先週は、寒くなってきたぞ〜という話を書きましたが、今のところ盛岡や水沢ではまだ雪は積もっていません。寒さの方も土曜は冷え込んだのですが、その後は一進一退という感じ。
とはいえ馬上でもろに風を浴びる騎手らは、徐々に寒さ対策が重装備になってきました。しかし寒ければ好きなだけ厚着すればよいファンの皆さんや我々カメラマンに比べて、あまりにも薄着なジョッキーたち。防寒装備といってもアンダーシャツにタイツ(ももひき?)、フェイスマスクと手袋ぐらいではないでしょうか。いくら馬の背中が暖かいとはいっても、これで寒風の中を疾走するのですからほとんど裸同然と言っていいでしょう。
私も冬の屋外で仕事をする人間ですから、「集中すれば寒さを忘れる」というのは理解できます。しかし例えばレース前、返し馬の間やゲートに集合がかかるまでの時間などは本っっ当に寒いでしょうね。私はスタートまでの待ち時間に、指先や体を無駄に動かして凍えないようにしていますが(水沢に来たら、走路脇でヘンな動きをしている私を見ても気にしないで下さいね)、鞍上ではそういう訳にもいかないでしょうし。
ところで先の開催で、ひとりだけ手袋をしていないジョッキーが目にとまりました。それは、水沢の山本聡哉騎手。あまりにも冷たそうなので騎乗後に聞いてみると、「素手のほうが手綱も鞭も持ちやすいですからね。このぐらいの寒さならまだ大丈夫です。でも本当に寒くなったら手袋しますよ」と言っていました。この先、聡哉君がどこまで頑張るか見守りたいと思います。
そういえば、96〜97年に短期免許を取得し岩手で騎乗していた日系アメリカ人のスコット・サイトウ騎手は、どんなに寒くても素手でレースしていました。彼もやはり「手綱の感覚を大切にするため」と言っていたと思います。
しかし普通は手が凍えてしまったら、その感覚も無くなってしまうのですが…やはりジョッキーというのはすごい人たちでなのですね。
(写真・佐藤到)
第6回阿久利黒賞(3歳 地方競馬全国交流 水沢1600m)
1着 オウシュウクラウン
大外からオグリホットが逃げ、2番手にダンディキング。オウシュウクラウンは前の2頭から2馬身離れた絶好の3番手外につけ、スタンド前で一瞬だけ掛かったが、あとはうまく折り合いをつける。オグリホットが快調に飛ばしていたので、オウシュウクラウンは3コーナーから徐々にスパート。2番手ダンディキングの手応えが怪しいと見るや、相手をオグリホットに絞って4コーナーでは早くも射程圏。
直線を向いて内で粘るオグリホットを貫禄の違いで交わすと、あとは余裕でゴール。2着テンショウボスに2馬身半差をつけ、G?3着馬の底力をマザマザと見せつけた。
「前回、重め残りの割に走りすぎた疲れが若干残っていたが、ダービーグランプリのようにイラついた感じはまったくなかった。前半のペースは遅かったんですが、以前のように掛かってしまうこともなく折り合いがついて乗りやすかった。この馬にも頑張ってもらわないと(岩手競馬も)盛り上がらないと思いますので、期待に応えることができて良かった。これからまた全国区で戦うことになるでしょうが、応援よろしくお願いします」と小林騎手。
前走では休み明けながら、古馬オープンを一蹴。今回は3歳同士ということで相手が大幅に弱化され、勝って当然のメンバーだったが、それでも不安はつきまとうものだし、オウシュウクラウンへの期待はもっと上のステップ。今後にもつながるレースを期待したのだが、その手ごたえは十分だった。
次走予定はG?・名古屋グランプリ(12月20日 名古屋2500m)かG?・東京大賞典(12月29日 大井2000m)に絞ったが、いずれのどちらを選択しても話題の1頭になることは間違いない。
2着 テンショウボス
前走・ウイナーカップから菅原勲騎手とコンビを組んだ。レースはオウシュウクラウンを外に見ながら4番手インを追走。オウシュウクラウンが動いてからワンテンポ遅らせてスパートをかけ、オグリホットはひとまず捕らえたが、オウシュウクラウンとの実力差は歴然。大型馬ゆえ小回り水沢は反応がひと息でこれは仕方なしだろうが、?2の意地はキッチリ見せた。
手薄な今の岩手古馬オープン陣ならファン投票「桐花賞」(12月31日 水沢2000m)でも勝ち負けを演じることができるほどの地力をつけたのは、今回のレースでも証明した。
3着 オグリホット
前回は盛岡芝1600mを舞台に行われた重賞・ウイナーカップを4角先頭で快勝。今回は交流レースで実績のないダートでどんな戦法を取るか注目を集めたが、それは果敢な逃げの手だった。前半3ハロン36秒7の平均ペースに持ち込み(オウシュウクラウン騎乗の小林騎手はスローに感じたそうだが)、スイスイ一人旅。3コーナーを回ってもスピードは衰えず、それでオウシュウクラウンが早めに動いたが、最後まで見せ場はタップリ。遠征のハンデを抱えながら、この善戦ぶりを評価したい。
4着 ダンディキング
休養前(7月8日 盛岡芝1700mガーベラ賞)の馬体重が445キロ。スプリングカップ圧勝時に比べ、マイナス20キロと大幅に減ったため、思い切って4ヶ月ほど休ませて今回、戦列復帰を果たした。
パドックで久々にダンディキングを見たが、馬体重はプラス21キロと数字的には回復。しかし馬体の張り、期待したほどのフックラした感じがなく、まだ本調子ではないのかなと言うのが正直な感想。
レースでは逃げると疑わなかったが、オグリホットが逃げる構えを見せたので2番手に控える。3コーナーあたりまでは手応えは悪くなかったが、オウシュウクラウンに外から被せられても反応がひと息。それで直線失速するのかと思ったが、4着入線。勝負付けが済んでからにせよ、思ったほどの失速ぶりではなかった。次走の変わり身に期待したい。
土曜日のJRA東京競馬・メインレースの東京スポーツ杯2歳ステークスに岩手のボスアミーゴが出走しました。結果は6着。決して悪い内容では無かったんですけど、目標が「上位に入って朝日杯出走」だっただけに残念な結果でもありました。
実は、というか、いちょうSの後、菅原勲騎手が「東スポ杯よりも京王杯にすればよかったなあ」という話をされていたんです。いちょうSの走りからするとボスアミーゴは、長い距離よりも短距離が合うタイプらしい。1800mよりも1400mの方が良かっただろう・・・という事だったのですが、結果的にその心配が的中する格好になってしまいました。
相手関係的にも東スポ杯の勝ち馬はかなり強く、一方京王杯2歳Sは、いちょうSでボスアミーゴのひとつ後ろの着順だった馬が僅差の3着に入っていて、そちらだったら勝ち負けに加われた可能性も。
勝ち負け云々の話だけでなくて、G1を狙うためにはローテーションの段階からミスは許されない、という事。でもマイル以下の距離ならそこそこ通用する事は証明できたと思いますから、来年の活躍を期待しましょう。
月曜のメインレースはA1・A2級混合のエクセレント競走になります。土・日とオープンやA級上位馬のレースが組まれていたのでA1級でもやや下位のグループ、A2級馬の方が目立つ印象になりました。
本命はやはりゲイリーエクシードでしょう。前走でA2級を勝ってここではA1級馬として出走。しかしこれまでの実績が示すとおり力はオープン級のものを持っています。水沢マイルもここまで完全連対となれば、黙って主軸に指名するのが妥当というもの。9歳馬ゆえ連戦の疲れがないかどうかだけ注意して、馬体重の大幅な変動でもない限りは信頼して良いと思います。
対抗はちょっとひねってハセノベルカントでいかがでしょうか。ここ3戦は勝ち切れていませんが、転入初戦、マイル戦でひと捲りに捲り切ってしまった走りが今でも鮮烈な印象です。前走の上位馬はいずれもオープン級、小回りさえ苦にしなければ力は足りると見ます。
そしてもう一頭はA2級の安定勢力・マイニングプレスで。1200m戦はさすがにこの馬には短すぎました。マイルになって巻き返し可能でしょうし、55kgで出走できるのもプラス材料。冬のこの時期も合います。
以下、差し馬勢で選んでチュードサンデー、テイクファイブを。前者はこれもこのクラスの安定勢力、近走は水沢得意の傾向が見えますが粘り強い走りが魅力。後者は再転入後今ひとつピリッとしないものの素質は通用しておかしくないでしょう。
買い目は7枠10番ゲイリーエクシードから3、7、8、12へ。軸順当と見ますが2着以下は混戦もありうるのでBOXを基本に。
19日(日)メインは3歳馬による地方競馬全国交流「第6回愛馬の会会長杯 阿久利黒賞」(水沢1600m)。川崎から2頭、笠松から2頭、迎え撃つ岩手8頭の計12頭で覇を競い合う。
この阿久利黒(あくりぐろ)とは胆沢地方(現奥州市周辺)で生まれた伝説の名馬で、鎌倉時代に編纂された「吾妻鏡」にも登場するほど。その名馬にあやかって命名され、第1回から3回までは特別で行われていたが、4回以降は重賞へ格上げ。また愛馬の会会長賞の冠もつき、毎年、水沢競馬場で記念イベントを実施している。
この次期に何故、3歳限定戦なのか疑問を持つ方もいるかも知れないが、今年は非常に興味深いメンバーがそろえ、非常に興味深いレースとなった。
まず一番手はもちろんオウシュウクラウンだ。何度も記しているので、詳細は割愛させていただくが、前回A1級戦がダービーグランプリ7着後、仕切り直し初戦となった。小生もパドックで穴が開くほどオウシュウクラウンに注目したが、腹回りが明らかに太く、しかも緩い。それは前走比プラス9キロ、過去最高体重の502キロでも明白だった。
それはダービーグランプリでレース中にアクシデントが発生したため、治療期間もあって乗り込み不足だから当然といえば当然。もちろん能力で克服してくれるとは思っていたが、半信半疑。逆に言えば再始動に古馬A1級戦(盛岡ダート1800m)は格好の一戦とも言えた。
そのレースだが、スタートは上々。しかし外からルーキーナカヤマに被せられてカッとなり、1周目スタンド前で掛かってしまった。小林騎手が必死になだめ、ひとまず落ち着いたが、スローに落ちた向正面でまた引っ掛かり、折り合いをつけるのに苦労している。
元々が気のいいタイプで、しかも間隔が開いたため折り合いを欠くのは納得。ペースが速くなった3コーナーからはスムーズな競馬を取り戻すことができた。そして直線、いつもなら手応えが抜群なのだが、この日は別。小林騎手が一瞬、本気を入れて追うほど反応が鈍かったが、ラストはさすがオウシュウクラウン。逃げたカシマハヤトに0・4秒差をつけて無事に再スタートを切った。
陣営は勝ったことにホッとしたが、それ以上に心配だったのは蹄叉の状態。いかに完治してからの出走とは言え、実戦になれば別でなんともなかったことに陣営は安堵した。
そのA1級戦を叩いて阿久利黒賞は当初の予定どおり。もちろん3歳限定ならば実力はけた違い。ここをステップに全国へ殴りこみをかけるためにも絶対、白星は譲れないところだ。
(不来方賞ゴール 1着オウシュウクラウン 写真・佐藤到)
軸は決定したが、ヒモ捜しがちょっと難解だ。実績ならテンショウボスで不来方賞でオウシュウクラウンの2着。また近2走、A1・2級戦2着、適性で若干劣る芝・ウイナーカップでも2着と地力アップは誰の目にも明らか。
ただ、不安点がない訳ではない。530キロ前後の大型馬に加え、太りやすい体質で地元水沢戦では絞るのには毎回苦労している。また本領発揮の舞台はコースの広い盛岡で小回り水沢になると手こずっているのは事実。それは水沢9戦1勝2着1回でも証明している。それで小生が出した結論は思い切って△とした。
では対抗はどの馬かというとダンディキングを指名してみたい。今シーズン開幕からガンガン飛ばし、七時雨賞、スプリングカップを連勝。アラブの名牝ミスハクギン譲りのスピードを如何なく発揮した。ところが歯車が狂い始めたのは盛岡遠征・岩鷲賞からで、そこで2着に敗れると岩手ダービー・ダイヤモンドカップ6着、サマーカップ4着、芝・ガーベラ賞6着。特にガーベラ賞では445キロまで馬体重が激減し、スプリングカップからマイナス20?も減っていた。
これではまともに走れないと判断した陣営は、思い切って休養することを選択。夏秋と完全にリフレッシュに専念させ、今回が4ヵ月半ぶりの実戦となった。常識的には一戦様子見が妥当だろうが、このタイプは使うたびに目減りする傾向が高く、むしろ休み明けがベスト。そう判断して○を打ってみた。さて結果はどう出るか。
単穴は笠松オグリホットにした。前走ウイナーカップは盛岡芝1600mが舞台で、中央でも適性ぶりを発揮した芝でエンジン全開。4角で早くも先頭に立ち、そのまま押し切る強いレースで待望の重賞タイトルを獲得。さすがオグリ一族、さすが桜花賞馬オグリローマンの子供と大向こうを唸らせた。
今回のネックは8月、大井・黒潮盃以来のダート。その時はメンバーも強くアスターバジルの2・4秒差11着と大敗を喫している。それを尺度にすればダートは苦戦かの印象だが、笠松・名古屋のダートで5勝をマーク。重賞、ダートグレードでは精彩を欠いたが、このメンバーだし、コース形態も水沢と酷似。ならばアッサリ克服して不思議はないだろう。
以下は前記テンショウボス、岐阜金賞2着オグリシルク、中央1勝・大井3戦0勝から転入、初戦のA1、2級戦を2着にまとめたケイアイデジタルの序列とした。
◎ ?オウシュウクラウン
○ ?ダンディキング
▲ ?オグリホット
△ ?テンショウボス
△ ?オグリシルク
△ ?ケイアイデジタル
3連単は11を1着固定に4、12、1のフォーメーション。8、9を3着押さえ
馬複は4−11、11−12、1−11、8−11
<お奨めの1頭>
7レース リヴァイアサン
3走前に12着しんがり負けを喫したが、その後は立ち直り気配で2戦2着。しかし今度は3戦3勝の水沢で久々に白星を飾る
11月15日、荒尾競馬場で「全日本レディース招待競走」が行われ、岩手から皆川麻由美騎手が参戦。レディーズジョッキーズシリーズ実施の連絡を受け、本人もやる気満々、相当気合いが入っていた。
それが端的に現れたのが第2レース、サラC級戦。2番人気テイエムピュアデーに騎乗した皆川麻由美騎手は、積極的なレース運びから2着に9馬身差の圧勝劇を演じた。
また全日本レディース招待競走第一戦でキャプテンルーカンに騎乗、6番人気ながら4着。続く第二戦も6番人気(ナイキセフティー)4着に入り、レディースジョッキーシリーズ総合4位につけている。続く高知、名古屋での健闘を祈りたい。
さて本題。18日(土)メインはオープン馬による短距離(水沢1400m)特別「第7回駒ケ岳賞」、11頭立て。このレースの1、2着馬には12月17日、同じ条件で行われる重賞・早池峰賞への優先出走権が与えられる。
主軸にオリエントボスを指名。今シーズンは12戦1勝のみだが、その1勝は価値ある1勝。7月2日、同じ水沢1400mで実施した地方競馬全国交流・栗駒賞を快勝し、マークしたタイムが1分25秒3。7年前、同栗駒賞でバンチャンプが樹立した1分26秒0をコンマ7秒更新。水沢1400mのレコードを樹立した。
その後は条件が合わず足踏み状態が続いたが、今回はベストと言える地元水沢1400m戦。しかも折り合いを気にしなくていい大外11番枠も引き当てたのも心強く、これまでのうっ憤を晴らすにはもってこいの舞台となった。
(写真は栗駒賞ゴール・1着オリエントボス 写真・佐藤到)
相手はベルモントシーザーが演じる。今年4月、南関東から転入して特別・あすなろ賞優勝。また古馬伝統のみちのく大賞典で3着、G?・マーキュリーカップ4着など一連の健闘ぶりが目を引く。
前々走・赤松杯は1番人気に支持されたが、ミサキノハンターの執拗なマークにあい、しんがり10着に敗れたが、前回A1級戦では珍しく中団からの戦法を取ってオウシュウクラウンの3着。道中、脚をためて直線伸びてきたレース内容は評価対象。
オリエントボスがレコード勝ちした栗駒賞はスタートで後手を踏んで6着だったが、これは展開のアヤ。岩手の結果を見るとマイルから2000mが好走の舞台だが、1400mもひとまず守備範囲。オリエントボスの2番手は譲れないところだ。
アッサリ勝つか、はたまた大敗の可能性があるのがシンボリスナイパーだろう。今年7月、転入初戦を強いレースで勝ち、続くすずらん賞では2番人気に支持されたが、折り合いをかいて8着。この内容に不満が残ったが、盛岡芝の重賞・OROカップでは大外一気を決めて快勝。待望の重賞タイトルを手に入れた。
前回A1級戦は後方のまま7着に敗れたが、これは1ヵ月半ほどレースから離れていたため。その一戦を叩かれて上昇必至だろうし、折り合いさえつけば強さは証明済み。今回も豪快マクリを披露するか。
ヤマニンエグザルトの充実度も見逃せない。昨シーズンは13勝と岩手トップの白星を荒稼ぎし、C3最下級から一気にオープン入りを果たしたが、今季途中まで1勝にとどまって頭打ちかの印象を与えていた。
しかし8月に入ってA1、2混合戦を快勝後、弾みがついてその後も2勝。前回は中団キープから鮮やかな直線抜け出しを決めて2着に0・4秒差の完勝劇を演じた。
通算18勝をあげているが、そのうち14勝が1400〜1600m戦と距離も合い、適性度を前面に上位割り込みを狙っている。
他では堅実派で定評のドントコイタカトモ、そして9月、OROカップ以来の11歳馬トキオパーフェクトは常識的には苦戦だが、昨年の覇者でありテッポー(久々)の方がむしろ力を出すタイプ。超大穴でお奨めしてみたい。
◎ ?オリエントボス
○ ?ベルモントシーザー
▲ ?シンボリスナイパー
△ ?ヤマニンエグザルト
△ ?ドントコイタカトモ
△ ?トキオパーフェクト
3連単は11を1着固定に9、5を厚めに。3着流しで2、4、5
馬複は9−11、5−11、2−11、4−11、6−11
<お奨めの1頭>
9レース インターサウンド
前回・オクトーバーカップは10着大敗を喫したが、これは適正のない芝だったから。一息入れたが、ダートなら強さはお墨付き