競馬にはまったく関係ありませんが、先週、真昼岳という山に登ってきました。真昼岳は岩手の西側にびっしりと連なる奥羽山脈のまっただ中にある1000mちょっとの山で、東北道沿いから見ると花巻のちょうど西方向に位置します。
岩手山や須川岳(栗駒山の岩手側での呼び名です)などの有名どころが並ぶ奥羽山脈にあって、真昼岳なんて聞いたことがないという方も多いと思います。正直、私も名前を知っている程度で、県境の峠から比較的楽に登頂できるということがわかったので「山行きのシーズンもそろそろ終わりだし、カル〜く行ってみようかな〜」ぐらいの気持ちだったのですが、これがなかなか面白い山でした。
真昼岳山頂は標高1060m。岩手と秋田を結ぶ林道の県境にある峰越峠の登山口まで来ると、標高差は150mほどしかありません。な〜んだ楽勝!かというとそう甘くはなく、いくつかのピークを登っては下るという、縦走コースの定番パターンになっていてそれなりの手応えというか足応えがあります。しかも稜線づたいの登山道は左右とも風雨による長年の浸食を受け所々切り立った崖になっていて、場所によっては植物の根っこでなんとか土を押さえているだけで、ほとんど地面じゃない!というようなところも……。スリルを楽しみながら足下に注意して歩きます。
この日は天気にも恵まれ、岩手・秋田の県境を進む登山道からは両県がよく見渡せました。秋田側は眼下に米どころ仙北平野の田んぼが広がり、大曲や角館の市街が確認できます。平地から急激に立ち上がるこの山はものすごく眺めが良く、その高度感は2000m級の山でもなかなか味わえないほど。今にも地面を蹴って空中に飛び出せば、そのまま滑空して美郷町あたりの田んぼのどこかに上手に着地できそうな、そんな錯覚に捕らわれかけます。(危ない危ない(^^;)
対して岩手側は山また山。旧沢内村の集落と、遠くかすかに北上市街が見えるものの、視界を占めるのは何重にも重なった山ばかりで、改めて岩手って山の多い県なんだな〜と思います。
休憩したり写真を撮ったりしながらゆっくり歩いて、頂上まで約2時間。行ってみるまで知らなかったのですが、東北のド真ん中に位置するこの山からは沢山の名峰を望むことが出来ました。もっとも目立つのは東北最高峰の鳥海山。その向こうにうっすら見えているのは月山でしょうか。かすかに見える秋田市街の先には男鹿半島の寒風山も望めます。ということは日本海まで見えているはずですが、残念ながら霞んで分かりませんでした。岩手側に目を転じれば、ウスユキソウで有名な早池峰山。南には須川岳と、水沢の方には馴染み深いであろう焼石岳も見えます。盛岡の方向を見ると、姫神山に紫波三山。紫波三山の中には、岩手競馬の特別レース名にもなっている南昌山があります(少しは競馬関係の話も書きませんとね^^)。北隣の和賀岳の向こうには秋田駒ヶ岳と、そして我らが岩手山も辛うじて見えました。岩手山は和賀岳の上からてっぺんだけをちょろっとのぞかせ、あの雄大な山容はすっかり隠れています。よくもまぁこんな絶妙な位置関係になったものです。
紅葉にはちょっと早いようでしたが、穏やかな秋の日に素晴らしい眺望を味わうことができ、とても得した気分になりました。登山コースとしてはマイナーな山ですが、アウトドアレジャーに興味ある方ならここはホントお勧めですよ。
(文/写真・佐藤 到)
<次走へのメモ>
10月20日 第7回黄菊賞(2歳オープン 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 ジェベルロバーツ
1枠からセイントクイーンが好スタートを決め、2番手にエーシンリパージ、その外にエスブレット、中にテンショウベスト。ジェベルロバーツは出たなりのスタートから1コーナーでは5番手イン。3コーナー手前から徐々に3番手まで進出して早くも先行グループを射程圏に入れる。他の有力馬は荒れた芝を嫌って外に持ち出したが、ジェベルロバーツは内に進路を選んで直線入り口で先頭。あとは「単騎先頭に立つとソラを使う」(菅原勲騎手)なので、気を緩めずに追って2馬身差でゴールに入る。
「馬の状態が悪くなかったし勝負付けが済んだメンバーなので、まず負けないと思って乗った。みんなが外に行って内がポッカリ開いたので、そこを選んだが、余裕十分でしたね」と菅原勲騎手。
次走についてはJRAに適当なレースがあれば行きたいが、地元重賞・南部駒賞になる可能性が高いかも…と村上佐重喜調教師。またアドマイヤボス賞の副賞については「繁殖牝馬を持っているので、有効に活用したい」とオーナーの西村隆平氏。
2着 テンショウベスト
道中は3番手を進み、3コーナーでは先に動いて2番手へ。直線は外に持ち出してジェベルロバーツに一瞬だけ並びかけたが、その後の伸びが甘くまたもや2着。3戦連続でジェベルロバーツの2着に敗れる。
3着 エスブレット
前半は3番手外をキープしたが、直線では最内にコースを取って3着に食い込む。デビュー1戦(芝1000m1着)のみでの挑戦だったが、このメンバーで3着なら上々。
4着 カネショウボス
後方3番手に待機し、3コーナースパート。直線は大外からいい脚で伸びてきたが、3着エスブレットにはクビ差負け4着。
5着 フジプライド
今回は初の芝だったが、前回・りんどう賞(盛岡ダート1400m)と同様、後方2番手から直線勝負に賭けたが、先行有利のレースで自慢の末脚が不発。血統もスキャターゴールド産駒で芝よりもダート向きの印象。
10月21日 第32回ウイナーカップ(3歳オープン 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 ワンヌン
「馬なりでスタートしたら最後方になっただけ」(小林騎手)。前半はやや速いペースで進み、3〜4コーナーで徐々にスパートをかけて中団まで進出。直線は一旦外に持ち出すが、ラスト200mあたりで最内に進路を変更しながら、鋭く伸びて快勝。岩手3連勝目がうれしい特別制覇となった。「非常に激しい気性なのだが、芝の反応がすばらしい。返し馬の動きも全然違う」と小林騎手。
南関東では14戦0勝2着2回3着3回と白星に縁がなかったが、いきなり3連勝をマーク。初戦はダート戦で1着だったが、前回、そして今回と芝が舞台となってさらに末脚が冴え渡る。レベル差も確かにあるだろうが、それ以上に秘めていた能力が芝で開花したと解釈していいのではないか。
2着 サイレントステージ
前半は7番手インに待機し、直線半ばで先頭。理想的なレース運びでほぼ勝利をモノにしたかに見えたが、ワンヌンのイン強襲に屈して2着。これは勝ったワンヌンを素直に誉めるべき。
3着 サクラアリエル
サイレントステージの後ろにつけ、サイレントステージのスパートとほぼ同時にスパート。直線は大外から伸びてきたが、最後は決め手の差が出た。
4着 カネショウエリート
トーセンサンクスが逃げ、2番手インにゴッデスフラワー、中シュクジャンヌの外につけ、絶好のポジションにつけたかに見えたが、人気がなかった馬たちだったにせよ前が総崩れ。ペースが速かったために最後の伸びを欠いた。
夏のふみづき賞に対する秋のオクトーバーカップ。ダート3000mで争われるこのレースはセンリオーの逃げ切りに期待します。
水沢2000mで行われた猿ヶ石川特別を逃げ切ったセンリオーですが、実はダートでマイル以上を走るのはこの時が初めてでした。それが2着以下をちぎる強い勝ち方で優勝。その後芝2400mのハーベストカップでも5着に踏ん張ったところを見ると、4歳秋にして隠れていたステイヤーの血が本格化してきたとしか思えません。
センリオーの父ウイニングチケットは、自身は中距離馬でしたがスタミナ溢れる血統背景のおかげか産駒には長距離を得意とする馬が少なくありません。父は種牡馬を引退してしまいましたが、北の地で隠れたステイヤーの才能が花開くのかも。
そして、格上挑戦となるセンリオーはB1級57kgに対し53kgの恵量で出走できます。この4kg差は大きい。単騎逃げまであり得るセンリオーにとって有利な材料なのは間違いありません。
対抗は、素直にウエストサンオペラを採ります。ふみづき賞の2着馬でこの距離はお手の物のはず。前走大敗など7月頃の勢いにはない雰囲気なのと、ふみづき賞から2kg増となる57kgが気になって対抗格としましたが、その辺は鞍上が何とかしてくれるのでは。
コパノダヴィンチとプラジュニヤワンが気になります。まずコパノダヴィンチ、今シーズンはレース内容が安定していて常に上位を争っています。トワイニング産駒に3000mはどうかと思うのは確かですが、スローペースになれば上位に粘れるチャンスがあるでしょう。プラジュニヤワンは9歳秋となってさすがに急激な良化は期待薄ですが、それでも徐々に良くなってきています。もともと長い距離は苦にしない馬、鞍上も意外性があって要注意です。
買い目は3枠3番センリオーから2,4,5へ。少頭数・前残り傾向が強い事も踏まえ連単3頭で勝負。
◇お奨めこの一頭
5R:ラッキーハロー
前走は選抜戦だったし、勝ち馬がちぎって勝っただけでこの馬も2着争いに僅差で参加した。相手関係はかなり弱化しており、あとはスローに嵌らないかどうかだけ。
21日メインは3歳馬による芝1700m特別「第32回ウイナーカップ」、10頭立て。このレースは社台スタリオンステーションが協賛し、優勝馬主には今年が初年度産駒デビューとなったゴールドアリュールの種付け権利が提供される。
ゴールドアリュールと言えば日本ダービーでタニノギムレットの5着入線後、ダートグレード競走に参戦。ジャパンカップダート(大井)で7馬身差のブッチ切りを演じるや、続くダービーグランプリも10馬身差で圧勝。一躍、ダート界の新星誕生と各方面から注目を集めるようになった。ジャパンカップ・ダートは古馬の壁に阻まれて5着に敗れたが、東京大賞典、フェブラリーステークスと連勝。
さあ、次は海外、ドバイ遠征だぞと期待されたが、折からのイラク戦争勃発で遠征を断念。そのうっ憤を晴らすかのように59キロの酷量を背負いながらアンタレスステークスを8馬身差。再びダートの王道を歩むはずだったが、帝王賞で不可思議な11着大敗。原因を探ったところ喘鳴症が発生していることが判明し、現役を引退。社台スタリオンステーションで種牡馬生活に入り、現在に到っている。
産駒は芝ダートを問わずに活躍中でホッカイドウ競馬のコバルトブルーが勝ち馬第一号に名乗り出ると、中央でもゴールドストレイン、タケミカヅチ、マイネルアトレと芝で固め打ち。また岩手でもセイントクイーンがフューチャー競走芝1000mで今季一番時計をマークするなど、芝ダートを問わずクォリティの高さをアピール。今後も産駒の活躍が非常に楽しみな種牡馬に数えられている。
(サイレントステージ 写真・佐藤到)
本題に戻る。ここは当然だが芝適性を重視してサイレントステージを主軸に推したい。今季は長期休養明けの影響で凡走を繰り返していたが、3歳芝ガーベラ賞で2着に入って以降は見事に復活。はまなす賞で待望のタイトルを手中にし、重賞・オパールカップはボスアミーゴの2着。続くダート戦では5着だったが、古馬に挑戦・桂樹杯では直線で不利を受けながらも3着、前走・サファイア賞は牝馬?1マツリダワルツの2着からこのレースに臨んできた。
今回、何といっても魅力は目の上のたんこぶ的なボスアミーゴ、マツリダワルツが不在。このメンバーでは芝適性で一歩リードの存在で、勝機はガッチリつかみたい。
カネショウエリートも適性なら決してヒケを採らない。元々、メイセイオペラ産駒では異色の芝巧者で注目され、芝ではJRA挑戦以外すべて入着を果たしている。岩手の芝では前々走・サファイア賞4着が最低の着順だったが、その汚名返上とばかりA2・FM岩手杯では強豪相手に2着と気を吐いた。
シュクジャンヌは地元重賞・ダービーグランプリは7着に敗れたが、これは土砂降りの雨で極端な不良馬場に泣いたもの。これが生涯2度目の着外となったが、今回は距離も1700mへ短縮。またはまなす賞ではサイレントステージ、カネショウエリートに次いで3着を確保と芝への対応力も十分にある。
ワンヌンの存在も不気味だ。南関東では2着2回3着3回と勝利を飾ることはできなかったが、岩手転入後はアッサリ2連勝。しかもダート1600m、芝1600mでそれぞれマークしたもので、終いの切れが冴え渡っている。これはレベル差も否定できないだろうが、それ以上に馬場の広いダート、切れ味が生かせる芝が合ったということ。タイムだけをみると平凡に映るが、本当にいい切れを持っており、もしかすると岩手で化ける可能性を秘めている。
他では大崩れなしサクラアリエル、そしてトーセンサンクスも押さえたいところ。
◎ ?サイレントステージ
○ ?カネショウエリート
▲ ?シュクジャンヌ
△ ?ワンヌン
△ ?サクラアリエル
△ ?トーセンサンクス
3連単は4を1着固定に9、7、2の折り返し。あとは10、5を押さえ
馬複は4−9、4−7、2−4、4−10
<お奨めの1頭>
11レース ホースメンレディー
岩手転入後はすべて3着以上のまとめ、依然底を見せていない。今回からC2へ昇級するが、まだまだおつりがくる。
20日からホッカイドウ競馬で好評を博している「スタリオンシリーズ」を岩手でも実施。その幕開けは2歳オープン馬による特別「日高軽種馬農業協同組合協賛 アドマイヤボス賞 第7回黄菊賞」(盛岡芝1700m)、10頭立て。
主軸はジェベルロバーツで動かし難い。当初、JRA東京・いちょうステークスへ挑戦する構想もあったが、JRAでは馬インフルエンザによる移動制限がまだ解除されていないため、この黄菊賞を使うことになった。
(ジュニアグランプリ 優勝ジェベルロバーツ 写真・佐藤到)
当然だが、9月16日、ジュニアグランプリ快勝後も順調に乗り込まれており、態勢は万全。距離が今回は芝1700mになったが、ほとんど不安要素にはならず、自身の連勝を4に伸ばすのみ。
相手も順当にテンショウベストが演じる。ビギナーズカップ、ジュニアグランプリと連続2着。惜しいところでジェベルロバーツに苦杯を喫しているが、これは牡馬と牝馬の完成度の差。馬格も480キロ以上と恵まれているし、何よりも天性のスピードが魅力。
またビギナーズC、ジュニアGPでジェベルロバーツは牝馬のアロウワンスがあってテンショウベストより負担重量が1キロ軽かった。しかし今回、両馬は同斤量の55キロ。前回・ジュニアGPで0・1秒差なら逆転の余地は十分にある。
セイントクイーンはデビュー戦で盛岡芝1000mを58秒7で駆け抜け、今季一番時計をマーク。その破格のタイムから前走・プリンセスカップで2番人気に支持されたが、空馬にも絡まれた上、自らハイペースを作ったために直線一杯となって4着に敗れた。これは初ダート、距離が1400mへ延長されたことも敗因と考えれば仕方なしの結果。今度は自信の芝に舞台が替わって巻き返しに転じて不思議なし。
りんどう賞でフジプライドは驚異の破壊力を見せ、直線一気に突き抜けて圧勝。いかに前半がハイペースだったにせよ、周囲の度肝を抜いた。その後、りんどう賞で3着に入ったピンクゴールドは2歳牝馬・プリンセスカップを見事優勝。フジプライドの勝利がダテではなかったことを証明した。
ただ、評価を下げてしまったのは初の芝が影響するであろうと踏んだから。本来、切れる末脚が武器なら芝でさらに本領発揮すると見るのが普通だが、案外、このタイプは芝に戸惑うケースが多い。果たして吉と出るかどうかだが、仮にアッサリ芝でも勝つようならかなりの器と見て間違いない。
カネショウボスはデビュー戦芝1000mで2着に入ったが、その後の2戦は7、5着。ちょっと足踏み状態の印象だったが、前回は中団キープから鋭く抜け出して快勝。これで弾みがついて黄菊賞にトライしてきた。父はこの冠となったアドマイヤボスで、ボスアミーゴを筆頭に盛岡芝の相性が抜群。思い切ってそれに賭けてみる手もある。
あとはタイムこそ平凡だったが、デビュー戦で余裕の逃げ切りを果たしたエスブレットも若干押さえが必要だろう。
◎ ?ジェベルロバーツ
○ ?テンショウベスト
▲ ?セイントクイーン
△ ?フジプライド
△ ?カネショウボス
△ ?エスブレット
3連単は3、9を1、2着固定で1、2が本線。あとは3、9の1、2着折り返しから1、2、6へ手広く流す手もおもしろい
馬複は3−9、1−3、1−9、2−3
<お奨めの1頭>
5レース タンポポプリンセス
当初、最終11レースの登録だったが、欠場馬が3頭出たために5レースへ移動。このメンバーは恵まれすぎた