黒潮皐月賞の1~5着馬が揃って出走、加えて中央から転入後条件戦で好走を続ける組、さらには大井の戸崎圭太騎手までスポット参戦と、興味深い一戦となった。
今年は全国リーディング争いがおもしろい。春先から赤岡修次騎手と戸崎圭太騎手がつばぜり合いを演じていて、6月17日現在では赤岡騎手149勝に対して、戸崎騎手140勝。しかも、この高知優駿の開催まで赤岡騎手は騎乗停止となっている。イヤらしい見方をすれば、その敵陣に戸崎騎手が乗り込んできたともいえなくない。もちろん本人にはそういうつもりはないだろうが。
ナロウエスケープの2冠達成が濃厚。1冠目の黒潮皐月賞は、直線楽に突き放して8馬身差。レース内容から、この黒潮皐月賞組とは完全に勝負付けが済んでいて、新興勢力にも際立った能力の持ち主がいなさそうなだけに、今回も負ける要素は見当たらない。1900メートルへの距離延長が不安といえば不安だが、それはどの馬にとっても同じことで、中央時に1700メートルまで経験しているだけに、むしろこの馬にとって距離延長は歓迎ではないか。ただ血統的には短距離向きではあるが、今回のメンバーが相手なら問題にはならないだろう。
黒潮皐月賞があまりにも一方的な内容だっただけに、相手は新興勢力から。筆頭はポルカドット。5月に中央から転入し、2、1着のあと、前走は逃げ切り8馬身差の圧勝。1300メートルの持ちタイムもまずまず。しかしやはりナロウエスケープと比べると見劣るだけに、逆転までは難しそう。
同じく黒潮皐月賞には出走していないコスモスティールだが、中央からの転入初戦にナロウエスケープと対戦して、2秒差をつけられての3着。ただその後は1、1、2着と堅実に走っているだけに、力をつけている可能性はある。
黒潮皐月賞2着だったモルフェキープオフは1秒6差をつけられていただけに、上記2頭にとっては付け入る余地は十分。
黒潮皐月賞3着のエイダイジャンプは、今年14戦してすべて3着以内。この馬も堅実に走っているだけに上位争いにはからんでくるだろう。
◎ナロウエスケープ
○ポルカドット
▲コスモスティール
△モルフェキープオフ
△エイダイジャンプ
7月18日の佐賀・吉野ヶ里記念、8月18日の佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIへと続く、夏の九州古馬短距離シリーズの初戦。11頭立てで、佐賀から2頭が遠征、地元荒尾勢は9頭中5頭が今年になってから移籍してきた馬(または今年になってから荒尾初出走)が5頭と、フレッシュな顔合わせとなった。
中心は、川崎から転入後、A級で5戦2勝、2着3回と、まだ荒尾で連対を外していないペプチドジャスパー。2着に負けた3回も、勝ち馬との着差がコンマ2秒以内という僅差。前走、このレースのトライアルとして行われたJNB協賛シリーズ・エメラルドカップは6馬身差をつけて逃げ切り圧勝だった。軸としては固そうだ。
相手筆頭には、そのペプチドジャスパーに先着した経験のあるシークレットハート。この馬も中央から転入後、7戦していずれも3着以内と、安定度ではヒケをとらない。前走、JNB協賛シリーズ・阿蘇高岳カップでは、ペプチドジャスパーに1馬身差をつけて逃げ切っている。ただ斤量差が1キロあっての結果で、今回は全馬56キロの同斤量となるため、この条件でも負かせるかどうか。
ペプチドジャスパーに土をつけているもう1頭がエーシンカマンダー。こちらは前々走エメラルドカップではペプチドジャスパーに6馬身ちぎられ、前走らくのうマザーズ特別では荒尾に来て初めて連対を外す5着と、ここにきてやや成績を落としているのが気になるところ。
セントバニヤンは、B級でなかなか勝ちきれないレースが続いていたが、前々走のB級勝ちに続いて、前走A級のらくのうマザー特別では2着に好走。前出のエーシンカマンダーにも先着している。
佐賀勢では、A3で好走のトマホークミサイルが上位に食い込めるかどうか。
◎ペプチドジャスパー
○シークレットハート
▲エーシンカマンダー
△セントバニヤン
△トマホークミサイル
ダート無敗のラブミーチャンが、いよいよ古馬一線級との対戦となる。前走、エトワール賞は、直線かなり余裕があるように見えたが、外から猛然と追い込んできたアンペアにアタマ差まで迫られた。浦和・桜花賞での出走取消があって2カ月ぶりの実戦の上、地元の五十嵐冬樹騎手に乗り替ったことなど理由は考えられるが、相手が北海道勢だけなら、もう少し楽に勝ってほしかった。今回51キロは有利だが、ポートジェネラルとのハナ争いで厳しいレースになる可能性も考えられるだけに、中心には推しにくい。単穴まで。
これまで戦ってきた相手を考えれば、やはりミリオンディスクが中心となる。近走、先着されているのは、スーニ、フジノウェーブ、スマートファルコンなどGI級ばかり。特に前々走、今回と同じ1200メートルの東京スプリントでは、スーニ、フジノウェーブからクビ+1/2馬身差と差のない3着だった。今回、同じJpnIIIでも、いずれも3着だった黒船賞、東京スプリント、かきつばた記念より相手がだいぶ楽になった。
しばらく勝ち星から遠ざかっているガブリンだが、着差を見るとそれほど負けているわけではない。地方遠征は、昨年の東京スプリントとこのレースで、いずれも2着。追込み脚質のこの馬には、大井、門別の長い直線は向いている。
ポートジェネラルは、東京スプリントで昨年の同レースを再現するかのように逃げ粘っての4着。逃げ馬だけに常に展開次第という面もあるが、昨年(5着)の1000メートルから1200メートルに距離延長されたのは、この馬にとってはプラス。ラブミーチャンより外枠に入ったため、それでも行くのかどうか、展開も気になるところ。
近走の成績がいまひとつなのがヴァンクルタテヤマとダイワディライト。ヴァンクルタテヤマは昨年のこのレースでレコード勝ち、ダイワディライトにはカペラステークスGIIIでミリオンディスクにクビ差の2着があり、いずれも本来の力を発揮できれば勝ち負けまであって不思議はない。
◎ミリオンディスク
○ガブリン
▲ラブミーチャン
△ポートジェネラル
△ヴァンクルタテヤマ
△ダイワディライト
フルゲート10頭とはいえ、金沢、兵庫、福山からの遠征があり、多彩なメンバーがそろって馬券的にもおもしろそうな一戦。
地元笠松のエーシンアクセランに重賞初勝利のチャンス。大晦日の東海ゴールドカップ以降、9戦して3着以内が7回。重賞でも2着2回、3着2回と確実に上位に食い込んでいる。オグリキャップ記念10着、ローレル争覇4着は、ここのところ重賞4連勝と急激に力をつけたヒシウォーシイにちぎられてのもの。マーチカップ、スプリング争覇ではともにヒシウォーシイの2着と好走していた。東海地区のトップを争う1頭となったヒシウォーシイ不在のここで、ぜひとも重賞のタイトルをモノにしておきたいところ。
コスモシンドラーは中央から兵庫に移籍後の4戦はいまひとつのレースが続いていたが、その後のここ4戦は東京スプリントJpnIIIを別とすれば、兵庫のオープン級で1、2、1着と、さすがに中央のオープンで戦ってきた実力を示している。東海地区の一線級がいない今回のメンバーなら、この馬も勝ち負けだろう。
金沢のゲイリーアイトーンは、南関東B級から移籍して金沢のA1特別で2、1、1着。距離的にも1400~1500メートルがベストなだけに、怖い存在だ。
トウホクビジンは前走さきたま杯JpnIIIで4着と好走。短い浦和の直線で、上がり36秒7の末脚で鋭く追い込んだ。見せ場はたっぷりだったが、後方から行って直線だけの競馬で展開が味方しての好走という面も否定できない。5月14日の東海クラウンではエーシンアクセランに0秒9差をつけられての4着に敗れているだけに、今回も連下候補。
超良血のディスパーロは、中央では3勝しか挙げられず名古屋に転厩。その初戦となった元旦の新春盃でいきなり重賞勝ちを収めた。前走さきたま杯JpnIIIでの11着はともかく、前々走A2特別での9着大敗が気になるところ。ただそれが1800メートルという距離的なものが原因なら、転入後に1400メートルを連勝しているだけに、今回のメンバーなら上位争いに食い込んでもおかしくはない。
◎エーシンアクセラン
○コスモシンドラー
▲ゲイリーアイトーン
△トウホクビジン
△ディスパーロ
北海道から笠松に移籍して以降、中央遠征を除けば7戦全勝のエレーヌがここでも中心。笠松、水沢、佐賀、園田と転戦して重賞4連勝中で、水沢からの3連勝でグランダム・ジャパン3歳シーズンの優勝もほぼ間違いない感じ。心配なのは遠征疲れだが、水沢から佐賀への中5日の輸送もまったく問題にしなかったのだから、それほど遠くはない園田から中2週は十分な間隔だろう。
侮れないのが福山から遠征のフォーインワン。福山ダービーでは9戦無敗のムツミマーベラスを4馬身という決定的な差をつけて下し、福山3歳の頂点に立った。福山所属馬といえば、サラブレッドの競馬が始まってからまだ期間が浅いだけに、これまで全国区では苦戦が続いていた。しかし福山ダービーの勝ち方を見ると、地区限定の交流ならチャンスはあってもよさそうに思う。
トライアルの駿蹄賞を勝ったラッキーサンライズは、3月のスプリングカップでは、勝ったエレーヌに2秒2の差をつけられて8着に負けていた。駿蹄賞のレースぶりを見る限り、そのときよりは力をつけているのは確実だが、逆転までは厳しいように思う。
駿蹄賞2着のホウライオーカンは、その後の3歳1組特別を制して好調。駿蹄賞では1番人気で3着に敗れたメモリーキャップだが、古馬B級で善戦という実績を考えれば、一角崩しの可能性は十分にある。
◎エレーヌ
○フォーインワン
▲ラッキーサンライズ
△ホウライオーカン
△メモリーキャップ