12月10日(日)、金杯トライアル「第22回寒菊賞」(水沢1600m)が行われ、2番人気に支持されたレッドオパールが快勝。前半は5番手に控え、3コーナーからスパート。4角で先頭に立ったセイバイラックに並び、残り200mで交わすと3馬身差でゴール。北海道1勝から転入2連勝を飾り、初重賞を手にした。
山本聡哉騎手「ゲートの出方次第だったが、いいスタートを切れたし、外枠だったので馬なりで追走した。もう少し前の位置も取れたと思うが、入れ込みがきつかったので脚を貯めた方がいいと判断して5番手で我慢させた。前回、動き出しでもたついたので3コーナーからスパートをかけたら、今日は反応がすばらしく、最後がどうかなと思ったが、しっかり伸びてくれた。母(アイアムオパール)にも騎乗したが、気難しいけど能力がある馬だった。ボク自身も(手術から)復帰後の初重賞ですからね。非常にうれしいです」
菅原勲調教師「今日はいつにも増してゲートが良かったので、ちょっと掛かっていたが、強いレースだったと思う。レッドオパールはどんな流れにも対応できるから、先々も楽しみ。母は自分のところで5勝(岩手では通算7勝)して繁殖入り。いい仔を出してくれた。今シーズンは今日の一戦で終える予定。レース前から寒菊賞を使うか、金杯を使うかの二者択一だったので、金杯は見送ります」
山本聡哉騎手のコメントにもあったが、母アイアムオパールは中央未勝利から岩手入り。通算7勝をマークしたが、主戦ジョッキーが山本聡哉騎手。その後、繁殖入りし、初年度産駒がレッドオパール(父ニシケンモノノフ)で、門別・山口竜一きゅう舎でデビュー。2戦目で初勝利をマークし、転入前の門別1000m戦で山本聡哉騎手が騎乗依頼を受けた。
と言うのは当日、同騎手は道営記念でホッコーライデンの騎乗依頼を受けて遠征。山口竜一調教師から「岩手の馬主さんだから、レッドオパールに乗ってほしい」と言われ、ほぼ時を同じくしてオーナーからも騎乗打診を受けた。
今回、寒菊賞優勝後、山本聡哉騎手にインタビューを依頼した。指の手術から復帰、重賞を制するまでの過程を書く予定なので、『うまレター』1月号をご覧になってほしいが、勝利インタビューの雑談での話が印象に残った。「久々の重賞もうれしかったが、縁があって岩手でもレッドオパールに騎乗。重賞も制覇できてみんなが喜んで、そして感謝されました。やっぱり勝つっていいですね」と。
翌11日(月)はオッズパーク杯「ゴールデンジョッキーズシリーズ(2戦)」が行われ、坂口裕一騎手が1戦目4着、2戦目1着の成績をあげて総合優勝を果たした。
坂口裕一騎手「騎乗馬に恵まれましたが、2戦目(キモンリッキー)をうまくコントロールできなかったのが残念。それでも馬が強かったので勝つことができました。今回のボーナスはオフシーズンの旅行(坂口君、ごめん。ばらす。沖縄)資金にします。来年は3連覇を目指したいと思っています」
余談だが、第1戦の優勝は=高橋悠里騎手=アサンテギアだったが、2着に退けたのが1番人気サトノマッスル。実はサトノマッスルは高橋悠里騎手のお手馬で自きゅう舎所属。忖度なしに気迫あるプレーでわずかクビ差だったが、ゴール前で交わした。これぞゴールデンジョッキーズの戦い。2戦とも迫力満点だった。
今週の岩手競馬
12月17日(日) メイン11R 「冬至特別」(A級一組 水沢1900m)
12月18日(月) メイン11R 「白鳥特別」(A級二組 水沢1600m)
12月19日(火) メイン11R 「スプリント特別」(オープン 水沢1400m)
文/松尾 康司
12月10日に行われた2歳馬の重賞・金杯トライアルの『寒菊賞』はレッドオパールが優勝。転入2戦目、自身初の重賞挑戦で見事タイトルを手にしました。
序盤は5番手あたりを進んだレッドオパール。「少しかかり気味だった事もあり、気持ちよく行きすぎないように(山本聡哉騎手)」と控えた位置でしたがうまく流れに乗り、3コーナー、先行勢の外を一気に捲って先頭に躍り出たところで勝負あり。門別時代は1100mまでの経験で転入初戦の前走も1400m、初のマイル戦も問題なく対応しての勝利が自身の初重賞制覇。鞍上の山本聡哉騎手も7月以来、治療休養からの復帰後初の重賞制覇となりました。
12月12日のメインレースは2歳馬・ダート1600mの戦い『阿久利黒特別』です。
かつて同名の重賞がありましたがそれは3歳馬のレース。この阿久利黒特別は"岩手デビューの2歳馬"限定の戦いで、前開催で行われた「太夫黒特別」と同じ条件になります。
ファンの皆さんもご存じだと思いますが2歳戦は全国的に門別デビュー馬の活躍が目立ち、特に門別競馬場の開催が終わってからは全国に散らばった門別デビュー馬が各地区で中心になっていく・・・という流れが定着しています。
上で触れた寒菊賞もそういう形で、勝ったレッドオパールだけでなく3着のマルーントリックも門別でデビューした馬でした。
阿久利黒特別や太夫黒特別は、そんな流れの中で地元デビュー馬の活躍の舞台を大きく取るためのレースという位置づけになります。太夫黒特別を制したのはリトルカリッジでしたが、同馬はデビューから2連勝、芝の若鮎賞では8着だったもののビギナーズCではフジユージーンの2着を確保している地元の素質馬の一頭であり、休養明け2戦目で立ち直った形は"やはり力がある"と思わせる勝利でしたね。
ではこの阿久利黒特別ではどの馬が頭角を現してくるのか?そこが注目点であり興味を惹くところになるでしょう。
阿久利黒特別、本命は(2)カリフィアを採りました。
同馬は今年の北海道トレーニングセールで3番目の高額・1760万円で購買された馬で、当初はその話題が先行していた印象もありました。しかしデビュー戦を勝ち重賞でも上位に食い込んで見せたことで実力も伴った馬だと認識されたのではないかと思います。
距離に関しても、当初は1000mでも長いかと感じましたが経験を積んで延長にも対応。前走のマイル戦でも大きく崩れず戦い抜き、小回りの水沢ならマイルでも十分戦えるという手応えを掴みました。
今回も同じマイル。まだ過信はできないでしょうけども期待度は十分以上。あとは、雨が降ってスピードが活きる馬場になってくれればなお良し。
対抗は(3)オフビートでどうでしょうか。デビュー戦を勝って以降勝ち星から遠ざかっているものの、徐々に力を付けつつ距離延長にも対応してきている印象です。前走にしても外枠が堪えたという事なら内枠に替わってもっとやれて良いはず。
3番手は(9)タカマキスリー。太夫黒特別が前走でしたが上位争い一団の中に加わっての5着、今回のメンバーでならそろそろ警戒を。
(8)サンエイキャノンは二走前に盛岡1200mで先行して圧勝していますが、差す形になった時の走りだと1200mでは短いのかなという印象が。1200→1600と一気の延長での初距離は距離経験あるライバルに対して不利と考えて連下評価としましたが、距離伸びて良さが増す可能性には注意しておきたいところ。
もう一頭は(1)サンタバーバラ。今回とほぼ同様のメンバーだった二走前で僅差4着、その走りができれば・・・に警戒を。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(2)=(3)、(2)=(9)、(3)=(9)、(2)→(8)、(2)→(1)
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★第1戦短評
第1戦の本命は(1)アサンテギアを採った。前走は初の水沢・マイルでの戦いで4着。盛岡のマイルで勝ち星を挙げて距離に手応えを持って挑んだが、結果的には距離経験豊富な馬たちが上回ったという印象があった。とはいえそれでも力負けの印象はなかったし今回は距離短縮で1400m。より戦いやすい距離に戻れば結果も変わってくるはず。
対抗は(3)サトノマッスルだ。岩手転入後初の1400mだった前走でもしっかりと決め手を発揮して差し切った。過去の戦績からもマイルより1400mの方が動きやすい可能性は高いしB1→B2と降級直後に挑める点も有利。そして三番手に(4)アルコローザ。こちらは水沢の1300m~1400mに厚い実績がある。時計比較からも上位争い濃厚だ。
ヒモは差し展開を念頭に置いて(7)スズカパンサー、(6)トーセンジンライムを採るが、ここのところ好調な(11)テリオスドンも先行決着狙いでの押さえを一考。
★買い目
3連単フォーメーション
1,3→1,3,4,7→1,3,4,7,6,11
★印
◎1
○3
▲4
△7
△6
△11
★第2戦短評
第2戦は(7)キモンリッキーに◎。盛岡の1000mで連勝して挑んだ前走水沢1400m、8月に大敗を喫した条件だったが完勝と言っていい内容で勝ち切り、これで距離・コース・クラス共に不安がない事を改めて証明して見せた。僅差の勝利が多い近走とはいえ元A級馬のような格上と戦っての結果だけに価値は高い。そしてその勢いはこのメンバー相手でも十分に通用する。
対抗は(5)フェザーノユメ、三番手は(12)マルケイアロー。どちらもA級でまずまずの結果を残してのB1降級、B1では上位組でも掲示板上位常連だったのだから直近の着順の数字が大きめでも気にする必要はない。それぞれ久しぶりの1400mだが距離に苦手感が無い、むしろ得意と言える点にも注目。
以下は敢えて穴っぽそうな所から(2)トキノワンカラット、(4)セイオーキッド、(3)グラフィアスレディを。いずれも850mだったり1600mだったりの距離はベストではないタイプ。近走の着順の数字以上に状態は良いと見えるだけに流れひとつで差はないと判断しておきたい。
★買い目
3連単フォーメーション
5,7,12→2,7,5,12→2,3,4,5,7,12
★印
◎7
○5
▲12
△2
△4
△3
(横川典視)
11日はダブルメインで行われるオッズパーク杯「ゴールデンジョッキーズシリーズ(2戦)」。前身はゴールデンステッキ賞、そしてシルバーステッキ賞。ゴールデンステッキ賞はリーディングジョッキー上位の争いに対し、シルバーステッキ賞は若手を中心とした下位のジョッキーの争いだった。
この2レースを合体させ、ゴールデンジョッキーシリーズが誕生。全3戦の総合ポイントで優勝を競ったが、降雪などの影響を考え、昨年から短期集中型へ移行。全2戦の総合ポイントで争い、例年ベースだと優勝ジョッキーに50万円のボーナス、2位ジョッキーが30万円、3位ジョッキーに20万円を支給。50万円はレース賞金1000万円の進上金(5%)に該当し、12月31日、ファン投票・桐花賞の進上金と同額。当然だが、出場ジョッキーはがぜん、力が入る。
10R(発走15時15分)は「ゴールデンジョッキーズシリーズ第1戦」(B2級 水沢1400m)。基本は軸信頼だが、伏兵も多い一戦。展開次第で波乱の要素もたっぷり含んでいる。
サトノマッスルは中央未勝利、大井1勝・C1級から岩手入り。格付けにも恵まれて、いきなり3連勝をマーク。その後、ご褒美も兼ねて放牧先で夏休みに入り、10月に復帰。快進撃を疑わなかったが、なかなかレース勘を取り戻せず足踏みが続いた。しかし前走、B1・水沢1400mを快勝し、ようやく復調。今回B2降格にも恵まれた。
アサンテギアは前走4着止まりだったが、勝ったアンコールゲランが強く仕方なし。今回の水沢1400mは2戦2勝。相手が甘かったのも事実だが、距離短縮は基本歓迎。
スズカパンサーは南関東B1級から転入後、4勝3着1回。前走6着をどう評価するかだが、外目を回されるコースロスに敗因を求めたい。位置取り次第で巻き返し必至。
アルコローザは決め手一目。展開に左右される面はあるが、レースが流れれば一気台頭。同じく切れ勝負型トーセンジンライム、B1級から降格ミツバチキャットも軽視できない。
◎③サトノマッスル
〇①アサンテギア
▲⑦スズカパンサー
△④アルコローザ
△⑥トーセンジンライム
△⑧ミツバチキャット
11R(発走:15時50分)は「ゴールデンジョッキーズシリーズ第2戦」(B1級 水沢1400m)。人気の中心はキモンリッキーだが、グローサーベアも同等の評価が必要。
キモンリッキーは南関東C1から再転入後、6勝3着2回。馬券対象から外れたのは夏負けがひどかったB1・秋桜賞11着のみ。その後、1ヵ月あまりの休養でリフレッシュ。復帰戦3着から目下3連勝中と絶好調を誇っている。ひいらぎ賞で今回と同じ水沢1400m完勝で、条件もベスト。
グローサーベアは南関東B3級から岩手入り。4勝2着1回の快進撃を続け、夏の2ヵ月休養。復帰後はなかなか軌道に乗れなかったが、前回快勝で吹っ切れた。
アマルインジャズは典型的な水沢巧者。今季未勝利だったが、水沢に替わって前回1秒2差で圧勝。コース適性から今回も目が離せない。
フェザーノユメはA級戦3、7着からB1級へ降格。メンバーが甘くなった上、得意の水沢戦を迎えた。詰めが課題だが大崩れなしグラフィアスレディ、距離延長でプリンスチャームも軽視できない。
◎⑦キモンリッキー
〇⑪グローサーベア
▲①アマルインジャズ
△⑤フェザーノユメ
△③グラフィアスレディ
△⑩プリンスチャーム
<お奨めの1頭>
4R キッカケ
元々が安定度で定評があったが、前走・水沢1300m戦で2着。走破タイムでリードし、今度は首位を奪取する
文/松尾 康司
10日メインは2歳重賞「第22回寒菊賞」(水沢1600m)。1着馬から3着馬に12月30日(土)、重賞・金杯の優先出走権が与えられる。今年の岩手2歳は豊作年と記したが、断然のナンバー1・フジユージーン、若駒賞を完勝したミヤギヴァリアントが不在。よって今回は第3グループの争いとなった。
最有力馬はサクラトップキッド。デビューは10月までずれ込んだが、出遅れながらも好タイムで完勝。2戦目はスタートを決めて4角先頭に立ち、2着リノグロワールに1秒9差をつけて圧勝した。勢いを駆って地方競馬全国交流・南部駒賞へ挑戦。フジユージーンが横綱相撲で完勝したが、サクラトップキッドは1分39秒2の上々タイムで5着入線を果たした。
キャリア2戦でハイレベル・南部駒賞5着は価値ある一戦。母サクラトップクインが中央ダート3勝馬なら納得の結果。水沢はローテーションの関係で未経験だが、走り慣れた地元コース。トップ2が不出走なら絶好の勝機。初重賞を手にし、金杯へ弾みをつける。
セイバイラックはデビュー戦から芝路線を歩んで2着2回3着1回。芝重賞・若鮎賞2着、芝交流・ジュニアグランプリ4着に好走した。5戦目も当初は芝1600mで実施予定だったが、走路悪化によりダート変更。運がなかったかに見えたが、2着に1秒3差で圧勝。初ダートで待望の初勝利をあげた。
続くプリンセスカップは岩手最先着4着にまとめ、前走・太夫黒特別は当然のように1番人気に支持されたが、伸びを欠いて3着。内に包まれて折り合いを欠いたのが痛かった。しかし今度は8頭立ての6番枠。手ごろな枠順を引き当て、巻き返しに意欲満々。
リノグロワールは1勝2着2回。出遅れを喫した若駒賞5着、前々走は流れが合わず9着に沈んだが、前回2着で軌道修正できた。先行力と粘りを武器とするタイプで小回り平坦の水沢は基本歓迎。距離も経験して2着に粘り、今回は絶好の1番枠。マイペースに持ち込めばアッサリまで。
マルーントリックはデビュー戦2着だったが、1着モノノフブラックはJpnIII・エーデルワイス賞で3着に善戦。2戦目を順当に勝ち上がり、転入前の門別1200m戦で2勝をマークして転入。見せ場を作って2着を確保した。注目したいのは走破タイム1分42秒0。馬場状態が違うにせよ、ここで勝てる時計であるのは確か。
レッドオパールはデビュー2戦目の門別1000m戦を圧勝。その後、2戦7、4着から岩手入り。初戦で鮮やかな直線抜け出しを決めた。いい脚を長く使えるタイプでマイル延長はむしろ歓迎。相手強化でも目が離せない。
ビッグサララルーフは3勝マーク。重賞・若駒賞でも3着を確保したが、脚質も大きいと思うが、ムラなタイプ。ハイペースなら台頭の可能性がある。
◎④サクラトップキッド
〇⑥セイバイラック
▲①リノグロワール
△②マルーントリック
△⑧レッドオパール
△⑤ビッグサララルーフ
<お奨めの1頭>
3R インオービット
中央未勝利から転入後、2戦連続で2着だが、相手も強かった。今度こそ首位を奪取する