9月16日に行われた古馬マイルの重賞・マイルチャンピオンシップ南部杯トライアルの『青藍賞』はヒロシクンが優勝。みちのく大賞典に続いて2つめの重賞タイトルを手にしました。
1枠のグランコージー・5枠のヒロシクン。この2頭の先行争いになるとみられていたレースはやはりその通りの形で開幕。序盤はグランコージーが前に出て一周目のスタンド前を通過します。
レースが動いたのは向こう正面後半。グランコージーに迫っていったヒロシクンが交わして先頭、そこからリードを拡げていきます。それを見て一斉に動き始める後続。しかし差は縮まらないどころか4角をまわってさらに拡大。最後はヒロシクンが5馬身にまでリードを拡げてゴール、鞍上・高松亮騎手の大きなガッツポーズのおまけ付きの勝利となりました。
2着はゼットセントラル、3着はサクラトップキッドの後方待機組が直線で進出。ハナを奪ったグランコージーが4着に粘った一方、好位から追った1番人気ウラヤは最後失速し6着に終わっています。
9月17日のメインレースは12RのA級一組ダート1600m『白露特別』。本命は(2)マツリダワールドです。
ここ二走は6着・5着と連対圏から遠ざかっている同馬ですが二走前はかきつばた賞、前走は桂樹杯と準重賞での結果。いやそれ以上に差し・マクリ優勢で逃げ・先行馬に厳しかった馬場傾向の影響も受けた結果という印象がありました。逃げに持ち込めればしぶといことはそれまでの、5戦連続での3勝2着3回の結果が証明済み。加えて今週の水沢はタフな馬場ではありますが先行馬に有利な傾向にもなっています。同型がいないわけでは無いですが少々競り合う形になっても耐えることができるタイプですし、今の水沢は行ききってしまえるならその方が有利にもなる傾向。ここで巻き返しを期待しての本命視。
対抗は(1)ドルズプライスレス。6月の水沢以来の休み明けになりますが、この馬は使い込まれてからよりは休み明けでフレッシュな方が良いというタイプです。休み明け初戦が不利になるとは思わなくていいでしょう。
懸念とすれば距離。ここまでの戦績通りベストは1400m。昨年には今回と同様のメンバーを相手にマイルで勝っているとはいえ少し長い印象あり。フレッシュさを武器に食い下がるとみての対抗視。
三番手は(7)グレートキャンベラでどうでしょうか。前回のA級戦では完敗を喫しており、青藍賞があって一線級が不在の一組戦とはいえ相手強化感は確かにあります。ただ、今季はここまで4戦、昨年ほどの連勝ではないですがレースぶりは安定感が増している印象。勝ち負けとまでは言えませんが上位争いできる力は備えてきていると判断。
(5)ルチルクォーツもどちらかといえば短距離での活躍が目につきますが、6月にマイルで勝っているように折り合い面は苦にしません。(3)オンザブロッサムのここ二戦は相手関係だけでなく距離も影響したでしょう。ここに入るとまだ時計がちょっと足りないと感じますが成長度、勢いを侮らないスタンスで。この2頭が押さえ。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(2)=(1)、(1)=(7)、(2)→(7)、(2)=(5)、(2)→(3)
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16日メインはJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯トライアル「第32回青藍賞」(水沢1600m)。1着馬に優先出走権が与えられる。現在、2連覇中のゴールデンヒーラーは北海道で休養中。現時点での目標は絆カップ―と佐藤祐司調教師。今年のラインナップは総入れ替え。岩手古馬の勢力図は大きく変わった。
主軸にヒロシクンを指名する。今年5月、中央1勝クラスから転入。B1級であっさり3連勝を飾り、岩手古馬の最高峰・一條記念みちのく大賞典へ挑戦。1番人気グランコージーの出鼻を叩いて先手を主張し、そのまま押し切って快勝。重賞初挑戦でいきなりタイトルを獲得した。
続いてJpnIII・マーキュリーカップへ駒を進め、今度はメイショウフンジンの逃げを阻止。周囲を驚かせたが、さすがに相手が強く3コーナーでクラウンプライドに交わされて失速。13着に沈んだ。その後は休養に入り、放牧先でも乗り込んで帰厩。青藍賞から始動する。最大ネックは大型馬で仕上がり度合い。ひと叩きした方がいいかも知れないが、2ヵ月ぶりなら臨戦態勢は整ったと見ていい。
グランコージーは今年、水沢・千葉幸喜きゅう舎へ転厩。いきなり3連勝を飾り、赤松杯、シアンモア記念と重賞2連勝。3歳時、ダイヤモンドカップ以来の重賞制覇を果たし、春の主役を演じた。
一條記念みちのく大賞典で1番人気に支持されたが、ヒロシクンが激しくハナを主張。加えて2000mの距離も長く4着。マーキュリーカップ14着に敗れた。評価に迷うのは前走・かきつばた賞5着。マツリダワールドが内枠から先手を奪って2番手を追走。自分の競馬ができなかったのが痛かった。しかし今回は絶好の1番枠。今回は主導権を握る可能性が高く、ベストの水沢1600m戦。近走のうっ憤を一気に晴らす。
ウラヤはガリレオの直系でイギリスダービー馬ニューアプローチ産駒。デビュー3戦目からダート路線へ変更し、1400m戦で3勝。中央3勝クラスで頭打ちだったため、岩手へ新天地を求めてあっさり2連勝。メンバーが甘かったとはいえ、実力の違いをまざまざと見せつけた。今度は一線級が相手だが、岩手2戦のパフォーマンスから十分通用する。
ゼットセントラルは今季未勝利だったが、前々走・東京カップけやき賞(中央2勝クラス)を快勝。鮮やかな直線一気を決め、2004年ゴールドレッグ以来の岩手優勝を果たした。前走・桂樹杯は9着だったが、スローに落とされたのが致命傷。ペースが速くなれば巻き返し必至。
ゲンパチプライドは中央2勝クラスから転入。1勝2着2回3着1回。JpnIII・クラスターカップで地元最先着を果たした。ベストは1400m戦だが、マイルもひとまず守備範囲。有力馬がもたつけば馬券対象となる。
◎(5)ヒロシクン
〇(1)グランコージー
▲(4)ウラヤ
△(6)ゼットセントラル
△(8)ゲンパチプライド
<お奨めの1頭>
3R マイジュネス
A級でも勝利実績があり、今回から最下級C2へ降格。メンバーが大幅に緩和され、久々の勝機を迎えた。
先週7日から舞台は水沢競馬場に替わったが、同時に格付けも再編成。大幅なクラス変動があった。岩手在籍馬は前12走、転入馬は全20勝の獲得賞金によって格付けが決まる。
一つの例でいえば15日(日)、第1Rに出走するクリノケンリュウ。中央ダート4勝、高知7勝、園田C1級、笠松A級、門別A1級から転入。獲得総賞金は6千900万円余りだが、岩手で一度A級で走って、今回から最下級C2へ大降格。過去12走で稼いだのは笠松時代のA3級5着時の4万円。これが格付け賞金となってクラスが一気に下がった。
以上は岩手競馬の格付けルールの基本。クリノケンリュウが本命視されるのも理解いただけると思う。パドック解説でも意識的に伝えているのは格付け方式を分かって欲しいから。クラスが下がったからといって必ずしも全馬が勝つわけではないが、メンバー有利は明らか。今週も格重視で印をつけた。
15日メインはA級二組「爽秋特別」(水沢1600m)。各馬が一長一短のメンバー構成で波乱の可能性が高く、悩み多い一戦となった。
主軸にハクシンパーソナルを推す。追い込み脚質のため後方のままに終わるケースも多いが、5走前の水沢1600m戦を快勝。また前走は準重賞・桂樹杯で2着に突っ込み高配当を演出した。成績が安定しないのが気がかりだが、相手が大幅に緩和。勝機をがっちりとつかむ。
セイキングダムはシーズン当初は仕上がり途上のため精彩を欠いていたが、徐々に良化を示して3走前2着から目下2連勝中。好タイムを連発した。今度はB1級からA級へ復帰。勝ち星のない水沢へコースが替わるなど不安要素はあるが、勢い重視。好枠から主導権を握り、3連勝に王手をかけた。
ロワマージュは中央ダート3勝、南関東B1級から昨年7月に転入。当初2戦はA級で走ったが、冒頭に記した格付け再編成によってC2へ降格。今年2勝2着1回も含めて10戦連続で連対を果たして、A級へ復帰。初戦は3着にまとめたが、以降は苦戦の連続。夏負けも影響したが、ここにきて復調ムード。
ダブルラッキーは実戦を使われながら調子を上げて前々走3着から前回快勝。待望のシーズン初勝利を飾り、その後は北海道で放牧。今回は2ヵ月半ぶりの実戦で仕上がりがカギだが、気分リフレッシュできたのは確か。
アサンテギアは決め手が冴え渡り、盛岡短距離戦で3連勝をマーク。充実ぶりが目覚ましい。1600m戦は4戦ぶりだが、過去実績から守備範囲。スローに落とされると不発も考えられるが、流れ次第で一気突き抜ける。
ビッグタマテルーフは牝馬準重賞・フェアリーカップでミニアチュールの2着。コンスタントに結果を出せるタイプではないが、流れが合えば反撃必至。
◎⑪ハクシンパーソナル
〇④セイキングダム
▲⑩ロワマージュ
△②ダブルラッキー
△⑦アサンテギア
△⑤ビッグタマテルーフ
<お奨めの1頭>
9R トキノパイレーツ
今シーズンは3着1回が最高だが、オープンからC1へ降格。相手が大幅に甘くなり、絶好の勝機を迎えた
9月8日(日) 「第42回ビギナーズカップ」(2歳 水沢1400m)
枠差を利してステイクラッシーが逃げ、2番手外にラポジート、3番手にポマイカイ。4番手インにピカンチフラワー、5番手に1番人気サンカリプソ。続いてコニパ、2番人気マツリダマスラオは7番手を追走した。
レース前はハイペース模様が予想されたが、思った以上に先行有利の流れ。勝負どころの3コーナーでラポジートがステイクラッシーをあっさり交わして先頭。ポマイカイ、ピカンチフラワーも遅れず追走し、中団につけていたサンカリプソもスパートをかけて進出。直線を向いてラポジートのスピードは衰えず、そのまま押し切って2馬身半差でゴール。2着にポマイカイが粘り、一度3番手に進出したサンカリプソは脚が上がって4着。替わってピカンチフラワーが3着を確保した。
1着・ラポジート=岩本怜騎手
「今回のような2番手外からの競馬が理想。思ったとおりのレースができた。前回(7着)はテンに出しすぎてリズムが狂ってしまったので、今回はテンの入りを気をつけた。道中の手ごたえが良くて掛かり気味になったので3コーナーで早めに抜け出した。最後は脚が上がったが、気合いで押し切ってくれた。この馬は一戦ごとに成長を感じますから、次も楽しみです」
三野宮通調教師
「前回は凡走したが、渋った馬場で走る気をなくしたかもしれない。今日みたいな良馬場が良さそうだし、無理して我慢させると嫌気がさす印象。今回はリズム良く走っていたので納得の結果。これでネクストスター盛岡の優先出走権を獲得できたので直行する予定です」
ラポジートはヘンリーバローズの2世代目産駒。自身は2戦1勝で引退したが、シルバーステートの全弟の血統から種牡馬入りした。ラポジートはデビュー2連勝を飾り、3戦目も1番人気に支持されたが、2番手から失速7着。三野宮調教師のコメントどおり無理をして我慢させると嫌気がさし、リズム良くレースができるかが好、凡走の分かれ目。今回で陣営も手のうちに入れ、次走・ネクストスター盛岡も楽しみになった。
2着・ポマイカイ
3番手で折り合いをつけたのが好走要因。デビュー戦後は力みが目立ち直線一杯となったが、今回はうまく流れに乗れた。1400mまでなら目が離せない。
3着・ピカンチフラワー
6月3日、水沢1300m2着後、千葉、八幡平の牧場で放牧。3ヵ月半ぶりの実戦だったが、3着なら上々。次走への上積みも見込める。
4着・サンカリプソ
門別3戦1勝2着1回3着1回から転入。1番人気に支持され、勝負どころから進出。最後で伸びを欠いたのは距離経験が1000m戦のみ。1400m延長もこたえたが、この経験が以降に生きるはず。
9月8日に行われた2歳馬の重賞『ビギナーズカップ』。例年と若干異なり早くも今季3戦目の2歳ダート重賞となったこのレースはラポジートが優勝。2歳重賞ウイナーの列に加わりました。
4番人気ステイクラッシーが逃げてラポジートはその2番手に付ける形。そしてその直後にポマイカイ、ピカンチフラワーが付ける先行態勢。結果的にはそれら先行勢が上位を占める形になったのですがここではいったん3コーナーあたりの話へ。
逃げていたステイクラッシーが急激に失速・後退していったのが3コーナー手前。入れ替わるかのようにサンカリプソが上昇して前に迫ります。この辺の動きは急でしたが、しかし先頭はラポジートがリードを拡げて粘りこみ態勢。2着以下もそれぞれ追い上げてきますが後続との差は縮まらず、そのまま2馬身半の差を付けてラポジートが重賞制覇のゴールを駆け抜けました。
同馬は6月の新馬戦、続く2戦目を圧勝していたものの前走8月の盛岡戦では突然の豪雨に悪化した馬場に戸惑ったか7着敗戦。その影響なのか今回は5番人気の支持でしたが以前の強さを取り戻した形の完勝。改めて2歳重賞戦線の中心の一頭として名乗りを上げる結果となりました。
今週、この開催から岩手競馬は水沢に移動。10月1日までが秋の水沢競馬として行われます。調べてみたところ"10月の水沢競馬"は1995年10月以来。OROパークができるまでは南部杯が水沢競馬場で行われていたりして(というか旧盛岡競馬場がフルゲート8頭だったため交流競走はほとんど水沢で行われていました)、10月前半の開催場は水沢だったという時期がわりと長かったようですね。その95年の南部杯は、そう、古いファンの方なら忘れることが無い"トウケイニセイが3着に敗れた南部杯"のその年。10月1日のたった1日分だけとはいえ、あの年以来の"10月の水沢開催"とおもうと妙に感慨深いものがあります。
さて予想に行きましょう。9月10日のメインレースは11Rの『カペラ賞』、B1級短距離の1400m戦です。本命は(4)グラフィアスレディを採りました。
今季ここまでまだ1勝にとどまっている同馬ですが、とはいえ盛岡・水沢を問わず大きく敗れたのは6月16日の水沢戦くらい、あとは勝ち馬から1秒圏内に食い下がる堅実な戦いを続けています。レースぶりも気配も安定していると感じる近走ですしこのコース・距離も苦手感無し。相手関係も近走で差が無く戦ってきている馬がほとんど。勝機は十分にあると考えていいのでは。
対抗は(6)マナホクを。最初に言ってしまうなら、今週の水沢は先行有利の傾向が強く本格的な差し馬はかなり不利。なので最後方近くからの捲りになりがちなこの馬にとっては戦いやすいとは言えない状況ですが、しかし二走前なども前が止まらない流れの中を追い込んできて勝ち切っていたりして地力はやはり高いものがあります。ここはその底力に期待しての対抗評価。
(10)セイシークエンスが三番手。A級からB1に降級していた前走をあっさり勝って1年ぶりの勝利を手に。短距離の差し馬的なイメージが強いだけに1400mという距離でもちょっと不安に感じますが、しかしかつてはマイルでも好走していましたし、調子を上げてきた勢いの方を魅力とみて▲に。
以下、まず(3)ハピネスガッサン。1400mくらいであればコースは問わないし、脚質のイメージの割には盛岡はちょっとハマらないこともあるので直近勝ち切れずにいる点も気にしなくて良いでしょう。もう一頭は(8)ミヤコプレジールを。ちょっと勝ち切れないというか、ちょっと取りこぼすというかなところがある馬ですが力量はA級通用のもの。上位争いに加わっていて不思議は無いはずです。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(4)=(6)、(4)=(10)、(6)=(10)、(4)→(3)、(4)→(8)
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