「赤レンガ」は国の重要文化財に指定されている北海道庁旧本庁舎の愛称。札幌市内にある旧跡だけに、これまでは時期をずらすなどしてちょっと無理をしても札幌競馬場で行われてきたレースだが、さすがに通年門別開催では門別競馬場でやるしかない。門別競馬場で行われるのは、00年、07年に続いてこれで3度目。
転入初戦の馬や、昨シーズン以来となる馬ばかりで力関係の比較が難しいが、やはりコパノカチドキが中心。昨シーズンは、ステイヤーズカップ、瑞穂賞、道営記念と3連勝で大ブレイク。遠征した名古屋グランプリJpnIIは大差の5着だったが、それでも地方馬最先着だった。今年もホッカイドウ競馬の古馬戦線では中心的存在となるだろう。
昨年の星雲賞の勝ち馬ゴッドセンドは、道営記念では10着だったが、その後高知に移籍して高知県知事賞を制した。高知ではオープンクラスで7戦して3着を外したのは1度だけという安定した成績。冬の間も順調に使われてきたのはプラス材料。
ミスティックダイヤは道営スプリントを制すなど短距離路線で活躍してきたが、10番人気で臨んだ道営記念で3着と好走。確かに勝ち星は1200メートル以下に集中しているが、長い距離でも勝ち星がないとはいえ、それほど悪い成績ではない。ゆったり流れる展開なら、好位を追走して粘り込みたい。
中央から移籍して1年5カ月ぶりの実戦となるピースデザインは、中央時代は準オープンでの好走歴もあり、仕上がっていればこのメンバーなら上位争いも。
フジノダイヒットは、昨シーズン終盤は取消、除外と順調に使えなかったが、瑞穂賞では人気薄ながらコパノカチドキからコンマ4秒差の3着と惜しいレースをしていた。
スタンドアチャンスは、重賞初挑戦となった道営記念で4着。中団~後方から追い込みが決まる展開になればチャンスが生まれそう。
◎コパノカチドキ
○ゴッドセンド
▲ミスティックダイヤ
△ピースデザイン
△フジノダイヒット
△スタンドアチャンス
メンバー中最多の5勝を挙げているメモリーキャップが実績最上位。ゴールドジュニアでラブミーチャンに2馬身差2着のあと、JRA中京ダート1700メートルの沈丁花賞で勝ち馬からコンマ7秒差の6着。その後は古馬B6戦を勝ち、前走はB3戦で1馬身差の2着。この時期の3歳馬で、B級で上記争いをしているのは立派だ。
相手はマースキッス。中央未勝利から転入し、初戦こそ3着だったものの、その後はいずれも逃げ切りで4連勝。最初の3勝は2着に1秒以上の差をつけていて、前走はコンマ3秒差だったが、これは雨の不良馬場でのもの。同世代同士でどこまで上にいけるか楽しみな存在。
ニューブラウンは、2歳時はホッカイドウ競馬の重賞サンライズカップでビッグバンの3着という成績を残した実績馬。転入初戦となった正月の新春ペガサスカップはパラダイスラビーダの4着。その後3戦はいずれも中央芝のレースだけに、そこでどのくらい力をつけているか。ただその3戦はいずれも芝1200メートルで、今回はダート1900メートルと一気の距離延長となるだけに、その点はちょっと心配。
これがキャリア18戦目となるホウライオーカンは、4走前に3歳キングを勝ち、2走前には中央との条件交流を勝利と、ここにきて充実してきた。
近走、3歳の特別や重賞で堅実な成績を残しているアミーズホープ、カラーレストパーズも上位争いに加わってくる力はありそう。
◎メモリーキャップ
○マースキッス
▲ニューブラウン
△ホウライオーカン
△アミーズホープ
△カラーレストパーズ
冬季休催中に名古屋に遠征していたスマートパワーが力をつけて戻ってきた。昨年6月のJRA認定新馬戦を勝ったものの、以降はまったく勝てず、11月のヤングチャンピオンでは最下位12着。名古屋3戦目となった2月2日のおしどり特別でようやく8年半ぶりに勝ち星を挙げた。続く重賞のスプリングカップこそ6着に敗れたものの、この2戦で馬が変わったようだ。金沢に戻ってシーズン開幕後の2戦は、同世代を相手にそれぞれ6馬身、8馬身差をつける圧勝。今回の出走馬中、3歳下級条件で連勝中のイチエイオウジとだけはまだ直接対戦がないが、それ以外の馬たちは圧倒している。その充実ぶりから、ここで重賞初制覇の可能性は高い。
ここ2戦でスマートパワーに完敗しているメンバーばかりならば、同世代同士の条件戦で3連勝中のイチエイオウジの可能性にかけてみたい。前走4月4日の3歳A3戦、中団追走から3~4コーナーで外から一気にまくりきるというレースぶりは、センスを感じさせるものだった。
ヤングチャンピオンのタイトルがあるファインスターが3番手だが、クラピカンハマー、ハヤテカムイオー、ヤクシンロードあたりはそれほど差はなさそう。
◎スマートパワー
○イチエイオウジ
▲ファインスター
△クラピカンハマー
△ハヤテカムイオー
△ヤクシンロード
バーディバーディの実績が頭ひとつ抜けている。ダートでは4戦3勝、2着1回。オープンのヒヤシンスステークスは、2番手追走から直線で抜け出し、最後は差を詰められたが粘って勝利。そのレースで5着だったマカニビスティーが、大井に移籍して羽田盃で断然人気に支持され惜しくも2着だったことを考えれば、バーディバーディはダートなら相当な実力の持ち主と考えてもよさそう。ダートでは1400~1700メートルで勝っているという距離実績も魅力だ。
相手筆頭はアースサウンド。兵庫ジュニアグランプリJpnIIではラブミーチャンと競り合って2着。全日本2歳優駿JpnIでもラブミーチャンの3着。園田コースを経験しているのはアドバンテージだが、マイルの全日本2歳優駿ではゴール前で差をつけられているところを見ると、この距離はもしかしてちょっと長い可能性もある。父イエスイッツトゥルーはアメリカの短距離血統だ。ただ今回、コースをよく知る岩田康誠騎手なのはプラス材料。
タマモアルプスはダートで未勝利と500万特別を連勝してここに臨んできた。こちらはデビューからダートの1700、1800メートルのみを使われているので距離に不安はない。父ワイルドラッシュ、母父ダンスインザダークという血統なら将来的には2000メートルを超えてもさらによさそう。充実度次第では、この馬があっさりという場面まであるかもしれない。
サンライズクォリアもダート1800メートルの500万特別勝ちの実績がある。
ミッキーデジタルは、ダートで2勝しているが、1200メートルまでの実績だけに、ここでは見送る。
地元兵庫勢では重賞3連勝中のフィオーレハーバーが断然だが、兵庫ジュニアグランプリJpnIIではラブミーチャンから1秒9離された5着。中央勢が崩れたときに馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎バーディバーディ
○アースサウンド
▲タマモアルプス
△サンライズクォリア
△フィオーレハーバー
A級57キロ、B級55キロ、C級53キロ(牝馬2キロ減)というクラス別定で、この時期と年末と年に2度行われる重賞。
過去7回の優勝馬は、A級が3頭にB級が4頭。C級からは勝ち馬は出ていないものの、2着は何頭かいるので、C級だからといって切ってしまうのは危険だ。
これまではB級あたりで底を見せていないような馬が活躍する場面が目立ったが、今回はシンワコウジ、フジノアサハタというA級で好成績を続けている2頭がいるだけに、下級条件馬には厳しい戦いになりそう。
中でも前々走ブラッドストーンオープンで2着だったシンワコウジが格的には最上位。5連勝で臨んだ昨年秋の岐阜金賞はまさかの8着。それ以降は、古馬に混じって7戦6勝と着実にクラスを上げてきた。ここで重賞初制覇といきたいところ。
フジノアサハタも07年7月以降、3着を外さない堅実な成績でA級まで出世してきた。前走JRAとの条件交流では、約3年ぶりに馬券圏内を外す4着だったが、それでも地方勢では最先着だった。
B級の好調馬がサンレイフレンド。中央未勝利から昨年秋に転入して12戦9勝、2着2回、3着1回。例年であればこうした馬が勝つパターンが多いのだが、今回はA級の上記2頭がどうにも手ごわい感じ。
C級だがシルシは笠松で12戦オール連対。ジツリキテイオーもB級の下位で5戦連続連対。
今回はすべてのクラスから好調馬が出走してきているだけに、混戦となりそうだ。
◎シンワコウジ
○フジノアサハタ
▲サンレイフレンド
△シルシ
△ジツリキテイオー