8月19日に行われる王冠賞の前哨戦となる一戦だが、3冠のかかるクラキンコがいないばかりか、6頭立てと寂しい頭数となった。
実績最上位は、北斗盃2着、フロイラインカップ3着のパシコジュリエ。デビューから6戦して3着以内を外したことがないという堅実な成績だが、問題はデビューから1200メートルしか使ったことがないという距離。初となる1800メートルに対応できるかどうかだが、常に中団からレースを進めていて、スピード一辺倒というタイプではないので、今回のメンバーが相手なら克服可能と見る。
2番手はマサノディフィート。兵庫から戻って今季6戦して1勝を含め4戦が3着以内。前走はJRAとの条件交流で、古馬とのC1-1組を制しているのは、古馬との対戦がないパシコジュリエを除けば実績最上位。
ベルリオーズは、北海優駿でマサノディフィートの6着に次ぐ7着。その後3歳条件戦を勝って、古馬C2-3組で2着とまずまず好調だ。
重賞初挑戦となるが、今季4戦していずれも4着以内と堅実なサムライジャパンが馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎パシコジュリエ
○マサノディフィート
▲ベルリオーズ
△サムライジャパン
14回目を迎えるマーキュリーカップJpnIIIは、過去に地方勢が勝ったのはメイセイオペラのみ。地方勢にとっては苦戦が続いているレースで、今年も上位に食い込むのはなかなか難しそう。しかし、カネヒキリが遠征してきてくれたことで、レースは盛り上がりそうだ。
カネヒキリは骨折明け14カ月ぶりとなった帝王賞JpnIで2着と好走。サクセスブロッケンやヴァーミリアンなどの有力馬が着外に沈むなか、あらためてこの馬の底力を示した。今回は別定59キロだが、ほかにGI・JpnI級がいないこのメンバーなら問題にならないだろう。馬券的には面白味がないかもしれないが、それならば圧倒的に強いレースを見せて欲しいところ。
相手には連覇のかかるマコトスパルビエロ。昨年、スマートファルコンを寄せつけずの逃げ切りは見事だった。昨年のレース後、鮫島一歩調教師は「2000mで、坂のある広いコースはこの馬にはいい」と言っていたので、今年も盛岡コースで力を発揮してくれるだろう。昨年のJBCクラシックJpnIでは、ヴァーミリアンにアタマ差まで迫った実力もあり、展開次第では逆転まで考えたい。
マチカネニホンバレは昨年、マリーンステークスをレコード勝ちし、エルムステークスGIIIまで制したときは注目されたが、その後は常に上位争いも勝ちきれないレースが続いている。地方遠征は初めてでもあり、上位2頭にどこまで迫れるか。
ロールオブザダイスは、平安ステークスGIIIで重賞初制覇を果たしたが、ここ2戦はまったくいいところがない。昨年末の東京大賞典JpnI(3着)で見せたようなしぶとさが復活すれば、上位を脅かす場面もあるかもしれない。
地方勢では昨年の浦和記念JpnIIを制した川崎のブルーラッドが最上位だが、近走南関東のオープンでも苦戦している現状では、馬券圏内も難しいかもしれない。
◎カネヒキリ
○マコトスパルビエロ
▲マチカネニホンバレ
△ロールオブザダイス
今シーズンからなぜか賞金別定となった北斗賞。しかし賞金によって増量される馬はなく、牡馬800キロ、牝馬780キロで、キタノタイショウだけは4歳馬のため-10キロとなっている。
前回の古馬重賞、旭川記念は、ニシキダイジンが先に抜け出し、やや離れてカネサブラック、フクイズミが続き、このタイミングならというフクイズミが見事に差し切った。
今回も別定での増量がないだけに、普通に考えればフクイズミとカネサブラックで堅そうだ。どちらが勝つかは難しいが、この2頭の組み合わせがおそらく抜けた人気になるのだろう。
2頭の組み合わせ1点で勝負するか、それともこじつけでもいいから無理やり穴を探して手広く狙うか、馬券的な狙いではどちらかというレース。平地の競馬に比べて断然人気の馬があっさり負けてしまうことも少なくないのが、ばんえい競馬のおもしろさだ。ここは、死角を探して高配当を狙ってみたい。
2頭のどちらに崩れる可能性があるかといえば、やはりフクイズミだ。ときに、メンバー的には負けるわけがないというレースで、第2障害で引っかかって完敗というレースをすることがある。今回はフクイズミの狙いを下げてみたい。
そこで本命にしたのがナリタボブサップ。今シーズンは6戦して1勝のみといま一歩の成績で、重賞勝ちも08年のこのレース以来遠ざかっている。しかし負けるときでも大きく負けているわけではない。実際に、昨年は重賞に7回出走して、2着4回、3着3回と堅実に走っている。そろそろ重賞勝ちの順番がまわってきてもよさそうだ。
安定感でいえばやはりカネサブラックで、この馬を外して買うのはなかなかに勇気がいる。それゆえやはり対抗より下には下げられない。
ニシキダイジンには、なかなか重賞勝ちというイメージがわかず、昨年のばんえい記念以前の重賞勝ちは、08年8月のばんえいグランプリだった。しかし、旭川記念の惜しいレース内容からすれば、いつ勝ってもおかしくはない。
◎ナリタボブサップ
○カネサブラック
▲ニシキダイジン
△フクイズミ
昨年のせきれい賞は、当然コスモバルクが圧勝するのだろうと見ていたら、早めに仕掛けたコスモヴァシュランが、コスモバルクに7馬身もの差をつけて押し切ってしまった。直前まで雨が降っていて、湿った馬場に脚をとられ、コスモバルクは思うような走りではなかったようだが、それにしても驚いた。
続くOROカップで、そのコスモヴァシュランに先着する3着だったのがサウンドサンデーだ。前にいた2頭は、コスモバルクと、当時岩手で芝では無敵を誇っていたボスアミーゴ。キングスゾーン(4着)に先着した実力で、今年のメンバーなら十分に勝ち負けが期待できる。
相手は、連覇のかかるコスモヴァシュラン。「芝は合うはず」という陣営の読みが昨年は見事にハマッた、というかハマりすぎた。昨年このレースに出走したときの格付けは南関東C1だったが、今年は4走前にB2B3特別(中央500万との交流)を勝っているだけに、むしろ期待は昨年より高いかもしれない。
岩手勢では、前走かきつばた賞で差のない2着のマイスターキング、同3着のドリームスナイパー、同4着で盛岡芝で3勝を挙げているソノマンマあたりが地元の意地を示せるかどうか。
◎サウンドサンデー
○コスモヴァシュラン
▲マイスターキング
△ドリームスナイパー
△ソノマンマ
ともに近走連続連対の、高知のバンクレイか、地元福山のウォーターオーレかという争いだろう。
ここは、金曜日に5勝を挙げ勢いのある赤岡修次騎手のバンクレイドに期待してみたい。バンクレイドは南関東ではB1B2の特別勝ちまで。1年以上の休養のあと復帰したが勝ち星を挙げることができず、高知に移籍した。高知のA級上位の組ではなかなか勝てなかったが、最下級クラスまで落ちたらさすがに快進撃。昨年10月から13戦連続連対。B1級まで勝ち上がってきて、なおさらに上を望めそうな勢いだ。
対するウォーターオーレは、中央ではオープンまで出世した実力馬。福山転入後は、4戦3勝、2着1回と、まだ底を見せていない。ただその3勝がいずれも1600メートルだったのに対し、一度の敗戦が福山1250メートル戦というのが気になる材料ではある。
逆にこの距離がよさそうなのがユーガットテースト。兵庫から福山に転入して以降、A2~A1で11戦してわずかに1勝しか挙げていないが、それが1250メートル戦だった。
コロネットは前々走のA1特別でユーガットテーストからコンマ4秒差の4着。A1特別での勝ち星もあり、上位争いにからめるかどうか。
◎バンクレイド
○ウォーターオーレ
▲ユーガットテースト
△コロネット