勝クラス、障害1戦を経て転入。初戦を快勝し、OROカップ7着後、名古屋へ移籍。5戦1勝の成績を上げて昨年4月に再転入。1勝のみに終わったが、シアンモア記念2着、一條記念みちのく大賞典2着とビッグレースで好走した。トウケイニセイ記念8着後、南関東へトレードされて川崎2戦3着から3度目の岩手入り。赤松杯7着、シアンモア記念6着と苦戦を強いられたが、前回外したブリンカーを再着用。その効果も大きく、ついに重賞制覇を果たした。
1着・スズカゴウケツ 菅原辰徳騎手
「先生(千葉幸喜調教師)の方から折り合いを重視してくれと指示をされ、スムーズなレース運びを心がけた。今回はゲートを上手に出てくれたので、あとは鞍上が邪魔をしないように位置をキープ。3~4コーナーの手応えが抜群で、そのまま押し切ってくれた。ずっと調教からレースでも乗せていただいて、何とかタイトルを取らせてやりたいと思っていた。それが実現できてとてもうれしいです」
千葉幸喜調教師
「南関東から再転入後、ずっと状態は良かったと思うが、赤松杯が7着。それでブリンカーを外してシアンモア記念に臨んだが、あまり結果が良くなかったので今回、再着用したことも勝てた要因。ジョッキー(菅原辰徳騎手)もうまく乗ってくれたと思う。次走予定は一條記念みちのく大賞典。シアンモア記念を勝ったグランコージー、5着に頑張ったルーンファクターと3頭で挑戦したいと思っています」
2着・ゴールドギア
前半は後方2番手に控え、残り800mから出し抜け的な形で一気に進出。その思い切った戦法が功を奏し、昨年のあすなろ賞に続いて2年連続で2着を確保した。昨年、最優秀ターフホースに選出されたように主戦場は芝だが、1800m以上ならダートでも好走できることを改めて証明した。
3着・フレイムウィングス
いつもどおり前半は後方に控えて、勝負どころから徐々にスパート。ラスト50mでグローリーグローリを交わして3着入線を果たした。昨年、中央2勝、南関東1勝・B1から転入。岩手では未勝利ながら一條記念みちのく大賞典3着、北上川大賞典2着、桐花賞2着。ジリ脚のため勝ち切れないのがネックだが、今後も1800m以上なら馬券対象から外せない。
今週の岩手競馬
6月2日(日) 「第48回ウイナーカップ」(3歳オープン 水沢1400m)
6月3日(月) 「夢・希望 未来へ前進」(B2級二組 水沢1600m)
6月4日(火) 「紫陽花賞」(B1級 水沢1600m)
5月26日に行われた古馬オープン級の重賞『あすなろ賞』は3番人気のスズカゴウケツが優勝。自身の初の重賞勝ちとなりました。
昨年のこのレースでは4着だったスズカゴウケツ。その昨年は2番手で先行する形でしたが今年は3番手で流れに乗る戦法を採りました。「ゲートをうまく出てくれたのであとは折り合い重視。3~4コーナーでの手応えが抜群で手綱を持ったまま回れたのであとは"このまま押し切ってくれ"と思って追いました」と菅原辰徳騎手。岩手ではスズカゴウケツとずっとコンビを組んできた菅原辰徳騎手にとっても嬉しい重賞制覇だったようです。
2着はゴールドギア、3着はフレイムウィングスが確保し、1番人気のグローリーグローリは中団から伸びず4着に終わっています。
2024シーズン最初の盛岡開催も今日28日で締めくくりとなります。春と言うよりは初夏、気持ちの良い好天に恵まれた日が多めでしたが、馬場傾向の読みはなかなか難しかったですね。最終日の今日も、昼頃から雨が降り始めて徐々に強くなっていく予報になっています。27日は小雨ながらも1日良馬場でしたから、昨日と今日の変化、雨の具合による日中の変化は大きそうです。先週も書きましたが今週も馬場状態の変化には十分にご注意を。
さて、そんな5月28日のメインレースは11Rの『スプリント特別』、OP級ダート1200mの12頭立て。本命は(12)ゴールデンヒーラーです。
前走では重賞の栗駒賞を勝っている同馬なのですが、シアンモア記念出走のプランも検討されたようですが今年は短距離路線中心という方向性は変えずにここに出走、さらにここから岩鷲賞、クラスターカップと進んでいきたい意向の模様です。OP特別のため今季既に重賞を2勝しているゴールデンヒーラーは56kg、+2kgのハンデを背負う事になりますがそれも想定内。
今回のカギは自身としては初めての1200m、1400mでは強い競馬を見せていますがこの距離ではどうか?という点。この200mの差が、1200m→1400mでもその反対でも意外に影響する事は決して少なくない・・・のは確かですが、短距離適性の高さを見せている現状、初距離でも、56kgでも強さを見せると期待して本命視。
対抗は(10)ドルズプライスレス。前走・前々走とも◎に退けられた形ですが着差は詰めているように今勢いに乗っていると見ていいでしょう。陣営によれば使い込んでもあまり良くないタイプとの事で勝負は休み明け3戦目くらいまで。ここは力が入るところに。
(1)キモンリッキーが三番手。栗駒賞では◎らに対して真っ向勝負を挑みましたが跳ね返されての4着。しかし勝った◎から1馬身ほどの差ならメドは立ったと言えるはず。一ハロン短縮が良い方向に働きそうなのも逆転材料になりそう。
栗駒賞上位馬がここでも強いと判断しての◎○▲なのでヒモは少し違う方向から、まず、(4)トキノパイレーツ。この馬も1200mは初めて。距離が短い方がより積極的に立ち回る事ができる可能性を期待してまず1点。もう一頭は(5)リッキーナイトを。昨年の岩手3歳クラシック路線を戦ってきて、2000mでも健闘していますが、適性は短距離の方にある印象。ホッカイドウで一戦叩いての岩手再々転入、その前走が12着だっただけにここで一変勝ち負けとまでは言えませんが上位に食い込むシーンなら。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(12)=(10)、(12)→(1)、(12)→(4)、(12)→(5)
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すでに報道されているとおり、フジユージーン(牡3歳 父ゴールデンバローズ 瀬戸幸一きゅう舎・水沢)が6月5日(水)、JpnI「第70回東京ダービー」(大井2000m)挑戦を表明した。
5月5日(日)、岩手クラシック一冠目であり、東京ダービー指定競走になった「第44回ダイヤモンドカップ」(盛岡ダート1800m)をフジユージーンが4馬身差で圧勝。デビューから無敗7連勝を飾った。
直後のインタビューに瀬戸幸一調教師は「次走については1週間ほど時間をください。馬の状態とも相談しながら、じっくり決めたいと思っています」とコメント。決定を待っていたが、地元・東北優駿ではなく東京ダービー挑戦を決めた。
瀬戸幸一調教師「レースを終えた直後は疲れがひどく反動も大きかったが、3日目あたりからどんどん回復。この状態なら挑戦の可能性も出てきたと思いました。羽田盃を制したアマンテビアンコが出走を見送ったことも聞いています。もちろん甘くないのは分かっていますが、現時点でどこまで通用するか。現在は東京ダービー出走方向で調整を進めています」
フジユージーンはすべてワンサイドで7戦7勝。交流戦も南部駒賞、ダイヤモンドカップで2勝しているが、今度はJRA、地方競馬の強豪が相手。ハードルは相当高いが、東京ダービーの経験は間違いなく今後にもつながるはず。まずは無事出走し、健闘を期待したい。
27日メインはA級二組「陽光特別」(盛岡ダート1600m)。各馬が一長一短のメンバー構成で難解なレース。出走11頭中6頭がセン馬もそれを象徴し、どの馬から入っても好配当が期待できる。
ヴァルラームは南関東7勝・B1級から転入。これまで9戦5勝2着1回3着1回。前々走6着に敗れたが、前回快勝で軌道修正した。A級昇格だが、JpnII東京盃11、8着、JpnIII・東京スプリント11着。格負けはまったくない。前開催をスキップして体調も万全。ここも突破できる。
カミノコは一昨年、JpnIII・クラスターカップ5着。岩手4勝をあげているが、激しい気性のため好、凡走の落差が激しい。セン馬ではなくても全幅の信頼を置けないが、主戦場はコース広い盛岡。メンバーが甘くなり、あっさり首位まで。
サンエイブレーヴは前走11着に失速したが、自ら超ハイペースを形成した結果。評価ダウンにはならない。前々回を完勝し、それ以前も大崩れなし。ペース配分さえ間違えなければ巻き返しに転じて当然。
ロワマージュは昨年9月から5勝2着5回。10戦連続で連対を続けた。前々走A級戦3着、前走6着と上限が見え隠れしているが、カミノコとは0秒5差。今日が真価を問われる一戦となった。
ミヤコプレジールは前回快勝。ひと叩きされて本来の動きを取り戻した。岩手の勝ち星をすべて盛岡戦でマークし、コース適性の高さを前面に連勝まで。
ベルフラカンは先行粘りが身上。外枠でもマイペースの逃げに持ち込めば残り目は十分ある。
◎(9)ヴァルラーム
〇(7)カミノコ
▲(10)サンエイブレーヴ
△(1)ロワマージュ
△(11)ミヤコプレジール
△(8)ベルフラカン
<お奨めの1頭>
2R ブルーローズ
南関東B3から転入後、余裕の3連勝。コース替わりもまったく問題にしなかった。走破タイムも抜けており、追いかける手
28日メイン10Rは一條記念みちのく大賞典トライアル「第25回あすなろ賞」(盛岡ダート1800m)。1着馬から3着馬に優先出走権が与えられる。シアンモア記念の上位3頭(グランコージー、ヴァケーション、ノーブルサターン)は一條記念みちのく大賞典へ直行。あすなろ賞は第2グループの争いとなった。
主軸にグローリーグローリを指名する。昨年3月、中央ダート4勝、障害1勝から転入。あっさり2連勝を飾り、重賞・赤松杯を快勝。シアンモア記念は5着に終わったが、続くあすなろ賞を3馬身差で完勝。重賞タイトル2つ目を手にした。続く一條記念みちのく大賞典4着後、夏負けが尾を引いて3ヵ月休養。復帰後は2着1回にとどまり、今季2戦も着外。
復活は難しいかと思われたが、前走・水沢1800m戦を快勝。メンバーも緩和されたが、昨あすなろ賞以来の勝利を飾った。これで復調なったと解釈して良く、好ムードであすなろ賞を迎えたのが心強い材料。シアンモア記念出走組は強力だが、ゆったりと流れる盛岡1800mは望むところ。2連覇に王手をかけた。
スズカゴウケツは中央ダート3勝から一昨年に岩手入り。初戦を快勝し、芝・OROカップ7着後、名古屋へトレード。5戦1勝をあげて再び岩手入り。シアンモア記念2着、一條記念みちのく大賞典2着と気を吐いた。その後、1勝をマークして冬場は南関東へ移籍。川崎A2戦で2戦3着から再び岩手転入。赤松杯7着、シアンモア記念6着と伸びを欠いたが、流れも合わなかったか。過去、1800mは14戦2勝2着3回。自分の競馬に徹して逆転を狙う。
フレイムウィングスは中央ダート1800m2勝、川崎1500m1勝・B1から転入。いい脚を長く使える持ち味を発揮して一條記念みちのく大賞典3着、北上川大賞典2着、桐花賞2着。勝ち切れないが、ビッグレースで好走を続けてきた。今季、赤松杯6着、シアンモア記念7着はマイルが短ったのも敗因。盛岡1800mは東京カップけやき賞3着からも距離延長は歓迎。待望の岩手初勝利を飾るか。
ゴールドギアは中央芝4勝から転入、初戦のあすなろ賞2着に好走し、予定どおり芝路線へシフト。準重賞・かきつばた賞を優勝し、芝交流・せきれい賞2着、OROカップ3着。最優秀ターフホースに選出された。以降はダートに替わって勝利こそないが、前走2着。一戦ごとに良化一途をたどっている。先に記したように昨年のあすなろ賞2着。待ちに待った一戦を迎えた。
タイセイメガロスは中央芝2勝、笠松2勝・A級から転入。初戦は久々の実戦がこたえて9着だったが、叩かれて2、3着に反撃。上昇気配は明らか。
レールガンは今季3戦とも入着止まりだが、いずれもメンバー最速の上がりを披露。置かれるのがネックだが、ペース速くなれば台頭。
◎⑤グローリーグローリ
〇①スズカゴウケツ
▲⑦フレイムウィングス
△③ゴールドギア
△④タイセイメガロス
△⑧レールガン
<お奨めの1頭>
3R ニシノステラ
佐賀C2から転入初戦を1秒1差で圧勝。アッサリ逃げ切りを決めた。メンバー強化感もなく、もう一丁いける
5月19日(日) 「第12回イーハトーブマイル」(3歳 盛岡ダート1600m)
1枠を引き当てたコンバットスプーンが逃げを主張。2番手にミヤギシリウス、3番手セイバイラック、その外にサンエイキャノンがつける。5番手リトルカリッジ、インにドリームキャッチ。1番人気レッドオパールは馬群の中に入れて7番手を追走。3番人気バウンスライトは後方4番手に控え、その後ろに2番人気サクラトップキッド。
マイペースに持ち込んだコンバットスプーンは4コーナーを回っても先頭に立っていたが、3コーナーから徐々に前に接近したレッドオパールが直線入り口で並びかける。しかしレッドオパールは追い出しを我慢し、残り200mでゴーサイン。その指示に鋭く反応したレッドオパールが3馬身差で完勝。2着には逃げ粘ったコンバットスプーン、3着にはレッドオパールに次ぐ上がり脚を駆使してバウンスライトが突っ込んだ。
1着・レッドオパール=山本聡哉騎手
「ポジションは特に考えてはいなかったが2、3番手の外は避けてポケットに入れたいと思っていた。道中の手ごたえは十分。あとはコーナーをうまく回り、直線でまっすぐ走るかを気をつけた。今日の感じだとレースに集中できれば、距離が延びても問題ないと思う。岩手を代表する3歳牝馬ですからね。これからも応援よろしくお願いします」
菅原勲調教師
「今回が初輸送、初の左回りだったが、かえって落ち着いていたので盛岡の方が合うかもしれない。入れ込むタイプですからマイナス9キロは想定内。いい競馬だったと思う。次走はウイナーカップ。連闘になるが、1400mの距離も合うはずです」
勝ったレッドオパールは岩手転入後、6戦4勝3着2回。重賞は寒菊賞に続いて2つ目。前走・留守杯日高賞で岩手最先着3着を確保し、牝馬No.1の座を不動のものにした。
ただ中間の追い切りではコーナーで外に膨れるアクシデントがあり、左回りに若干不安を残しながらの出走。公式コメントには記さなかったが、"勝ちに行こうとすると気がはやるので、まっすぐ走らない可能性があった。それで追い出しを我慢させて『勝ちに行かない競馬』をさせた"。誤解される可能性があるが、これまでも掛かる癖を見せており、前半は控えさせていた。ただ追い出しからの反応がすばらしく、それをどこで使うか。難しいところはあるが、山本聡哉騎手はレッドオパールのひと脚を信頼していればこそ、今回のレースができた。次走は菅原勲調教師のコメントどおり6月2日、「第48回ウイナーカップ」(水沢1400m)へ向かう。
2着・コンバットスプーン
昨年7戦2勝。ネクストスター盛岡で2着、ビギナーズカップ3着(いずれも優勝はフジユージーン)と重賞でも好走。南関東では苦戦を強いられて4戦とも着外に終わり、帰郷初戦のダイヤモンドカップでも7着凡走。結果、9番人気の低評価だったが、逃げの手に出て2着に粘った。
3着・バウンスライト
中央芝3戦着外から転入。下級条件で2連勝を飾り、強気の重賞挑戦だったが、メンバー2番目の上がりで3着確保。重賞でも通用することを証明し、今後も目が離せない存在となった。
今週の岩手競馬
5月26日(日) メイン10R 「第25回あすなろ賞」(オープン 盛岡ダート1800m)
5月27日(月) メイン12R 「陽光特別」(A級二組 盛岡ダート1600m)
5月28日(火) メイン11R 「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1200m)