水沢競馬は降雪の影響で12月15日(火)、翌週19日(土)~21日(月)まで中止。結果的に4日間連続で開催を見送った。
盛岡にいると確かに厳しい寒さだったが、雪は10センチあるかないか。零下のため道路が凍っているところも多かったが、降雪量はそれほどでもなかった。これが全国の県で一番広い岩手県ならではのこと。
盛岡市中心部から水沢競馬場まで約70キロ。高速を使って1時間前後、一般道で1時間40分ぐらいの距離だが、水沢と盛岡の気候が違うケースも多々。
水沢の調教担当・トラックマン大場は盛岡から通っているが、彼の話では水沢から雪が多くなり、水沢になると70センチぐらいも積もっていたという。
盛岡競馬が11月までに対し、水沢で冬期、春に競馬ができるのは盛岡市より南70キロにあるから。特に盛岡は本州の県庁所在地で最も寒く、厳寒期にはマイナス二けたの温度になることも少なくない。
ひとまず今週24日(木)から寒さが和らぎ、開催できる可能性は非常に高いと思うが、油断禁物。みなさんも岩手競馬ホームページ、地全協ホームページ等でご確認してください。
26日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「復興祈念 夢あふれる未来へ」(B1級・水沢850m)。
スティルプリンスは今季1勝2着1回。新興勢力のスプリンターに押されっぱなしだが、唯一の1勝は今回と同じ850m戦。それを含めて水沢850m17戦14勝3着1回と最も得意とする条件。2019年4月には49秒4のレコードも大幅更新した。
今回も逃げタイプがそろい、枠順も10頭立て7番枠。外枠に入ったのは決して好材料と言えないが、適性でカバー。850mなら先手を取れなくても我慢でき、近走のうっ憤を一気に晴らす。
サンエイイーグルも典型的なスプリンター。勝ち星8勝はすべて1200m以下でマークし、水沢850m4戦3勝。ここ3戦は早々と失速するレースを続けているが、850mが自信の条件。スティルプリンスよりさらに外9番枠を引き当てたが、こちらも850m戦なら粘り切れるとみた。
フォルスは6月から戦列離脱を余儀なくされたが、11月に復帰。いきなり1200m戦を快勝した。以降2戦は5、8着に凡走したが、0秒5差と1秒差。今度こそ格上ぶりを発揮する。
ヤマニンラボーナは中央未勝利、北海道1勝から転入。3戦目から圧巻の3連勝を飾った。続く1400m特別・田瀬湖賞11着、芝1000m・もみじ賞は7着に沈んだが、軌道修正に成功。盛岡ダート1000m、水沢850戦で2連勝中と完全に勢いを取り戻した。
コンチディナーは2ヵ月半ぶりの前走・水沢850mをアッサリ逃げ切り、適性を誇示した。今回はB1級馬が相手で骨っぽくなったが、850mは前走も含めて<3.2.1.2>。うまく先手を奪えれば通用十分。
ビブショウはOROオータムティアラ競走除外後は2戦4着に終わっているが、中央1勝を芝1200mでマーク。今の水沢は芝実績ある馬が活躍するケースも多く、軽視できない。
◎⑦スティルプリンス
〇⑨サンエイイーグル
▲⑤フォルス
△③ヤマニンラボーナ
△⑥コンチディナー
△②ビブショウ
<お奨めの1頭>
2R ドバウィビクトリー
転入初戦は4ヵ月半ぶりの実戦ながら2着にまとめ、上々の滑り出し。走破タイムが抜けているし、ひと叩きされて上昇確実
20日メインは「ゴールデンジョッキーズシリーズ第1戦」(C1級 水沢1400m)。
かつて騎手戦はトップジョッキーがゴールデンジョッキー、若手ジョッキーはシルバーステッキ賞に分かれていたが、発展的に解消。2012年から名称も「ゴールデンジョッキーズシリーズ」へ変更。1戦のみの決着から全3戦の合計ポイントで優勝が決定する。
有資格騎手は7回水沢までのリーディングジョッキー12名。第7位の阿部英俊騎手は負傷欠場のため、13位の陶文峰騎手が繰り上がりで出場となった。
総合1位の騎手にボーナス50万円、2位が30万円、3位に20万円が支給される。50万円と言ってもピンとこないかもしれないが、騎手の進上金(賞金の5%)に例えると1着賞金1000万円レースを優勝した額に相当。
大みそかの桐花賞が1着賞金500万円。ボーナス50万円は2度勝つことに匹敵し、岩手競馬所属の各ジョッキーも力が入る。
しかも毎年のようにどんでん返しがあり、2016年の陶文峰は第2戦まで最下位だったが、第3戦の勝利で大逆転優勝。その意味でも最終戦まで目が離せない。
第一戦の本命は山本聡哉=エルポデール。短距離に路線変更して以降は芝1000m・区界賞11着以外は大崩れなし。特に近走は2戦3着から前回快勝。好位キープから早め先頭に立ち、そのまま押し切って今季初勝利を飾った。
今回は距離が100m延長されて1400mが舞台。ひとまず守備範囲と見れば、好調度を前面に2連勝できると判断した。
菅原辰徳=ヤマニンゼーレは関内南関東C3から転入。当初は2着1回3着2回までだったが、移籍4戦目から3連勝。C1昇級戦も難なく突破し、好タイムもマークした。展開に左右されないのが何よりも強み。勢いに乗っている点も見逃せない。
高松亮=アークオブメジャーは2、3歳戦で上級クラスで走り続けてきたが、勝ち味に遅いのがネックだった。しかし古馬編入2戦目の4走前を快勝し、前走で2勝目。ようやくひと皮むけた印象。ここでも上位扱いが当然だろう。
岩本怜=ベルレガッタはロードカナロア産駒で東京芝1800m・3歳新馬戦3着。その後、大井2戦を使って岩手入り。5戦目に初勝利を飾った。その後は成績安定しないが、水沢に替わって3着に反撃。
現在、岩手にも寒波が来襲。一気に寒さが増してきたが、凍結防止のために融雪剤がまかれている。そうなると通常の不良馬場、重馬場と違った特徴が出て、芝で活躍した馬の好走が多くなる。ジョッキーたちの話を聞くと砂が粘りつくような感じとのこと。おそらくだが、オールウェザーのような砂になるのが要因だと思う。
芝で好走実績があるベルレガッタには好材料。一発の期待がかかる。
高橋悠里=タイセイターゲットは3歳時に重賞・ウイナーカップで3着の実績。8月以降のリタイアが痛かったが、今回は走り頃の休み明け3戦目を迎えた。
鈴木祐=ナリタゴールドは詰めが課題だが、堅実に直線で台頭。先行激化なら台頭の可能性がある。
◎②エルポデール
〇⑨ヤマニンゼーレ
▲⑧アークオブメジャー
△①ベルレガッタ
△⑪タイセイターゲット
△③ナリタゴールド
<お奨めの1頭>
2R アンデュレイト
転入初戦をあっさり快勝して好発進。走破タイムも文句なく2連勝もらった
12月31日、大みそか恒例の岩手版グランプリ「第45回桐花賞」(水沢2000m)のファン投票中間発表が出た。
1位・エンパイアペガサス(654票)、2位・ヒガシウィルウィン(635票)、3位・フレッチャビアンカ(412票)、4位。ランガディア(340票)、5位・ラブバレット(289票)。
最終締め切りは12月20日だが、このままエンパイアペガサスが首位をキープできれば3年連続(2018年は休止)で1位で選出されることになる。
今年の桐花賞は例年以上に豪華メンバー。おそらくで言うが、優勝馬がそのまま年度代表馬にも選ばれる可能性が高く、各陣営とも力が入っている。
赤松杯、シアンモア記念、一條記念みちのく大賞典と重賞3連勝を飾り、JpnIII・マーキュリーカップでも3着に健闘した春のチャンピオン・ランガディア。準重賞・すずらん賞、重賞・青藍賞を連勝し、南部杯8着、絆カップも制したヒガシウィルウィン。
東北優駿(岩手ダービー)、不来方賞、さらに全国交流・ダービーグランプリと重賞3連勝を飾り、北上川大賞典2着フレッチャビアンカ。そして北上川大賞典完勝で復活宣言エンパイアペガサス。まさに役者がそろった感じだ。書いている自分も12月31日当日が来るのをワクワクしている。みなさんもぜひ、桐花賞ファン投票に参加してください。
19日メインはオープン馬による水沢1400m戦「ハヤテ特別」。スプリンターがずらり顔をそろえ、距離適性が重要なファクターとなった。
イチネンセイは南関東8勝・B2から転入。C2格付けにも恵まれてアッサリ6連勝をマークし、一気にA級まで駆け上った。
以降は相手が強化され、頭打ちのレースを繰り返していたが、敗因の一つは1600mの距離。南関東時代の勝ち星は1000m~1200m戦。
短距離にシフトして以降は安定した成績を残し、近走も3、2、3着。加えてコース適性は旧地も含めて右回り。水沢1400m3戦3勝の成績も心強く、久々の美酒を味わうチャンス。
トドイワガーデンは3歳時に盛岡ダート1000m重賞・ハヤテスプリントをレコードで完勝し、岩手のファンにもお馴染み。その後、北海道へ里帰りして短距離を専門に活躍。A2でも勝ち負けを演じている。
気になるのは岩手時代もそうだったが、器用なタイプではなくコーナーワークが課題。ワンターンがベストの印象があり、コーナー4つの水沢1400mをどうこなすか。過去に同条件のウイナーカップ(3歳重賞)で5着が微妙だが、絶対能力に期待する手。
ケルヴィンサイドは今シーズン精彩を欠いていたが、前々走3着から水沢1300m戦で豪快なまくりを決めて快勝。今季初勝利を飾った。追い込みタイプで展開に注文つくが、弾みついた今なら2連勝まで十分。
イサチルケイは休み明けの前々走・盛岡1400mを逃げ切り快勝。前走は9着に終わったが、先手を取れなかったのがすべて。このメンバーなら先手必至。マイペースに持ち込みたいところ。
ウインルーカスは成績安定しないが、気配そのものはマズマズ。過去に水沢1400m2戦2着1回の実績から軽視できない。
キモンダッシュは6ヵ月の休養から復帰。初戦は9着に終わったが、ひと叩きされて良化確実。過去実績から押さえ必要だろう。
◎②イチネンセイ
〇⑥トドイワガーデン
▲④ケルヴィンサイド
△⑤イサチルケイ
△①ウインルーカス
△⑨キモンダッシュ
<お奨めの1頭>
4R ドバウィビクトリー
4ヵ月半ぶりの実戦を2着にまとめ、上々の滑り出し。ひと叩きされた上昇度とタイム比較から勝機到来と見るべき
14日メインは2歳重賞・金杯トライアル「第19回寒菊賞」(水沢1600m)。創設は2002年で10年後の2012年に重賞へ格上げされた。
重賞昇格以降の勝ち馬を2012年から紹介してみたい。ロックハンドパワー、ラブバレット、スペクトル、イチダイ、ベンテンコゾウ、チャイヤプーン、パンプキンズ、昨年がグランコージー。
もうお気づきになったと思う。寒菊賞は隠れた出世レース。ラブバレットは岩手生え抜きで久々の1億円ホースになり、イチダイは中央準オープンまで上り詰めた。ベンテンコゾウは北海道二冠を制し、チャイヤプーンはダイヤモンドカップ、ダービーGPを優勝して年度代表馬。パンプキンズは岩手二冠を獲得。グランコージーは2歳最優秀馬に選ばれ、今年は岩手一冠目・ダイヤモンドカップを圧勝した。
つまり後々のことを考えると寒菊賞こそが出世の登竜門。岩手2歳の根幹重賞は若駒賞、南部駒賞、金杯。芝はジュニアグランプリだが、将来を占う意味で寒菊賞が最も重要といっても過言ではない。
リュウノシンゲンはデビュー2連勝を飾り、芝重賞・若鮎賞へ挑戦。同僚マツリダスティールの3着に敗れたが、初芝に加え、適性の差が出た格好。
続くビギナーズカップでマツリダスティールに雪辱を果たし、若駒賞も完勝。ダート5戦5勝で南部駒賞へ臨んだが、北海道ギガキング、シンタロウに後塵を拝して3着。明らかに厳しい競馬の有無が大きかった。
ギガキングはサンライズカップ2着、JBC2歳優駿6着。シンタロウは栄冠賞8着、ブリーダーズGJC4着、サンライズカップ10着と重賞経験3回。圧倒的な層の厚さとレベルを誇る北海道2歳の経験差がモノを言った。
しかしリュウノシンゲンにしてみれば貴重な経験。若駒は強豪と戦って自身の地力もアップできるのが常。寒菊賞でどんなレースを披露するか興味深い。
ファイントリックはデビュー戦の850mを勝ち上がり、重賞・ビギナーズカップ3着、交流・知床賞4着、プリンセスカップ3着。芝・ジュニアグランプリ8着以外は毎回健闘を続けている。
今年の北上川大賞典を完勝した兄エンパイアペガサスは540キロ。対してファイントリックは父がエンパイアメーカーからルーラーシップに替わって400キロの小柄な牝馬だが、レースセンス抜群。馬体重もここにきて410キロ台に乗せ、成長は確実。次位は譲れない。
グランフォロミーは北海道1勝から知床賞へ参戦して5着。初の左回り、初輸送もこたえたかもしれない。直後に櫻田康二厩舎へ移籍して遠野馬の里でリフレッシュ。レース間隔は若干開いたが、過去実績からも好勝負必至。
マツリダジョオーは知床賞でグランフォロミーと同タイム6着。牡馬相手にも互角の競馬を披露し、前走はロングスパートを決めて快勝。ただ1頭だけ水沢1600mを勝っているのが魅力。さらに水沢コースは3戦2勝2着1回と連対パーフェクトを誇っている。
シラカミロードは若駒賞で2着を確保したが、南部駒賞9着に大敗。好、凡走の落差が激しく信頼度ひと息だが、その分だけ不気味さも漂う。
コンバットマジックはプリンセスカップ9着に敗れたが、逃げ馬がスタートで出遅れたのが致命傷。今回も外枠に入ったが、それでも逃げ必至。リュウノシンゲンが可愛がれば残り目があるかも。
◎⑧リュウノシンゲン
〇③ファイントリック
▲⑥グランフォロミー
△⑦マツリダジョオー
△①シラカミロード
△⑩コンバットマジック
<お奨めの1頭>
10R モンサンフィエール
南関東B2の格をマザマザに転入戦を完勝。今度はB1級が相手だが、初戦のパフォーマンスを信頼する手
先週7日、岩手競馬最長距離戦「第42回北上川大賞典」はエンパイアペガサスが1馬身半差で完勝。堂々1番人気に応え、3歳馬フレッチャビアンカの追撃を完封した。
村上忍騎手「いつものことですが、北上川大賞典は超スローの流れ。ほかの馬も折り合いつけるのが大変で、出入りの激しい競馬になりましたが、自分のリズムを優先させました。道中はなだめるのに苦労しましたが、3コーナー手前あたりから動いてもいいだろうと仕掛けました。先頭に立ってからも反応が良くて、最後まで素直に走ってくれました。前々走は久々にコンビを組み、休み明けなので2着でしたが、今回は勝つことができて良かった。次の桐花賞でもいい競馬をお見せしたいと思ってます」
村上忍騎手は前々走、エンパイアペガサスとコンビ復活。2017年11月23日、浦和記念6着以来、実に2年11ヵ月ぶりのことだった。その一戦は4ヵ月ぶりの実戦も影響してジェイケイブラックの2着に敗れたが、ひと叩きされた上昇度と得意の長距離戦で本領発揮。2018年(昨年は休止)に続いて2回連続で北上川大賞典優勝を果たした。
一方、岩手二冠、全国交流・ダービーグランプリと3連勝中だったフレッチャビアンカは2着に終わったが、プラス17キロで出走。見た印象からも太目に映ったが、最大目標は岩手版グランプリ・桐花賞。
おそらく陣営は現時点での仕上がりで北上川大賞典をどう戦えたかも測ったはず。となると絆カップを完勝したヒガシウィルウィン、復活エンパイアペガサス、ひと叩きされたフレッチャビアンカ。さらに北上川大賞典は出走取り消しだったが、桐花賞2連覇を狙うヤマショウブラックとオールスターが集結するのは確実。今年の桐花賞は近年では稀に見る激戦となること必至だ。
13日メインはB1「銀嶺賞」(水沢1400m)。前走1300m戦から6頭、マイル戦から2頭、1900m戦から2頭エントリー。舞台も1400mに替わり、距離適性も重要なファクターとなった。
ナイトフォックスは南関東A2から転入。格付けにも恵まれて5戦3勝2着2回。2戦連続で2着に敗れたが、前回完勝で軌道修正。B1昇級も難なくクリアーした。意外にも1400m戦は19戦2着1回のみだが、単なる巡り会わせ。岩手で1200m戦を勝ち、マイルもアッサリ勝利すれば1400mも問題なし。先行して良し差しても良しの自在脚質で2連勝へ王手をかけた。
ツルマルパラダイスは北海道A2から転入。10月7日、門別1200m戦で鮮やかな直線一気を決めている。転入戦は出遅れを喫して最後方を追走。2コーナー過ぎからスパートをかけたが、0秒9差7着に終わった。追い込み脚質の不安あるが、先行馬がそろってハイペース必至。コースも2度目なら巻き返し必至だろう。
サンサダンサーは走るたびに成長を続け、目下9戦連続で連対中。次第に相手が強化される中、着実に力をつけている。好調馬がそろった今回は正念場を迎えたが、1400m短縮は間違いなく歓迎。ここも突破ならA級入りも見えてくる。
ロックオンは昨年A級からC2へ降格。休み休みの実戦ながら5勝2着3回と抜群の安定感。前走5着は1900mが長すぎたもので度外視。ベストの1400m戦で反撃に転じる。
ローズドクレアは相手なりに駆ける堅実さが身上。コース替わった前走5着。水沢が合うか微妙になってきたが、決め手勝負になれば切れを発揮。
ロクイチノカガヤキは逆に水沢に替わって反応が一変。1300m戦で見事なロングスパートを決めた。得意コースでもう一丁いけるか。
◎③ナイトフォックス
〇①ツルマルパラダイス
▲⑩サンサダンサー
△⑦ロックオン
△⑤ローズドクレア
△⑥ロクイチノカガヤキ
<お奨めの1頭>
4R ワルツフォーラン
前走1秒9差で圧勝し、走破タイムも優秀。絶好の1番枠を引き当て、2連勝もらった