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2007年7月 5日 アーカイブ

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やっぱり馬が好き(第36回) 旋丸 巴

2007年7月 5日(木)

観戦ボックスとフクちゃん

 読者各位は、御存知だろうか? ナイター期間限定で「ばんえい十勝観戦ボックス」なるお弁当が売られていることを!

kansenbox.JPG
ばんえい十勝観戦BOX(700円)

 地元素材で作られたベーグルサンドとスイーツ、それに牛乳と特製ウーロン茶缶まで付いるのだが、しかし、読者各位は更に更に御存知だろうか? このお弁当には、メインレースの予想が付いていることを!

 お弁当に入れられた予想メモは、予想の大名人が執筆したもの……ではなく、実は、古林先生と、そして、不肖・私が隔週交代で書いているんですよ~。あはははは

 と、しかし、笑ってばかりはいられない。「おお、そういう企画があるんなら、書きますわよ~」と気楽に引き受けたものの、この予想、書いてみるとなかなか当たらないから段々に焦り始めた。担当開始後3日連続で外した時には、「このまま、ずっと当たらなかったらどーしよー」と本気で心配したけれど、担当4日目の7月1日、白夜賞で、ついに単勝と馬複を的中させて、やった~。配当も馬複1000円。これでお弁当を買って下さった方にも満足いただけただろうと、胸を撫で下ろしたのである。

 とは言うものの、白夜賞を的中できたのは、実は、私の大大だ~い好きなフクイズミことフクちゃんが活躍してくれたから。という訳で、今回は「観戦ボックス」の話題と見せかけて、実は、フクちゃんのお話なのである。

fukuizumi.JPG
フクイズミ(撮影は昨年)

 今年新設された白夜賞は、白馬賞に続く芦毛限定レースで、しかし、現在、芦毛のオープン馬といったら、フクちゃん、ただ1頭。だから、白夜賞で優勝したのも、格から言えば当然だったのかも。

 さて、そのフクちゃんだけれど、かつては我らが谷さんも担当したことがあり、なおかつ、今、担当されているヤスさんともお知り合いになったこともあって、昨年来、注目して来たけれど、前述の如く、今や私はフクちゃんの大ファン。だってね、強いのである。愛らしいのである。なおかつ、個性的なのである。

 まず、私を魅了したのは、フクちゃんの「豪脚」。「あ~、今日も走りたくないわ~」と言った感じで、スタートから、のんびりと走り出すフクちゃん。ではあるけれど、第二障害を越した辺りから、ガラリ一変。どどどどど~と豪脚を爆発させ、足取りの重くなった馬を、「はい、失礼」とばかりにアッサリ抜き去ってしまうから、いやぁ、凄いんですわ。

 一時期、「差し馬」と言えばイケダガッツがその名を轟かせていたけれど、今や「怒濤の差し脚」と言えばフクちゃん。旭川記念で、あわやミサイルテンリュウを差し切るか、というほどの急追を見せた、あの場面、読者各位も記憶に新しいのでは?

 で、以下、フクちゃん担当の厩務員・ヤスさんと私の問答。

ヤスさん「あいつ、練習の時も障害見ると、速攻、不機嫌になるんすよね」

旋丸「ってことは、第二障害までは不機嫌なんだ?」

ヤ「そうです」

旋「じゃあ、ひょっとして、第二障害の後の、あの凄い脚は、おうちに帰りたいから?」

ヤ「その通り」

 という訳で白夜賞では私の予想通りフクちゃんの「おうちに帰りたい攻撃」が炸裂。優勝を勝ち取った次第で、めでたし、めでたし。

 さて、こんなフクちゃんだけれど、谷さんからも、こんな話を聞いた。元気溌剌のフクちゃん。普通の馬なら、レース前の調教は軽めにするのだが、そういった軽い調教では物足りないのか、フクちゃん、レース途中、第二障害の手前で一息入れるために立ち止まると、突如、前足を振り上げて、穴掘りを始めるそうな。「あっちに良いもの埋まってるかな~。こっちの方が面白いかな~」 ザクザク。

 かくて、フクちゃんは、レース前の調教でもハードに追われることになったとか。

 その甲斐あって、今は第二障害手前で遊ぶことはなくなったようだけど、「けど、今でも、二障害前で変な角度に前足が上がると、ギクッとします」とはヤスさん。

 こんなヤンチャなフクちゃんだけど、とっても人懐っこくて、厩舎にお客さんが来た時は妙に上機嫌になるそうな。かつまた、そんな日の翌日は、激走することもあるとか。

 余談ながら、こんな可愛いフクちゃんを、担当のヤスさんが心底愛しているのは言うまでもなくて、昨年末の騒動で、ばんえい競馬が廃止になったら、この方、フクちゃんと駆け落ちすることまで考えられたとか。

 勿論、冗談に決っているだろうけど、生きる道を亡くしたフクちゃんのことを思えば、そんなことまでも空想せざるを得なかったヤスさんの心中は察して余りある。

 ヤスさんを誘拐犯にしないためにも、ばんえい競馬が存続して良かった、良かった。

 さて、そんなヤスさんには野望があって、それが「フクイズミをファンに一番近い馬にすること」なんである。「近い」と言っても物理的には限界があるけれど、最もファンに愛される馬として活躍させ、ばんえい競馬を盛り立てて行きたい、というのが彼の目論み。

 可愛くて個性的なフクちゃんのことだから、放っておいても「ファンに一番近い馬」になってくれるとは思うけど、それでも、まだまだマイナーな、ばんえい競馬。読者各位も、是非、フクちゃんや、他の個性派馬に注目して、ばんえい競馬を今の10倍、いや、100倍楽しんでいただきたいのである。

 ついでに、観戦ボックスも買っていただければ、更に、楽しさは倍増する……かも。

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