ばんえい競馬情報局とは?

ばんえい競馬の最新情報を提供します。重賞を中心に予想や回顧のほか、ばんえい競馬に関するコラムなどもご覧いただけます。
カレンダー
リンク
おすすめコンテンツ

« 2011年2月27日 | メイン | 2011年3月 4日 »

2011年2月28日 アーカイブ

1

ばんえい名馬ファイル(10) サカノタイソン

2011年2月28日(月)

不滅の連勝記録 サカノタイソン

tyson0.jpg
Photo●OPBM

 ばんえい競馬では、平地の競馬と比較して、絶対本命馬があっさりと敗れるという場面がそうめずらしいことではない。それはやはり一番の勝負どころである第2障害の存在が大きい。抜けた実力の馬でも、第2障害でひとつ歯車が狂って障害を越えられなければ、挽回不可能な差となってしまうからだ。

 それゆえ、ばんえい競馬では連戦連勝というのはなかなかに難しい。現役馬でいえばカネサブラックの安定感は誰もが認めるところだろうが、それにしても2着、3着に敗れることも少なくなく、条件クラスでの6連勝が最高だ。

 近年、ばんえいの連勝記録で注目を集めた馬にウィニングがいる。ばん馬としてはデビューがかなり遅く、4歳(1996年)の春。その4歳時、デビュー6戦目から10連勝を達成。これは当時のばんえい競馬の連勝記録だった。

 そのウィニングの記録をあっさりと、しかも大幅に更新する馬が現れた。それがサカノタイソン。

 サカノタイソンは、ウィニングと同じ1996年の2歳時にデビュー。ばん馬としてはゆったりとした間隔で使われ、年末までに無傷の7連勝。ウィニングの10連勝の記録を更新するかに思えたが、明け3歳となった初戦で2着に敗れ、連勝記録はストップした。

 しかし、冬季休催を挟んで4月の3歳シーズンから破竹の連勝が始まった。ウィニングの記録を更新したばかりか、その記録をじつに19連勝にまで伸ばした。

 その19連勝のなかには、4歳時の銀河賞、明けて5歳1月のポプラ賞などの重賞もあり、さらには古馬一線級と対戦したチャンピオンカップまで連勝街道を突っ走ったのだから驚きだった。

 ごく最近では、残念ながら先日死亡してしまったものの、マルミシュンキも連勝で注目を集めた馬だった。デビューから6連勝し、7戦目となったナナカマド賞(特別)で7着と初の敗戦。そこから再び連勝を続けたが、サカノタイソンの記録には遠く及ばず、11連勝で記録は途切れた。

 サカノタイソンとマルミシュンキには共通点があった。どちらも馬主が所有する施設、いわば"外厩"でも調教を積んでいたということ。それゆえ、両馬ともにばん馬にしてはかなり間隔をあけて使われることが多かった。つまりは、そうしてレースを選んで使わなければ、ばんえい競馬で連戦連勝というのは困難なことなのであろう。

 サカノタイソンの話に戻る。チャンピオンカップを制して連勝を19にまで伸ばしたサカノタイソンは、そのレースで4歳シーズン(明け5歳)を終える。どこまで連勝を伸ばすか期待されたものの、5歳シーズンの初戦(1999年6月)となったオープン戦であっさりと4着に敗れ、連勝記録はストップした。

 しかしそこまでは2着を一度挟んでいるだけで、デビューからチャンピオンカップ制覇まで27戦連続連対という記録も打ち立てたことになる。

 サカノタイソンに対しては当初、スピード馬とする見方も少なくなかった。しかしばんえい記念連覇を達成したことで、パワーも兼ね備えていることも示して見せた。

 ばんえい記念初挑戦は2001年。明けて7歳の2月だった。このときは、ばんえい記念史上初となる3連覇の期待がかかったシマヅショウリキが1番人気。早めに第2障害をクリアしたシマヅショウリキだったが、そこで力を使い果たしてしまったか、見せ場はそこまで。サカノタイソンと、9歳にしてばんえい記念初挑戦となったグレイトジャイナーの一騎打ちとなり、サカノタイソンがわずかの差でグレイトジャイナーを振り切った。

 このときサカノタイソンの手綱をとったのは、乗替りで初騎乗となった大河原和雄騎手。大河原騎手にとっても、ばんえい記念はこれが初制覇。サカノタイソンの主戦だった藤本匠騎手は、対するグレイトジャイナーの主戦でもあり、苦渋の選択が悔しい結果となった。

 しかし翌年、ばんえい記念連覇を果たしたときのサカノタイソンのソリの上には藤本匠騎手がいた。障害先頭は、これがばんえい記念初挑戦、6歳のスーパーペガサス。サカノタイソンが続いて坂を下ると、勢いそのままにスーパーペガサスを交わし、押し切って連覇達成。わずか1秒6差で2着に敗れたスーパーペガサスだが、その翌年からばんえい記念4連覇の金字塔を打ち立てることになる。

 19連勝。デビューから27戦連続連対。これらに加え、サカノタイソンにはデビューから43戦連続で単勝1番人気という記録もある。いずれもが、おそらくばんえい競馬では今後も破られることのない不滅の記録であろう。

tyson1.JPG
サカノタイソン引退セレモニー

 余談になるが、サカノタイソンはとにかくデカい馬でもあった。体高はオープン馬の中でも飛びぬけて大きく、青毛の黒光りする馬体も相まって、ひときわ威容を誇っていた。サラブレッドでも特に強い馬のことを"怪物"と表現することがあるが、サカノタイソンはその成績だけでなく、存在そのものが、まさに怪物だった。

文/斎藤修

(馬齢は、現在と同じ新年齢で表記)

サカノタイソン
1994年4月6日生 ペル系 牡 青毛
父 ペル・武潮
母 半血・サホロクイン
母の父 ベルジ・ジアンデユマレイ
北海道上川郡風連町 太田輝雄氏生産
競走成績/73戦50勝(1996~2002年)
収得賞金/66,355,000円
主な勝鞍/98年銀河賞(北見)、99年ポプラ賞(帯広)、チャンピオンカップ(帯広)、00年帯広記念(帯広)、01年ばんえい記念(帯広)、02年ばんえい記念(帯広)

tyson2.JPG

チャンピオンカップ 予想結果

山崎:馬複7-9 1,500円的中! 収支+850円
斎藤:馬複7-9 1,500円的中! 収支+850円
須田:馬単9→7 1,000円的中! 収支+800円
矢野:馬複7-9 200円的中! 収支-4,220円

【ここまでの集計】投資額 5,000円×22R=110,000円
矢野 吉彦 +10,080円
山崎エリカ - 6,410円
斎藤  修 -15,000円
須田 鷹雄 -40,750円

2/27チャンピオンカップ回顧

カネサブラックが3連覇を達成!

 27日は重賞・チャンピオンカップ(4歳以上、重賞競走優勝馬)が行われ、単勝1.3倍の圧倒的1番人気に支持されたカネサブラックが優勝。このレース史上初となる3連覇を果たしました。

 0.7%の馬場水分で800キロ前後の重量となれば、道中はゆったりペース。砂煙がもうもうと上がるなか、ナカゼンスピードがペースを掌握。これにニシキダイジンが続き、カネサブラック、ナリタボブサップも差なく追走。とはいえ、ほぼ横一線のまま推移し、勝負どころの第2障害を迎えました。
 いち早く仕掛けたのはニシキダイジン。その登坂を静観していた各馬ですが、ナカゼンスピード、カネサブラックがほぼ同時に登坂開始。なかでもカネサブラックが抜群の掛かりを見せ、ひと腰であっさりクリア。やや遅れてニシキダイジン、ナリタボブサップも突破し、実績馬3頭による巴戦の様相を呈しました。
 しかし、カネサブラックの末脚は勢いを増す一方。残り10メートルを切り、追い上げてきたナリタボブサップに差を詰められたものの、セーフティーリードを保ったまま。結局ナリタボブサップに6秒の差をつけ、カネサブラックが先頭でゴールしました。3着には障害4番手から押し上げたキタノタイショウが入線。

 今季は北斗賞勝ちしかなかったカネサブラックでしたが、ばんえい記念を前にしてきっちり勝利。過去2年と同様に、理想的なかたちで大一番を迎えることとなります。帯広記念などを見る限り900キロ以上の荷物では一抹の不安もありますが、今回の圧勝ぶりからも目下の充実ぶりは顕著。今なら1トンも克服できそうです。
 2着のナリタボブサップは障害でタメたのが功を奏したか、しまいは目立つ脚いろでした。これまで高重量でも実績を残していますが、こうしたレースができれば、もう一段のステップアップが可能。ばんえい記念でどんなレースを見せてくれるか、楽しみな1頭です。

成績はこちら
映像はこちら

松田道明騎手「こんなに楽に勝てるとは思っていなかったですが、前走から調子が良くて今回もプラス体重で臨めましたし、好勝負ができそうだと思っていました。きょうはナリタボブサップやキタノタイショウなどがいたので、これらより前で障害を越えられるよう注意していました。調子がいいぶん、障害を下りてから差されることはないと厩舎サイドも言っていましたからね。ばんえい記念もぜひ獲りたいと思います」

1
Copyright (C) OddsPark Banei Management Corp. All Rights Reserved.