今回は競馬ネタだけども競馬場を離れたお話を。
27日の木曜日、岩手県北部の軽米町にある晴山小・中学校を内田利雄騎手が訪問しました。
内田騎手は小学校時代の一時期を軽米町で過ごした事があり、今でも年に一二度は軽米にやってきてかつての級友たちと旧交を温めるとか。09年には内田騎手が在学した同町の観音林小で"臨時授業"を行った事もあります。その観音林小が統合されて生まれたのが晴山小。当然観音林小時代の知己も移ってきているわけで、そんな縁もあって今回の訪問が実現したとの事。
30日メインは盛岡1400mを舞台に行われるB1特別「ひいらぎ賞」、12頭立て。主軸はラブルビー。実質オープンレベルのメンバーがそろったが、距離を味方にB1も突破すると踏んだ。
ラブルビーは中央から再転入後、最下級C2からスタート。かつて在籍したときに1勝2着2回の実績を残し、初戦から注目だったが、なんと強いこと強いこと。ほぼワンサイドで9連勝を飾り、今では1800mも克服してB2卒業。勢いはとどまることを知らない。
ただ不安点がない訳ではない。これまで一つ一つ課題をクリアーしてきたが、先ほども記したように今回はA級と言ってもおかしくない面々。決して楽な競馬はできないだろうし、先輩たちがてぐすねを引いて待っている印象。
まず逆転一番手にあげたオウシュウサンクスは3歳重賞路線を歩んできた実力馬。今年はオープンへ殴り込みをかけ、当初は後半開催の重賞・北上川大賞典が最大目標に据えていた。
それだけの能力を秘めているし、今季10戦すべて1番人気がその裏付けだが、取りこぼしが多かった。ここ2戦も2、3着に敗れ、なかなか軌道に乗れないのが歯がゆいばかりだ。
何故、取りこぼしが多いのか。理由ははっきりしている。自分の型に持ち込むと抜群の破壊力を披露する半面、相手のペースになると脆さをだすからだ。JRA相手に負けているのもそれが理由。全能力を出し切れないで終わっている感じだった。
ならば1400mの忙しい競馬が合わないのではと思うかもしれないが、以外に適性がある。要は自分の型に持ち込むことができるか、できないか。それに尽きる。
アドマイヤサムライも順調なシーズン入りを果たしたかに見えたが、自慢の切れが不発。折り合いを欠いて暴走したり、途中でレースを投げたりする連続だったが、6戦目に待望の白星。これで軌道に乗ったかと思ったが、2着に敗れた後も8、3着。
乗っている村上忍騎手「いきなり掛かったり、手応えがいいと思ったら意外に伸びなかったりして常識にかからない」と語っていたのがアドマイヤサムライの特徴だ。
ただ前走は1800mが長すぎたが、それでも3着を確保し調子落ちはまったくない。今回は折り合いを気にしなくていい1400mは絶好の条件。中間の追い切りでも11秒台を連発し、首位を奪回して不思議はない。
ゲイリークインは今季、馬券対象から外れたのは2度のみ。一度目は1000m戦の忙しい競馬の反動が出たときと前走、1800mの距離が長すぎたためと敗因がはっきり。それ以外の10戦すべて3着以上と抜群の安定感。こちらも1400mは望むところ。
サクラアーバンは3着最高と詰めの甘さが目につくが、相手も強かったのも事実。前走からB1へ降格し、さっそく3着。1400m戦でハイペース必至のメンバーだけにしまい確かな脚が生きてくる。
◎(7)ラブルビー
○(9)オウシュウサンクス
▲(3)アドマイヤサムライ
△(8)ゲイリークイン
△(11)サクラアーバン
3連単は7、9の1、2着折り返しから3、8、10流し
馬複は 7-9、3-7、7-8、7-11
<お奨めの1頭>
1R フェルマグリオ
前走、クビ差の接戦を制し、勝負強さも証明。自身の連勝を4に伸ばすのみ。相手はホウショウキング。4-7一点
29日メインは2歳馬による岩手、北海道の交流特別「知床賞」(盛岡ダート1400m)。この交流戦は2008年からスタートし、門別開催は「岩手山特別」、岩手開催の場合は「知床賞」の名称で実施。過去3回は北海道2勝、岩手1勝。それぞれ地元開催の馬が優勝している。
今回は岩手開催で輸送のない地元有利は動かし難い。やはり2歳馬に長距離輸送は相当こたえ、よほど精神的にタフでないと大きなハンデを背負うことになる。何度となく輸送で失敗したというコメントを聞いてきたことか。
しかも今年の岩手勢はアスペクトというケタ違いの馬がいる。通算成績9戦5勝。4度の敗戦は適性のない芝で3回。母アプローズフラワーもダートでは無類の強さを誇っていたが、条件も悪かったが芝はまったくダメだった。さらに追い討ちをかけるのが父ティンバーカントリー。改めて血統の不思議さを再認識させられた。
あと1回の敗戦は札幌遠征・2歳500万下。ダート1000mも確かに合わなかったが、輸送で激しくイレ込んでレース前に終わっていたと担当厩務員。先ほど2歳馬の輸送に触れたが、アスペクトも例外ではなかった。
その分と言うわけでもないが、自分の庭・盛岡ダートは5戦すべてワンサイドで圧勝。前走・若駒賞でも同厩エスプレッソを子供扱いにして10馬身差の大差でブッチ切り、2歳王者の座を確定させたばかり。たとえ北海道勢が遠征してきても軽く一蹴するに違いない。
相手は若駒賞でアスペクトに1秒6差もつけられたが、2着確保エスプレッソ。この同厩ラインは、かなり強力と見ていい。若駒賞で勝ちに行ったのも離された理由。レース前は両馬とも盛岡ダート戦で無敗を誇り、鞍上・斎藤騎手は4コーナーでアスペクトを捕らえにかかり、それで脚を使ったのが大きかった。
おそらく今回は無理に競りかけることもないだろうから、2着は譲れないところ。現時点ではともかく、将来性を考えればエスプレッソも相当レベルと解釈している。斎藤騎手「追い出すと重心を低くし、その時のスピードは本当にすばらしい」と絶賛する。
ファイトホーマーは昨年の最優秀2歳馬ベストマイヒーローの弟で、デビュー前から注目を集めていた1頭。ただ実馬を見て驚いた。兄と体型がまったく違った。ベストマイヒーローは胸前と後肢の肉付きが見事。それがスピードの源だと思うが、一方でバランスは決していい訳ではない。
それに対しファイトホーマーは流線型の形をしてタイプはまったく別。父がサクラプレジデントからタイキシャトルに替わってこうも違うのかとビックリ。それは菅原勲騎手も同じ意見だった。
レースにもそれが現れ、ベストマイヒーローは天性のスピードが身上。しかしファイトホーマーはデビュー戦で出遅れながら、いい脚を長く使って快勝。「距離が伸びれば伸びた方がいい。まだ体は弱いが、将来性はありそう」と菅原勲騎手。
2戦目は順調さを欠いた上、アスペクトが相手で2秒4も離されたが、2着を確保した点は評価に値する。今回は乗り込みも万全で、昇り目ということで言えばファイトホーマーが一番。どのようなレースをするのか、ちょっと楽しみだ。
北海道勢ではリュウノスピリットが筆頭か。4戦未勝利だが、2着2回3着1回。詰めの甘さに課題を抱えているが、層の厚い北海道でこの成績はマズマズの部類。門別1200m1分14秒9も遠征4頭の内でも一番。輸送さえクリアーできれば身上の堅実さを発揮するだろう。
あと侮れないのがイルドフランス。デビュー2戦は仕上がり途上で4、5着止まりだったが、1ヵ月半の間隔を開けて臨んだ前走・芝1600m戦を快勝。ひと皮むけたレースを披露した。陣営は芝よりもダートが合うと見ており、今後につながる競馬を期待したい。
◎(7)アスペクト
○(2)エスプレッソ
▲(6)ファイトホーマー
△(9)リュウノスピリット
△(3)イルドフランス
3連単は7を1着固定に2、6、9を2着。3着に3、11
馬複は 2-7、6-7、7-9、3-7
<お奨めの1頭>
6R クイーンザリッチ
前走はフェルマグリオが圧倒的な1番人気だったが、逃げてクビ差まで粘って見せ場十分。強豪抜けた今回は首位を譲れない
先週の若駒賞を勝ったアスペクト。強かったですね。他でも触れたのですが勝ち時計1分38秒8は盛岡ダートマイルで行われた2歳重賞(若駒賞・南部駒賞)の中でのレコードタイム。"旧レコード"は奇しくもアスペクトの母・アプローズフラワーが96年の南部駒賞で叩き出した1分39秒1で、15年の時を超えて母の記録を息子が破ったという非常に競馬らしいドラマともなりました。
お母さんのアプローズフラワーはちょうどメイセイオペラと同じ世代の馬でした。しかし2歳時はまだあまり目立たなかったオペラに対しアプローズフラワーの方は早くから活躍。当時は活躍した2歳馬が3歳に編入される制度があって、よほどの2歳の強豪でもなかなか3歳馬に勝てずに終わるのが通例なんですが、この馬は2回も突破、それも圧勝で勝ち抜いて見せて、凄い馬だなあと思ったものでした。
3歳時はやや陰りを見せ、急激に台頭してきたメイセイオペラの陰に隠れる形になってしまいましたが、2歳時のダートでの能力は間違いなく全国レベル上位のものがあったと、今でも信じています。
現時点のアスペクトはすでに、母の2歳時の盛岡ダート1400m・ダート1600mのタイムを上回る時計で走っています。額面通りに比較するなら「母を超えている」と言う事もできるでしょう。
この後は南部駒賞、そして順調に進めば全日本2歳優駿への挑戦も視界に入っているはず。母が成し得なかった夢、半兄アテストが僅かに及ばなかった夢をかなえて欲しいと、見ている方もちょっと力が入ってしまいますね。(※この部分の表記は新年齢表記にしております)
対抗は(7)ガッテンモントレー。古馬牝馬の重賞でも好走できるくらい力を付けていますし、2000mの経験が豊富なのも有利な材料。前走の敗因は、本番直前の間隔を狭めるか、逆に実戦のあとの間隔を詰めて本番前に余裕を採るか?その二択で後者を選んだのが、やはり重賞の疲れが残っていたのではないか・・・というのが陣営の話。調整はここに向けてあくまで順調との事でした。2000mは実際ちょっと長いと思いますが、それも3歳同士なら。
前走が強烈だった(8)カミノヌヴォーは三番手まで。前走が非常に強い内容だったのは認めるとしても、折り合いに難がないとは言えない馬がキャリア初の2000m挑戦、それも二度の坂越えがある盛岡コース。もちろんこの馬も昨年はベストマイヒーロー・シーグランディと並び2歳3強と言われていた馬、勝っておかしくない能力を持つのは間違いないですが、怖い材料も多くて本命とは言いづらいですね。
以下、立ち回り堅実(1)ヤマトスバルと先行(6)アンダースポットを押さえ。どちらかと言えば(1)を厚めに狙っておきたいところです。
●10Rの買い目
馬単(10)=(7)、(10)=(8)、(10)→(1)、(10)→(6)
芝1000m特別の評判がすばらしい。ただ単に普段のレースに比べて新鮮に映るのは間違いない。しかし、それ以上にレースそのものが迫力満点、スピード満点だからだと断言できる。
極めつけは7月9日、B1・FM岩手杯だった。優勝ビュレットライナーから9着まで0秒3差でゴール。クビ、ハナ、そして同着という大接戦となり、思わず我々も熱くなった。
芝1000m戦は極端に言えば1開催に1レースあってもいい。もっと欲を言えばオープン特別があった方が今回の「第1回OROターフスプリント」が盛り上がったに違いない。来年こそ、さらに進化したレース体系を作ってほしい。切に願っている。
さて本題。オープン重賞らしくA級在籍馬が4頭、B級在籍馬が4頭、そしてC1、C2からもエントリーし、すべてのクラスから挑戦。まさにオールカマーの様相を呈し俄然、興味倍増の一戦となった。
「OROターフスプリント」は短距離1000mだけではなく、芝が大きなポイント。おそらくダートならA級在籍馬が有利だろうが、芝は適性なくして克服できない。
盛岡芝1000m実績を重視するか、格を重視するかで迷ったが、最終決断は格重視。リリーレインボーを本命にした。中央3勝はダート1000m2勝、1150mで1勝。その1000m戦2勝はいずれも中京コース。左回りでマークした点も心強い。
あとは芝適性に尽きるが、中央時代に芝1200mを2度経験済み。結果は1秒3差5着、0秒8差7着と決して適性がない訳ではなかった。父がマイネルラヴなら盛岡芝は大歓迎のはずだし、総合力がすべてをカバーするに違いない。
逆転は盛岡芝1000m実績からディーエスファジー、ビュレットライナー。ディーエスファジーはハーベストC(B1)、神無月賞(B2)と芝1000m特別を2連勝中。
昨年、ウメノレイメイがオープン特別・きんもくせい賞を制したときがB1の身分。A級馬を蹴散らしたことを考えれば主役を演じて当然だろう。何よりも勢いがある。
ビュレットライナーも<2.2.0.1>と抜群の適性を誇る。ハーベストCはディーエスファジーの0秒1差2着に敗れたが、早め先頭に立ったのも痛かった。持ちタイム58秒5はメンバー最速で、陣営もここに照準をピタリと合わせて調整を進めてきた。
ラブミープラチナは盛岡芝で秘めた素質が開花。オープン重賞でも勝ち負けに持ち込み、OROカップ0秒2差4着、桂樹杯0秒1差4着。前走・神無月賞はディーエスファジーに完敗0秒3差2着だったが、初の芝1000mにとまどったのが敗因。条件2度目ならアッサリあっても不思議はない。
リュウノツバサも軽視できない。区界賞はC1特別だったが、上がり35秒3の脚を駆使して2着。元々が折り合いに課題があるタイプで1000m戦はむしろ歓迎。大駆けがあるかもしれない。
◎(5)リリーレインボー
○(4)ディーエスファジー
▲(7)ビュレットライナー
△(9)ラブミープラチナ
△(1)リュウノツバサ
3連単は5、4の2頭軸から2着7、9。3着1、10のフォーメーション(24点)
馬複は 4-5、5-7、5-9、1-5
<お奨めの1頭>
8R ホッコーハルマ
転入後、余裕の逃げ切りを決めて2連勝。C1昇級だが、能力の違いで連勝を伸ばす