ここのところの重賞予想では「昨年は馬インフルエンザで……」という書き出しが多いように、昨年のこの時期は馬インフルエンザの影響を受けていたことを思い出す。この秋桜賞も昨年新設されいきなり馬インフルエンザで名古屋所属馬のみのレースとなり、特別に格下げされて行われた。今年は予定通り西日本交流の重賞として行われるが、結果的に笠松以外からは遠征馬がなかった。
仮に遠征馬があったとしても、西日本地区の交流ならシールビーバックが不動の本命。前走の金沢・オータムスプリントカップの予想でも触れたが、中央から転入してきた梅沢富美男さんの馬。転入後は、JpnIIIのスパーキングレディーカップこそ8着だったが、それ以外3戦の地方重賞はいずれも完勝というレース内容。今後の東海地区の重賞戦線を盛り上げていく中心馬といっていいだろう。
相手にはオグリオトメ。東海クイーンカップを8番人気で勝ったときには驚かされたが、以降は重賞勝ち馬にふさわしいレースを続けている。おじにあのオグリキャップがいるという血統背景も興味深い。
東海クイーンカップで2着だったアジュディサクセスは地元名古屋では8戦して7連対。2歳時もゴールドウイング賞で2着があり、重賞初制覇を目指す。
どうするか迷ったのがサチコゴージャス。年明けから5連勝したが、その後距離が伸びるとゴール前でバッタリ。ただ今回は牝馬同士のレースでもあり、ゆったり流れれば粘れるかもしれない。
マヤノクレナイは中央未出走のまま転入し、下級条件を3連勝。いきなり重賞は厳しいかもしれないが、その3戦はいずれも圧勝だっただけにいきなりでも通用するかもしれない。
◎シールビーバック
○オグリオトメ
▲アジュディサクセス
△サチコゴージャス
△マヤノクレナイ
九州地区交流だが、佐賀からの遠征はなく地元荒尾所属馬10頭での争い。
まず目につくのが、ケイウンヘイローとエランセの安定したレースぶり。ケイウンヘイローは、今年13戦して連対を外したのが大阿蘇大賞典の3着のみ。エランセは、夏に4カ月の休養があったものの、今年6戦して連対を外したのは佐賀記念JpnIIIの7着のみ。
ケイウンヘイローは荒尾生え抜きだが、エランセが昨年10月に中央から転入して以降、直接対決は3度あり、エランセが2度先着。特に九州記念トライアルのサファイアカップ(9月7日)では、エランセは休み明けにもかかわらず、逃げ粘るケイウンヘイローをゴール前でとらえ、1馬身差をつけて勝利。叩き2戦めの今回、さらに上積みが見込めるだけに、エランセを頭にとる。
どちらかが凡走したときに食い込めそうなのは、中央から転入後、オープンまたはA級特別で4戦して3、2、1、2着のセルリアンタオ。あとはB級で安定した成績を残しているテットウテツビくらい。
いずれにしても2強がどういうレースをするかが見どころ。人気も2頭に集中するだろうから手広くは流せない。
◎エランセ
○ケイウンヘイロー
▲セルリアンタオ
△テットウテツビ
ホッカイドウ競馬の古馬戦線というと、有力馬には中央からの転入馬など高齢の目立っていたが、今回の道営スプリントは若いメンバーが揃った。生え抜きの3歳馬が4頭もいるばかりでなく、最高齢が6歳。ホッカイドウに限らず、地方の古馬重賞ではめずらしいのではないだろうか。
そして中心は3歳馬。3歳1冠目の北斗盃を制したラブストレングスは、3冠戦線には向かわず古馬との短距離路線へと向かった。古馬との初対戦となったエトワール賞を好タイムで勝ち、前走のトライアルは昨年の道営スプリントの覇者セイウンドーバーを振り切って逃げ切り勝ち。今回はそのトライアルより2キロ増が課題となるが、53キロならスピードで押し切れるだろう。
対抗にも3歳馬バンブーエルトリ。北斗盃ではラブストレングスのクビ差2着で、今シーズンは地元に限れば4戦3勝、2着1回で、先着されているのはラブストレングスのみ。前走9月17日のA3特別では、今回と同じ55キロでセイウンドーバーに2馬身差をつけて勝っている。
セイウンドーバーは昨年のこのレース以来勝ち星がないが、中央の一線級相手の北海道スプリントカップJpnIIIを除けば2着4回、4着5着各1回と堅実に走っている。
一昨年の覇者で昨年2着のアドミラルサンダーは実績上位だが、北海道スプリントカップJpnIII以来の実戦に加え、今シーズンは3着が最高という成績だけに連下まで。
勝つのは上位3頭のどれかだと思う。
◎ラブストレングス
○バンブーエルトリ
▲セイウンドーバー
△アドミラルサンダー
ユキチャンが出られないのは返す返すも残念だった。ユキチャンが出ていたら、平日の金沢競馬場にどのくらいのお客さんが入っただろうか。
白山大賞典は、同時期の南部杯に一線級がまわることもあって、年によっては中央のメンバーが手薄になることもあり、ダートグレード1勝(関東オークス)の実績のみのユキチャンにとっては最適のレースと思ったのだが……。もしかして補欠になるかなということは考えていたのだが、まさか補欠5頭の中にも入れないとは驚いた。
というわけで出走したシリウスステークスGIIIは、3番手を追走しながら直線で馬群に沈み8着という結果。先行勢総崩れの展開はさすがに厳しかった。やはりゆったり流れる地方のダートグレードでこそという馬だろう。どこかできっかけをつかんで、地方のダートグレードでも除外されないようになれば、レマーズガールやグラッブユアハートのような活躍もできると思うのだが。
出ない馬の話が長くなってしまったが、ここは勢いのある3歳馬スマートファルコンから。皐月賞にも出走したが、ここまでダートでは5戦3勝、2着2回。ダイナミックグロウとのハナ争いがカギとなりそうだが、KBC杯では楽に突き放しているだけに、勝負付けはすんでいる。ただ今回は大外枠に入っただけに、ダイナミックグロウに先に行かれるかもしれないが、2〜3番手からでもゆったりした流れになれば問題はないだろう。
地方勢はマルヨフェニックスが中央勢を相手にどこまで食い込めるか。帝王賞JpnIでは勝ったフリオーソから0秒4差の4着だけに、このメンバーなら勝ち負けになってもまったく不思議はない。
実績ではサカラートが最上位だが、別定59キロはいかにもきびしい。好位から中団を追走して、どこまで差を詰められるか。
ダイナミックグロウは内枠から先行して粘ってどこまで。東海ステークスGIIはいかにもフロックっぽかったヤマトマリオンも連下なら。
トライアルのイヌワシ賞を勝った笠松のトミノダンディ、笠松に遠征してオータムカップを勝った地元金沢のマヤノオスカーらにも期待したいころだが、中央勢が相手では掲示板が精一杯で、馬券にからむまでは厳しいだろう。
◎スマートファルコン
○マルヨフェニックス
▲サカラート
△ダイナミックグロウ
△ヤマトマリオン
岩見沢記念というと、「そろそろ秋だなあ、高重量戦の季節だなあ」という感じがする。秋といっても、帯広競馬場ではすでにジェットヒーターがごうごうと音を立てて燃え盛っているらしいけど。
というわけで、岩見沢記念。
基礎重量840キロに、今シーズンの賞金120万円ごとに10キロ増という別定戦。ばんえい十勝オッズパーク杯を勝ったカネサブラック、ばんえいグランプリを制したニシキダイジン、旭川記念と北斗賞を制したナリタボブサップと、今シーズン重賞勝ちのある3頭がプラス10キロ。
このレース連覇のかかるトモエパワーが中心。今シーズンは、例によってここまで未勝利。「例によって」というのは、昨シーズンもこの岩見沢記念が初勝利だった。それどこか、勝ち星は岩見沢記念とばんえい記念のわずか2勝のみ。ばんえい記念3連覇を狙おうという現役チャンピオンホースが、500万とオープンの混合戦に出られたりするのがばんえい競馬のおもしろいところ。しかし、全馬が800キロ台というレースとなると、この馬の出番。今もっとも勢いのあるナリタボブサップ、カネサブラックの2頭が10キロ余計に負担しているだけに、ここはチャンス。狙っているレースは昨シーズンと同じ、ということかもしれない。
相手は迷うところだが、ナリタボブサップが筆頭。ばんえいグランプリはまさかの4着。ゴール前まで先頭を歩きながら、ゴールライン上で止まって後続に続々と交わされるという、らしくないレース。昨シーズンは、北見記念、帯広記念という、より負担重量の重いレースで台頭してきただけに、ここで巻き返したいところ。
この重量なら、スーパークリントンが穴馬としておもしろそう。
フクイズミは07年のチャンピオンカップを800キロで勝っているが、今シーズン大崩れはないというものの、もどかしいレースが続いている。820キロという重量でどうか。
カネサブラックは大事に使われながら、今シーズン連対を外したのが1度だけ。そのたった1度の旭川記念が、唯一10キロ増量されていただけに、今回もそれがネックになりそう。
◎トモエパワー
○ナリタボブサップ
▲スーパークリントン
△フクイズミ
△カネサブラック