10月26日、盛岡芝1000mで行われた「第11回OROターフスプリント」を振り返ってみたい。
勝ったのは北海道代表クラヴィスオレア。1000m戦はデビュー戦の門別1勝のみ。芝1000mは未経験だったが、大外から果敢に逃げて2着エムティアンに7馬身差。中央オープンのスピードをマザマザと見せつけた。
昨年はツーエムマイスターで逃げ切りを決め、同レース2連覇を果たした岩本怜騎手。「隣(ツーエムマイスター)に速い馬がいましたから出方次第。2番手も考えていましたが、思った以上にスタートが良くて、二の脚も速かったので逃げの手を取りました。道中の動きも抜群。直線でも手ごたえ十分でしたから、大丈夫だと思いました。(クラヴィスオレアは)力強さがあってスピードもある素晴らしい馬です」
続いて小野望調教師「うちのきゅう舎からデビューしてダートを勝ったので、戻ってきてもこなせると思っていたが、意外と走らない。芝でこその馬だと思って今回のレースを選びました。ジョッキーには食いつきが良かったらハナに行ってもいいと伝えましたが、そのとおりの競馬をしてくれた。正直、1000mは短いかなと思っていましたが、スピードが違いましたからね。直線は安心して観ていました。次走は未定。オーナーとジックリ相談して決めたいと思っています」
戦前は小回り盛岡芝対応、1000m戦、大外など不安材料は少なくなかったが、絶対スピードが違いすぎた。北海道短距離では結果を出せなかったが、芝で動きが一変。改めて芝とダートの違いを実感する一戦となった。
1日メインは「フレンドリーカップ カシオペア賞」(盛岡ダート1600m)。中央1勝クラス、岩手B1級以下の条件交流戦だが、これまでJRA勢が圧倒的優位。今回は順調さを欠くメンバーが多いが、それでも優位は変わらないと見る。
アイノアはブレイム産駒のいわゆる持ち込み馬。デビュー2戦は芝を使って7、4着。3戦目に東京ダート1600mを選び、逃げ切りを決めて快勝。1勝クラスでも4、6、2着と好勝負を演じたが、脚部不安が発生して1年の長期休養。復帰戦も12着に終わり、4ヵ月半の休養をはさんで臨んできた。最大ネックは仕上がり具合だが、ほかに強力なライバルが不在。万全ではないだろうが、地力の高さに期待する。
グッドストームは中央未勝利から南関東へ移籍して3勝マーク。今年5月に再び中央入りを果たし、3戦を消化。5着が最高だが、園田交流戦。クラスがA1級だったことを考えれば逃げて0秒6差なら上々。今度は岩手B1級が相手なら有利は明らか。これまで1400mが最長距離だが、自分の競馬ができれば克服十分。絶好の2番枠も後押しする。
ウインアルバローズはデビュー6戦目、川崎条件交流を逃げ切って未勝利を脱出。以降は頭打ちのレースが続いているが、すんなり先行できると粘りを発揮。その意味で10頭立て、地方交流が合う可能性が高い。
コウジクンは中山ダート1800m1勝。転入戦を快勝し、重賞・やまびこ賞へ臨んで8着。自己条件に戻っても2着3回止まりだが、実績はJRA勢にも引けを取らず、上昇へのきっかけをつかみたい。
グルナピークは3走前、東京ダート1300mを完勝。左回りが合い、4ヵ月ぶりの実戦を叩かれて変わり身を見込める。
サンエイプリンスは今季5勝2着3回。前走の強さも際立っていた。好調度を前面に一発を狙う。
◎⑦アイノア
〇②グッドストーム
▲⑩ウインアルバローズ
△⑤コウジクン
△①グルナピーク
△⑨サンエイプリンス
<お奨めの1頭>
5R ヒューリット
転入初戦を完勝して好発進。走破タイムも優秀だった。同じ1200m戦なら追いかける一手
31日メインは"未来優駿2021"であり、今年新設された"2歳チャンピオンシリーズ"「第48回南部駒賞」(盛岡ダート1600m)。
過去10回は岩手勢6勝、北海道4勝と岩手が若干リードしているが、現在3年連続で北海道所属馬が優勝。昨年、岩手はシーズン終了後、2歳最優秀馬リュウノシンゲンが名乗りをあげたが、ギガキング、シンタロウの後塵を拝して3着。地区レベルの差をマザマザと見せつけられた。
客観的に見て今年は昨年より小粒。2歳馬の全体頭数は大幅に増えたが、全体レベルは本音でいうと決して高くはない。今年、南部駒賞の実施日が昨年より1開催早まった。昨年のギガキングはJBC2歳優駿を使って中11日で南部駒賞へ臨んだが、11月3日に行われるJBC2歳優駿と南部駒賞の両レースを使うのが物理的に困難。
これによって北海道トップグループはJBC2歳優駿へ向かい、南部駒賞は第二グループの参戦。北海道勢も例年に比べると若干落ちる印象だが、それでも北海道有利は動かない。
エイシンシュトルムはデビュー戦はシャルフジンの2着。今回のJBC2歳優駿でも有力視されるであろう実力馬では仕方なしの結果。2戦目から2連勝を飾り、前走・イノセントカップ4着。今回のメンバーでは実績でリードしているのは明らか。その後は南部駒賞へターゲットを絞って調整。輸送の不安はあるが、クリアーできれば首位有望と見る。
ドラゴンゴクウもデビュー戦2着から2連勝。続いてターフチャレンジを2度使って連続3着からJRA・すずらん賞へ挑戦。2番手をキープし、1秒1差6着後、地元に戻ってウィナーズチャレンジを快勝。メンバー最多タイの3勝をマークした。これまで距離経験が1200m以下。1600m延長、左回りがネックだが、管理する堂山芳則調教師は盛岡へ何度も参戦。リンゾウチャネルでジュニアグランプリを制し、3歳時には北海道三冠を制覇。当然だが、勝ちを狙っての参戦は間違いない。
モリデンブラックは新馬戦を勝ちあがり、JRA・クローバー賞8着から芝交流・ジュニアグランプリに参戦。地元の大将格ギャレットの後ろを追走し、直線で一度離されたが、キッチリ交わして快勝。初重賞を獲得した。イメージは芝だが、ダートも問題なし。当然だが、有力馬の一角を形成する。
カクテルライトは門別1000mを5馬身差で逃げ切って圧勝。2着に退けたスティールルージュは後に牝馬重賞・フルールカップを優勝し、レースレベルの高さを証明した。今年8月に岩手入りし、初戦こそ2着だったが、ビギナーズカップ、若駒賞を連勝。いずれも逃げ切りを決め、自慢のスピードが冴え渡った。ただ、現状は逃げ一辺倒の脚質。岩手3戦のように楽な逃げは考えられず、△評価に落ち着く。
クロールキックはデビューから1600m以上を専門に使われて1勝2着3回3着1回。前走5着に敗れ、初めて馬券対象から外れたが、豊富な距離経験を生かす。
レオンボーイはデビュー戦を1秒4差で圧勝。4頭立てだったが、スケールの大きさを見せてくれた。2戦目2着は1400m経験の差が出たもので評価ダウンにはならない。岩手はこちらが切り札になる可能性もある。
◎③エイシンシュトルム
〇⑨ドラゴンゴクウ
▲④モリデンブラック
△⑥カクテルライト
△⑤クロールキック
△⑦レオンボーイ
<お奨めの1頭>
8R ホワイトパス
転入後、圧倒的な強さで3連勝。B2級もあっさり突破した。前走タイムも素晴らしく、追いかける一手
10月24日に行われた3歳牝馬三冠路線の最終戦・重賞『OROオータムティアラ』は6番人気のファイントリックが優勝。同馬自身のみならず鞍上の七夕裕次郎騎手も共に初めての重賞制覇となりました。
人気上位のホワイトブライド、ゴールデンヒーラーらが競り合いながら先行したペースやや速め。それでもそれら先行勢は直線までお互いに譲らず、優勝争いもその先行勢の争いになるかと思われました。しかし道中は中団やや後方で流れをうかがっていたファイントリックが直線最内から一気に突き抜け、先行勢を捉えるどころか5馬身引き離してゴール。上がり3ハロン36秒8という超速の末脚で自身の初タイトルを奪い取りました。
1番人気ゴールデンヒーラーはそれでも2着を死守。先行したホワイトブライドも3着に粘りきり、以下ベニスビーチ、ビルボードクィーンの順で入線。3歳牝馬三冠路線は最後の一冠をファイントリックが獲得して終わりました。
10月26日のメインレースは第8Rです。芝1000mの地方競馬全国交流重賞『OROターフスプリント』。最近はここで何度も書いていますが、今シーズンの盛岡の芝レースのシーズンは次週・11月1日~3日で終了。このOROターフスプリントが今季最後の芝重賞という事になります。
例年、シーズン序盤は長めの距離、中盤はマイル前後、そして終盤は短距離となる芝の重賞・準重賞路線。芝のスプリンターにとってはようやくやってきた活躍の舞台です。メンバーは遠征馬6頭を迎えて14頭立てフルゲート。雨の具合がちょっと心配ですが、どんなレースになるか注目でありまた楽しみな一戦。
さて本命は、(12)ツーエムマイスターです。昨年のこのレースを制している実績馬。今季も7月の芝オープン特別で優勝、前哨戦の前走、ハーベストカップでも2着を守り、9歳秋ながらも芝での強さを保ち続けています。
昨年はそのハーベストカップを勝って挑んでの優勝で、それと比較すると今年は昨年と前提条件が違う・・・という事になりますが、しかし今年のハーベストカップでも先行力はしっかり発揮していました。鞍上も、日曜のOROオータムティアラを勝って勢いに乗る七夕騎手。ここも自らの形で戦ってそれで勝機を掴む。その一点に集中して挑みます。
対抗は遠征馬(5)エムティアン。門別に戻った今季は芝での出走がないものの、2歳時やJRAに移籍した3・4歳時は何度も芝に挑んで勝ち星も挙げています。芝ダ問わない先行力は◎の脅威になるだけでなく優勝候補の一角と見て良いものでしょう。
三番手には(7)ズアーを狙ってみましょう。転入後徐々に内容が良くなってきていますが、JRA時代の戦績を思えば芝1000mで存在感を示した前走こそが本来の走りでしょう。もう一歩前進できれば勝ち負けに加わってきてもおかしくないはず。
以下は最近の芝の馬場傾向を考慮して敢えて外枠から、まず(13)クラヴィスオレアはJRAの3勝クラスで勝ってオープンに上がった経験があるのなら格上と見ても良い存在。1000mが短すぎるという事もないでしょう。(14)ゲンキチハヤブサもJRA3勝クラスで好走。周りの流れが速いほど流れに乗りやすいタイプのようですから、遠征勢が強力というのならむしろ戦いやすいかもしれません。
●8Rの買い目
馬単(12)=(5)、(12)=(7)、(5)=(7)、(12)→(13)、(12)→(14)
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25日メインは盛岡ダート1200mで行われるオープン「スプリント特別」。現在、ダート短距離戦線はキラットダイヤがリード。第2グループの争いとなったが、実は非常に重要なステップ戦となった。
というのは次開催11月7日(日)に重賞「第11回絆カップ」が控えているからだ。2011年、東日本大震災に襲われた年に第1回が行われ、舞台は盛岡ダート1400m。第2回から昨年まで盛岡ダート1600mを舞台に行われてきたが、今年は盛岡ダート1200mが舞台。
岩手競馬の短距離路線はJpnIII・クラスターカップを頂点に短距離重賞が組まれているが、以降は短距離馬の目指すレースがなかった。今年は牝馬重賞・ヴィーナススプリントが9月26日にあったが、牡馬は1600m以上が舞台。その意味で絆カップの距離変更はもろ手をあげて賛成したい。
そのヴィーナススプリントを圧勝したキラットダイヤは絆カップへ直行予定。対する牡馬をメインとした短距離馬は今回のスプリント特別で結果を出したいところ。案の定、好メンバーが顔をそろえた。
コンサートドーレは昨年4月、南関東B1から転入。2連勝で早池峰スーパースプリントを優勝。1000mレコードも更新した。続く岩鷲賞は2着に敗れ、続く1000m戦も2着。直後に高知へ転籍した。
理由は冒頭にも記したとおり岩手に目指す短距離重賞がなかったから。結果4戦1勝の成績を残し、再び岩手入り。2連勝をマークし、早池峰SS連覇を狙ったが、同厩キラットダイヤの3着。その後は休養に入った。今回は4ヵ月半ぶりの実戦だが、大型馬でもテッポーがきくのが強み。絆カップへ向けて白星発進を決める。
スティンライクビーは南関東5戦から再転入し、2連勝マーク。重賞路線に名乗りをあげたが、入着が一杯。それでもクラスターカップでは地方最先着6着に健闘した。
前走は1000m戦を選び、内枠に入って終始追いどおしだったが、直線で力強く抜け出して完勝。春2連勝以来の勝利を飾り、再び上昇ムードに乗った。中央3勝をダート1200mであげているように条件ベスト。逆転2連勝まで十分。
タイセイブラストは今シーズンも快調に飛ばし、すでに5勝。7月、栗駒賞で待望の初重賞を獲得し、前々走は準重賞・すずらん賞を快勝。前走もあっさり逃げ切りを決めた。
これまでの足跡を振り返るとベストは1300m~1400m。マイルだと脚を貯めることができないと終いが甘くなり、1200m以下だと追走に手こずり、岩鷲賞のように届かず3着のケースが多い。その意味で距離が微妙だが、総合力上位は疑いのないところ。
ケイアイテディは中央ダート1200m1勝、南関東900m1勝から名古屋へ移籍。7勝をマークし、金沢900m交流・日本海スプリント3着。3ヵ月の休養を経て岩手入り。初戦を2着にまとめ、まずまずのスタート。今度は1200mが舞台だが、ひとまず守備範囲。
ドラセナは中央芝1800m1勝、ダート1400m1勝から転入。初戦のマイルで豪快なまくりを決め、南部杯9着。ダート1200mは3戦未勝利だが、転入戦の脚があれば通用する。
アテナリは盛岡1200m3勝2着1回3着1回と最も得意とする距離。大外に入ったため評価は下がったが、スンナリ逃げれば持ち味の粘りを発揮。
◎⑨コンサートドーレ
〇⑪スティンライクビー
▲⑥タイセイブラスト
△⑦ケイアイテディ
△③ドラセナ
△⑫アテナリ
<お奨めの1頭>
4R ヒドゥンジェム
1000m適性を生かして前回圧勝。待望の初勝利を飾った。相手強化感もなく2連勝にまい進する
24日メインは昨年新設した牝馬クラシック三冠目「第2回OROオータムティアラ」(盛岡ダート2000m)。留守杯日高賞は水沢1600m、ひまわり賞(オークス)は盛岡ダート1800mで行われ、三冠目は2000mが舞台。
昨年は中央2戦0勝から転入後、JRA交流6着をはさんで地元同士では無敗だったセシールが優勝。ひまわり賞馬マルケイマーヴェルの追撃を封じ、初重賞を手にした。勝因は走るたびに成長を続け、中央時代に芝だったが2000mを経験済みだったこと。まさにセシールには岩手の水が合った。
今年のOROオータムティアラは様相が変わっている。牡馬とも互角以上の戦いを繰り広げてきた強豪がずらり。昨年の優勝タイムは2分6秒2。何度か記したが、昨年は盛岡ダート戦のコースレコードが日本レコードを含めて4つ連発。
今年は雨が降ってもタフな馬場が続いているのでレースレコード更新は難しいかもしれないが、メンバーが非常に豪華。走破タイムにも注目してほしい。
ゴールデンヒーラーはデビュー2連勝を飾り、初芝の若鮎賞2着。リュウノシンゲンに先着し、秋に北海道交流・知床賞、グランダムジャパン・プリンセスカップと交流重賞2連勝。7戦4勝2着2回の成績でシーズンを終え、2歳にして最優秀短距離馬に選出された。
今シーズンの始動は4月、あやめ賞。理由は牡馬クラシック挑戦を構想に描いていたから。アッサリ逃げ切りを決め、2着ベニスビーチに0秒3差。予定どおり牡馬三冠へすべて挑戦。ダイヤモンドカップ2着、東北優駿4着、不来方賞2着。リュウノシンゲン、マツリダスティールにはかなわなかったが、自身のレベルをアピールする結果となった。
間をはさんでリュウノシンゲン不在の不来方賞トライアル・やまびこ賞、岩手版オークス・ひまわり賞と重賞2勝。特にひまわり賞は2着ホワイトブライドに10馬身差をつけ、牝馬同士では能力が違いすぎることを見せつけた。
以上のように断然の実績を誇り、距離2000mも2度経験済み。しかも牝馬同士が相手とくれば、ほぼ死角なしの大本命といっても過言ではない。
ベニスビーチは北海道1勝→笠松4戦2勝2着2回→南関東3戦0勝から今年4月に転入。あやめ賞2着、留守杯日高賞4着、東北優駿5着後、金沢へ移籍。MRO金賞シェナキングの2着、"3歳秋のCS"サラブレッド大賞典を完勝。待望の初重賞を手にした。
この優勝でダービーグランプリの権利を取って参戦したが、全国の壁は厚く10着。そのまま岩手へ残り、OROオータムティアラでゴールデンヒーラーに3度目の戦いを挑む。いずれもゴールデンヒーラーに軍配が上がっているが、兄は6戦無敗で岩手ダービー・ダイヤモンドカップを制したロールボヌール。ここ一番で血を騒がせるか。
ホワイトブライドは昨年1勝のみに終わったが、今年6月から6戦連続で連対を継続。4勝をあげ、2着2回は重賞・ひまわり賞、イーハトーブマイルと中身も文句なし。晩成型が素質開花させ、前走は古馬A級も楽々と突破した。勢いに乗ってひまわり賞の雪辱を果たすか。
ビルボードクィーンは中央ダート1800m1勝2着1回から金沢入り。石川ダービーでタイム差なし2着に惜敗した。高知優駿11着後、園田へトレードされて8、6着だったが、中央1勝を中京でマーク。左回りに反撃の余地がある。
ファイントリックは堅実さが身上。イーハトーブマイル7着、不来方賞7着に凡走したが、前走・A級戦で0秒1差3着。これで上昇ムードに乗った。
◎⑧ゴールデンヒーラー
〇⑤ベニスビーチ
▲④ホワイトブライド
△⑥ビルボードクィーン
△①ファイントリック
<お奨めの1頭>
8R アーバンキッド
OROカップ2着で実力を証明。前走は2着だったが、タイム差なしの僅差。今度こそ首位を奪取する