幸せになりたかったら競馬場へ
いやいや、ついにやって来ましたね、待望の帯広開催が。厳寒の山村に住むものにとって、冬は「寒いし雪降るし、やだなー」っていうのが正直なところ。なんだけど、ばんえい競馬が来る、という楽しみがあるから冬の到来も結構待ち遠しいのである。
そんな訳で、12月3日帯広開催初日には、いの一番に競馬場に駆けつけたのは当然。
「いやー、久しぶりの帯広競馬場はいいなぁ」と大声で叫んだのは、けれど、私ではない。競馬場に入った途端、近所の馬好きのオジサンに出会って、このオジサンが顔中に笑顔を貼り付けて、私に、こう言ったのである。
もっとも、周囲を見渡せば観客席にもパドックにも、そんなファンの笑顔が溢れている。どこぞの映画評論家じゃないけど、「いやー、競馬って本当にいいですね」という陳腐なセリフが頭を駆け巡る。競馬初日は、いつだって私の頭はオーバーヒートしてしまうのだ。
ただし、今年は、いつもと違うこともあって……そう! 今年はエキサイティングゾーンなるものが登場。私のヒートアップした脳みそを更に熱くして……。
ご承知の通り、今年から導入されたエキサイティングゾーンは、ばんえい競馬の「華」=第二障害付近に設けられたスペース。今までは、ばんえいのコースの手前に、かつて使われていた平地用のコースが挟まっていて、つまり、それだけ遠くから観客はレースを見ていた訳だけど、エキサイティングゾーンと称して、内側の旧コース部分を開放。観客は、間近で馬達が障害を駆け登る姿を見られるようになった、という次第。
なるべく近くで馬が見たい、というのが常日頃からの願いである私にとって、こんな嬉しいことはなくて、だから、馬券購入もそこそこに、早速、これなるゾーンで観戦。うーん、やっぱり迫力が違うわ、と感心も得心もしてしまったのである。
はてさて、こうして間近で競馬を観て、パドックで馬を観察し、スタンドで熱々のラーメンをすすって(帯広競馬場のラーメンは堅ゆでで美味しいのよ! ちょっと塩っぱいのが、関西出身の私には難だけど)、もう、こうしているだけで私は幸せ。
勿論、スーパーペガサス級の強い馬や、アンローズのような贔屓の馬、はたまたヨコハマボーイみたいに耳元の個性的な馬なんかのレースを観るのも好きだけど、格下の無名馬達を観ながら、のんびりと競馬を楽しむ……これまた競馬の醍醐味。
ポケットの中で馬券を握り締め、反対の手に持った甘酒で体を温めながら、昨日までは名前も知らなかった馬に声援を送る。
こんな素敵な時間って、なかなか見つけられるもんじゃない。
という訳で、皆さん、幸せになりたかったら、帯広競馬場に行こう! その結果として財布に寒風が吹いても責任は持たないけどね。