昨日のブログで岩手競馬でも3頭が馬インフルエンザに感染していることを報告したが、23日、新たに13頭の競走馬から陽性反応が確認された。今のところ通常どおり25日(土)から27日(月)まで開催する予定だが、出走馬の検査結果次第ではレース中止の可能性もあるので当日のレース情報でチェックをお願いします。
26日(日)メインは3歳以上オープン牝馬による重賞「第33回ビューチフル・ドリーマーカップ」、10頭立て。本来、このレースは地方競馬全国交流レースだが、馬インフルエンザ禍の中、他地区からの移動制限しているため地元同士の戦いとなった。
(サイレントエクセル 写真・佐藤到)
断然の主役はサイレントエクセル。仮に遠征馬が参戦しようとも大本命だったが、地元同士は前走・フェアリーカップで決着済みで、死角はまず見当たらない。そのフェアリーカップではジュリアが逃げ、2番手にドリームカーニバル。サイレントエクセルは5番手インにつけたが、ずっと周囲が壁になる展開を強いられ、決して楽な展開ではなかった。4コーナーを回ってもなかなか馬群をさばけなかったが、ジュリアが失速して、ドリームカーニバルが先頭に立った瞬間、わずかな隙が開くと矢のように抜け出した。その瞬発力たるや、まさにケタ違い。あっと言う間にドリームカーニバルを交わすと、ゴールでは3馬身差も突き抜けていた。
今回、距離がフェアリーCより100m延長されたが、水沢1900mは昨年のひまわり賞、今年のあすなろ賞(オープン)で2戦2勝。そのあすなろ賞では現在、岩手トップを張るテンショウボス相手に勝ったもので、牡馬以上の実力であるのは証明済みだ。
単不動、ここはヒモ捜しの一戦だが、その2着争いが少々やっかいだ。ひとまずフェアリーCで3着に入ったマルカンジョオーを相手筆頭に指名したい。昨年6月、ジューンカップ(B1)快勝後、9ヵ月半の長期休養を余儀なくされ、今年3月に戦列復帰。当初はなかなかレース勘を取り戻せなかったが、5月のA2戦を勝ってようやく復活宣言。
JRA条件交流でも直線豪快に抜け出して川崎・スパーキングレディーカップへ挑戦した。さすがにここではメンバーが強く、アウェーのハンデもあってしんがり負けを喫したが、帰郷初戦でも遠征の反動を見せずに2着。そしてフェアリーCでも3着を確保して今回のレースに臨んできた。ローテーションもここ1本に絞り、仕上がりも文句なく2着争いで一歩リードしている。
ジュリアはそのフェアリーCで逃げたが、直線一杯となって6着。また前回もトーホウライデンに完敗を喫して3着と足踏み状態。どうしても逃げ一辺倒だとマークがきつくなり、この結果もやむなしだろう。加えて今回は守備範囲外の1900mと苦しい条件がそろったが、昨年のひまわり賞で3着に入ったようにスンナリの流れになれば粘り強さを発揮するタイプ。ポイントは4コーナーを回って、どこまで余力を残しているかに尽きる。
以下はB1からの挑戦だが、得意の水沢戦で2連勝と絶好調モエレタキシード、距離は長いが目下4連勝中のウエスタンフォルス、あとはフェアリーC5着クルセイズらにもマークが必要だが、ここは馬券的に相手を絞った方が得策だろう。
◎ ?サイレントエクセル
○ ?マルカンジョオー
▲ ?ジュリア
△ ?モエレタキシード
△ ?ウエスタンフォルス
3連単は5を1着固定に10、4の折り返しが中心。あとは8、6を押さえ少々
馬複は5−10、4−5、5−8
<お奨めの1頭>
9レース ツジジオット
11歳馬ながら、今季5勝マークと自慢のスピードが冴え渡っている。ここでも中心疑わず
22日朝、水沢競馬場で同一厩舎から3頭が馬インフルエンザの陽性反応を確認。県競馬組合はこの3頭を検疫厩舎に隔離し、また同じ厩舎には他の17頭がいたが、厩舎内にとどめて他の馬と接触しないように処置。また水沢の全厩舎にも防疫を徹底させる意味で消毒を施した。
この感染を受けて岩手県競馬組合では今週、開催するか否かを検討に入ったが、農水省からの指示“出走前に馬体検査を実施する”、“発熱などの発症の疑いがある馬は競走から除外する”ことを前提に、今週末25日から27日の開催に踏み切った。
しかし全国で猛威を振るい、強い感染力がある馬インフルエンザであるだけに、感染には細心の注意を払い、万全の態勢で開催に臨まなければならないだろう。
さて本題。25日(土)メインは3歳以上オープン馬による「第30回すずらん賞」(水沢1600m)。このレースはJpn?・南部杯へと繋がる道で1、2着馬には重賞・青藍賞(9月9日 盛岡ダート1600m)への優先出走権が与えられる。
当初、このすずらん賞には13頭の登録があったが、6頭が回避した。これは馬インフルエンザの影響ではなく、Jpn?・クラスターカップ(8月15日)からレース間隔がなかったこと、今年の猛暑で想定どおりの調整ができなかったため無理をさせたくなかったから。
結果、7頭立てと少頭数になってしまったが、上位3頭の争いは非常に興味深い。その3頭とはローランボスコ、コスモスパーブ、トーホウライデン(格付け順)だが、ここはトーホウライデンの勢いに託してみたい。
(トーホウライデン・8/16エクセレント競走優勝時 写真/佐藤到)
冬期休養明けの特別開催(3月24日)・エクセレント競走では、馬体重が大幅に減少して449キロ(休み前は467キロで出走)。見た目にも馬体が寂しく見えて結果も5着。続くA2・岩手日報杯ではさらに3キロ減ったものの、ひとまず底力の違いで優勝したが、体重減の反動がない訳がなく、以降の3戦は2、2、6着と不本意な成績に終わっていた。
しかしトーホウライデンは見事に復調した。A2降格初戦の盛岡戦(6月17日)で馬体重が464キロまで回復するや2着に1秒差もつけ、同クラスの特別・ねむの木賞も0・9秒差の圧勝劇。そして浦和遠征・龍泉洞特別(浦和条件交流)も直線鋭く抜け出しを決め、前回も当然のように完勝と目下4連勝中。今や飛ぶ鳥を落とす勢いでこのすずらん賞に臨んできた。
今回、いきなり初の一線級を相手に、果たして突破できるか。これが焦点となるだろうが、走破タイム、レースぶりはまさしくオープン級。加えて父ブライアンズタイム、母父ミスタープロスペクターという超良血馬。その素質が全面開花した今なら、ここも十分突破が可能だろう。
コスモスパーブは岩手転入後、アッサリ2連勝をマークした。3走前・みちのく大賞典は名古屋代表で参戦して11着に敗れたが、長距離輸送のハンデ、相手強化が敗因と見れば2連勝も納得。しかもレース内容がすばらしく初戦(盛岡)は2番手抜け出し、前回は中団から豪快にまくって2着ローランボスコ以下を完封と文句なしだった。ここを勝てば、今後オープンの台風の目になれるかも知れない。
実績では前記2頭を上回るのがローランボスコだ。このすずらん賞は3年連続で出走となり一昨年1着、昨年は2着。また同距離のまんさく賞(06年4月)も制し、マイル特別で2勝。水沢マイルは鬼といっても過言ではない。
気になるのは前々走でコスモスパーブに完敗を喫したことだが、約2ヶ月レース間隔が開いたことも敗因。この一戦だけで力負けだと判断するのは早計だろう。
以上、3頭の三つ巴模様と見たが、競り合いに持ち込まれたならブラーボウッズの差し脚、今季は精彩を欠いているが、昨年の覇者ミサキノハンターも得意の舞台で巻き返しに転じることも考えておきたい。
◎ ?トーホウライデン
○ ?コスモスパーブ
▲ ?ローランボスコ
△ ?ブラーボウッズ
△ ?ミサキノハンター
3連単は1、6、7のボックスが本線だが、配当が低ければ1を1着固定に6、7を本線。あとは3を押さえ少々
馬複は1−6、1−7、6−7、1−3
<お奨めの1頭>
7レース ヘンリーズフォーク
転入初戦は自らハイペースを形成しながら、2着に1・2秒差の圧勝劇。これは強い!
2週間ぶりのご無沙汰でした。
この間、競馬界はインフルエンザ問題で大激震となり、ついにこちらでも感染馬が発見されてしまいました。岩手ではJRAからの第一報があった直後に、中央から転入してきたばかりの競走馬を検査(結果は陰性)。もちろんその後の馬の転入・転出を凍結するなどの自衛をしていましたが、しかしそれでも完璧な防疫というのは難しいのだと思います。
もうみなさんも良く知っていると思いますが、馬インフルエンザは極めて感染力の強いウィルス性呼吸器系疾患で、現在では全ての競走馬と多くの乗用馬がワクチン接種を受けています。しかしこのウィルスは変異型が発生しやすく、今回流行したウィルスとはワクチンの型が合わなかった模様。また型が合ったとしても4割程は感染してしまうという報告もあり、相当やっかいなものです。
馬インフルエンザウィルスは、発症馬の死亡率は0.1%程度と死に至ることは少ない反面、潜伏期間は1〜3日と短く爆発的な感染力を持ち、発症した馬の治療には2〜3週間を要するそうです。また最近の報道では空気感染すると言われていますが、学術書によると飛沫感染、つまり唾液や鼻水の飛散により伝染するとされています。とはいえおそらくは呼気中の水分だけでも伝搬されるでしょうから、競走馬の厩舎のような密集した状態では同じ空気を吸っているだけでもうつると思った方が良いのかも知れません。
今週末の岩手競馬は、出走馬に対する検査・陽性馬隔離などの対策を施した上で開催されることになりました。いまはただ、全ての関係者が適切な対応をし、岩手競馬や他全国の中央・地方競馬場で一日も早い終息宣言が出されることを祈るのみです。
8月15日に行われたクラスターカップ、今思えばJRAから馬インフルエンザの発生報告がされるまさに前日におこなわれ、普通に開催されたのは“滑り込みセーフ”といったところでしたね。レースを圧勝した武豊騎手は水沢グレード競走初勝利。これに気を良くしたわけではないでしょうが、たくさんファンサービスをしてくれました。この日競馬場を訪れ、武騎手の笑顔に魅了されたファンも多かったのではないでしょうか。
武騎手も、「こっちは(前日に騎乗した)佐賀より暑いですね。このところ岩手からは明るいニュースが聞こえて来ませんでしたが、ファンも熱く、とてもいい競馬場だと思います。本当に頑張って欲しいですね」とのコメントを残していきました。「今ある日本の競馬場は全て騎乗した」と言う武豊騎手。芸能人並みの扱いを受ける中央のスター騎手でありながら、どんな小さな地方の競馬場でも乗鞍があれば飛んでいき、行かないときでも気に掛けているとは、さすがですね。
全国にはこのように岩手を気に掛けていてくれる騎手や関係者、そしてファンの皆様がたくさんいるのだということを肝に銘じ、私も頑張って生きたいと思います。
(文/写真・佐藤 到)
※参考文献・獣医感染症カラーアトラス 文永堂出版(株)
<次走へのメモ>
8月15日 第12回クラスターカップ(水沢1400m Jpn?)
(写真・佐藤到)
1着 メイショウバトラー
好スタートを切ったが、アグネスジェダイがハナに立とうとしたので、無理せずに2番手を追走。これは武豊騎手がイメージしたとおりの展開となり、2コーナーからアグネスジェダイがペースを上げたが、楽に追走。むしろ逃げたアグネスジェダイの方が終始つつかれる苦しい流れとなってラスト100m、内で必死に粘るアグネスジェダイを楽に交わすと、あとは余裕残してゴール。結局、3馬身差の完勝劇を演じ、Jpn?4連勝を飾った。
「2頭ともお手馬なので同じレースで走ってほしくなかった(笑)。アグネスジェダイの強さは分かっていたので離されないように心がけた。いいスタートを切れたし、道中の手応えも抜群。1400mのピッタリだったし、コースも合うと思っていたが、それにしても今回は強かった。牝馬だが、体調もいいので次はG?を狙いたい」と武豊騎手。
2着 アグネスジェダイ
他の馬をけん制しながら、11番枠からハナに立つ。前半3ハロンが12秒6―25秒2―38秒1と交流重賞では決して速くはないラップだったが、4ハロン目=2コーナーから11秒台に一気に加速。これでメイショウバトラーを突き放しにかかり後続はどんどん離される一方だったが、メイショウバトラーは馬なりで追走。これではアグネスジェダイもさすがに苦しく、我慢できたのは直線半ばまで。メイショウバトラーにアッサリ交わされてしまった。
「もっと他の馬に行ってほしかったが、押し出される感じで逃げることになった。こんなにマークされればきついし、一騎打ちになると3キロの斤量差ではこの結果も仕方がない」と小牧騎手。
このコメントのとおり展開もあったが、今回はメイショウバトラーが強すぎた。次は同ハンデで戦わせてみたい。
3着 テンショウボス
6番手外を追走し、1コーナー過ぎまでは手応えも良かった。しかし2コーナーから前の2頭が後続を離し、遅れまいと小林騎手も早めスパートをかけて3コーナーでは単独3番手まで進出。それでも2頭の差は詰まらず、逆に離される一方。アグネスジェダイからも9馬身差がついたが、これは力の差。ここは地方最先着を死守した点を素直に評価すべき。
8月19日 第39回不来方賞(水沢2000m 3歳オープン)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
「内枠だったので逃げられるか心配だったが、いいスタートを決めることができた」と菅原勲騎手がレース後に語ったとおり、外から被せられて包まれると苦しい競馬になっただろうが、好ダッシュからスンナリ逃げる。あとはマイペースに持ち込み、直線でも二の脚を駆使し、阿久利黒賞、ダイヤモンドカップ、そして今回の不来方賞と地元重賞三冠を達成。
今回の勝因はマイペースで逃げれたこと、2000mの距離を経験していたこと、古馬との対戦によって鍛えられたこと、そして開幕からの調子を維持できたことなどがあげられるが、最大の勝因はセイントセーリングの実力である。
2着 マツリダワルツ
スローの流れと判断するや、南郷騎手が4、5番手追走の積極策に出る。向正面から鞍上の手は動いていたが、インからジワジワ進出。「反応は悪くなかった。ただ3コーナーで前が壁になる不利が痛かった」(南郷騎手)そうで、直線で外に持ち出して鋭く伸びてきたが、1馬身半差までにとどまる。
それでもダイヤモンドカップに続いてセイントセーリングの2着を死守し、改めてレベルの高さを証明した。
3着 ボスアミーゴ
道中は後方3番手に待機し、向正面から仕掛けるとシャープに反応。3〜4コーナーではアッと言う間に2番手まで進出したが、そのあとの伸びがもう一つ。ラスト100mで一杯となり、2000mの距離に泣いた印象だった。
馬インフルエンザのために大変な事になっていますね。この原稿を書いている時点でJRAに続き大井競馬も取り止めになり、影響はJRAにとどまらず地方競馬も巻き込んできました。岩手では今のところ発症した馬がいるという話は聞こえませんが、例え岩手で発症馬が出なくても、この問題は当分いろいろなところに影響するのではないでしょうか。