ラフメットの戦線離脱はなんとも残念なニュースだった。デビュー前から今年の一番馬と期待され、6月10日、今シーズン最初の2歳オープン戦、シニスターミニスター賞を勝利。しかしレース後に右前蹄骨骨折が判明。復帰には相当かかる見込みとのこと。ラフメット不在で行われる2歳最初の重賞、栄冠賞は、一転、全14頭がフレッシュチャレンジ勝ちの1勝馬ということで混戦となりそう。
中心はクラーベセクレタ。6月1日のフレッシュチャレンジでは、スタート後は3頭ほどで競り合ったが、直線を向いて追い出されると楽に後続を突き放し、単勝1番人気のカネマサコンコルドに3馬身、さらに3着には7馬身の差をつけるという圧勝。1200メートルの勝ちタイム1分14秒8も、乾いた馬場としては優秀なもの。認定厩舎ノーザンファームの外厩馬でもあり、将来的にも楽しみな存在。
クイックスターは、1000メートルのフレッシュチャレンジを7馬身差で圧勝。この日は霧が出て、その次のレースが中止になったほど。レース映像を見てもレースぶりはほとんどゴール前しか確認できないが、クイックスターは先手を奪って直線で後続をあっという間に突き放した。今年のホッカイドウ競馬はここまで雨にたたられる日が多かったが、この日も乾いた馬場で1分2秒3と、まずまず優秀なタイム。父は、ラブミーチャンをはじめ地方競馬では大活躍のサウスヴィグラスで、この馬が突き抜ける可能性も十分にありそう。
ラビットファレルは、シニスターミニスター賞で9番人気という低評価ながら、ラフメットにアタマ差まで迫っての2着。ラフメットがこのときレース中に骨折していたのであれば、この2着をそのまま評価するわけにはいかない。ただラフメット以外の馬とは末脚の違いは歴然で、さらに充実しているようであれば怖い存在だ。
新種牡馬スニッツェル産駒のフロレアルは、デビュー戦で8馬身差圧勝。キモンレッドは、シニスターミニスター賞で直線食い下がって4着。マツリバヤシのデビュー戦は、3番手に控える競馬で直線抜け出し。このあたりは変り身があれば十分にチャンスはありそう。
◎クラーベセクレタ
○クイックスター
▲ラビットファレル
△フロレアル
△キモンレッド
△マツリバヤシ
ここのところ岩手で行われている地方全国交流の重賞では岩手勢がかなり劣勢を強いられている。今回も11頭立てで他地区から6頭が遠征してきた。
しかし今回は、地元古馬ナンバー1ともいえる存在のゴールドマインの巻き返しに期待したいところ。前々走シアンモア記念では強力な東海勢2頭に突き放されたが、今回の遠征馬にはそのクラスの実力馬が見当たらないだけに、ここは負けられない一戦。前走地元同士の特別・早池峰賞でも3着に敗れたが、直線猛追して届かずというもの。1200メートルという距離もこれまで経験がなく、この馬には短すぎた。水沢1400メートルは、昨年11月の栗駒賞で完勝している舞台でもあり、ここは地元の期待を一身に背負う一戦となりそうだ。
遠征勢は力関係の比較が難しく混戦となりそうだが、相手筆頭にも地元のトーホウライデンに期待したい。08年、盛岡1200メートルで行われたこのレースを制し、地元筆頭格としてクラスターカップJpnIIIで期待されたが残念ながら出走取消。その後の青藍賞も制した。しかしその後はまったく勢いをなくしてなかなか勝てないレースが続いていた。今シーズンは開幕からB級特別とはいえいずれも3着以内と堅実な成績。前走早池峰賞でも差のない2着とあれば、復調と見ていいだろう。
甘く見てはいけないのが、ダートグレードを含め積極的に全国に遠征を続ける高知の雑賀正光厩舎の2頭。ファンドリコンドルは昨年7月に福山スプリントカップを完勝。その後は地元の条件戦以外ではこれといった成績を残していないものの、ダートグレードで揉まれてきた経験が生きるはず。一発があればこの馬だろう。
金沢のロンシャンステージは、岩手のC級で2勝を挙げ中央に戻ったが、4着が最高という成績で昨年秋に金沢に転厩。その金沢では、2戦目から9戦連続連対でA2特別まで制した。まだ底を見せていない怖さはある。
もう1頭の金沢勢ゲイリーアイトーンは、前走笠松に遠征したサマーカップではまったくレースをさせてもらえず惨敗だったが、A1特別2連勝の実績は侮れない。1400メートルは7勝を挙げている得意の距離でもある。
地元勢ではもう1頭、中央3勝から転入してまだ2戦しかしていないジョウテンロマンを挙げておきたい。
◎ゴールドマイン
○トーホウライデン
▲ファンドリコンドル
△ロンシャンステージ
△ゲイリーアイトーン
△ジョウテンロマン
9歳になったがアルドラゴンの実績が断然。昨年のこのレースを勝って以降、負けたレースは3度あるが、その中で兵庫の馬に先着されたのは、笠松に遠征した白銀争覇でベストタイザンに半馬身屈したもののみ。アルドラゴン以外で重賞タイトルがあるのは、昨年の園田ユースカップを制したミナミノヒリュウ、名古屋から遠征してきた牝馬のダイナマイトボディの2頭のみとあっては、負けられない一戦。連覇の可能性はかなり高いと見る。
相手を絞るのは難しいが、前走で初めてA1を勝ったコスモトノに期待してみたい。昨年は姫山菊花賞での2着があったが、その後勝ちきれないレースが続いていた。兵庫では1400メートル以上の距離しか経験がないが、条件クラスではその1400メートルを連戦連勝で勝ち上がってきただけに、この距離も対応可能と見る。
ピースプロテクターはここ2戦、1230メートルと1400メートルのA1特別を連勝と好調だ。逃げ、または好位から抜け出すレースぶりには安定感がある。
名古屋から遠征のダイナマイトボディは、昨年11月の兵庫クイーンカップを制すなど、実績的にはアルドラゴンに次ぐ存在。ただ3歳以降はマイル以上の距離を中心に使われ、前走久々の1400メートル戦となったサマーカップでも勝ったエーシンアクセランから2秒1も離された5着に敗れている。1400メートル未満の距離は、デビューからの2戦で800メートル戦を使って以来。距離的な不安があり、狙いを下げた。
ミナミノヒリュウは古馬になってからオープンクラスでの実績はないが、ここ8戦のうち7戦で3着以内と安定した成績。サワノファインもここ2戦の姫路で復調した。
3連単の3着ならほとんどどの馬が来ても不思議はないくらいのどんぐりの背比べなので、アルドラゴンから馬単で絞りたい。
◎アルドラゴン
○コスモトノ
▲ピースプロテクター
△ダイナマイトボディ
△ミナミノヒリュウ
△サワノファイン
このレース連覇を目指し、高知から参戦予定だったフサイチバルドルが出走を辞退したこともあって、6頭立てと寂しい頭数での争いとなった。
重賞3連勝を含む4連勝中と絶好調、名古屋から参戦のヒシウォーシイが人気になりそうだが、ここはオグリキャップ記念でそのヒシウォーシイに1馬身差の2着だった兵庫のマイネルマニセスの逆転に賭けてみたい。そのオグリキャップ記念は、前走が兵庫移籍後8戦目にしての初勝利だっただけに、8番人気で臨んだ一戦。しかしメンバー中唯一ヒシウォーシイに食い下がって1馬身差。直線では一旦離されたが、最後はもう一度差を詰めた。逆転できない差ではない。続く前走姫路のA1特別では3コーナーで一気にまくってレコード勝ちと、調子を上げてここに臨む。
ヒシウォーシイの4連勝は笠松コースでのもの。笠松コースはよく走る、というようなことを川西調教師が話していたので、逆を考えれば笠松以外ではそれほどの強さが発揮できない可能性はある。初めての福山コースを克服できるかどうか。
兵庫から挑戦のもう1頭、マルサンチーフは中央から転入後2連勝。A2級とはいえ、2着に7馬身差、5馬身差という圧勝。初めてのオープンクラスとの一戦だけに、ここが試金石となりそう。
◎マイネルマニセス
○ヒシウォーシイ
▲マルサンチーフ
4歳3冠の初戦、柏林賞。キタノタイショウの720キロからコマクインの670キロまで、負担重量差が50キロと、馬券的にはどこからでも狙えそうな興味深い一戦となった。
イレネー記念2着、ばんえい菊花賞2着、ばんえいダービー3着など、もう少しのところで重賞タイトルに手が届かないアオノレクサスを本命にした。今年になってからの4歳(および4・5歳)オープン戦でも3、2、3、5、3着と、勝ち切れないながらも常に上位争い。前走の3歳以上オープン決勝混合では、今回とほぼ同じような重量差の同世代のライバルを一蹴。1カ月半の休み明けは不安だが、それをどう読むか。現在の番組賞金は316.7万円。この間に、もし特別戦で2着などがあれば、重量区分で320万円未満から400万円未満に上がってしまうところで、そうなるとホクショウバンクと同じ710キロが課されるところだった。ここは700キロで出走するための休養だったと想像するのだが、どうだろう。
こちらを本命にしようか迷ったのがジャングルソング。昨シーズン最終戦のクリスタル特別から、シーズンをまたぎ4歳限定戦で3連勝。特に今シーズンになってからのすみれ賞、すずらん賞は、今回とほぼ同じような負担重量差での勝利だけに価値がある。ただ5月23日のゴールドトロフィー以降の近4走は馬券にからめていないだけに、本命はアオノレクサスに譲った。とはいえ、前々走10着大敗を除けば、いずれも勝ち馬とは5秒以内の差で、着順ほど負けているわけではない。この馬があっさりのシーンも十分に考えられる。
3番手にはフクドリ。今シーズン最初のすみれ賞は6着、すずらん賞は5着だったが、5月15日以降のここ6戦はいずれも3着以内と調子を上げている。4走前の4歳オープンでは、30キロ軽い最軽量のコマクインには先着されたものの差のない2着と好走。さらに続くライラック賞では今回と同じようなメンバーを相手に勝利を収めている。
アアモンドヤマトは、そのライラック賞こそ3着だったが、前走A2-1・2決勝では同重量のフクドリに先着する2着と好走しているだけに、逆転の可能性もある。
重賞タイトルのあるキタノタイショウ、ホクショウバンクは重量的に苦戦となりそう。ただ、ホクショウバンクはここ2戦のオープン・A1混合戦でいずれも接戦の2着と好走しているだけに、力の違いで押し切ってしまう場面もあるかもしれない。
◎アオノレクサス
○ジャングルソング
▲フクドリ
△アアモンドヤマト
△ホクショウバンク