鈴木圭一郎の不在は29期コンビが埋める!
新年度一発目の開催は浜松オートの3日間短期決戦。この開催から新しいランキングが適用されるが、全国1位は5期連続で浜松の鈴木圭一郎。ただし、その鈴木圭はプレミアムカップの落車の影響で不在。さて、どのようなシリーズになるのか。
今回出場するS級陣は、ほとんどの選手が山陽のプレミアムカップ以来のレースになる。
浜松勢は鈴木圭がいなくても層が厚い。浜松でランク次位は佐藤貴也の7位。前回は2位だったので5つランクを落とした形だが、走りそのもののキレは変わっていない。プレミアムカップは準決3着で優出できなかったが、最終日は試走28、上がり342のタイムをたたき出すなどエンジン面は良好。その同期の金子大輔は、プレミアムカップでパーツ交換を施し、最終日に一定の成果が出ていた。
今期からS級の仲間入りになるのは鈴木宏和。スタート力に磨きがかかっており、その点においては全国1位といっても過言ではない。実際に、プレミアムカップの準決に進出した各選手は、鈴木宏がどの枠を選ぶかを気にしていた。鈴木宏の内枠は敬遠したいと思っている選手が多かった。長らく浜松でエースを張っていた伊藤信夫は、プレミアムカップの準決が不成立で優出の権利を得られなかった。ただ、エンジンはその前の節から好調を保っている様子だった。
外来S級で注目なのは松尾啓史。地元で開催されたプレミアムカップでしっかりと優勝戦まで進んでいた。優勝戦では序盤の展開作りがうまく行かず道中は苦しんでいたが、エンジンの方は良好だった。調子の波が穏やかな同選手なので、しばらくは連絡みが増えそうだ。
他では佐藤裕二、内山高秀、佐々木啓、田中賢がS級として参戦。田中賢以外の3者はプレミアムカップで思うような結果が出なかったが、一般開催の今回なら優勝争いにまで加われる実力の持ち主。田中賢は前走が飯塚の一般開催。準決は4着だったが、それ以外の3走はオール連対。調子が上がっている。
A級は泉田修佑と辰巳裕樹に注目。泉田は前走の地元3日間開催で嬉しい初優勝を決めてきた。それまでも優勝戦で惜しいレースはあったが、前走でしっかりと結果を残せた。同期は黒川京介が一歩抜け出ているが、泉田も成長の余地は無限大。これからの進化が楽しみな選手。そのレースで準優勝だったのが辰巳。こちらも31期でまだまだ成長する可能性は大。
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主な出場予定選手
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佐藤 貴也〔浜松 S-7(29期)〕
金子 大輔〔浜松 S-8(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-19(32期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-30(24期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-15(26期)〕
内山 高秀〔伊勢崎 S-20(26期)〕
佐藤 裕二〔川口 S-41(24期)〕
早川清太郎が地元総大将として獅子奮迅の働きを!
今回の伊勢崎開催は青山周平や高橋貢が不在。地元ランクトップは早川清太郎で、西原智昭らのS級とともに外来勢を迎え撃つ。その外来勢は強力な選手が多く、特にA級に調子を上げている選手が見られる。
早川は前走のプレミアムカップでは思ったような走りができなかった。2日目に1着はあるものの、タイムの面では足りないし、その後のレースも早川らしい追い込みが決まらなかった。ただし、早川は地元での競争で最も力を出せる選手。遠征がイマイチに終わったからといって、今回も厳しいレースになるとは限らない。そして、地元の総大将として伊勢崎勢を盛り上げる走りに期待したい。
西原も前走のプレミアムカップでは不本意な結果に終わった。課題のドドドが完全には解消せず、全力の走りができない状態だった。今回は地元なので整備もやりやすく、ドドドが解消するなら思い切った走りができるハズ。この時期なら試走30を切るタイムをマークしたいところ。
外来S級は山陽の岩崎亮一が前走のプレミアムカップでは準決まで進んだが、そのレースは不成立になり、予選中のポイントが足りずに優勝戦へ進むことはできなかった。ただ、シリーズの道中でエンジンを組み直し、パーツ交換する大整備に入ってからはエンジンが上向いた印象がある。反して、角南一如はいつもの迫力ある捲りが見られず、伊勢崎走路で変身なるか。
川口からは岩田裕臣がS級として参戦。前走のプレミアムカップでは武器のスタート力を駆使し、レース序盤から有利な展開を作れていた。準決は岩崎と同様に不成立になってしまい悔し涙を飲んだ。今回はその時のぶんまで、思いを走りに乗せて臨みたい。
A級では佐藤摩弥と藤岡一樹が好調。どちらも前走のプレミアムカップで優勝戦まで進出していた。優勝戦では佐藤摩が3着、藤岡が6着だった。佐藤摩は元々スタート力に定評があるが、それが更に進化したかのように切れに切れまくっていた。レース道中もペースを上げて逃げることができるようになっており、選手としての総合力が増している。藤岡は一時期、軽いスランプに入っていたが、ここ数節はかなり良くなっている。本来のスピードが戻っており、高速レースでも対応できている。今年1月のシルクカップで1着はなかったものの、マズマズの走り見せた前田淳の動向にも注目を。
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主な出場予定選手
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早川 清太郎〔伊勢崎 S-10(29期)〕
西原 智昭〔伊勢崎 S-19(28期)〕
岩崎 亮一〔山陽 S-26(25期)〕
角南 一如〔山陽 S-40(27期)〕
岩田 裕臣〔川口 S-42(31期)〕
前田 淳〔山陽 A-5(27期)〕
佐藤 摩弥〔川口 A-28(31期)〕
藤岡 一樹〔山陽 A-29(29期)〕
今年度最後の飯塚ミッドナイト開催!
今回はミッドナイト3日間開催。ミッドナイトには珍しくS級選手が多く参加する。そのS級は全て前走が山陽のプレミアムカップ。A級上位の選手も前走はプレミアムカップで、レースの時間帯が大きく変わるとは言え、その時の動きが大いに参考になる。
今回出場する中でランクトップは篠原睦。プレミアムカップでは準決5着で優出はできなかったが、それ以外のレースは全て車券に絡めていた。オープン戦で、武器となるスタート力を発揮していた。道中の動きはやや不満が残る内容だったが、今回のシリーズなら格上の捌きを見せ付けそうだ。優勝候補トップに挙げられる。その篠原と同期の田中茂も今回は参戦。プレミアムカップでは、シリーズ前半に勢いがつかなかったが、後半2走はともに連対。エンジンは尻上がりに良くなっていた。
他に地元S級は重富大輔、別府敬剛、岩見貴史の3車。重富と別府は前走ではピリッとしなかった。岩見は前走で新車に乗り替わった。ここでは成績が安定しなかったが、これはタイヤ選択による影響が大きい。エンジン自体は悪くなさそうなので、今回にもつながりそうだ。
外来S級で注目は中村友和、加賀谷建明。中村はこのところずっとドドド、に悩まされていたが、前走の後半から症状が軽くなった。その結果、最終日には1着を挙げていた。加賀谷は前走の初日こそ1着だったが、その後は失速。ただ、シリーズ中に大きな整備に入っており、その成果が今節あたりに出てくるかも。
鈴木清と平田雅崇、岡部聡はエンジンまずまず。鈴木清は好スタートからの速攻に期待でき、岡部は混戦での冷静な走りが得意、平田は強気の突っ込みを武器に車群を切り裂くタイプだが、前走の3日目に反則妨害を犯しており、しばらくは攻めが慎重になるかも。
A級では近況、更なる成長を見せているのが仲田恵一朗。最重ハンからでもスタートで枠ナリに出られるようになってきた。レース道中も名前負けしない走りができている。また、小林瑞季は前走のプレミアムカップで2着が3回あった。強豪相手でもしっかりとスタートを決めていたのが印象に残っている。エンジンが好調なのは西村龍太郎。前走は補充ではあったが、プレミアムカップで4走して全て連対。長田恭徳あたりもスタートや走りが上達してきている。
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主な出場予定選手
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篠原 睦〔飯塚 S-7(26期)〕
田中 茂〔飯塚 S-22(26期)〕
重富 大輔〔飯塚 S-27(27期)〕
鈴木 清〔川口 S-18(23期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-41(27期)〕
中村 友和〔浜松 S-25(32期)〕
松山 茂靖〔浜松 S-36(26期)〕
岡部 聡〔山陽 S-46(19期)〕
鬼の居ぬ間にどの選手がチャンスを掴むか!
今回は特別GIプレミアムカップの開催直後でS級選手は不在。更にA級上位も不在で、A級中堅以下とB級による戦いになる。いつもは強豪に優勝を持っていかれがちな選手にとっては、今回は絶好の優勝チャンス。混戦のレースが多くなりそうだが、果たして...。
開催地となる川口で、出場する中でランクトップは篠崎実だったが、私病で欠場。今回からハンデ軽くなってる中山光が川口勢を引っ張ることに。中山透の動き(特にアウト戦)に迫力があり、中山ブラザースの動向に注目したい。
前回GIでマズマズ活躍したのは牧野貴博、深谷輝、黒川京介、平川博康、吉田幸司あたり。牧野は落ち着いたレース運びに定評がある。スピード戦では厳しい場面も多いが、ゴチャ付いているような展開では冷静に展開を突いてくる。深谷は爆発力が魅力。スタートや序盤の位置取りには難があるが、軌道に乗ると車速が上がるタイプ。平川や黒川も同様で、自分のリズムで走れる展開だと力を最大限に発揮してくる。吉田は昔から速攻が最大の武器。短ハンデ戦になるなら序盤で勝負をつけるシーンが多く見られる。
外来では桜木公和が、ミッドナイトレースで優勝しての参戦。レースの時間帯は昼間に移行するが、優勝の経験が乗り手に自信を与えてくれるだろうから初日からその走りには注目したい。湯浅浩は地元の開催で優出していた。19期と、ベテランの域に入りつつあるが、元々センスの高かった選手で、エンジンを高い位置で安定させるのは巧い。
伸び盛りの33期勢にも注目したい。先述の黒川が現在のところ同期でトップ選手だが、同地区の泉田修佑や稲川聖也も着実に成長を見せている。外来では伊藤正真が今年、初優勝を決めて上り調子。山陽の青木隆浩は前走の伊勢崎のB級戦で優勝戦まで進んでいた。
そのB級戦では、川口の高橋祐一が久しぶりの優勝を決めていた。それもオール連対の好成績。そのレースには稲原良太郎や田中泰彦も乗っていた。特に稲原はA級に匹敵する実力を持っているので、ハンデの利を生かして好走がありそう。
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主な出場予定選手
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中山 光〔川口 A-63(32期)〕
広瀬 勝光〔川口 A-79(30期)〕
牧野 貴博〔川口 A-81(24期)〕
中山 透〔川口 A-149(31期)〕
湯浅 浩〔伊勢崎 A-73(19期)〕
辰巳 裕樹〔浜松 A-55(31期)〕
阿部 仁志〔飯塚 A-59(29期)〕
矢野 正剛〔山陽 A-144(31期)〕
中村雅人が圧巻の走りでプレミアムカップ初制覇!
山陽オートで行われていた特別GIプレミアムカップは、川口の28期・中村雅人が初めて同タイトルを奪取した。レースは序盤で中村が先頭に立つ展開で、そのまま楽に逃げ切った。
試走タイムは新井恵匠が一番時計の24、次いで中村が25。そして青山周平と松尾啓史が26、藤岡一樹と若井友和が27、佐藤摩弥が28、最後が浜野淳の33だった。浜野は準決で落車し、ばたばたと整備せざるを得なかったので仕上がり不足だった感は否めない。
レースはまず、最内の青山が先行する。これに3枠の中村が乗って出る形。トップスタートを切ると予想していた佐藤摩は3番手発進だった。外枠は藤岡がやや遅れた以外は枠ナリ発進。
青山が逃げ態勢に入るかにみえたが、中村が珍しく序盤から仕掛けていく。しっかりと態勢を作ると青山のインに切れ込んだ。これが功を奏し、しっかりとコーナーを回り切る。結果的にこのままゴールを迎え、中村が優勝を決める。2番手にはトップスタートを切りながら中村に交わされてしまった青山が、3番手からプレッシャーをかけてくる佐藤摩を封じ込んで準優勝。4着には新井との争いを制した松尾が食い込んだ。
中村は2016年以来の記念レース制覇。一時は破竹の勢いを見せていた中村の実績からすれば意外とも思えるくらいの久々の栄冠。青山や鈴木圭一郎など、若手からの突き上げがあり、思うような結果を残せていなかった中村だが、捌きの腕だけに焦点を当てれば、オートレース界でも最上位グループに入るモノを持っている。エンジンが並以上、もしくはシリーズ中で5位までに入るようなら、的確かつ強烈な突っ込みを見せることができる。鈴木圭一強になりつつあるオートレース界に、待ったをかけるべく強力な存在感を示す選手の一人になるのはこの中村だ。