15日メインは2歳・地方競馬全国交流・南部駒賞トライアル「第43回若駒賞」(盛岡ダート1600m)。1着馬から3着馬に優先出走権が与えられる。10月2日、新設重賞・ネクストスター盛岡はフジユージーンが圧勝。レース後インタビューで瀬戸幸一調教師「南部駒賞へ直行する」とコメント。よって今回のテーマはナンバー2の座を争う戦いとなった。
ミヤギヴァリアントは人気種牡馬モーニンの初年度産駒。サマーセールで落札され、期待どおりデビュー戦の850m戦を逃げ切って圧勝した。2戦目はフジユージーンが相手だったため2着に完敗。それでも盛岡ダート1400mで1分27秒3は2歳馬としては優秀。巡り合わせが悪かった。
その後は放牧に出て坂路などを消化して帰厩。新馬戦のパドックで気になったのは後肢のすばらしさに対し、腹回りが寂しかったこと。逆の見方をすれば後肢が盛り上がっていたから、なおさら腹袋がスッキリ見えた。牝馬ならともかく、牡馬。まだ成長途上の印象だった。
2ヵ月ぶりの再会を楽しみにパドックを凝視した、後肢は相変わらずムキムキだったが、腹回りは久々の実戦にもかかわらず細かった。後日、菅原勲調教師に聞くと「牡馬だが、飼い葉食いが細い」とのこと。それでも4番手キープから豪快な抜け出しを決めて完勝。成長途上ながら素質一級品を改めて証明した。
今回の見どころは体がふっくらしてきたか、それとも腹が巻き上がっているか。順当に重賞を制することはもちろん、体の変化をしっかり見たいと思っている。陣営も気持ちが同じなはず。
ミヤギシリウスは初ダートでケンタッキーダービーを制し、ドバイワールドカップも制したアニマルキングダム産駒。持ち込みは何頭かいるが、日本生まれでは初年度。デビュー戦は芝にも戸惑って4着止まりだったが、地元に戻って水沢1300m戦を圧勝。能力の高さをアピールし、前走は重賞・ネクストスター盛岡へ挑戦。メンバーを考えれば4着は健闘の部類。今後のメドが十分たった。
一つ気になるのが体重の増減幅が大きいこと。能力検査が490キロ。デビュー戦の盛岡芝は469キロ。水沢に戻って486キロ。ネクストスター盛岡は478キロ。おそらくだが、輸送がまだ苦手のようだ。果たして今回の馬体重がどのぐらいか。牝馬にしては恵まれた馬格が持ち味。仮に体重増なら、さらに強気になれる。
エイシンノクターンはグレーターロンドンの2年目産駒。370キロ台と超小柄な牝馬だが、レースセンス一目。デビュー戦の芝3着後、2戦目から2連勝。ネクストスタ―盛岡では相手が大幅強化に加え、厳しいレースを強いられたが、5着を確保。収穫の多い一戦となった。重賞挑戦2度目で流れにも慣れるのは確実。
ビッグサララルーフはデビュー戦4着。出遅れが痛かったが、2戦目から2連勝。決め手の鋭さが光った。前走・ネクストスター盛岡は7着。追走一杯だったが、メンバーが若干緩和された点は見逃せない。
ユウユウジラソーレはすでに8戦を消化して未勝利ながら2着4回3着2回。現在、4戦連続で馬券対象を果たしている。このタイプはメンバーにかかわらず相手に駆け、マークは欠かせない。
リノグロワールはデビュー戦3着から2戦目を圧勝。相手が一気に強化されたが、母プリムラジュリアンは北海道5勝。岩手でも留守杯日高賞3着、知床賞4着。南関東C1でも1勝。素質は引けを取らない。
◎⑥ミヤギヴァリアント
〇②ミヤギシリウス
▲⑤エイシンノクターン
△①ビッグサララルーフ
△⑦ユウユウジラソーレ
△④リノグロワール
<お奨めの1頭>
1R アレプリュロアン
3月以来の実戦だが、能力検査を馬なりで合格。中央2戦で先行力を披露し、転入初戦からいける
文・松尾庫司
10月9日(月)、盛岡ダート1600mを舞台に行われたJpnI「第36回マイルチャンピオンシップ南部杯」は1番人気レモンポップが圧勝。2着イグナイターに2秒差をつけてアッサリ逃げ切った。2秒の大差は南部杯史上最高着差。まさにレモンポップの独壇場となった。
まずはハロンラップをご覧になってほしい。スタートから12秒6-12秒5-11秒6-11秒7-11秒7-11秒4-10秒3-12秒6。前半3ハロン36秒7に対し、上がり3ハロンが34秒7。このラップで逃げ切られたら、後続がなすすべもなかった。坂井瑠星騎手「強いのは知っていましたから、いっしょにレースを楽しんでいました」のコメントも納得。まさに走ることを楽しんでいた感じだった。これで今年のフェブラリーステークスに続いてG(Jpn)I2勝目。現役ダート最強マイラーの座を盤石のものにした。
坂井瑠星騎手「レモンポップが栗東滞在中、調教で乗って良くなっていくのを感じましたし、今日の返し馬でもフェブラリーステークスと同様、いい状態だったと思います。プラン(戦法)は決めず、馬のリズムを優先したら逃げる形になりました。道中の手ごたえ、追ってからの反応もすばらしく、これなら負けないと思いました。ビジョンを見て、後ろを離していくのは分かってましたが、最後までしっかり追いました。ドバイ(ゴールデンシャヒーン)では悔しい思いをしましたが、国内では底を見せていません。5歳馬ですが、キャリアが少ないので、これからもっと良くなっていくと思います」
気になるのは次走だが、残念ながら田中博康調教師は不在でコメントが取れなかった。ただ戦前、陣営はシリウスステークス(阪神ダート2000m)も選択肢に入れていた。とすれば中京ダート1800mで行われるGI・チャンピオンズカップが有力か。過去最長は1600mだが、距離も我慢できるはず。決定を待ちたい。
2着はイグナイター。道中2番手をキープして直線でも後続の追撃を封じ、行った切りの決着となり、NARグランプリ年度代表馬の意地を見せてくれた。
笹川翼騎手「さきたま杯と同じくらいか、それ以上の仕上がり。返し馬で自信を持つことができました。レモンポップが強いのは分かっていたので、ついていこうと思っていました。3~4コーナーでいい感じで進められたが、最後は勝ち馬の脚色が違いすぎました。昨年4着でしたが、今年は2着。ここまできたらGIを取らせてあげたいですね」
次走予定はJBCスプリント(大井1200m)。「ベストは1400mだが、守備範囲が広いタイプ。JBCでもチャンスがあるはずです」。昨年のJBCスプリント(盛岡ダート1200m)は5着だったが、3着ヘリオスとはタイム差なし。期待が膨らむ一方だ。
今週の岩手競馬
10月15日(日) 11R「第43回若駒賞」(2歳 盛岡ダート1600m)
10月16日(月) 9R「レジェンド的場文男騎手デビュー50周年記念」(B1級 盛岡芝1600m)
10月17日(火) 9R「第16回サファイア賞」(3歳 盛岡市2400m)
文・松尾庫司
10月9日に行われたダートグレードJpnI『マイルチャンピオンシップ南部杯』は1番人気に推されたレモンポップがV。レースを序盤からコントロールする大差での圧勝でした。
例年のような徹底先行タイプが不在で各馬の出方が注目されていたスタートでしたがレモンポップが自らハナを主張。後続のライバル達を従えて進みます。2番手に付けたのはイグナイター、その後ろにはジオグリフやカフェファラオも続く序盤の隊列。
スローペースながらも後続を徐々に離していったレモンポップ。差し馬勢も伸びてきた直線でしたがその時2番手以下は遙か後方、懸命に粘るイグナイターを巡る2着争いを大きく引き離してゴールした着差は"大差"改めて自身の強さを見せつけました。
2着はイグナイターが死守、直線追い上げたレディバグが3着に食い込み以下タガノビューティー、カフェファラオと入線。地元岩手勢はゴールデンヒーラーが7着に健闘しました。
10月10日のメインレースはA級三組のダート1600m『初雁特別』。日を追うごとに気温が下がってだいぶ寒くなってきた盛岡ですが、南部杯当日なども日中の雨が降るまでは薄着で良いくらいだったのでやっぱりこの時期にしては気温が高いですよね。
例年だとそろそろ岩手山初冠雪!のニュースが出る頃、車のタイヤをスタッドレスに替えるのをいつにしようか・・・と考え始める時期なのですが、まだちょっとそういう感じではないですね。
それだけに、朝晩の冷え込みとの気温の差が大きくもなっています。現地で観戦される方は色々ご注意を。
さて初雁特別。本命は(4)ラブロックを狙います。
岩手では1200~1400mという距離で勝ち星を挙げてきた本馬ですが、今季はむしろ長めのマイルを主戦場として短い距離ではやや距離不足を感じさせるようなレースをしてきています。盛岡・水沢問わずに、そして馬場状態もあまり関係なく自分の形で戦えるのはそれだけの地力、それだけのスタミナがあるという事。ハナを獲れなければ苦戦する事も確かにありますが、最近のマイルでの時計はこのメンバーの中でも遜色がありませんし、昇級でも自分の競馬ができると見ました。
対抗は(5)ベルフラカン。着順は一進一退なところがあってちょっとあてにしづらい面もあるのですが、1800mもこなしているように長めの距離に苦手感は無し。A級通用の力も証明していると言って良いですし、こちらもスムーズに流れに乗れれば争覇圏。
三番手は(3)カミノコを。2年連続でクラスターカップに出走していたり短距離のイメージが強い同馬、実際岩手での3勝は全て盛岡1200mのOP特別なのですが、前走の同条件A級戦で僅差の戦いをしているように地力の高さで距離をカバーしてきます。いや、今ならマイルの方が強いかも?ひと叩きされての勢いも十分。
ヒモとしては(7)ミヤコプレジール、(2)ユノートルベルの2頭を。前者は、前走時は休み明けでまだ上昇途上の印象でした。ひと叩きされての良化を見込んでみたいところ。後者は今回が休み明け。わりとスロースターターかなという印象のある馬ですが、好枠を引いた事で押さえておきたいと思います。
●12Rの買い目
馬単(4)=(5)、(4)=(3)、(5)=(3)、(4)→(7)、(4)→(2)
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9日メインは岩手競馬の看板レース「第36回マイルチャンピオンシップ南部杯」(JpnI 盛岡ダート1600m)。今年は昨年の覇者、久々のクラシックホースの参戦、今年のフェブラリーステークス優勝馬、NARグランプリ2023年度代表馬など多士済々の顔ぶれ。どの馬が勝っても不思議がない好メンバーがそろった。
カフェファラオはフェブラリーステークス2連覇から昨年の南部杯へ参戦。決して調子はいいとは言えなかったが、絶妙の逃げに持ち込んだヘリオスをゴール前で捕らえて快勝。GIホースの底力を見せつけた。
続く一戦はサウジカップ。フェブラリーステークス史上初の3連覇も選択肢にあったと思うが、あえて海外遠征を選んで3着。パンサラッサが逃げ切りを決め、カフェファラオは後方からの競馬。ペースを考えればジオグリフを交わしたことを評価するべきだった。
ドバイワールドカップは逆に逃げ2頭が競り合ってハイペースの流れ。カフェファラオは3コーナーから外に持ち出してスパートをかけたが、直線入り口で前がカットされる不利。これが致命傷となって大差12着に敗れたが、これは度外視したい一戦。
不安材料は内2番枠。昨年も4枠2番枠に入ったが、ヘリオス、イグナイターが行き切ったところ、福永祐一騎手が間髪入れず外に出して3番手まで押し上げたのが最大勝因。今年も馬群をうまくさばけるかがカギだが、同様の形に持ち込めれば能力をフルに発揮。昨年同様、安田記念から南部杯へ直行し、連覇に意欲満々。
レモンポップはデビュー2連勝後、脚部不安のため1年の長期休養。復帰2戦は2着だったが、3戦目から4連勝をマーク。重賞初挑戦・武蔵野ステークスはギルデッドミラーのタイム差なし2着に惜敗したが、根岸ステークスで同馬に雪辱を果たして快勝。勢いを駆ってフェブラリーステークスも制し、ついに頂点を極めた。
初の海外遠征・ドバイゴールデンシャヒーンは10着だったが、未経験の1200m戦で速い流れにもとまどったのが敗因。初めて連対を外したが、自身には貴重な経験になったはず。不安は6ヵ月ぶりの実戦でどこまで調整が進んだか。個人的な読みだが、最大目標がフェブラリーS2連覇。それならば南部杯は叩き台。実力はトップ疑いなしだが、対抗に落ち着いた。
ジオグリフは昨年の皐月賞で後のダービー馬ドウデュース、2022年の年度代表馬イクイノックス相手に快勝。その後3戦は着外に終わり、今年は海外へ挑戦。サウジカップは初ダートを問題にせず4着。ドバイWCは11着に終わり、帰国初戦・宝塚記念を使って南部杯へ臨む。地方ダート未経験がネックだが、父はブリーダーズカップ・スプリントを制したドレフォン。ダートで新境地を拓く。
イグナイターは昨年、黒船賞、かきつばた記念を優勝。南部杯でも0秒2差4着、JBCスプリントでも5着など善戦し、NAR年度代表馬に選ばれた。今年もさきたま杯を快勝し、休み明けの前走・チャレンジカップも完勝。一度実戦を使って南部杯は予定どおりのローテーション。
タガノビューティーは堅実さを武器に、かしわ記念でもメイショウハリオの0秒1差2着。プロキオンステークスは脚が乱れてしまい、14着も仕方なし。回復次第だが、ここでも持ち味の堅実さを発揮する。
ノットゥルノは兵庫チャンピオンシップ2着からジャパンダートダービーを優勝。東京大賞典でもウシュバテソーロの2着に気を吐いた。今季3戦とも着外、左回り実績がないのが気がかりだが、ワンターンの盛岡マイルなら克服できる。
◎(2)カフェファラオ
〇(3)レモンポップ
▲(9)ジオグリフ
△(12)イグナイター
△(1)タガノビューティー
△(7)ノットゥルノ
<お奨めの1頭>
2R ラミアヴィータ
南関東C1から再転入後2勝2着1回。前回もあっさり逃げ切り、盛岡1000m2戦2勝。同条件ならもう一丁いける
8日(月)メイン9Rは準重賞「第23回ハーベストカップ」(盛岡芝1000m)。1、2着馬には地方競馬全国交流「第13回OROターフスプリント」(10月22日 盛岡芝1000m)の優先出走権が与えられる。
昨年のOROターフスプリントを制したのがケイアイサクソニー。当時、中央芝4勝・オープンから北海道へ移籍。パワーの要る門別の馬場が合わず2着2回が最高だったが、盛岡芝1000m戦で反応が一変。好位キープからアッサリ直線抜け出しを決め、2着スギノヴォルケーノに0秒8差をつけて圧勝した。
その後、門別一戦(8着)後、休養に入り、今年3月に転入。初戦3着にまとめたが、2戦目の重賞・栗駒賞でしんがり負けを喫して12着。5ヵ月半の休養を余儀なくされ、OROターフスプリント2連覇を目指して復帰する。ただ、実力は誰もが認めるところだが、今回は休み明け。対抗=〇評価が妥当だろう。
主軸はアザル。中央未勝利から名古屋で2勝マーク後、再び中央入り。1勝クラスで6着最高にとどまり、転入。4勝2着2回3着1回の好成績を収めている。前々走は10着に終わったが、置かれて自分の競馬ができなかったのが敗因。牝馬準重賞・ヴィーナスカップで5着に巻き返した。
特に注目してほしいのは5走前のB1・盛岡芝1000m戦。カルーナブルガリスが逃げ切ってコースレコードを樹立。2017年、コウセンが保持した57秒7を大幅に更新。57秒2をマークしたが、アザルが2着を確保。57秒5もコウセンを上回った。父オルフェーヴル、母父サクラバクシンオーなら納得がいく。
単か凡走かの両極端な可能性あるのがダイセンメイト。金沢2勝、名古屋を経て転入。水沢1400mで2戦とも着外に沈んだが、スーパースプリントへ路線変更して秘めた才能が開花。水沢850m7勝、盛岡ダート1000mで2勝。前走も2着に0秒9差をつけて逃げ切った。
最大課題は未経験の芝。戸惑う可能性が高いが、父がコパノリチャード、母父アドマイヤムーンなら芝を使ってみたくなるのは当然。仮に克服できるようなら、OROターフスプリントでも台風の目になるかもしれない。
マヒナライズは中央未勝利に終わったが、芝で2着5回3着3回、そして4着1回。その後、園田でも2着を繰り返し、デビュー17戦目にしてようやく初勝利を飾った。転入初戦のヴィーナススプリントは7着だったが、ひと叩きしてハーベストカップは予定どおりのステップ。変わり身あれば勝ち負け必至。
ソロフレーズは中央芝4勝から転入。重賞・いしがきマイラーズ、準重賞・桂樹杯、かきつばた賞を制し、最優秀ターフホースに選出された。その後、中央3戦から再転入。入着一杯を繰り返し、初の芝1000mが合わない可能性があるが、盛岡芝実績はメンバー中一番。
ルヴァンは中央芝1800m3勝から南関東を経て転入。2戦大敗を喫したが、3戦目の芝重賞・いしがきマイラーズを快勝。ブービー人気をはねのけて高配当を演出した。OROカップは大敗だったが、元々がムラなタイプ。一発を警戒したい。
◎④アザル
○⑪ケイアイサクソニー
▲⑦ダイセンメイト
△⑩マヒナライズ
△①ソロフレーズ
△⑨ルヴァン
<お奨めの1頭>
8R シュテルンロット
転入初戦をあっさり逃げ切って0秒9差で圧勝。距離が1200mから1400mへ延長されたが、むしろ望むところ。追いかける一手