ファイナルグランプリを制した牝馬のビービーバイラ。直線で力強く抜け出してくるレースぶりには驚かされた。単勝6番人気でしかなかったのは、牡馬オープンクラスとの対戦が初めてだったからだろう。それにしても08年秋にホッカイドウから転入し、下級条件からほぼ休みなく使われ、福山では34戦して連対を外したのが2回のみ。その2回にしても、勝ち馬からはともにコンマ3秒差の3着と4着という安定したレースを続け、着実にクラスを上げてきた。今回は初めての2250メートルという長距離に加え、牡馬の一線級からマークされる立場になるだけに、そうした状況で自分のレースができるかどうか。
アポロコマンダーは、さすがに黒船賞JpnIIIこそ勝負にならなかったが、その前はA1特別と黒船賞トライアルを連勝。重賞初挑戦だった4走前のマイル争覇も着順こそ4着だが地元馬では最先着。地元福山同士なら重賞でも十分に勝負になる。
ナリタブラックは今回と同じ2250メートルが舞台の福山菊花賞で2着。そして正月には2600メートルの福山大賞典で重賞初制覇を果たし、園田に遠征した2400メートルの六甲盃でも3着と好走した。今回、上位2頭にとっては初めての距離となるだけに、経験という意味ではこの馬が逆転の可能性もある。
このレース連覇を狙うクラマテングは、年明け後は5戦して未勝利。ただ福山大賞典、ファイナルグランプリと、ともに2着。ここ一番で強さを発揮するタイプだけに、軽視はできない。
昨秋の福山菊花賞以来勝ち星から遠ざかっているナムラベンケイは、かつての勢いはなくなってきたとはいえ、長距離の重賞なら巻き返しがあるかもしれない。
◎ビービーバイラ
○アポロコマンダー
▲ナリタブラック
△クラマテング
△ナムラベンケイ
昨年末に中央1000万クラスから転入したコスモアブソルートは、正月競馬で金沢デビューとなるはずが雪で競走取止め。一旦兵庫に転厩し、3戦して再び金沢に戻ってきた。その兵庫では勝ち星こそなかったものの、A1~A2で常に上位争いなら、いきなりの重賞でも勝負になりそう。他馬がすべて冬季休み明けなのに対して、園田で実戦を順調に使われてきたことも大きなアドバンテージ。昨年も金沢のリーディングを守った吉原寛人騎手が鞍上なのも心強い。
相手筆頭は、昨年末の中日杯で8馬身差の圧勝劇を見せたゴールデンミション。その後年明けのA1特別も快勝。コスモアブソルート以外のすべての馬に言えることだが、あとはシーズン初戦で仕上がっているかどうか。
ナムラグローリーは、昨年中央から転入してオータムスプリントカップを制覇。その後、北國王冠3着、中日杯2着と重賞で常に上位争い。オータムスプリントカップからの6戦はすべて3着以内と金沢のオープンクラスで安定した成績。今回のメンバーなら引き続き上位争いは間違いない。
10歳になったビッグドンは、08年3月のイヌワシ賞以来重賞タイトルからは遠ざかっているものの、昨シーズンもA1特別を2勝。北國王冠ではナムラグローリーやゴールデンミションに先着の2着と好走しているだけに、展開次第ではまだまだチャンスはありそう。
◎コスモアブソルート
○ゴールデンミション
▲ナムラグローリー
△ビッグドン
ジョインアゲンとポートジェネラルが2日前の大井・東京スプリントに遠征したため、残った馬たちでのタイトル争いとなる。
昨年黒船賞JpnIIIでの3着や、福山に遠征して西日本グランプリを制するなど活躍したフサイチバルドルの実績を評価したい。中央から移籍して以来ほとんどのレースで手綱をとっている赤岡修次騎手は、今年も高知でダントツリーディングなのは当然として、全国リーディングでも大井の戸崎圭太騎手と抜きつ抜かれつの争いをしている。6日時点での93勝は、戸崎騎手に5勝差をつけてトップ。勝率46.0%は、NARグランプリ最優秀勝率騎手賞を受賞した昨年の35.6%を大幅に上まわっている。今年はどんな驚異的な数字を残すのか、楽しみなところではある。
相手には10歳馬ゲイリージュピター。黒潮スプリンターズカップから前々走までの3戦は、ポートジェネラルやグランシュヴァリエなどの強敵が相手だったため、1秒以上の差をつけられての敗戦。しかしそうした強豪がいなくなった前走のA1特別は1番人気にこたえて快勝。勢いに乗りたいところ。
中央から転入後、福山遠征も含めてこれが6戦目になるのがアイアムドラマ。ここまでの5戦で勝ち星こそないものの、いずれも5着以内に善戦。ここでも上位争いにはからんでくるだろう。
セトノジェネシスは勝ったり負けたりの波が大きいが、黒潮スプリンターズカップではゲイリージュピターに先着する4着。今回も連下争いなら。
昨年の3歳三冠馬グランシングは、11月に古馬相手のA1特別を勝ったものの、それ以降は勝ち星なし。巻き返しを期待したいところ。
◎フサイチバルドル
○ゲイリージュピター
▲アイアムドラマ
△セトノジェネシス
△グランシング
14日のマリーンカップJpnIIIで他地区枠の選定馬となっているトウホクビジンが、1週前のここにも出走してきた。前走から中2週開けての出走は、昨年10~11月にかけて以来となる。地元笠松は1月7日にA3特別を4馬身差で圧勝して以来の出走で、それ以降はダートグレードのみを使われているので実際にどのくらいの実力なのか比較が難しい。加えて遠征続きの疲れがあるのかどうかも気になるところ。
ゆえにここは前走同じ笠松1900メートルの重賞マーチカップを圧勝しているヒシウォーシイを中心にする。08年に東海ダービーを勝って以降は、重賞ではなかなか結果を残せなかったが、昨年11月の東海菊花賞で久々の重賞勝ち。その後はやや苦戦し、梅見月杯は離された3着。しかしそのとき前で競り合ったマイネルアラバンサ、キングスゾーンという全国レベルでも通用しそうな2頭が今回は不在のため、前走マーチカップに続いて重賞連勝のチャンス。
相手はトウホクビジン。ダートグレードでの馬券圏内はまだないものの、昨年12月のクイーン賞JpnIIIは、勝ったユキチャンからコンマ7秒差の6着。年明けのTCK女王盃JpnIIIもユキチャンからコンマ8秒差の7着。着順はともかく、牝馬同士なら全国レベルでも大きくは負けていない。さらに、中央馬が3頭しか出走しなかった佐賀記念JpnIIIでも5着と掲示板を確保した。全国レベルの馬がいない今回のメンバーなら、あっさりという場面があってもおかしくはない。
エーシンアクセランは、前走マーチカップ2着のほか、ここ6戦は3着以内と好調。勝ち負けまで持ち込めるかどうか。
A1とA2を行ったり来たりしているゴールドネオだが、重賞初出走となった正月の名古屋記念では、勝ったマイネルアラバンサから8馬身離されはしたものの2着。今回のメンバーなら上位も狙えそうだ。
◎ヒシウォーシイ
○トウホクビジン
▲エーシンアクセラン
△ゴールドネオ
兵庫の3歳戦線では、目下のところフィオーレハーバーの実績が断然。2歳時最初の重賞、兵庫若駒賞こそ他馬に厳しくマークされて4着に敗れたが、兵庫ジュニアグランプリJpnIIは地元最先着の5着。その後、大晦日の園田ジュニアカップはハイパーフォルテに1 3/4馬身差をつけての勝利、前走園田ユースカップはタガノバロットを楽に3馬身半突き放す圧勝だった。未対戦の新興勢力によほどの素質馬でもいない限り、この馬の優位はゆるぎそうもない。
2番手を争うのが、園田ジュニアカップ、園田ユースカップで2、3着を分け合ったハイパーフォルテとタガノバロット。ともに地元馬同士のレースでは3着を外さない堅実なレースを続け、前走もそれぞれ3歳の条件戦を勝利と好調。ここは、今回と同じ園田1700メートルの園田ジュニアカップでフィオーレハーバーにそれほど離されていないハイパーフォルテが相手筆頭。
新興勢力ではホワイトランナーに一角崩しの可能性。ホッカイドウ競馬で認定のフレッシュチャレンジを勝ち、中央では勝負にならなかったものの、年が明けて兵庫に転入。初戦は3着だったものの、その後3歳特別で2連勝。その連勝でともに2着のユキノイーグルを物差しにすれば、ハイパーフォルテあたりと好勝負する可能性も十分ありそう。
デビュー2戦目から3連勝中のタガノフライトは、まだ3歳馬同士でも下のクラスが相手だが、前走では強いレースを見せているだけに未知の魅力はある。
◎フィオーレハーバー
○ハイパーフォルテ
▲ホワイトランナー
△タガノバロット
△タガノフライト