今シーズンの古馬高重量重賞は、昨シーズンのばんえい記念馬ニシキダイジン、旭川記念と岩見沢記念を制したフクイズミ、北斗賞のカネサブラック、ばんえいグランプリで復活勝利のナリタボブサップ、この4頭の争いで、あとは展開次第でどういう着順になるか。しかし、その順番を予想するのが難しい。
岩見沢記念はフクイズミがヒザをつきながらも障害を無難にこなし、前を行くナリタボブサップ、カネサブラックを差し切っての快勝だった。しかし今季の障害でのもたつきにはまだ不安があり、今回は▲に狙いを下げる。
で、中心はナリタボブサップ。ばんえいグランプリは08年の北斗賞以来の重賞勝ちで、その間、上位争いをしながらも勝ちきれなかったのは、障害を早めに越えてもゴール前で粘りがきかなかったため。しかし前走岩見沢記念は、これまで常にうしろから交わされていたカネサブラックに対し、先に障害を越えたカネサブラックを交わすという、これまでとは逆の展開で2着を確保した。ゴール前でも失速しないレースぶりは好調の証と見る。
カネサブラックは、その岩見沢記念で今シーズン初めて連対を外す3着。今回は別定プラス20キロとなるが、それは昨年の北見記念を制した時と同じ。さらに、ナリタボブサップ、フクイズミ、ニシキダイジンとの重量差まで昨年と同じ(基礎重量は昨年より10キロ軽い)。負担重量的に不利でもまったく崩れない安定度は抜群。
今シーズン未勝利のニシキダイジンは重量差を生かして馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎ナリタボブサップ
○カネサブラック
▲フクイズミ
△ニシキダイジン
地方全国交流として今年復活したダービーグランプリ(11月22日・水沢)へ向けての一戦。
ロックハンドスターの前走、古馬A級一組戦は、2番手追走から3コーナーで先頭をうかがい、そのまま突き放すものかと思われた。しかし直後でマークしていたサクラマジェスティに並びかけられると、直線ではじわじわと離され、抵抗もできないような感じで1馬身半差をつけられ2着に敗れてしまった。映像だけではわからないが、地元ファンの悲鳴が聞こええくるようだった。しかし今回は同世代同士の定量戦。ダービーグランプリで他地区からの遠征勢を迎え討つためにも、ここは負けられない一戦。
相手にはイシノウォーニング。阿久利黒賞ではロックハンドスターに6馬身差の2着で、その後はしばらく勝ちきれないレースが続いた。しかし、3歳同士のサファイア特別を大敗したあと、8月後半から古馬B1一般戦と、B1特別を連勝。前走は3着だったが、サファイア賞を勝ったゲンパチオブラヴよりはるか前でゴール。調子を上げて臨む一戦だけに、2着争いの筆頭と見る。
オウシュウサンクスは、中央2戦未勝利から今シーズン転入して8戦6勝、2着1回という上がり馬。1600メートルまでしか経験がないところが気になるが、距離を克服できれば好走も期待できそう。
ひまわり賞を10馬身差で圧勝したコンゴウプリンセスだが、その後の2戦は大敗。巻き返しに期待したいところ。
中央未勝利から転入して下級条件を2連勝のラナイダンスがこのメンバーに入ってどこまでやれるかも楽しみなところ。
◎ロックハンドスター
○イシノウォーニング
▲オウシュウサンクス
△コンゴウプリンセス
△ラナイダンス
荒尾で行われる九州交流の重賞は、どうしても佐賀所属馬の活躍が目立つが、このレースも例外ではない。佐賀所属馬も出走できるようになった01年以降の過去9回で佐賀勢が6勝。荒尾勢の勝利は3回で、そのうち07年は馬インフルエンザの影響で荒尾所属馬のみで争われていることも併せて考えれば、やはり佐賀勢が圧倒的に強い。
今年も佐賀から遠征してきた3頭は手強そうだ。
中心は、佐賀勢3頭のうちの紅一点、ジュエルリング。ここまで5戦3勝、2着1回で、着外に敗れた1戦は、小倉の芝に挑戦したもの(7着)だけに、これは参考外。前走アルデバラン特別は、6番手追走から3~4コーナー大外をまくって直線で差し切り勝ち。2着のキングとは3/4馬身差がだが、最後は余裕があった。
キングも見劣りはしない。ここまですでに7戦と経験豊富で、3勝、2着3回、3着1回と安定した成績。前走アルデバラン特別は、直線で一旦はジュエルリングに離されながらも、最後は盛り返して差を詰めた。
リョウマニッポンは、ここまで2戦2勝。将来性が期待されるが、今のところトップクラスとの対戦がなく、それがちょっと気になるところ。
今年は荒尾勢でも期待が持てる馬が少なくない。ファンタジーランドは、中央からの転入初戦となった前走で6馬身差の圧勝。今回、岩永千明騎手がどんなレースをするのかも楽しみ。
サチノシェーバーはここまで3戦2勝。特に距離が伸びた前走も2着に4馬身差をつける完勝だった。
ほかに、前走で2着に差をつけて勝っているシャイニングウェイ、ヌレエフクインらにも可能性はありそうだが、さすがにそこまでは印がまわらなかった。
◎ジュエルリング
○キング
▲リョウマニッポン
△ファンタジーランド
△サチノシェーバー
今年前半、南関東以外の地方馬はダートグレードでかなりの苦戦が強いられたが、秋になってからは南関東を含め地方馬の活躍が目立っている。まず9月の日本テレビ盃JpnIIでは船橋のフリオーソが貫録勝ちで帝王賞から連勝。大雨となった白山大賞典JpnIIIは、果敢に逃げた地元金沢のジャングルスマイルが2着。東京盃JpnIIでは大井のヤサカファインが、ゴール前でサマーウインドを追い詰め惜しくもハナ差で2着。そしてマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIでは、高知から遠征のグランシュヴァリエが4コーナーで一気に先頭に立とうかという勢いで、2着のエスポワールシチーから2馬身差の3着と健闘した。
ダートグレードでの地方馬の活躍と言えば、北海道での2歳戦が断然だ。今回のエーデルワイス賞JpnIIIも、中央から遠征の4頭はいずれも1勝馬。経験豊富な北海道所属馬の活躍が期待できそうだ。
最有力はクラーベセクレタ。中央芝への挑戦では結果を残せなかったが、地元門別では3戦3勝。その中には栄冠賞、フローラルカップと2つのタイトルが含まれる。例年、エーデルワイス賞ではフローラルカップ組の活躍が目立つだけに、今年も期待してよさそうだ。
相手筆頭はマニエリスム。潜在能力ではこちらのほうが上かもしれない。フレッシュチャレンジでは9馬身差の圧勝。期待されて臨んだ2戦目のイノセントカップはスタートで大きく出遅れ、それでも直線ではメンバー中最速の上がりを記録し4着まで挽回した。前走、トライアルのロージズインメイ賞は、結果的に2馬身半差で勝ったものの、やはりスタートはあまりよくなかった。まともにスタートを切って、普通にレースができるようになれば相当な力を発揮しそうだ。
ちなみに生産牧場は、クラーベセクレタがノーザンファームで、マニエリスムが社台ファーム。アパパネが牝馬3冠を達成した先日の秋華賞でも、上位4着まで社台グループの生産馬が占めているだけに、地方でもということになるかどうか。
マツリバヤシは、勝ち星こそフレッシュチャレンジでの1勝のみだが、その後重賞を4戦して2着2回、3着2回。前走フローラルカップでは、直線でクラーベセクレタとの一騎打ちとなり、惜しくも半馬身差の2着。なかなか勝ちきれないタイプながら、堅実に上位争いには食い込んでくる。
中央勢では、ダートの新馬戦を逃げ切って1戦1勝のバルデュソワールにまだまだ伸びる余地がありそう。
リアライズノユメは、ここまで芝のみを使われ5戦目となった前走で初勝利。その前走のような鋭い末脚をダートでも見せられれば可能性ありそう。
夏あたりは目立った成績がなかったモルフェソングエルだが、前々走ロージズインメイ賞でマニエリスムの2着、そして前走のファンタスティックライト賞を勝っているだけに、確実に力をつけてきている。
◎クラーベセクレタ
○マニエリスム
▲マツリバヤシ
△バルデュソワール
△リアライズノユメ
△モルフェソングエル
春に3歳3冠路線の上位を争ったハイパーフォルテ、フィオーレハーバー、ホワイトランナーらが不在で、今回の出走馬中唯一、その3冠戦線で馬券にからんだのは兵庫ダービー8番人気で2着のフウリンカザンのみ。重賞勝ち馬が1頭もいないという難解なメンバー構成となった。
実績上位のタガノパンデミックがやはり中心。菊水賞4着、兵庫ダービー5着と、この世代のトップクラスにはやや劣勢だったが、7月の古馬B1戦に続き、前走は古馬A2特別を勝利。今回のメンバーでは力が抜けている。
相手筆頭はユキノイーグル。春には3歳特別でハイパーフォルテやホワイトランナーら上位組の2着が何度かあり、前走では古馬B1特別を勝利。今回が重賞初挑戦だが、まだまだ上が望めそうだ。
不気味なのはコスモハレルヤ。中央未勝利から転入してC級特別を3連勝。2着との着差を2馬身半、4馬身、6馬身と、どんどん広げているだけに、中央なら未勝利は確実に卒業しているだろう。4連勝でタイトルダッシュの可能性もありそう。
ジャコザエルも3連勝中。1月3日に勝利を挙げて以降しばらくはほとんど勝負にならないレースが続いていたが、ここにきて調子を上げてきた。
兵庫ダービー2着のフウリンカザンは、それ以来4カ月ぶりの休み明けとなった前走B1特別は勝ち馬から1秒1差の8着。叩き2戦目で以前の力が戻っているかどうか。
牝馬のラッキーガーデンは、デビュー以来掲示板を外したことがない堅実な成績で、秋に戦線に復帰してからはB2戦で2、1着。1400メートルまでしか経験がないのが不安だが、実力的には上位に食い込んでくる可能性はある。
◎タガノパンデミック
○ユキノイーグル
▲コスモハレルヤ
△ジャコザエル
△フウリンカザン
△ラッキーガーデン