25日の月曜はメインレースの緑風賞の他にJRAとの条件交流競走が2レース行われ、特別戦が計3レースとなっています。そこで今回は前置き無しに3レースをどんと予想していきましょう。
■10R 緑風賞
まずは緑風賞。B2級の好調馬が揃いましたが、ブラインドタッチの走りに期待します。
前走が今季初勝利、というか昨年9月以来の久々の勝利となったわけですが、昨夏に岩手に来て以来、挙げた勝ち星はいずれも盛岡でという明らかな盛岡巧者。前々走までとうってかわった変身ぶりを見せたのも、まあ当然といえば当然の事でした。
その前走は、正直をいえばB2級の中でもやや下位が相手でしたから、今回は同じB2級にとどまったとはいえ相手関係は若干の強化。その点はマイナス材料ですが、盛岡巧者ぶり&マイル適性を加味すれば十分はねのけられる程度のもの。ここは連勝期待で。
対抗はウエスタンフォルスを。岩手ではマイル以上の実績がないですが、前走の勝ち方を見れば一ハロン延長で大きく変わるとも思えず、それよりは逃げ足の速さをかってみたいところ。今週は再び先行有利の気配があり、ポンと出ればそのままの可能性も。
以下ではまずトウショウグローズとコスモシュクレ。どちらもマイルはちょっと忙しそうなのと右回りの方がいいのかな、という印象でこの辺りの評価にしましたが、力ならこのクラスでは上位。押さえは必要です。
穴目として押さえておきたいのがエムティグレース。ここのところの善戦ぶりは調子の良さのたまもの。今の盛岡のコース状態も合いそうで、穴狙いならここから入るという手も。
買い目は2枠2番ブラインドタッチを中心に1・4・7・9のBOXで。このメンバーなら人気は割れるでしょうし、実力も拮抗。裏目狙いの高め追求を。
■8R フレンドリートロフィー アンバー賞
前にも書きましたが、JRA未勝利に対し岩手の3歳B級中位あたりがぶつかるこの条件は基本的にJRA馬有利とみます。そこで本命はJRAのマイネルビスタ。走りがしっかりしてきて中央場所でも勝ち負け出来そうな現状なら力は上と見るべきでしょう。
対抗もJRA・クレイモアシチー。前走に引き続き岩手参戦。前走は3頭競り合いの真ん中という不利な場所にはまってしまって3着。レース内容そのものは勝ち馬に遜色なく、今度こそと力が入るところでしょう。
岩手のサクラアリエルが3番手。今ならオープンでも通用するだけにB級でもたつく他の岩手勢とは一線を画す実力あり。ただ、盛岡ダートは久々という点と、先行馬の競馬になった時辛くなりそうなのでここまでの評価に留めました。
後はメイクアダッシュとレディピアレス。特に森厩舎所属の後者は近走からは狙いづらいものの、この厩舎が手ぶらで帰るわけはないし、ダートで一変を狙っての出走かも。要警戒。
買い目は5番と14番をフォーメーション1・2着とし、1・8・11は3着付けで。上に加えるなら8番(できればパドックを確認の上)。
■9R フレンドリートロフィー エメラルド賞
アンバー賞と異なりこちらは芝のマイル戦。ただしJRA有利の基本に変わりなし。
本命はJRAアソビゴコロアワー。先行競馬が板に付き、そこに距離短縮なら善戦必至。周りが差し馬になったこの枠順も手頃でしょう。
対抗もJRAボストンクエスト。ややジリっぽい感じですが差し脚の威力はまずまずで、メンバー的にもここなら何とかなりそうな相手ではあります。
マイネルミステリオは差し競馬が板に付いてきて未勝利脱出間近の印象。初コース対策には鞍上に岩手の名手を配して万全の構えです。
岩手なら調子を上げつつあるコスモビシャモンと実質格上挑戦ながら勢いはかいたいマイネルアクシオン。後者はJRA未勝利−岩手転入という馬で、経歴的にはJRAからの遠征馬と大差なし。芝で変身あるかも。
買い目はまず5番アソビゴコロアワー・8番マイネルミステリオ・9番ボストンクエスト、この3頭拮抗と見てBOXで狙い、1と14はヒモ穴で。
◇お奨めこの一頭
11R:グリーンローレル
近走を見るに完全にスランプ脱出。盛岡1400mはもともと得意コースでもあり、そろそろ勝ってもいい頃合いだろう。
24日(日)メインは3歳オープン馬による芝1600m「第12回はまなす賞」、12頭立て。
思い起こせばオーロパークが1996年に完成し、芝のこけら落としとなったのが「はまなす賞」だった。勝ったのはサンディゴボーイ、2着はサカモトデュラブ。なんかこの名前を聞くと隔世の感さえあるが、今後もオーロパーク自慢の緑の芝でレースが続けられていることを願ってやまない。
当初、ボスアミーゴの登録もあったが、7月1日、JRA福島で行われる白河特別(1000万下 芝1200m)へ挑戦が決定した。ボスアミーゴのベストは芝1200m戦なので、なんとか好勝負に持ち込んでほしい。
よってこのはまなす賞は自重したため軸不動から一転して混戦模様に替わったが、ここは芝の過去実績を買ってカネショウエリートを主軸に推したい。
(カネショウエリート 写真・佐藤到)
芝はJRA挑戦(JRA中山芝1200m 3歳500万下)11着(1・5秒差)を含めて<1.1.1.1>。メイセイオペラ産駒には珍しく適性は明らかに芝。水沢1600m・黄菊賞を逃げ切ったこともあるが、当時の馬場は融雪剤と雪による泥んこ馬場。芝に実績ある馬の活躍が顕著で、カネショウエリートもその典型的なパターンだった。
前走・ガーベラ賞では3、4番手追走から4コーナーで2番手まで進出したが、サイレントステージにも先着を許して3着に敗れた。これをどう評価するかだが、レースを詳しく分析をするとボスアミーゴが早めにまくったため、カネショウエリートがその影響をモロに受けたとも解釈できる。
今回、目の上のたんこぶボスアミーゴが不在で主導権を握るのは、おそらくカネショウエリート。1枠を引き当てて展開が微妙で、外枠でもオーナーズスキャンが逃げそうな雰囲気。それならば無理に行くこともなく2、3番手に控えるのが良策。あとは芝適性ぶりを存分に発揮して久々の美酒を味わいたいところだ。
サイレントステージは一戦ごとに上昇し、日高賞、あやめ賞と連続5着を受けた前走・ガーベラ賞ではカネショウエリートに先着2着。昨年、デビュー戦を快勝直後、いきなり重賞・ジュニアグランプリ(芝1600m)で3着。前走でその芝適性がフロックではなかったことを証明した。
サイレントステージの特長はレースセンスの良さ。できれば450キロぐらいの馬体重になってほしいところだが、いずれ頭角を現す器であるのは間違いない。
ペニーロイヤルが生涯初の芝でどんなレースを披露するのか興味深い。父はジェイドロバリーで生まれはUAEドバイ。母父ラーイも日本に馴染みだし、近親がアラジと魅力の配合。
今年1月、船橋でデビューして5着。以降も堅実に着を拾って4戦目(4月4日)に初勝利を飾り、続くあやめ特別3着後に岩手に転入。初戦3歳B1戦では旧地実績から1番人気に支持されたが、出遅れが響いて3着に敗れた。
さて今回、芝が合うのか合わないのか。まったくもって未知数で評価に迷うところだが、ドバイ生まれのジェイドロバリー産駒はオウシュウクラウン、パチョリと盛岡芝をこなすタイプが多い。そのデータから考えればアッサリこなして何ら不思議はなく、ひと皮むけたレースを見られるかもしれない。
シュクジャンヌは前回・ガーベラ賞で伸び案外で1・3秒差4着に終わったが、これは久々の芝に戸惑ったものと解釈すれば酌量の余地があり、芝2度目(通算4度目)で変わり身を見せるか。
以下、小柄な牝馬で脚抜きの芝が合うフレア、前回より距離が100m短縮されたのを味方にするゴッデスフラワーまで。
◎ ?カネショウエリート
○ ?サイレントステージ
▲ ?ペニーロイヤル
△ ?シュクジャンヌ
△ ?フレア
△ ?ゴッデスフラワー
3連単は1、10の1、2着折り返しから3、2を厚めに。あとは11、5を押さえ少々
馬複は1−10、1−3、1−2、3−10、1−11
<お奨めの1頭>
9レース ベリーメリーホーク
前回は初コース、初の左回りに戸惑ったのかスタートで出遅れたが、直線で盛り返して3着なら上々。今度こそ
23日(土)メインはB1級馬による盛岡ダート1600m「第33回ジューンカップ」。何度かこのブログで記してきたが、盛岡1600mのゲートは2コーナーから400mも奥にあり、スタートして3コーナーカーブに入るまでの直線が約900m。新潟競馬場ができるまで日本最長の直線が売り物だった。
厳密に言うと2コーナー付近は若干カーブがあるが、ジョッキーに話を聞いてみるとカーブだと言う感覚はほとんどなし。ゆえに枠順による有利不利はまずないと考えていい。そしてコーナーが3、4コーナーのわずか2つ。ほぼ実力どおりの結果となる。
参考までに岩手の看板レース・南部杯はこの盛岡ダート1600mで行われ、メイセイオペラ、アグネスデジタル、アドマイヤドン、ユートピア、そしてブルーコンコルドなどダート最強馬を数多く輩出してきたのも当然といえば当然だろうか。
しかし今回のジューンカップ。有力馬はある程度絞ることができるが、どれを中心に据えるのかちょっと難しい。というのは水沢での好走組が、盛岡戦は今季初めてだからだ。
ひとまずここはヤマトスピリットから入ってみたい。今季は4月30日、エイプリルカップは大器マイネルヘルシャーの2着、2戦目のB1戦はヤマニンリボールトに内をすくわれて2着。元々、相手なりに駆ける堅実さを身上としていたのだが、逆に詰めに課題を抱えてなかなか勝ち切れなかった。
(ヤマトスピリット 写真・佐藤到)
続くメイカップでも一連の安定感から上位人気を集めそうだったが、フレグモーネのために除外。そして前回は除外直後で好走できるか半信半疑だったが、後方待機策から豪快に抜け出して快勝。前半ハイペースにも助けられたが、それにしてもすばらしい末脚を披露してくれた。
そして今回、決め手となったのは前回タイム。その日は決して軽い馬場とは言えず、むしろ時計のかかる馬場だったが、盛岡ダート1600m1分40秒2は非常に優秀なタイムだった。
逆転首位まで十分なのがリマンドリーダーだ。こちらは典型的な追い込み脚質で展開に左右される面があるが、前走・メイカップでは鮮やかな追い込みを決めて快勝した。
しかも脚質が示すとおり馬場の広い盛岡が得意コースだし、当距離も<1.2.1.0>と自信を持っている。ただ、ヤマトスピリットの対抗としたのは、いかに盛岡得意とは言え、久々の輸送競馬。これが若干不安点となる。
ゲンパチコジーンも自己の条件に戻れば巻き返しに転じる。前走・みなづき賞はダート1000mが戦いの舞台だったが、スタートで痛恨の出遅れ。1000m戦で出遅れは致命傷とも言え、上がり3ハロンで36秒1を叩き出したが、前半のロスが痛かった。
この馬の特長はいい脚を長く使えること。元々、着順は安定しないが、勝ちパターンはロングスパートがはまった時。また1000mを経験すれば、本来の決め手を思い出すかも知れない。
トーホウハヤテは中央3勝からの転入で当初はA1級へ格付け。さすがにメンバーがきつく凡走を繰り返していたが、前回待望の岩手初勝利をマーク。これで軌道に乗ったとも解釈できる。
他では今季すでに3勝マークと絶好調の11歳馬ツジジオットが気になる。ネックは最高3着までの盛岡コース。ごまかしのきかない盛岡1600mでは絶妙のペース配分でレースを運んでもチョイ足りなかった。しかし好調持続は間違いがなく、それに賭けてみる手はある。同じ意味がレオハヤテにも言え、自己の条件に戻れば決して侮ることはできない。
3連単は11、4の1、2着折り返しから3、6を厚めに。あとは8、10を押さえ
馬複は4−11、3−11、6−11、3−4、8−11
<お奨めの1頭>
11レース サイレントイン
今年4月に岩手転入し、4戦連続で2着。抜群の安定感を誇った半面、なかなか勝ち切れなかったが、前回初白星で吹っ切れた。
「岩手競馬ルネッサンス」の一環かどうかわかりませんが、盛岡開催になってからレースの中継映像のなかに、向正面の馬群を正面から捉えた映像が流されるようになりましたね。あれ?以前もありましたっけ? 私の記憶違いでなければ、今までは審議があった際に公開されるだけだったと思うのですが。
正面から望遠で撮影した映像は、実際より遠近感が圧縮されて見えるという特徴があります。これは競馬の場合どうなるかというと、直線をまっすぐこちらに向かってくる馬群の中で進路変更をした馬がいると、実際には十分な距離をとっていても画面上では後続馬の鼻先をカットしたように見えかねないということ。これを恐れて、従来パトロールカメラの映像は審議のときにも場内に流さなかったのですが、これが昨年あたりから公開されるようになり、そして今年は通常の中継の中でも数秒間だけですが映るようになりました。あるものを使おう!と組合の方が思ったのかどうかはわかりませんが、せっかくの迫力ある構図をファンのみなさんに見せないのは勿体ないですよね。
ところで、先日ちょっと小耳に挟んだのですが、一連のコスト削減の流れの中で“誘導馬”が廃止されるかもしれません。
現在、組合ではなんとか削れるところはないかと懸命に頭をひねっているところですから、「廃止反対!」と声を挙げるつもりはありません。ですが馬好きのひとりとして、そして一度きりとはいえ誘導を経験した者としては、もし廃止になったらとても寂しいでしょうね…
しかし誘導馬のいない競馬場ってあるんでしょうか? “見た目として格好がつかない”というのはおいといても、誘導する馬がいなければ先頭の出走馬自身が行進を先導することになるわけで、それって馬によっては結構な負担になるんではないですかね。
私が乗馬を習っていたときの話ですが、2〜3頭が隊列を組んで歩く練習がありました。自分が後にいて前の馬についていくとき、馬はスムーズに指示に従い楽々と動いてくれるのですが、先頭を交代したとたんに私の乗った馬は歩くスピードが落ち、進行方向も定まらなくなってしまいました。もちろんこれは私が下手だからなのですが、考えてみればもともと馬は群れで行動する草食動物。ごく限られたリーダー格以外の個体は、ただ前についていくという性質なのです。元騎手の某調教師も「誘導馬がいてくれて何度も助けられた」と語っていました。
存廃は今週の競馬会議で決められるそうです。別にアメリカの競馬場みたいに出走馬ごとに各1頭の誘導馬がいるわけじゃないんだから、と思ってしまいますが…そういう問題じゃないんでしょうね。
(文/写真・佐藤 到)
6月17日(日) 第35回一條記念 みちのく大賞典(盛岡ダート2000m 3歳以上オープン 地方競馬全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
逃げ馬が不在のためコアレスハンターが逃げ、前半3ハロンが36秒9。これは思った以上に速かったが、テンショウボスは不利のない絶好の4番手外をキープする。先陣の隊列は変わらず淀みないペースで進み、3コーナーから各馬がスパート。エアウィード、サイレントエクセルの手は動いていたが、テンショウボスは馬なりでコアレスハンターに並びかけ、ラスト100mで交わしてそのまま押し切る。
「スタートが抜群でしたし、サイレントエクセルが目の前にいたのでレース運びが楽でしたね。枠順が大外だったのも幸いしました。1200m(早池峰賞)で強い勝ち方をした直後だったので、2000mの距離が心配でした。実際、最後は一杯になってしまいましたが、何とか頑張ってくれました」と小林騎手。
レース展望にも書いたが、不安だったのは小林騎手のコメントどおり1200mからいきなりの2000m。 これは今回、勝ったあとでも本質的にはマイラー、もしくはスプリンターだと思っているが、テンショウボスの最大のいい点は折り合い面でまったく苦労しないこと。その素直な性格であるがゆえ、2000mの距離をこなしたと見ている。
今後については白紙。短距離路線を歩むか、中〜長距離路線を使っていくのかはジックリ考えたいと佐々木修一調教師。
2着 エアウィード
前回・あすなろ賞は5ヵ月半ぶりの実戦だったためさすがに動きが重く8着に敗れた。今回はひと叩きされた上積みはあっただろうが、馬体の張りは決して良いとは思えなかった。しかし阿部騎手が2番手につけたのが最大の好走要因。道中、ずっとコアレスハンターの直後につけ、直線でも渋太く粘って2着を確保した。
3着 サイレントエクセル
3番手外につけ、いつでも交わせる態勢かと思ったが、3コーナー過ぎから手応えが怪しくなり、板垣騎手がなんとか遅れを取らないように必死にしごく。外からゴール前でコアレスハンターを捕らえたものの、エアウィードを交わすまでの勢いはなかった。
装鞍所でカリカリしたところを見せ、テンションが明らかに高すぎたし、パドックでも発汗が激しかった。言い訳に聞こえるかもしれないが、通常のサイレントエクセルなら4コーナーまで持ったまま。3コーナーで手を動くのは距離云々より、自身の体調が本物でなかったことを裏付けているのではないか。
4着 コアレスハンター
逃げ馬が不在だっただけではなく、入厩後から入れ込みが激しく大幅に体重が減り、なんとマイナス24キロ。これがあるから競馬は難しい。それでも好枠に入ったこともあって逃げの手に出て道中も絶妙のペースで逃げ、直線でも驚異の粘りを見せたが、ラスト100mで一杯。
馬体重が通常どおりだったら、おそらく勝っていたかもと思わせるほどの渋太さ。改めて怖ろしいまでの底力を垣間見た一戦だった。