24日(日)メインはB1級馬による1800m戦「第30回ひいらぎ賞」、10頭立て。このレースに直結するのは12月9日、水沢1900mで行われたB1級・ディセンバーカップ。コレクトアンサーが果敢に逃げ、2番手ジュリアがハイペースを形成したため、前が総崩れの展開。直線で中団にいたブラックオーメンが先頭に立ったところ、大外から一気にヘライカントリーが強襲し、1着ヘライカントリー、2着ブラックオーメンという結果となった。
その再戦模様と見るが、主軸にブラックオーメンを推してみたい。シーズン当初はなかなかエンジンがかからなかったが、6月に今季初勝利をマーク後にグングンと頭角を現し、10月のJRA条件交流(東北産馬限定:岩手A2以下)へB3から強気の挑戦し、4着に善戦。この一戦をきっかけに、自己の条件に戻ったB2級で平場、楓賞、寒風山特別と圧巻の3連勝を飾った。
そして勢いを駆って臨んだ前走・ディセンバーカップでも1番人気に支持されたが、先に記したようにヘライカントリーの大駆けに遭って惜しくも頭差2着に敗れた。それでも2着確保が今の充実度の証であり、3コーナーから早めにスパートをかけ、勝ちに行っての2着だから評価は高い。また3走前の楓賞で水沢1800m戦を使い、マルカスティンガー以下に0・6秒差で完勝しているように、今回がベストの条件。前走の雪辱を晴らすには持ってこいの舞台となった。
逆転首位まで十分なのが、もちろんヘライカントリーだ。今季はシーズン始めに3勝をあげ、奥手が本格化と思わせたが、夏に体調を崩して凡走を繰り返していた。それが吹っ切れたのが前々走のB1戦で、ポンと好スタートを切って2着マンノダイヤモンドに1・4秒差の圧勝劇を演じた。続く前走・ディセンバーカップではスタートで後手を踏み、ほぼ最後方からの展開を強いられたが、逆にそれが功を奏して豪快な直線一気につながった。
今回は逃げ、もしくは2、3番手からの競馬になるであろうから、自分でレースを作れる立場。3連勝でA級入りを果たしたいところだ。
マンノダイヤモンドの前回は見事だった。中央未勝利ながら5戦2着2回3着1回と勝ち負けを繰り返し、今年11月に岩手転入。初戦は前記ヘライカントリーの大差2着に敗れたが、2戦目の前走は好ダッシュから見事な逃げ切り勝ちを収めた。何といっても3歳の若さが魅力で、まだまだ成長途上。ここでアッサリがあってもまったく不思議はない。
他では大崩ない差し脚が魅力のアドマイヤウイング、距離1800mがネックだが、道中でうまく貯めれば切れ味を発揮ドリームカーニバルも軽視はできないだろう。
◎ ?ブラックオーメン
○ ?ヘライカントリー
▲ ?マンノダイヤモンド
△ ?アドマイヤウイング
△ ?ドリームカーニバル
3連単は6、5を1、2着折り返しから8、3、2を3着流し
馬複は5−6、6−8、5−8、3−6、2−6
<お奨めの1頭>
6レース ブルートリニティ
岩手転入2戦とも危なげなく2連勝。今回は距離が1400mへ延長されたが、C2はフリーパス
23日(土)メインはB2級馬による水沢1600m戦「第7回男鹿特別」、10頭立て。好調馬、上がり馬、格上馬が入り混じり、激戦必至。馬券的にも非常におもしろい一戦となった。
人気はマルカスティンガー、ロックエモーションが集めるだろうが、ここは強気にニホンピロゼンを主軸に抜擢したい。一昨年12月デビュー後、9戦連続で連対。5連勝がかかった7月3日、B3C1級戦でハセノコンドルの2着に敗れたが、その時の1着馬ハセノコンドルは岩手転入後、無敗の8連勝を飾り、オープン入り間違いなしと言われている逸材(現在は脚部不安のために休養中)。その大物相手に最も差を詰めたのが、他でもないニホンピロゼン、B1級オーガストカップ2着エイシンアザレアの2頭(0・3秒差)だった。
それを考えればニホンピロゼンはB1級でも勝ち負けできる器と見て差し支えなく、唯一、連対を外したのは4ヶ月ぶりの実戦となったB2級6着のみ(11月12日)。この時は前走比プラス10キロと明らかに太め残りと敗因がはっきり。その後はひと叩きされて2着、そして前走はエイシンウルフオーとの競り合いを制し、キッチリ白星をマークした。
今回、メンバーは大幅に強化されたが、前走タイム水沢1400m1分28秒9も非常に優秀だし、初のマイルもレース内容、そして父マヤノトップガン、母父シービークロスならまったく苦にしないはず。仮にここを突破すれば一気にオープンまで上り詰めることができるかもしれない。
逆転筆頭格はマルカスティンガー。中央0勝、笠松5勝B級から今年転入。最下級C3から着実に白星を積み重ねて7勝。9月、B2昇級後は足踏み状態が続いていたが、前回、出遅れを喫しながら豪快なマクリを決めて快勝。これで弾みがついたと解釈できる。
ネックとなるのは前半に置かれ気味のため、展開が合わないと届かないケースがままある点。その典型が前々走・寒風山特別4着、4走前・楓賞2着で、対抗としたのはそれが理由。今回のメンバーを見るとペースはそう速くなることは考えられないが、それでも小回り水沢でコンスタントに38秒台の上がりを使える馬もそうはいない。地力で切り開いて2連勝の可能性は十分にある。
ワラッテオクレヨはシーズン半ばまで未勝利だったが、9月のC2戦からまるでつき物が落ちたように快進撃を続け、圧巻の4連勝を飾った。ここ2戦はメンバー強化され、楓賞、寒風山特別と連続3着止まりだが、前回・寒風山特別では0・1秒差まで肉薄。これでB2通用のメドも立った。
ロックエモーションも依然、底を見せていない。中央未勝利から昨年10月に岩手へ転入後、アッサリ4連勝を飾って再び中央入り。残念ながら結果を出せずに終わり、今年8月に岩手へ戻ってきた。再始動はC1からだったが、これまで<3.4.0.2>と抜群の連対率を誇り、前回もマルカスティンガー相手に2着を確保して水沢6戦4勝2着2回とした。
前回2着は距離1800mも影響したと見てもよく、今回の水沢1600m戦がベストの条件だろう。
他では前回・ディセンバーカップへ格下から強気の挑戦で0・3秒差4着にまとめたアクトジロー、前回は4ヶ月ぶりでも見事に快勝したトーホウライデンも軽視できず、これぞ激戦にふさわしいメンバーとなった。
◎ ?ニホンピロゼン
○ ?マルカスティンガー
▲ ?ワラッテオクレヨ
△ ?ロックエモーション
△ ?アクトジロー
△ ?トーホウライデン
3連単は9、2、7のボックスと9を1着固定に2、7、3を厚めに6、1を押さえ
馬複は2−9、7−9、3−9、6−9、1−9
<お奨めの1頭>
10レース トッチンコボ
微妙な名前だが、岩手転入後は5戦3勝2着2回と連対パーフェクト。11月18日以来の実戦でも底力でカバーする
またしても遠征競馬の難しさを味わうことになってしまいました。13日に川崎競馬場で行われたダート2歳馬の頂点競走、全日本2歳優駿GIに岩手から参戦したパラダイスフラワーでしたが、残念ながら9着。私も撮影+応援に現地へ行きましたが、若干入れ込み気味だったせいなのか、いつもの力強さをまったく出せずに終わってしまいました。
期待を膨らませて応援する私たちはついつい忘れがちになってしまいますが、競走馬という生き物にとって、何処ともわからない場所に連れて行かれ見知らぬ環境の中で競馬をするというのは大変なこと。西に東に飛び回り、どの競馬場でも力を出し切って戦える馬のほうがスゴイのであって、実力の半分も出せないのが当たり前といえば当たり前なのだ。ということを改めて教えられた先週と先々週でした。
ところで勝ったフリオーソ。この馬、馬っけは出すわヒンヒンいななくわでとても力を発揮できる状態には見えなかったのですが、それであの強い競馬で勝ってしまうのですからとんでもないですね。岩手の馬たちもこのぐらいの精神的タフさを身につけないと全国で結果を出すのは難しいということなのでしょう。もちろん、パラダイスフラワーもサイレントエクセルも、そしてオウシュウクラウンもまだまだこれからの馬。次の大舞台ではきっといいところを見せてくれるものと信じています。
さて先週の水沢競馬は時折、大粒の雪に見舞われました。といってもまだまだ本格的な雪降りではなく、地面がうっすらと白くなる程度でしたが、こうなるといつ開催が中止になるような天候の日があるやもしれません。冬の岩手競馬は、走路整備が追いつかないぐらいの降雪で人馬の安全が確保できないとき、視界不良により安全および競走の公正が確認できないときは主催者の判断で中止となります。皆さま、水沢本場にお出かけの際は公式ホームページ等の告知をご確認の上、出発して下さいね。
下の写真は18日(月)のメインレース、エクセレント競走のゲイリーエクシード。レースは菅原勲騎手騎乗のチュードサンデーが9ヶ月ぶりの白星を挙げましたが、先行有利の馬場でゲイリーエクシードもよく追い込んでクビ差の2着となりました。私の撮影ポジションからはどちらが前でゴールしたか判断しかねるので1・2着馬両方撮ったのですが、鉛色の空から降る白い雪と、その中を駆ける芦毛の馬体が照明に包まれ、なかなか雰囲気のある写真になりました。関係者には惜敗の写真を公開してしまって申し訳ないのですが、きれいに撮れたということでお許しを。
(文/写真・佐藤 到)
重賞「第32回早池峰賞」(水沢1400m オープン)
(写真・佐藤到)
1着 ヤマニンエグザルト
ハタノアドニスが果敢に逃げ、前半36秒台のハイペースを形成。前回同様、じっくり控える戦法を取ったが、「駒ケ岳賞(中団6、7番手を追走)とは違って反応が良かった」(板垣騎手)ため、向正面では早々と4番手インにつける。3コーナーでハタノアドニスが一杯となり、替わってオリエントボスが先頭。それを見てスパートをかけ、直線は最内コースを選び、オリエントボスが渋太く粘るところ、ラスト50mで交わして快勝。トライアル・駒ケ岳賞を含め3連勝を飾るとともに、待望の重賞タイトルを手に入れた。
「水沢は動きがひと息と聞いていたが、自分が乗るとこっち(水沢)の方がずっといい。ただ前回は追い出してからの反応が凄かったが、今回はちょっと物足りなかった。それでもしっかり勝ってくれましたから、この距離が合うんでしょうね」と板垣騎手。
昨シーズン(今年3月まで)は最下級C3スタートから13勝を荒稼ぎ。一気にオープンまで出世したが、今季は頭打ちのレースを繰り返し、駒ケ岳賞以前は平場戦の4勝のみに止まり、上限が見えたかに思えた。ところが駒ケ岳賞を強いレースで勝ち、続いて今回も連勝。おそらく1400mの距離も合ったと思うが、加えて父プレザントタップといえばタップダンスシチーが有名だが、その馬と同様、ここにきてさらにパワーアップしたと解釈したほうが適切。そう断言できるほど、ここ2戦の内容が際立っていた。
次走は適距離、守備範囲であるトウケイニセイ記念(水沢1600m)を使いたいと伊藤和調教師。
2着 オリエントボス
ハタノアドニスの逃げを見て2番手外を追走。ハイラップを刻んでいたが、楽に追走して3コーナーで先頭。その後も脚色は衰えなかったが、最後の最後でプラス8キロ(512キロ)がこたえて2着に敗れた。
理想は500キロを割る馬体重なのだが、想定外の512キロ。見た目にも腹回りが太く、ちょっと苦戦を強いられそうだと思ったが、何と渋太いこと。栗駒賞レコード勝ちでもそうだったが、この水沢1400m。そして速い時計勝負の馬場適性は抜群。できれば前に行く馬がもう少し粘っていれば、違った結果になったかもしれない。それほど内容的には文句なしだった。
3着 ダンディキング
1400mでは思ったほどスタートダッシュがきかず、1周目スタンド前はハタノアドニス、オリエントボスの間にはさまれてちょっと窮屈になったが、馬群がばらけた1コーナーでうまく3番手外に持ち出す。3コーナーでオリエントボスが動いたのと同時にスパートをかけたが、最後は伸び切れず3着に終わった。しかし控える競馬でも我慢できてこと、また初の一線級相手に上位入線を果たし、これで今後の見通しが非常に明るくなった。
なかなか本格的に寒くならない北国の冬です。今日の水沢競馬場は気温10度を超える12月とは思えない陽気。先週までは雪が積もって寒々した景色だったのですが、今週はすっかり雪が消えて無くなり、春かと思う日差しが降り注いでいました。
長い長い北国の冬、1日でも寒くなるのが遅くなるのなら、それはそれでいい事なんですけれども、寒くなると思っていろいろ支度をして、すっかり身構えて待っているのになかなか来ない、というのもなんだか落ち着かない気がします。
この日曜・月曜は雪の予報ですが、とはいえ気温が高めなので、どっかり積もるまではいかないでしょう。この先の天気予報を見る限りもうしばらく暖かい日がつづくようですし、それならまあ、つかの間の暖かい日々をのんびり楽しむ事にしましょうか。
月曜のメインレースはサラ系A1級によるエクセレント競走。日曜メインの栗駒賞を頂点に、土曜・月曜とA級上位馬のレースが組まれているわけですが、月曜のメインはその中では賞金順下位のメンバーという事になります。
ですが、ここにも31日の重賞・桐花賞の出走を狙っている馬がおり、決して気の抜けたレースにはならないのではないでしょうか。
本命はやはりこの馬でしょう、ゲイリーエクシード。A2級からA1・A2混合を経ていよいよA1級に足を踏み入れた、という今回ですが、実際はすでにオープンでも通用している馬。昇級となっても全く見劣りするどころか、逆に格上感すら漂います。
前走の勝ちは、直線ゴール前残り40mくらいまで来てそこから豪快に馬群を割ったという、ほとんどミラクルといっていいもの。いくら末脚堅実なこの馬とはいえ同じようなレースが何度も出来るとは思えませんが、しかし前に行きたい馬が何頭もいたせいで自分が行きそびれたという前走に比べれば、今回はもっと楽に追い上げを開始できるメンバー構成なのは確か。差し脚を使える位置に取り付ければ爆発します。桐花賞出走を狙って、ここは負けられない一戦でもあります。
対抗はチュードサンデーでいかがでしょうか。前走はコース状態もあったのでしょう、勝負所であっけなく後退してしまいましたが、本来はもっと粘り強く行ける馬です。この馬にとっても今回は楽に好位を追走できるメンバー構成。
そしてもう一頭はハセノベルカントを。転入初戦快勝後はやや物足りない成績も、ここに来てレース内容が良化中。戦法をいろいろ試しているうちに常識にかかるようになってきたようです。今回は頭まであるかもしれません。単穴候補。
以下、A1級で堅実に走り続けるマツリダブロッコと、得意の水沢マイルで見直してみたいツジジオット。前者は言うまでもない安定勢力。前走は2着争いながら、直線で前の馬を競り落とすという力強い内容を見せました。後者は近走不振ではありますが、得意の水沢マイルならもっと走っていい力の持ち主。逃げる可能性もあり要警戒。
買い目は7枠8番ゲイリーエクシードから1、4、5、10へ。“追い込み届かず”という事も十分あり得るので、できる限り裏目も押さえておくのが良いかと。
◇お奨めこの1頭/4R・カウントオンミー
転入初戦となった先週日曜の3R。+17kgと明らかに腹回りに余裕がある体ながら、スタートからポンと飛び出すとそのまま逃げ切り完勝。素質の違いを見せつけました。
その時の、走りながらもたぷたぷと波打つ腹回りが気になって仕方なかったのですが、連闘で絞れてくるなら当然主力候補。ここも逃げ切り濃厚でしょう。