秋は駆け足でやってくるといいますが、今年の秋は特にいい脚を持っているようです。つい1ヶ月前までは汗をかきながら「いつまで夏なんだよ!」と言っていたような気がするのですが、最近では夕方、長袖を重ね着していても寒いぐらい。朝の最低気温は5度前後という日が多くなり、ハクチョウの第一陣も渡ってきているそうです。氷点下の世界ももうすぐ目の前という感じですね。
街中よりやや高いところにあるオーロパークでは、場内や周辺の山々の樹木が紅葉を始めました。パドックを周回する馬たちを走路の方から撮影すると、背景には色づいた木々が入ります。またファンエリアからは見えませんが、レース後の馬が鞍を外す下馬所には、夕陽が差し込んで木の葉(シダレカツラかな?)が逆光に輝きとても美しいんですよ。写真に季節感が出て、どちらも私の好きな光景です。
(左:サイレントグリーン 右:マイネピルエット/区界賞優勝時)
ところでオーロ本場に行かれる方は、パドック脇の紅葉した木の一本に赤い実がたくさん付いているのをご覧になっていますでしょうか?この時期、赤い実がなる木はナンテンやナナカマドなどいろいろありますが、このパドック脇の木には「カンボク」という名札が取り付けられています。カンボク?カンボクってあまり高く伸びない雑木をひっくるめて『灌木』って言うんじゃないの??と思って調べてみたら、これは灌木ではなく『肝木』というスイカズラ科の木なのだそうです。なんでも止血剤や目薬の原料になったり、殺菌効果があって爪楊枝を作ったりするので、「肝要な木」というのが名の由来だとか。ふ〜ん、知らなかった。。。そういえば6月ごろにはアジサイに似た花が咲いていましたっけ。
盛岡開催も残すところあと1開催。ラストスパートは今年もまわりの山々が真っ赤に染まってレースに彩りを添えてくれるでしょう。
(文/写真・佐藤 到)
10月14日 第1回パンジー賞(3歳以上オープン 盛岡芝2400m)
(写真・佐藤到)
1着 サイレントグリーン
マルタカキラリーが先手を取ってスローに落とす。サイレントエクセルは後方3番手からの競馬。「今年はズブくなって前に行ける脚がなくなった。ただスローで掛かり気味にもなったので馬群の中に入れた」(板垣騎手)。一周目スタンド前、マイネルウェルスがスローの流れを嫌って先頭に立ったが、隊列はほとんど変わらない。しかしラスト1000mから徐々にピッチが上がり、サイレントグリーンも遅れないように少しずつ仕掛けたが、周囲が壁になってなかなか動けない。
3コーナーで馬群が一気に固まり、サイレントグリーンは外に持ち出そうとするが、その外ジョリーズジョーに進路を塞がれて4コーナーでは最後方まで下がってしまう(審議対象)。これでサイレントグリーンも一巻の終わりかと誰もが思ったが、大外に進路を変更するや一気に伸びてくる。ゴール前では横一線のゴールとなったが、サイレントグリーンが寸前でキッチリ交わして1着。あまりにもドラマチックな幕切れに周囲はあ然とし、改めてサイレントグリーンの強さを浮き彫りにさせる一戦となった。
「仕掛けどころではさまれたので自分も正直、ないかと。それに一完歩足りないと思ったが、よく届いてくれた」と板垣騎手。4コーナーで大きく不利を受けながら、良く態勢を立て直したものだと、つくづく感心。これで次走10月28日、きんもくせい賞(地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)へも視界が非常に明るくなった。
2着 マツリダワルツ
サイレントグリーンをマークする形でレースを進め、3コーナーからスパート。サイレントグリーンが不利を受けたのを横目に自分の競馬ができたが、最後は決め手とキャリアの差が出た格好。
前走、3歳特別・サファイア賞(芝2400m)を快勝後、このレースに臨む。ただその時の走破タイムが2分34秒4で、古馬一線級に入ると見劣って通用するか若干不安もあった。しかし、今回はそれより遅い2分35秒6で決着したことで流れについていけたことも大きかったが、上がり勝負をしのいでのクビ差2着は価値がある。一戦ごとに確実に力をつけている。
3着 コスモダーク
6番手インの経済コースを進み、道中はまったく不利を受けず直線はまよわず内を選んでインを鋭く強襲。ゴール前まで勝敗がもつれ込んだが、惜しくも写真判定の末に3着に敗れた。やはり、せきれい賞でサイレントグリーンの2着はダテではなかった。
4着 ハルサンヒコ
2歳以来、久々に芝レースへ登場。最後方待機策を採り、直線は最内を通って伸びてきたが、あと一押しが足りなかった。もっとペースが速ければと惜しまれるが、芝巧者がズラリとそろった今回のメンバーで僅差4着なら上々。
5着 マルタカキラリー
OROカップは後方のままに終始したが、その反省をいかしたのだろう積極的に逃げの手に出る。1周目スタンド前でマイネルウェルスに交わされたのは予定外だったろうが、あわてず2番手に控える。それが直線の粘りに繋がった。
南部杯も終わり、秋の気配が日増しに濃くなっていくのを感じる岩手競馬ですが、この後もレース関係のイベントが目白押しです。
まず来週からは「スーパージョッキーズトライアル」が開幕。岩手からは小林俊彦騎手が参加しますが、WSJS切符を手にできるか注目。
そして来月早々の11月5日には「レディースジョッキーズシリーズ2007」の第1ステージが水沢競馬場で行われます。昨年3位だった皆川麻由美騎手、今年は地元スタートでどんな成績を残すでしょうか。
11月12日には「オッズパークグランプリ」が開催されます。1着賞金1000万円の興味もさることながら、このレースにはアラブ馬も出場可能という事。かつてのアラブ王国岩手でサラ対アラの激闘を見る事ができるかも・・・。
また、岩手のTOP2ジョッキー・菅原勲騎手と小林俊彦騎手はそれぞれ3500勝・3000勝へのカウントダウンが始まっています。少なくとも今シーズン中、早ければ11月中にも揃って達成となりそうで、この瞬間も見逃せないですね。
対抗は3歳牝馬のトーセンサンクスをとります。JRA所属時の実績からもやはり芝が合う馬。距離短縮も好材料で、ちょっと外枠なのが気になりますが、先手をとって押し切るシーンもあり得ます。
もう一頭も3歳馬、カネショウエリートを。芝は上手にこなすけれど本物の芝馬ではないので前走のような敗戦は仕方ない。この馬にしても距離短縮で好きなように動けるはずで、うまく流れを掴んでしまえば優勝圏。
割って入る差し馬勢とすればまずプリンセスワールド。芝で内枠に入ると揉まれ込んだまま出てこれないので、外枠の方がむしろ狙いやすいです。混戦になればなるほど一発のチャンスが増す馬だけに要警戒。ワイルドシャトーは盛岡ダートは苦手でも芝は別。A2にあがってきたばかりですが芝で切れる末脚には注意が必要です。
買い目は2枠2番クルセイズ、7枠7番トーセンサンクス、8枠8番カネショウエリートの3頭BOXで。5番6番は連のヒモとして。小頭数だし絞ってきっちり当てにいきましょう。
◇お奨めこの一頭
6R:レオヤマト
昇級戦になるがまだまだ見劣らない。相手は1、4、6の3頭から。
14日(日)メイン10レースはオープン馬による芝2400m戦「第1回パンジー賞」、9頭立て。10月28日に同じ条件下で実施する地方競馬全国交流・第1回きんもくせい賞があり、このレースで岩手代表がほぼ決定する。
(せきれい賞ゴール 1着・サイレントグリーン 写真・佐藤到)
カギを握るのは芝適性プラス、距離適性。この両方を兼ね備えているのがサイレントグリーンだ。盛岡芝2400m<6.1.1.0>。04年のかきつばた賞、重賞・せきれい賞を皮切りに両レースを3度制覇。昨年はジェーピーバトルの台頭と自身の体調もひと息だったため3、2着に終わったが、他はすべて芝2400m戦を勝っている。逆に忙しい競馬となる芝1600m、芝1700mが未勝利。つまり、盛岡芝2400mのスペシャリストがサイレントグリーンなのである。
今季もかきつばた賞を2着マルタカキラリーに6馬身差、またせきれい賞はコスモダークに2馬身半差と完勝。過去データからはほとんど死角は見当たらない。このパンジー賞はサイレントグリーンのために新設されたといっても過言ではない。
軸は確定。相手捜しが焦点となるが、コスモダークが一番手にふさわしい。4走前、川崎代表で重賞・せきれい賞に参戦。当時、南関東A2以下で凡走を繰り返していたため、8番人気と低評価だったが、中団キープから直線グイグイ伸びて2着を確保。高配当の主役を演じた。
そのレース内容を見て盛岡芝が合うと判断。ちょうど南関東では頭打ちの印象で、9月に岩手転入した。初戦はジュリアの2着に食い込み、前回は後方から差を詰めて5着。ダートでもマズマズの成績を残し、今度は待ちに待った「芝」レースを迎えた。
マツリダワルツは3歳重賞・不来方賞で2着など牝馬ながら世代?2の存在。ダービーグランプリはセイントセーリング相手に積極的なレース運びを見せて勝ちに行ったが、その分、終いが甘くなって4着。しかし敗れて尚強しをアピールし、前回の芝2400mの3歳特別・サファイア賞では貫禄の違いを見せつけて完勝した。
元々、芝適性の高さには定評があったが、一つだけ気になるところは走破タイム2分34秒4が平凡。かきつばた賞の優勝タイムが2分30秒5、せきれい賞2分32秒6。どちらもサイレントグリーンのタイムだが、せきれい賞と比較しても1・8秒も違うことになる。競馬は生き物ゆえタイムだけでは語れないが、マツリダワルツがどこまで自己タイムを短縮できるか。それを考えて▲評価とした。
ハルサンヒコは激しい雨が降る中で行われたダービーグランプリを圧勝。悲願の重賞タイトルをついに手中にした。ラスト1000mからペースが一気に速くなり、いかにもハルサンヒコ向きの流れになったとは言え、4馬身差は見事。弾みがついたのは誰の目にも明らかだ。芝は認定競走(1000m)を2度使って10、5着と実績はないが、当時と今では馬がまったく別。加えてゆったりと流れる2400mも合い、芝実績を度外視で狙ってみたくなる。
他では前半の芝2400mで活躍したマルタカキラリー、中央3勝がすべて2000m以上でマークのガッサンカーネギーも押さえたいところだ。
◎ ?サイレントグリーン
○ ?コスモダーク
▲ ?マツリダワルツ
△ ?ハルサンヒコ
△ ?マルタカキラリー
△ ?ガッサンカーネギー
3連単は7を1着固定に1、6、4のフォーメーション。2、3はあくまでも押さえ
馬複は1−7、6−7、4−7、2−7
<お奨めの1頭>
8レース ユーセイキャロル
特別・姫神賞を含めて目下3連勝中。昇級戦となるが、前回タイムが抜けている。
13日(土)メインはB3級馬による芝1700m戦「第8回区界(くざかい)特別」、9頭立て。勝敗の分かれ目は芝適性で、盛岡芝の過去実績が大きくモノを言うだろう。
主軸にマイネピルエットを指名。今シーズンの2勝はいずれも芝でマークし、B3平場戦で1勝、そして前走、芝2400mで行われたハーベストカップ。これはB2条件特別だったが、格下から挑戦。B2牡馬の負担重量が56キロ、マイネピルエットは牝馬で1キロ軽減されて53キロで出走できたことも大きかったが、後方待機策から3コーナーからスパート。4コーナーでは早くも3番手まで進出して直線鮮やかに抜け出した。
(ハーベストCゴール 1着マイネピルエット 写真・佐藤到)
今回は自己条件ということで54キロと1キロ負担は増えたが、メンバーは当然だが楽になっている。ダートでは詰めに課題を残しているが、得意の芝なら信頼度は高い。
逆転筆頭はタイキランデヴー。中央3戦未勝利から今年3月に転入。最下級スタートからスタートし、初戦は久々が響いて4着に敗れたものの以降3連勝をマーク。その後は一進一退を繰り返しているが、盛岡芝は2戦2勝とパーフェクト。6月の芝1600m戦では1分37秒3の好タイムを叩き出している。ネックはメンバー強化と初の芝1700mだが、これまでの芝2戦は完勝と言っていい内容。しかも先に行きたいタイプが絶好の2番枠を引き当て、マイペースの逃げ切りも十分。
イブキサンシロウも芝は2戦2勝。しかもこちらは2戦とも芝1700mでマークしたもので、距離適性なら一番と見て差し支えない。川崎デビュー8勝後、中央2戦0勝から再び南関東へ。その後は1勝のみに止まり、金沢1勝を経て今年3月、岩手へやってきた。転入格付けがC3と恵まれたにもかかわらず一進一退を繰り返しているが、芝に替わると動きが一変する。父イブキマイカグラ譲りのシャープな切れを身上とし、惚れ惚れするようなまくり脚を披露する。
ケージールドルフは前々走の芝1700m戦で逃げて0・1秒差3着と好走。その後は3ヶ月の休養を余儀なくされ、復帰戦の前回は6着。元々テッポー実績はないが、叩き2戦目で気配も上昇。今季は着止まりに終わっているが、印象は明らかに芝向き。一発の可能性を秘めている。
3歳牝馬フレア、ナイトタイムも軽視はできない。フレアは芝1000mデビュー戦を快勝後、長いスランプに陥っていたが、ここにきて復活の気配十分。しかも今回は待ちに待った芝が舞台なら軽快な先行力が生きる局面。一方のナイトタイムも芝は3戦1勝2着1回。5着1回も3歳特別・ガーベラ賞で適性比較ならここでも見劣りはしない。
◎ ?マイネピルエット
○ ?タイキランデヴー
▲ ?イブキサンシロウ
△ ?ケージールドルフ
△ ?フレア
△ ?ナイトタイム
3連単は7、2の1、2着折り返しから5を厚めに。あとは1、8、6を押さえ
馬複は2−7、5−7、2−5、7−8
<お奨めの1頭>
11レース ゴールデンパンジー
再転入後は1勝のみだが、ここでは底力が違う。今回は最も得意とする1400m戦でエンジン全開