今週8日から水沢に替わったが、同時に格付けが再編成された。岩手在籍馬は前開催から前15走の持ち賞金によってクラスが移動した。特に顕著なのが最下級C2級でA級から一気に降格した馬が多いのに気付いたと思う。
そうなると比較基準が難しい。クラスが大きく下がるということは、必然的に今季成績が悪い馬。着外続きだった馬は賞金獲得もなく、着順は度外視したい。特に注目するべきなのは走破タイム。A級、またはB級で10着でも盛岡戦の走破タイムで通用する。一つの例でいえば1200mタイムが1分15秒を切っていれば狙いが立つ。しかもペースも緩くなり追走も楽になる。極端な場合は最後方からの競馬から一転、逃げの手も打てる。
もう一つ役に立つのは連対時の脚質。近走は後からの競馬でも過去に逃げ、先行実績があれば前に行けるケースも多く、近走脚質で展開を組まない方がベター。以上は岩手競馬の馬券検討には欠かせない作業となる。あとは馬場傾向だが、コース替わりには必要不可欠。水沢適性もしっかりチェックしてほしい。
*木曜日にアップした先週のレース回顧の追加情報です。フジユージーンの次走は現在未定。「レース後の状態を見ながらの状態です。次走については1週間ほど時間をください」と瀬戸幸一調教師。決定を待ちましょう。
9日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。今回は開催替わり週のため、ローテーションの狭間。準メイン11R、メイン12Rとも5頭立てで行われる。特に今年の夏は猛暑が続き、競走馬の体調管理に苦労し、少頭数もやむなし。馬券もできる限り絞って購入したい。
本命はラブロック。今季も2勝2着1回と健在を誇示。3走前の盛岡マイル戦をアッサリ逃げ切った。以降2戦は6、7着に沈んだが、敗因は展開。ハナを奪うことができず直線失速した。しかし今回は少頭数に加えて単騎逃げが明白。マイペースに持ち込んで首位を奪回する。
コマビショウは中央ダート4勝、南関東、笠松、名古屋を経て転入。初戦は競走除外、2戦目は8着に終わったが、3戦目から鮮やかなまくりを決めて3連勝、スタートがカギだが、ロングスパートを決めた。ここ2戦は2、3着だったが、相手も強かった。スロー必至だが、自力で動けるのが強み。
モールは今シーズン最下級C2へ降格。メンバーに恵まれて4勝2着1回。前走8着に終わったが、夏負けの影響。今週に入って岩手は日中はともかく朝晩はかなり涼しくなり、それに合わせて回復。巻き返しに転じる。
エスペルトは昨年4戦3勝だったが、9月以降はリタイア。復帰後は伸びを欠いているが、徐々に復調ムードを漂わせている。
◎(3)ラブロック
〇(2)コマビショウ
▲(5)モール
△(1)エスペルト
<お奨めの1頭>
2R リッチアロマ
南関東C1から転入後、アッサリ2連勝。格の違いを見せつけた。今度は水沢850m戦だが、川崎900mで4勝マークなら問題ない
今週から戦いの舞台は盛岡競馬場から水沢競馬場へ。6月25日(火)以来、約2ヵ月ぶりの開催となる。コース替わりを歓迎する馬がいれば、逆のパターンも多々。開催替わり初日9月8日のメイン「第42回ビギナーズカップ」(水沢1400m)もそれが当てはまり、コース適性も非常に重要なファクターとなった。
主軸にサンカリプソを指名する。門別1000m戦で1勝2着1回3着1回。前々走3着は2番枠に入り、初めてもまれる競馬を経験したが、それでも直線ではマズマズの脚を使って伸びていた。それを受けて前走は好ダッシュを決めて余裕の逃げ切りを決めて4馬身差。直後に岩手入りした。
不安点は1000m経験しかなく1400m延長がカギを握るが、決して逃げにはこだわらない印象。内の動きを見ながらレースができれば問題ないと判断した。加えて先日(8月25日)に行われたジュニアグランプリ(ダート1600mへ変更)はキングミニスター、キングリーエアーと入り、門別所属馬で1、2フィニッシュ。若鮎賞を6馬身差で圧勝し、岩手大将格で臨んだサウザンドマイルは0秒9差3着。以上のことを考えればサンカリプソで十分間に合う。
ステイクラッシーはデビュー戦を競り合いの末に快勝。2戦目は休養明けでいきなり850mから1600m延長。普通ならば失速のパターンだが、渋太く粘って3着。前走はアッサリ逃げ切りを決め、若鮎賞3着がダテではなかったことを証明した。同型が多く展開は楽ではないが、こちらも控える競馬もできると見た。
マツリダマスラオはデビュー戦2着だったが、地元水沢に戻って完勝。素質の片りんをのぞかせた。以降は3、2、3着と最後の詰めが課題だが、盛岡コースも合わなかったか。今回に限れば大外枠も強運で先行激化は必至。終いの脚を生かせればあっさり首位まで。
ピカンチフラワーはデビュー戦で出遅れながらも直線抜け出しを決めて完勝。2戦目はマツリダマスラオに完敗2着に敗れ、その後は千葉、岩手八幡平の牧場で休養。たっぷり英気を養って帰厩した。今回は3ヵ月ぶりの実戦がネックだが、暑い時期を避けたのが吉と出る可能性は十分。
ポマイカイはデビュー戦の盛岡1000mを1秒8差で圧勝。今年、早池峰スーパースプリントを優勝したダイセンメイト譲りのスピードが冴え渡った。しかし以降は折り合いをつけるのに苦労して2、6、2着。気性面の解消が課題となった。その意味で1400mは歓迎。折り合いがつけば連対を果たせる。
コニパはデビュー戦の盛岡1000mを2秒2差で逃げ切り、1分00秒9の破格タイムもマーク。キャリア一戦、1400m延長などクリアーする課題は多いが、絶対スピードで克服するか。
◎⑨サンカリプソ
〇③ステイクラッシー
▲⑪マツリダマスラオ
△②ピカンチフラワー
△⑦ポマイカイ
△④コニパ
<お奨めの1頭>
1R スノーミックス
タワーオブロンドンの初年度産駒。当初予定は盛岡1000mがデビュー戦だったが、頭数不足で不成立。今回は仕切り直しの一戦となった。850m、輸送など不安があるが、地力を信じる手。
9月3日(火) 「第56回不来方賞」(3歳・JpnII 盛岡ダート2000m)
1番枠サトノフェニックスの機先を制してカシマエスパーダがハナを主張。2番手にパッションクライ、3番手インにサトノフェニックス。その外にサンライズジパング。スタートで若干あおったフジユージーンは中団6番手につけた。スタートから12秒7-11秒3-12秒4。前半3ハロン36秒4に対し、上がり3ハロン36秒2。また前半1000m62秒1、後半1000m61秒5。カシマエスパーダはスローに落として絶妙のペースで逃げた。
残り600mからカシマエスパーダが11秒4にピッチを上げるとフジユージーンは次第に置かれていく。サンライズジパングはじわじわとカシマエスパーダに接近し、直線入り口で先頭に並ぶ。カシマエスパーダは渋太く粘っていたが、残り200mでサンライズジパングが捕らえると、あとはじわじわと突き放して3馬身差でゴール。待望の初重賞を手にした。
1着・サンライズジパング=武豊騎手
「久々の実戦だったが、コンディションはすごく良かった。ただレースに行くと難しい面、クセがある馬なので気にはなっていた。もっと苦しいパターンも考えていたが、今回はいいポジションが取れて流れにも乗ることができた。最後は必ずいい脚を使ってくれるので、直線を向いた時には何とかなると思った。この馬は未完成な段階で素質で走っている感じ。ダートでも芝でも力を出せばしっかり走る素質を持っているので、もっと強くなれると思います」
音無秀孝調教師
「今日の感じだとダートの方が合うと思う。この勝利で権利を取ったから、次走はジャパンダートクラシックを予定しています」
4着・フジユージーン
あおり気味のスタートで6番手からの競馬。周りを囲まれるのは初めてだったが、「今回は出たなり。折り合いを重視した」(村上忍騎手)のコメントどおり馬群に包まれながらも流れにはついていった。ただ勝負どころの3コーナーからカシマエスパーダがピッチを上げると手応えが徐々に怪しくなる。直線を向いても自身は踏ん張っていたが、優勝タイムから2秒2差4着。水沢2000m・東北優駿が2分8秒2、今回は盛岡2000m2分5秒4。コースは違っても机上のタイムでは短縮したのは確かだが、2分3秒2を走られては4着も仕方なし。村上忍騎手「残念な結果になったが、今回が初めての全国交流戦。いい経験になったと思う」
9月1日(日)「第50回ビューチフルドリーマーカップ」(牝馬・全国交流 盛岡ダート2000m)
1着・ミニアチュール=佐々木志音騎手
「まだ緊張感の方が強いが、重賞初制覇ができて素直にうれしいです。逃げの手も考えたが、内の馬が速かったので2、3番手でもいい。自分のペースを崩さずに行こうと思った。3コーナー手前から外から来られてヒヤヒヤしたが、自分からハミを取ってくれた。去年は乗っていないので分かりませんが、春先に比べると状態がすごく良くなっている。今回は2000mでも頑張ってくれたので、これからさらに良くなっていくと思います」
佐藤祐司調教師
「昨年、牡馬牝馬のクラシック四冠を取った後はいい成績を出せなかったので、このまま終わるのか。どういう形で立ち直るかと悩んだが、短いところをきっかけに立ち直ってくれた。これが下河辺(牧場)さんの血なんでしょうね。おかげさまで久しぶりに交流重賞を勝つことができました。展開も読めないところがあったが、(佐々木)志音がうまく乗ってくれた。次走は(今回の)勝ち負けにかかわらずヴィーナススプリントを考えていました」
今週の岩手競馬
9月8日(日)「第42回ビギナーズカップ」(2歳 水沢1400m)
9月9日(月)「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)
9月10日(火)「カペラ賞」(B1級スプリント 水沢1400m)
今年からJpn2に生まれ変わった不来方賞。本命は(8)フジユージーンだ。前走の東北優駿を圧勝後は一ヶ月ほど遠野馬の里に移動、7月下旬に水沢に戻ってここに備えてきた。6月16日以来の実戦になるがここ直行というローテーションは当初の予定通り、中間の調整もごく順調で一週前の実質本追い切りも好タイムでこなしている。レースに向けての態勢は整った。
今回の課題はやはり遠征勢、それもJRA勢との対戦、その作るペースへの対応だ。正直それはそう簡単なものではないはずだが、フジユージーンの地力なら・・・と期待をかけてみたい。
対抗は(4)カシマエスパーダ。デビュー戦こそ敗れたがそこから3連勝、それも走る度に強さを増してきた印象がある。前走で破ったのが三冠路線の前哨戦・雲取賞を制したブルーサンだという事も価値が高い。スタートにやや難が残る点、初左回りの点は課題になるがここまでの勢いへの魅力はその不安を上回る。
三番手は(1)サトノフェニックス。2歳時はちょっと荒削りな印象があったがこの馬も走る度に安定感を増している。レパードSでも海外帰りの休み明けながら直線はいったん先頭に立つ勢い。人気薄の激走と見なすのは危険だ
以下はまず(10)タイセイミッション。前走完勝とはいえ1勝クラス、レースぶりもまだ不安定だけに過信は禁物だが、前々で押し切る形を取りたいこの馬にとって外枠は絶好枠になるはず。強気の立ち回りを挑んでくれば残り目も。(7)サンライズジパングは芝の三冠路線に挑んだ走りは立派なものだったが走りとしてはやや一本調子で器用さはまだまだ。ダートの方が走りがいい事、ハイレベルの戦いで得た経験値に賭ける。もう一頭は岩手勢から(12)バウンスライト。順調さでは他の馬にひけを取っていない。
★印
◎8
○4
▲1
△10
△7
△12
★買い目
3連単フォーメーション
4,8→1,4,8→1,4,7,8,10,12(16点)
単勝
8(1点)
(横川典視)
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3日、岩手競馬では初のJpnII格付け「第56回不来方賞」の枠順が発表された。
▲(1)サトノフェニックス
(2)サクラトップキッド
(3)マルーントリック
〇(4)カシマエスパーダ
(5)パッションクライ
△(6)ブラックバトラー
◎(7)サンライズジパング
△(8)フジユージーン
(9)ベルベストランナー
△(10)タイセイミッション
(11)ルボートン
(12)バウンスライト
詳細はオッズパークの特設サイトで紹介したいと思っているが、本命はサンライズジパング。皐月賞、日本ダービーに駒を進めたこともすごいが、JBC2歳優駿でフォーエバーヤングの2着。ダートもまったく問題ない。カシマエスパーダはデビュー2戦目から3連勝中。1800m専門に使われ、父ホッコータルマエに似たタイプ。サトノフェニックスは中東から帰郷初戦のレパードステークス2着。岩手期待のフジユージーンは経験値の差から△だが、坂路効果でトモに肉がついたのが楽しみ。
2日メインはオープン「スプリント特別」(盛岡ダート1000m)。短距離路線はクラスターカップでひとまず区切り。目標にするレースは絆カップまで待たなければならないが、その一戦に直結するメンバー構成となった。
キモンリッキーは中央2勝クラスから再転入。ゴールデンヒーラーにはかなわなかったが、2勝2着2回。前々走・岩鷲賞で2着を確保した。クラスターカップ8着は相手を考えると健闘の部類。今回はメンバーが大幅に緩和された。1000m戦は今年初めてだが、昨年B1戦で2戦2勝。適性を証明済みも心強い。
レディブラウンは北海道A4級から転入後、着外は盛岡1600m6着のみ。距離が長かったのが敗因で以降は4戦連続で連対中。1400m以下では抜群の安定度を誇っている。盛岡1000mは未経験だが、門別1000m・2歳新馬戦快勝なら問題なし。自慢の末脚で逆転を狙う。
サンエイウイングは水沢もこなすが、4勝2着2回の盛岡コースが主戦場。盛岡1000mも4戦1勝2着2回の高連対率をあげてきた。カクテルライトがハナを主張するのは確実だが、控える競馬もできるのが強味。2頭に割って入るシーンまで十分。
ダイセンメイトは重賞・早池峰スーパースプリントを優勝。最下級条件から重賞を制するまで成長した。最大ネックは今回も1000m対応。過去8戦3勝と実績がない訳ではないが、残り100mでどこまで粘れるか。前半が緩めば残り目は十分ある。
アヴェントゥリストは今季3着2回が最高だが、うち1回は早池峰SS。盛岡1000mでも2勝をマークし、すんなりの流れなら粘りを発揮。
グリニッジシチーは高知B級から転入。着外が多いが、前々走は上がり36秒1の末脚で2着突入。好配当を演出した。超ハイペースになった際に台頭するシーンまで。
◎(6)キモンリッキー
〇(9)レディブラウン
▲(3)サンエイウイング
△(7)ダイセンメイト
△(4)アヴェントゥリスト
△(2)グリニッジシチー
<お奨めの1頭>
2R ガーデンアイル
2戦2着は相手も強く仕方なし。メンバーが緩和され、今度は首位を譲れない