グランダム・ジャパン古馬シーズンの第5戦。目下ポイントトップのエレーヌをはじめとする笠松ガールズの遠征に、ショウリダバンザイの凱旋出走、地元ホッカイドウ勢にも有力馬がいて、興味深い一戦となった。
狙いはアンペア。南関東では関東オークスJpnIIでの3着があるのみでまったく期待はずれの成績だったが、今シーズン門別に戻ってからは1200メートル戦のみを使われ4戦2勝、2着2回。中でも重賞のエトワール賞ではラブミーチャンを猛然と追い詰めアタマ差の2着。そのラブミーチャンが古馬相手の北海道スプリントカップJpnIIIで3着に粘っていることを考えれば、ダートグレード級のスピードがあると言っていいだろう。問題は1800メートルという距離だが、2歳時には旭川1600メートルのエーデルワイス賞JpnIIIで6馬身差の圧勝があり、2100メートルの関東オークスでも直線まで逃げ粘って3着。折り合いも問題なく、距離はこなせると見る。
ショウリダバンザイは、北海道デビューで2歳時には期待されながらも重賞タイトルには至らず。しかし移籍した南関東では浦和・桜花賞を制し、東京プリンセス賞でも僅差の2着。馬主がホッカイドウ競馬の元調教師でもあり、所属する大井のトゥインクルレディー賞には目も向けずここに臨んできたからには、期待も大きいのだろう。
ライネスゴルトは重賞初挑戦となった水沢のビューチフル・ドリーマーカップは、出遅れが響いて4着まで。あらためて、この牝馬の一線級を相手に真価が問われる。
エレーヌ、トウホクビジンは、グランダム・ジャパン古馬シーズンの1~3戦を戦ってきて、さすがに輸送による疲れが心配。両馬ともに中4日のビューチフル・ドリーマーカップでは馬体を減らしていただけに、馬体重を戻していなければ厳しいかもしれない。
マチカネオイカゼは、中央2勝から転入して牡馬相手のオープンで2戦連続2着。牝馬同士なら上位食い込みの可能性も。
◎アンペア
○ショウリダバンザイ
▲ライネスゴルト
△エレーヌ
△トウホクビジン
△マチカネオイカゼ
金沢の地区交流重賞というと、どうしても東海地区が優位で、ここにも3頭が遠征してきた。しかし今回は、名古屋のハクシンフリーダムとナックザワールドは、ともにA級2組以下で勝ち星から遠ざかっているという近況。笠松のエムオーミサイルも今年3歳になってから勝ち星がない。地元金沢勢としては、さすがにこうした相手に負けるわけにはいかないだろう。
中心はドゥミポワント。金沢では1500メートル以上しか経験がないが、中央では1200~1400メートルを中心に使われ、父サウスヴィグラスという血統からも、距離短縮はプラス材料。地元勢はA1組の常連がナムラグローリーくらいしかいないという今回のメンバー構成で、百万石賞ではそのナムラグローリーに先着されているものの、着差はコンマ6秒。前走A2特別を圧勝している勢いがあれば逆転も可能だろう。
相手は当然そのナムラグローリー。前走イヌワシ賞は5着だったが、昨年もイヌワシ賞は4着で、その後このレースを6番人気という評価を覆して制した。今回の相手関係なら十分に連覇を狙える。
ゲイリーアイトーンは、今シーズン南関東から転入して、春にはA1特別を2連勝した実績。前走はA2特別で僅差の2着で、あっと言わせる場面があってもおかしくはない。
遠征勢で実績最上位は、昨年末の尾張名古屋杯を制しているハクシンフリーダム。それ以来勝ち星がないものの、3走前にはJRA500万下との条件交流で1馬身半差の2着。それ以前は勝ち馬から2秒以上の差をつけられて負け続けていたものが、その条件交流以降の3戦は1秒以内の差。調子はよさそうだ。
A3特別2連勝で臨むクイーンズコートも勢いで上位を狙う。
◎ドゥミポワント
○ナムラグローリー
▲ゲイリーアイトーン
△ハクシンフリーダム
△クイーンズコート
帯広単独開催になって以降の過去3回、いずれもトップハンデの馬は勝てず。特に近2年は1番人気に支持されての敗戦。とはいえ昨年のライデンロックは最軽量馬と50キロの差がありながらの2着はむしろがんばった。
今回はイレネー記念に加え、3歳の2冠を制したキタノタイショウがトップハンデの730キロ。4歳1冠目の柏林賞では2番人気ながら7着。先着された牡馬・セン馬は、いずれも30キロ差があった馬。10キロ差、20キロ差の馬には1頭も先着されていなかった。今回30キロ差がある牡馬はスギノハリアーとフクドリの2頭しかいない。前々走ではオープン2組の特別を勝ち、ゴールデンホース賞も連勝と好調なだけに、相手関係を考えてもチャンスは十分にありそうだ。
しかし本命として狙ってみたいのはトモエエーカン。ここ9戦で7勝と、B1級からA2級まで勝ち上がってきた。4歳1冠目の柏林賞には出走せず、今回キタノタイショウより20キロ軽い710キロなら勝負になると見る。ここ4戦は大口騎手だったが、今回は藤野騎手に乗替った。逆に藤野騎手が主戦だったスギノハリアーは大口騎手に乗替り。このジョッキーの入れ替えはどういう意図があるのか気になるところではある。
穴なら負担重量に恵まれたフクドリ。柏林賞で先着されたジャングルソング、コマクイン、アアモンドヤマトらとの相対比較で、今回は10キロ軽くなっているのは魅力だ。
コマクインは、柏林賞、はまなす賞ともに2着。今回も当然上位争いにはからんでくるだろう。
柏林賞では1番人気に支持されながら9着に敗れたアオノレクサスだが、障害をうまく切れれば上位争いの力は十分にある。
◎トモエエーカン
○キタノタイショウ
▲フクドリ
△コマクイン
△アオノレクサス
ともに2戦2勝のシーグランディとベストマイヒーローの2頭が人気を集めそう。いずれも後続に差をつけての完勝というレース内容だが、ベストマイヒーローのほうを中心にする。デビュー戦の芝1000メートルのJRA認定レースは9馬身差、続く水沢の1400メートル戦は8馬身差と圧勝で、いずれも直線ほどんど追われず楽に突き放していただけに、この先どこまで強くなるのか楽しみなところ。2頭ともに騎乗していた菅原勲騎手がこちらを選んだというのも期待の表れかもしれない。
相手にもシーグランディといきたいところだが、2歳戦といえばやはりホッカイドウ勢が怖い。このレースも一昨年、昨年と連勝中だ。スクランブルエッグはフレッシュチャレンジ勝ちのあとに挑戦した重賞のイノセントカップでは、勝ったモエレフウウンジから1秒4差をつけられて8着。しかしそのモエレフウウンジが続くブリーダーズゴールドジュニアカップも完勝で連勝しているだけに、イノセントカップの出走馬も岩手の2歳戦線と比べれば相当にレベルが高かかった可能性がある。血統的に芝も問題なさそうで、岩手勢をあっさり一蹴してもおかしくはない。
シーグランディには、前走の若鮎賞で今回と同じ盛岡1600メートルを経験しているというアドバンテージがある。その勝ちタイム1分41秒6は、例年のジュニアグランプリの勝ちタイムと比較してもそれほど変わらない。相手のレベルが上がり、さらにタイムを詰めてくるであろうことを考えれば、この馬があっさりという場面も考えられる。
ホッカイドウ勢のもう1頭、フレッシュチャレンジを勝ったのみのスカイキングラブも怖い存在。
岩手で連下候補は、若鮎賞3着で、前走ビギナーズカップを勝っているリュウノフラッシュあたりか。
◎ベストマイヒーロー
○スクランブルエッグ
▲シーグランディ
△スカイキングラブ
△リュウノフラッシュ
近年でも未勝利馬が連対することがたびたびあり、馬券的には難解なレース。
しかし今年は笠松のマルヨコンバットの素質が抜けている。JRA認定新馬戦を6馬身差で圧勝し、続く秋風ジュニアも3馬身差で完勝。秋風ジュニアは重賞ではないものの、過去の勝ち馬にはオグリキャップやライデンリーダーなど歴史に残る名馬が多い。マルヨコンバットもそうした笠松を代表する名馬に続けるかどうか。
相手筆頭はオートフォーカス。中央2戦未勝利から早くもこの時期に名古屋に転厩して2連勝。1勝目は5馬身差の圧勝。2勝目の前走は2馬身半まで差を詰められたが、最後は追うのをやめてのゴールだっただけに、まだまだ余裕はありそうだ。
地元勢で人気を集めそうなのはデビューから圧勝で2連勝のナエマ。前走の2歳1組戦は今回と同じ1400メートル戦で、一旦2番手に控え、直線で後続を突き放すという強い勝ち方。しかし勝ちタイムの1分33秒3は、過去の兼六園ジュニアカップの勝ちタイムを見ると、さらにタイムを詰めなければ勝ち負けまでは厳しそう。コースが違うので単純な比較はできないが、同じ1400メートルでもマルヨコンバットの秋風ジュニアの勝ちタイムとは5秒4もの差がある。それだけのタイムを詰めるのは容易ではなさそうだ。
ダンシングサクラは、デビュー戦ではナエマに6馬身ちぎられての2着だったが、前走のJRA認定戦(1400メートル)の勝ちタイムは、ナエマの前走を上回るもの。さらに力をつけていればあっと言わせる場面があるかもしれない。
デビュー戦を6馬身差圧勝のシンカンタカフジも可能性を感じさせる。
◎マルヨコンバット
○オートフォーカス
▲ナエマ
△ダンシングサクラ
△シンカンタカフジ