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2006年12月29日 アーカイブ

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やっぱり馬が好き(第29回)  旋丸 巴

2006年12月29日(金)

思いがけず出会った幸せ

 全国の皆さん、本当に、本当に、本当に、有難うございました! もう既に、矢野さん、斉藤さん、古林先生が喜びのコメントを載せているので、今更、私がコメントするのもオマヌな話だけど、本気で「九割九分ダメ」と思っていた存続がかなって、しみじみ嬉しいのですよ。そして、皆さんへの感謝の気持ちが後から後から沸きあがるのですよ。

 なので、まずは何をさておいても、全国の皆々様に心より御礼申し上げるのである。

 いや、しかし、それにしても、である。本情報局の執筆人の活躍は素晴しかった。手弁当で東京から幾度も帯広競馬場に駆けつけて活動してくれた矢野さん。札幌で署名活動を繰り広げた古林先生。海外出張に飛び回りながら徹夜で提案書をまとめてくれた斉藤さん。いやいや、御三方共、他にも、もっと色々な活動をされていたのだけれど、そのバイタリティーには恐れ入るしかなかったし、それだけ、ばんえい競馬を愛して下さっているということを再確認できて、本当に心強かった。

 この御三方を始め、全国の皆さんに後押しされる勢いで、私も10月下旬以来、無闇に走り回っていたけれど、そんな中で思いもかけない「幸せ」にも出会えて、やっぱり「情けは人のためならず」よね~。

 その「幸せ」というのが、色々な人々と出会えたこと。その一人一人を掲げていたら、それでなくても長い拙文がエンドレスになってしまうので、断腸の思いで、お一人だけに絞れば……。

 西弘美騎手! この方とお知り合いになれたことが、この上なく、素晴しく、メッチャ、嬉しかったのである。だって、ですよ。西弘美騎手と言えば常にリーディングの上位で活躍する名手。そんな方と近しくお話できるなんて、これを僥倖と言わずして何という。

Nishi  西騎手と会ったのは、12月4日、帯広市内での街頭署名の場で。そこで、あの御馴染みのトリコロールの勝負服に身を包んだ姿を見つけたから、矢も立てもたまらず声をかけさせてもらった。

 何と言っても一流騎手の西さんであるから、最初はこわごわ挨拶をさせてもらったのだけれど、話してみれば西さんの何と優しいこと。坂本騎手も紳士だけれど、西さんは更にソフトで、数分もしないうちに旧知の友達と話しているような気分になった。

 けれど、私が驚いたのは、その人当たりの良さだけではない。この名手、何たって背が高いのである。

 「そうだね、騎手と名の付く人間の中では、ばんえいの騎手が一番背が高いだろうね」と、微笑む西さんの顔を背の低い私は仰ぎ見ながら、知り合いの新聞記者にねだって写真を撮ってもらった。

 12月4日と言えば、「ばんえい競馬廃止」の大々的に報道されていた最中。そんな危機的状況で、こんなミーハー写真を撮ってもらっていたのだから、自分ながらどうかと思うけど、逆を返せば、こんな一幕でもなければ、とてもやりきれなかった。それほど辛い時期でもあったのである。

 寒風吹きすさぶ帯広市内での署名活動も終わり、別れ際、私は西さんに声をかけた。

 「明日からのレース頑張って下さいね。西さんの馬券買いますから儲けさせて下さいね」

     *      *     *

 翌日、帯広開催第1日目。競馬場に駆けつけて第2レースのパドックにかじりつけば、昨日、記念写真を撮らせてもらった西さんが……。約束通り、西さんの馬の馬券を買おう、と決心して、しかし、そこで魔がさした。パドックから本馬場に向かう馬達の中に、尾花栗毛の可愛い馬が悠然と歩いて行く。

 「む、私好みの馬」

 そのままフラフラと窓口に向かった私が買った馬券は……、西さん騎乗の2番ではなく、「私好みの8番」の単勝。

 賢明な読者諸氏なら、もう結果はご推察されただろう。そう、西さんの完勝。お約束のように私は馬券を外した。

 「でも、次のレースにも西さん出てますよ」と慰めてくれたのは、昨日、前掲の写真を撮ってくれた記者氏。それなのに私ったら、「いや、いかに名手でも、まさか2レース続けて勝たないでしょう。次は人気薄だし」と、またまた、西さんを裏切って、他馬の馬券を勝ったのである。

 ま、ここまで書いたら結果は言うまでもないでしょ。はいはい、ご明察。西さんは、人気薄の馬で見事1着。単勝1500円ほどもつけたのだから、嗚呼!!!

 「そういう不義理なことをするから。ははは」と古林先生に笑われ、しかし、言われるまでもない。私のバカバカバカ~!!

     *      *     *

 それにしても、である。パドックでの西騎手は前日の柔和な印象とは一変。実に実に凛々しく、厳しく、精悍であった。そうそう、この顔が競馬場での西さんのお顔、と、ひとりごちて、柔和な日常と、気迫の勝負当日と、そのメリハリの付け方の厳しさに、改めて、一流騎手の「凄さ」を実感させられた。

     *      *     *

 西さんのご子息が騎手試験に合格した、というニュースを聞いたのは、それから間もなく。20歳の西ジュニアが、どんな方なのか、私は知らないけれど、きっとお父さん同様、優しさと厳しさを兼ね備えた名手になられることだろう。

 名人の域に達した父と、その血を受け継ぐ若鷹、二人の競演は来年度から。

 そんな素敵な対決が見られるのも、ばんえい競馬が存続したからこそ。いや~、改めて、ばんえい競馬が存続して良かった。本当に良かったね、皆さん。

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