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2007年6月 7日 アーカイブ

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やっぱり馬が好き(第35回) 旋丸 巴

2007年6月 7日(木)

ばんえいの馬主って楽しそう

 「た、た、た、たいへんですぜ、だんな」というメールが届いたのは5月31日。差出人は当情報局の斎藤編集長だから、何事ぞ、と急いでメールを開けば……。

 「土曜日の第3レースで、4戦目にしてはやくも直接対決です」とあるではないか! こりゃあ本当に「大変」ですぜ! と私もコーフンのあまり椅子から転げ落ちた。ドテッ

 何故、しかし、かほど斎藤さんや私がコーフンしたのか? ご説明申し上げると……。

 斎藤さんが知らせてくれた6月2日の第3レース「3歳戦」にはミヤビライコウとヤエノリュウが出走。

 実は、ミヤビライコウは、当コラムで珠玉のエッセイを発表されておられる馬券博士・古林大教授先生が、生産界の大物S氏と共有されているお馬。

 片やヤエノリュウは、他ならぬ斎藤編集長が、これまた共有ながら筆頭馬主として登録されている愛馬なんである。

 この両雄がデビュー4戦目にして対決、「ばんえい競馬情報局対決」が実現したのである。なおかつ、ミヤビライコウの生産者で古林先生と同馬を共有するSさんは、私の兄貴分的存在。対するヤエノリュウは、我が友・谷あゆみ調教師の管理馬。という訳で、二重三重に因縁深き両馬の対決なんだから、これがコーフンせずにおられようか。

 という訳で、これなるレースに、私が勇躍、駆けつけたのは当然。仕事の関係で、どーしても来られなかった先生と編集長、お二方の分まで応援することと相成ったのだが……。

 共に、2着1回、3着1回というライコウ君とヤエ坊。両馬、初勝利を目指してスタート。まずは差なく第2障害の下までたどり着いたけれど、ここからはヤエ坊が他馬を圧倒。力強く坂を登ったと思ったら、後はサクサクと直線を走りきってゴール! 見事初優勝を果たしたのである。

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力強く坂を登るヤエ坊(8番)

 谷さんによると、「バックの仕方も下手だし、まだまだ幼い」とのことだけど、なかなかどうして立派なレース振り。今後が楽しみですなぁ、斎藤さん!

 さてさて、他方、ライコウ君ですが、こちらは登坂にやや手間取って7着。とは言うものの、811キロという小柄な馬体で、あのメンバーと互角に戦ったんだから大したもの。

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力走するライコウ君(9番)

 ヤエ坊もライコウ君も、じっくり育てれば、かなりの成績が上げられるだろう、と、そう予感させるに充分なレースだったのである。

 さて、しかし、である。このレースを見ていて、つくづく考えたのは、「ばんえい競馬の馬主って楽しそう」ということ。

 だって、そうでしょ、馬代金はサラブレッドと比較にならないくらい安価だし、何より、長く楽しめるのが良い。

 確かに賞金は安い。ヤエ坊が勝ったレースだって1着賞金は10万円! 草競馬の賞金かいな、と耳を疑うほど微々たるものである。

 でもね、デビュー2、3戦で、ほぼ取捨選択が決定されてしまう平地と違って、ばんえい競馬の場合、2歳戦は本格的競走のための前哨戦みたいなもの。誤解を恐れず敢えて比喩すれば「小学校の運動会」のような競走で、勿論、みんな本気モードで走っているけれど、これで完成ということはないのである。

 だから、デビューして数年後に素質開花する馬が多いのも、ばんえい競馬の特徴。かの「ばんえい記念4連覇馬」スーパーペガサスだって、2歳時は20戦して1勝のみ。3歳になってからメキメキ頭角を現し、あそこまで成長した馬なのである。

 しかも、ばんえい競馬の場合は、平地より出走回数が多いから、その分もお得感満載。

 ま、しかし、「ばんえいの馬主って楽しそう」と考えた、本当の理由は、古林先生、斎藤さん、共に、実に楽しく、嬉しく、持ち馬のことで、はしゃいでらっしゃるのを間近で見たせいなんである。

 古林先生などは、能力試験の日から「2010年度ばんえい記念優勝馬ミヤビライコウ!」とテンション上がりっ放し。お会いするたび、電話でお話しするたび「今は小柄なライコウ君やから、イレネー記念はいらん。目指すは3年後の、ばんえい記念のみ」とか「大口君にも、ばんえい記念、取らせてあげたいしねぇ。かっかっかっ」と呵呵大笑。のみならず、学生さんをだまくらかして、食事1回でライコウ君のイラストを描かせては、これを使って「ライコウ君グッズ」なるものを制作・販売するべく画策中。完全にライコウ君に「やられている」訳で、北海道を代表する経済学の大家が、おいたわしや……ううっ。

 と、まあ、しかし、笑かしに命を賭けている古林先生が夢物語を語るのは、ある意味、予想の範囲内だったのだけれど、予想外だったのが斎藤編集長。冒頭のメールの他にも、ヤエ坊の馬主欄に御自分のお名前を発見された時も、「どひゃ~」というメールが送られて来たし……。正直申し上げて、最近まで私は、この編集長をクールこの上ない方だと信じていたけれど、こうして無邪天真に歓ばれる姿を見て、何だか凄く安心しているのである。

 かくて、冷静沈着な編集長をも破顔させる「ばんえい競馬馬主業」。儲かる可能性は少ないけれど、宝くじと同様「当たったら……」と想像する楽しさまで含めれば、少額で随分楽しめること請け合い。

 あなたも、ばんえい競馬の馬主になって、夢を見てみませんか?

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●編集部より
NAR地方競馬全国協会のホームページには、「地方競馬の馬主募集中!」というページがあります。興味のある方はご覧ください。

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