この土・日は二日連続重賞という事で、土曜日は芝1000mの「OROターフスプリント」をライトマッスルが、日曜は3歳ダート2000mの「不来方賞」をロッソコルサが優勝。それぞれ重賞初制覇となりました。
ライトマッスルもロッソコルサも奇しくも3歳馬、それぞれ別な路線でタイトルを手にしたわけですが、今季スタート時点、あるいは昨季の今頃は「アスペクト一頭のみが抜けている」と見られていた事を思えば、今年の3歳世代は想像以上に役者が揃っているのだなと感じます。
ちなみにロッソコルサを管理する千葉幸喜調教師は昨年のカミノヌヴォーに続いて2年連続の不来方賞制覇ともなりました。そのカミノヌヴォーは不来方賞の後、ダービーGP、桐花賞と制して3歳ながら昨年の年度代表馬に選出。もっと言えば一昨年のロックハンドスターも不来方賞・ダービーGP・桐花賞と制して年度代表馬になりました。ロッソコルサにもそれに続く存在へ・・・の期待がかかります。
いや、ロッソコルサは恐らくはダービーGP後はマイル前後の路線へと進むと思われるのですが、ダービーGPを勝つことができたならハイレベルの交流戦を制したという点で年度代表馬争いの中で大きなアドバンテージになるでしょうし、この後の古馬重賞の結果次第では3歳二冠の実績だけで年度代表馬に・・・という可能性も十分にあるでしょう。
この後の3ヶ月弱の戦いは、そんな争いにも目を向けながら見ていくと非常に面白いと思いますよ。皆さんもこの先の戦いにぜひご注目を。
28日メインは岩手競馬で最も古い歴史を重ねてきた「第44回不来方賞」(盛岡ダート2000m)。不来方とは盛岡城の別称で"こずかた"と読む。
岩手出身の歌人・石川啄木が『不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心』と短歌で詠んだことでも有名。
岩手競馬の最大レースは古馬がみちのく大賞典、2歳は南部駒賞、そして3歳は不来方賞。過去も今も、これからも岩手ホースマンの価値観は変わらない。
昨年、今年と岩手の3歳戦線をリードしてきたのはもちろんアスペクトだった。川崎・全日本2歳優駿でも最内の不利を克服して5着。特に輸送のない盛岡ダートでは無敗を誇り、8連勝で岩手ダービー・ダイヤモンドカップを完勝。ロッソコルサの追撃を封じて完勝したばかりではなく、走破タイム2分7秒3は従来のレースレコードを3秒9も更新。この時の底力に誰もが震えた。
続いて古馬に挑戦し、みちのく大賞典10着、マーキュリーカップ13着と惨敗を喫したが、相手を考えれば仕方なしだった。ただ、新潟のレパードステークス遠征で歯車が狂った印象。馬体重が9キロ減り、イレ込みも激しく15着に凡走。
その後、リフレッシュのために放牧に出たが、2ヶ月の休養を経た復帰戦・A級で見せ場すらなく3秒8差で凡走。いかに先手を取れなかったにせよ、これは負けすぎだった。
今回、2000mの長丁場で逃げの手必至。マイペースに持ち込んで気分良く走れれば巻き返しの余地は十分あり、ひと叩きされた変わり身も見込めるが、やはり強気になれない。
ロッソコルサはJRA新潟・2歳新馬(芝1400m)を快勝した逸材。今年4月に岩手へ転入し、スプリングカップ、七時雨賞と3歳特別を2連勝。一気にスターダムに駆け上ったが、ダイヤモンドCでアスペクトに完敗。
以降はオパールカップ2着、桂樹杯3着、青藍賞2着と足踏みを続けているが、青藍賞後は不来方賞に絞って調整。万全の態勢で初重賞制覇に自信満々で登場する。
ただ、死角がない訳ではない。どうやら隣に馬がいると待つクセがあり、これが最大ネック。メンバー構成、順調度などから負けられない一戦だが、譲ってしまわないか否か。絶対と言い切れないのはその点に尽き、村上忍騎手の腕に期待するしかない。
ユウキタカラオーは中央未勝利ながらダート1800mをメインに使われて4着1回5着3回。持ち賞金の関係でB2へ編入したが、あっさり3連勝をマーク。昇級戦の前走・白神賞でも2着を死守し、依然底を見せていない。ユウキタカラオーの持ち味はいい脚を長く使えること。2000mが舞台ならきっちり連対を確保してくれそうだ。
強いメンバーと戦ってきたのはラブミーアゴー。北海道1勝、南関東1勝からの転入だが、グランダムジャパン3歳シーズンを使われて水沢・留守杯日高賞4着、園田・のじぎく賞3着。関東オークス(10着)で2100mの距離を経験したのも心強い。
トーホクアローは近走、頭打ちだが、ダイヤモンドCで3着。ジリ脚タイプで距離は歓迎。金杯優勝・ファイトホーマーは期待したほどの成長ないが、前走2着で上昇ムードは明らかだ。
◎(12)ロッソコルサ
○(11)ユウキタカラオー
▲(7)ラブミーアゴー
△(5)アスペクト
△(9)トーホクアロー
△(6)ファイトホーマー
<お奨めの1頭>
7R エステーファイター
中央3戦とも凡走して岩手へ再転入。C2編入は格付けにも恵まれたが、それにしても強さがケタ違いだった。ここもいただき
先週22日(月)に行われた"未来優駿2012"第一弾「第32回若駒賞」はロックハンドパワーが完勝。2着にはヴェルシュナイダーが入り、開業1年目の菅原勲厩舎がワン・ツーフィニッシュを決めた。
レース後、菅原勲調教師は勝った喜びより安堵の方が大きかった。「ロックハンドパワーは決して順調ではなかったので心配な面があったが、思った以上に強いレースをしてくれた。ヴェルシュナイダーはスタートではさまれたのが痛かったが、それでも2着確保した。2頭とも頑張ってくれました」
ロックハンドパワーの次走は南部駒賞。その結果次第で12月、川崎競馬場で行われる「全日本2歳優駿」へ挑戦してみたいという。今後も動向に注目してほしい。
27日(土)メインは盛岡芝1000mが舞台「第2回OROターフスプリント」。短距離のスペシャリストがズラリとそろい、フルゲート12頭でスピードキングの座を争う。興味深いのは第1回に出走した馬が今回は1頭もいないこと。わずか1年の間に勢力図がガラリと変わってしまった。
主軸はダイワマックワン。中央5勝オープンから名古屋を経て転入。当初は勝ち切れないレースが続いたが、ここ4戦で2勝をマーク。前後に芝・桂樹杯4着、OROカップ8着に敗れ、一見すると芝で精彩を欠いている印象を与えるが、自らハイペースを形成して末が甘くなったと解釈。
それともう一つはダート2勝はいずれも逃げ切り勝ち。現状は逃げがベストのようで、今回は願ってもない内枠2番。中央5勝すべて芝1200mで上げ、勝つ条件がそろったと判断していいだろう。
逆転筆頭はヒカルジョディー。前走・OROカップが初の盛岡芝。中央4勝がすべて芝だったが、1周1400mの小回りで「外に張っていた」と小林騎手。しかし今回はワンターンで済む1000m戦。距離適性、あとはコーナー2つなら自慢の切れをさく裂させる。
スーパーワシントンも中央短距離のスペシャリストで鳴らした。岩手転入後、8戦1勝と年齢から来る迫力が薄れた感もあるが、クラスターカップで岩手最先着6着に入線したように、こちらも1000mは歓迎のはず。
ライトマッスルは3歳特別・ウイナーカップ、そして前々走は芝1000mのB1特別・ハーベストカップを快勝。精神面での成長が目を引く。まだB1条件馬で相手は一気に強化されたが、56キロのハンデを生かして大勢逆転をもくろむ。
あとは桂樹杯を快勝、OROカップでも切れる脚で3着に突っ込んだコパノマユチャン、短距離が合うシーグランディも軽視できない。
◎(2)ダイワマックワン
○(6)ヒカルジョディー
▲(3)スーパーワシントン
△(12)ライトマッスル
△(8)コパノマユチャン
△(1)シーグランディ
<お奨めの1頭>
7R ヤマニンパニエ
転入2戦2着に終わったが、相手も強すぎた。しかし前走はそのうっ憤を晴らして0秒7差で圧勝。これで弾みがついた
南部杯が終わってひと息ついた感がありますが、岩手競馬はこれからが真っ盛りなんですよ!
なにせ、このあと来年1月14日のシーズン終了週まで、なんと13週連続で重賞レースを開催!来週の10月27日・28日、11月24日・25日などは二日連続重賞開催など盛りだくさんです。
いや、予想する方としてはなかなかたいへんなんですけど、大レース連続はやっぱり楽しいですからね。皆さんにもぜひお楽しみいただきたいもの。
昔は・・・って言うと年寄り臭くなりますが、OROパークが出来る頃の岩手競馬は南部杯が終わると2歳の南部駒賞・東北サラ3歳ステークス、明け3歳になってからの金杯、3歳のダービーグランプリ、古馬の北上川大賞典と桐花賞くらいしか重賞がなかったんですよね。あとはここにアラブの重賞が4つほど。ああ、アラブのレースを入れると結構多いか。
当時の年末年始開催ではアラブの総決算・紫桐杯、サラの総決算・桐花賞、そして明け3歳の金杯が連続して行われていて、年末年始は慌ただしくも楽しかったものです。
近年は世代別・距離別に路線が分かれてどこが「総決算」という位置づけも薄れてきた感じですが、逆に見ればいろいろな楽しみかができるという事。岩手競馬もこの後13週にわたって様々なドラマが待っているのだと思います。
先週14日メイン「区界賞」のテシオブログで盛岡芝は高配当の宝庫と記したが、案の定、大波乱となった。
1着・センリライズ(▲ 5番人気)→2着・プレミアムリーチ(... 6番人気)→3着・ブライティアターフ(△ 3番人気)と入線。馬複14400円、馬単22860円、3連単20770円。そして3連単に到っては222840円と超万馬券が飛び出した。
これを前提に21日メイン「もみじ賞」に臨んでほしい。舞台は芝1000m。人気はドウデス、ソヴリンが集めると思うが、判断はみなさんにお任せする。予想サイドからするとこの本線は動かし難い。
ソヴリンの中央1勝はダート1200m戦。岩手転入後もマイルで1勝あるが、短距離は芝ダート合わせて3戦2勝3着1回。5走前のB2芝1000m・姫神賞、ダート1200m戦を快勝。そして前走はオープン馬相手に格下から強気挑戦だったが、ギシアラバストロ、ダンディシャークに次ぐ3着に健闘した。
ギシアラバストロ、ダンディシャークは短距離重賞でも勝ち負けできる実力馬。ソヴリンの短距離適性がいかに高いかが証明された。前記・姫神賞でも58秒5の好タイムをマーク。展開的にはドウデスが有利だが、ソヴリンのマクリ脚も強烈。早め追走から直線抜け出しを決める。
ドウデスは中央未勝利だが、東京芝1400mで2着1回。ウイリアムズを鞍上に0秒1差に粘った。転入初戦の芝1700mは自らハイペースを形成して3着に敗れたが、続くダート1600mを見事逃げ切り。弾みつけてもみじ賞へと駒を進めた。
しかもラッキーなことに今回は競りかける馬が不在。超ハイペースになることはほぼ考えられず、スイスイ一人旅の可能性も非常に高い。伊藤和厩舎のドンブリが本線。
コロニアルペガサスは全国を股にかけて走り続けてきたが、今シーズンは盛岡芝1000mのみに限定。FM岩手杯5着(0秒5差)だったが、2戦目・姫神賞2着(0秒2差)。そして前々走・ハーベストカップは0秒2差3着。FM岩手杯、ハーベストCはB1条件で今回はB2。以上の結果から今度は首位を奪取して何ら不思議はない。
レディージャスミンは盛岡芝<3.3.2.5>とメンバー中一番の芝実績を誇る。前走・オクトーバーカップでも2番人気に支持されたが、大外12番がこたえて5着。今回も運に恵まれず12番枠に入ったが、レース巧者ぶりには定評があり、うまく流れに乗れれば上位争いに参加できる。
コスモゴウテンは岩手3戦とも着外だったが、中央時代は芝1200mで3、5着。適性を前面に、反撃の余地は十分。あとは芝1000mで58秒8の持ちタイムがあるバトルドミナも軽視できない。
◎(8)ソヴリン
○(6)ドウデス
▲(9)コロニアルペガサス
△(12)レディージャスミン
△(5)コスモゴウテン
△(11)バトルドミナ
<お奨めの1頭>
5R ヤマニンノワゼット
転入初戦は出遅れが致命傷で2着に敗れたが、2戦目から圧勝で連勝。距離1400mへ延長されたが、中央時代は2000m前後が主戦場。むしろ望むところ