ハンデ55キロのアルドラゴンの回避はちょっと残念だった。このハンデなら、スーニを負かすまではともかく、他の中央馬となら勝負になったのではないか。しかし確勝を期してか、11日の地元の摂津盃を使い、期待にこたえて勝利を飾っている。サマーチャンピオンJpnIIIはハンデ戦だからというのもあるのだろうが、ダートグレードの中ではわりと地方勢が馬券圏内に健闘することの多いレースだけに、アルドラゴンには出てきてほしかったのだが。
59キロでもスーニの中心は動かしがたい。黒船賞JpnIIIは別定59キロで楽勝。58キロの東京スプリントJpnIIIも制し、ここ2戦連続の2着は、ともにスマートファルコンに屈してのもの。今回はスマートファルコン級のメンバーがいない顔ぶれだけに、負けられない一戦だろう。
プロキオンステークスGIIIで6着のあと、小倉のダートオープン(KBC杯)を制してしるセレスハントが相手筆頭。プロキオンステークスGIIIでセレスハントに先着の4着だったダイショウジェットも当然差はない。ダート1400メートルは、セレスハントが4勝、ダイショウジェットが3勝と、ともに得意としている舞台だけに、わずかなハンデ差でスーニにどこまで迫れるか。
ヴァンクルタテヤマにはこのレース3連覇がかかっているが、ここ3戦はまったくいいところがないだけに、巻き返せるかどうか。
地方勢の筆頭は、トライアルの吉野ヶ里記念を楽勝したマンオブパーサーだが、3歳時にダービーグランプリを制したあとの中央では、ダートのオープンでほとんど歯が立たなかっただけに、今回54キロのハンデで馬券圏内に食い込めるかどうかというところだろう。
◎スーニ
○セレスハント
▲ダイショウジェット
△ヴァンクルタテヤマ
△マンオブパーサー
中央未勝利から転入して5連勝のマヤノリュウジンが、重賞初挑戦、初の遠征でどんなレースを見せてくれるか。前々走は3コーナーで先頭に立つと直線楽に突き放して9馬身差圧勝。前走、初めての3歳1組特別は、直線でもなかなか前をとらえきれなかったが、それでもゴール前では2馬身突き放して最後は手綱を抑える余裕があった。13日の東海クイーンカップと分散した今回のメンバーなら勝負になりそうだ。ただ、ここまで名古屋ではすべて1400メートル戦。1700メートルへの距離延長は、不安材料ではある。
実績最上位はパラダイスラビーダ。2歳時のゴールドウィング賞、正月の新春ペガサスカップと重賞2勝。東海勢の中では格付けも最上位で、前走、笠松での古馬B1特別でコンマ5秒差の3着と好走している。この馬があっさりという場面があってもおかしくない。
ライデンリーダー記念を勝っているエイシンシャウラは、4走前のB8組勝利に続いて、前走では古馬B4組も勝利。パラダイスラビーダとも実力差はそれほどなさそう。
東海勢には常に劣勢の金沢勢だが、今回も厳しい戦いとなりそうだ。北日本新聞杯の勝ち馬スマートパワーは、先日の東海クイーンカップに遠征して11着。今回、北日本新聞杯の2~5着馬が出走しているが、スマートパワーとの比較でも上位争いまではどうか。ハヤテカムイオーが北日本新聞杯から5戦連続して2着と勝ちきれないものの、デビュー以来13戦して3着を外したのが1戦のみと安定した成績。地元の期待がかかるが、どこまで迫れるか。
笠松・クイーンカップで2着だったホワイトロマンも、この春以降に力をつけているだけに連下なら。
◎マヤノリュウジン
○パラダイスラビーダ
▲エーシンシャウラ
△ハヤテカムイオー
△ホワイトロマン
クラスターカップJpnIIIが水沢で行われた08年には船橋のプライドキムが勝って、07年には岩手のテンショウボスが3着に入っているものの、盛岡コースの開催で地方馬が3着以内に入ったのは、なんと01年に3着だった浦和のリザーブユアハートまでさかのぼらなければならない。00年には名古屋のゴールデンチェリーが勝っているが、中央のダート馬のレベルが今ほどは高くなかった時代のこと。近年、盛岡コースはなんとも地方馬には厳しいコースとなっている。
今年も地方馬にとっては厳しい戦いとなりそうだ。最近のダートグレード実績では、トウホクビジンがさきたま杯JpnIIIで4着というものがあるが、今回、1200メートルのスピード競馬ではちょっと厳しいだろう。
中央勢の中でも、サマーウインドとミリオンディスクの一騎打ちとなりそうだ。
サマーウインドの前走プロキオンステークスGIIIは、ケイアイガーベラには離されたとはいえ、デビューから負けナシ連勝中で注目されたナムラタイタンには先着して2着。ダートは門別時代も含めて8戦6勝、2着2回と、まだ底を見せていない。そればかりかダート1200メートルに限れば5戦全勝だ。得意の舞台で重賞初制覇のチャンスだろう。
ミリオンディスクは、前走北海道スプリントカップJpnIIIを制し、昨年末のカペラステークスGIIIに続いて重賞2勝目。ともにダート1200メートル戦で、それを含め11戦6勝、2着3回と、こちらもダート1200メートルの舞台をもっとも得意としている。
ガブリンは重賞勝ちこそないが、昨年の東京スプリントJpnIII、昨年と今年の北海道スプリントカップJpnIIIでいずれも2着。地方の馬場には慣れていることと、何より菅原勲騎手が鞍上となることから、実績的には上記2頭とは差があるが、どこまで迫れるか。
タマモホットプレイは、昨年のこのレースでバンブーエールからコンマ5秒差の4着とまずまず好走。ただダートの重賞やオープンでは4着が最高という成績。さらに芝でGIIの勝ち星があることから別定58キロを背負うのも厳しい。
メイショウバトラーは昨年限りで引退という話もあったが、南部杯JpnIでエスポワールシチー、サクセスブロッケンに続く3着と好走したため現役続行が決まった。しかし今年の2戦は地方のJpnIIIで、いずれも3秒以上の差をつけられての敗戦。見送りが妥当だろう。
◎サマーウインド
○ミリオンディスク
▲ガブリン
△タマモホットプレイ
今週は台風4号が東北・北海道を直撃するようで、どうなるだろうかと思ったが、12日のブリーダーズゴールドカップJpnIIは不良馬場ではあったがレースのときはほとんど雨は上がっていたようだし、何より北海道で最大規模と言われる13日の勝毎花火大会は当初の予報では直撃の感じだったのが、予報よりかなり早く台風が過ぎ去ってくれて無事に行われたようだ。
あとは気になるのが、その雨の影響でばんえいグランプリの馬場水分がどのくらいになるかということ。台風一過の金曜日は晴れで最高気温が31度、土曜日も晴れるようで、まずは乾いた重い馬場でのレースになることを想定して予想したい。
時計のかかる馬場ならフクイズミの末脚が生きるはずだ。前走北斗賞は、第2障害でヒザをついてしまい、さすがにフクイズミの末脚をもってしても無理というくらいに、カネサブラックとニシキダイジンに離されてしまった。フクイズミはたまにこうして障害を失敗して着外に敗れることがあるが、それがいつもというわけではない。旭川記念のように、ニシキダイジン、カネサブラックにそれほど離されずに越えれば確実に差してくる。昨年に続く連覇に期待したい。
ばんえい競馬で過去にカネサブラックほど安定した成績を残してきた馬がいただろうか。今年は正月の帯広記念で3着に敗れたあとは9戦連続連対中。安定した成績を残すようになったのは07年後半からで、10月28日の日勝特別からは41戦して連対を外したのはわずかに5回。軸馬としてこれほど堅い馬はいない。とはいえ今回は、この馬だけが別定でプラス10キロ。フクイズミを負かすには相当早めに障害をクリアする必要があるだろう。そのあたりの駆け引きがむずかしそうだ。
ニシキダイジンは一昨年のばんえいグランプリを制したときが8番人気での勝利。しかし今年はばんえい記念を制し、旭川記念3着、北斗賞2着とすっかりばんえいのトップクラスに定着した。今回もカネサブラック、フクイズミを相手に早めの競馬でどこまで我慢できるか。
重賞タイトルのないホクショウダイヤだが、昨シーズンあたりから重賞でも上位争いをするようになり、旭川記念、北斗賞でともに2着。今シーズンも、北斗賞ではあのフクイズミを振り切って3着を確保した。このメンバーでも上位争いに食い込むことできる力があることは証明済みだ。
穴をあけるならギンガリュウセイ。08年から09年にかけて、連戦連勝でオープンまで出世。重賞経験は昨年のばんえい十勝オッズパーク杯(6着)のみだが、ここ2戦のオープンを連勝しているように勢いに賭けてみる手はある。
◎フクイズミ
○カネサブラック
▲ニシキダイジン
△ホクショウダイヤ
△ギンガリュウセイ
昨年のセトノヒットに続き、単騎高知から遠征してきたホーマンクラフトが、今年も勝利をさらっていく可能性が高い。
ホーマンクラフトは、中央時は条件交流での地方遠征も含めて3勝。高知に転入して2戦目の福永洋一記念では2着だったが、相手が全国区の活躍を見せているフサイチバルドルでは仕方ない。その後はA1戦を2連勝中だ。高知から福山への遠征馬の多くが好成績を残していることからも、この馬の中心はゆるがない。
地元福山勢の筆頭はフジノアリオン。今年出走したのはすべてA1特別か重賞で、11戦してそのうち3着を外したのが3戦のみと、福山のオープンクラスで安定した成績を残している。前走と3走前の勝利が、今回と同じマイル戦だったこともプラスだ。
今年、福山桜花賞で連覇を果たしたクラマテングだが、その後は今ひとつの成績。しかしクラスを下げて前々走A3特別2着のあと、前走A2特別を勝利。実績は十分なだけに、復活のきっかけをつかみたいところ。
シルキーハヤテは下級条件から連戦連勝でオープンまでクラスを上げてきたが、一線級が相手となると壁に当った感じ。とはいえ、前々走の西日本グランプリでレコード決着からコンマ6秒差の3着なら、ここでも通用する力はある。
ファイナルグランプリを6番人気で制したビービーバイラにも一発の可能性がありそうだ。
◎ホーマンクラフト
○フジノアリオン
▲クラマテング
△シルキーハヤテ
△ビービーバイラ