21日メインはB1特別「秋桜賞」(水沢1400m)。コース替わり、距離も1400mへ変更され、実力比較に加え、条件変更への対応力が問われる一戦となったが、主軸選びに迷いはなかった。
キモンリッキーはデビュー7戦目の門別1700mで初勝利を挙げ、続く一戦9着から転入。初戦は出走取り消しだったが、仕切り直しのフューチャーステップを快勝。直後に南関東へ転籍したが、2着3回3着2回にとどまり再度岩手入り。初戦の水沢1600mは3着だったが、2戦目から短距離へシフトして3連勝。いずれも2着に差をつけて完勝した。
母キモンレッドは中央ダート4勝、JBCレディスクラシック3着(金沢)、トウケイニセイ記念を優勝。兄キモンルビー(父コパノリチャード)は今年の習志野きらっとスプリントを優勝。キモンリッキーは父がコパノリッキーだが、やはりスピード色が強いとみて間違いない。4連勝を飾り、A級入りを果たす。
サンエイコンドルは大井1勝・南関東C1から転入。3戦目から3連勝をマークした。続く一戦5着に終わったが、以降は2、3着。勝った相手は2頭ともA級でも勝ち負けの実力馬。しっかり軌道修正ができた。一つ気になるのは勝ち星4勝すべて1600m。1400m戦は2着1回が最高と忙しい競馬が合わないか。その意味で今回が真価を問われる一戦となった。
ペイシャムスビは一昨年、中央未勝利から転入後、あっさり2連勝。直後に南関東入りして7勝をマークし、今年5月に再転入。入着一杯が続いているが、今回はA級からB1へ降格して相手緩和。反撃に転じて不思議はない。
トーセンマッシモは中央2戦をはさんで南関東4勝。昨年6月に岩手入りして2勝2着3回。その後、障害3戦を使って再度転入。2ヵ月ぶりの実戦がネックだが、B1通用は証明済み。
ビッグタマテルーフは3歳牝馬交流・留守杯日高賞2着、3歳牝馬三冠目・OROオータムティアラ3着。成績が安定しないが、それでも今季2勝2着1回。一発の可能性を秘めている。
アブシンスは今シーズンも健在を誇示して1勝2着4回3着3回。距離への柔軟性もあり、3連モノには欠かせない。
◎⑨キモンリッキー
〇③サンエイコンドル
▲⑩ペイシャムスビ
△①トーセンマッシモ
△⑤ビッグタマテルーフ
△⑪アブシンス
<お奨めの1頭>
6R トーセンジェミニ
前走はパーフェクト内容で圧勝。走破タイムも破格だった。メンバーは骨っぽいが、実力上位
20日メインは2歳重賞「第41回ビギナーズカップ」(水沢1400m)。シーズン第一弾の2歳重賞・若鮎賞は芝1600mが舞台だったが、今度はダート戦。また水沢1400mで行われるのは2018年以来、5年ぶり。昨年は牝馬フジラプンツェルが大差で圧勝したが、今年はそれをはるかに凌ぐ大物が名乗りを上げた。
フジユージーンは6月4日、第2R・今シーズン最初の2歳新馬=ファーストステップへ出走。デビュー前から噂の大物だったが、期待にたがわず2着に2秒2差をつけて圧勝。520キロを超す馬格を前面にほかを圧倒した。2戦目は初コース、初輸送、距離も850mから1400mへ延長されたが、デビュー戦を上回るパフォーマンスで圧勝。2着ミヤギヴァリアントもモーニン産駒の注目馬ゆえ1秒3差だったが、周囲は強さに唖然とした。
父はゴールデンバローズで母デザイナー、母父スウィフトカレントでオータムセール出身馬。ゴールデンバローズは重賞勝ちこそなかったが、デビュー2戦目のダート戦で3連勝。UAEダービーに挑戦3着後は迫力が薄れ、以降は2勝のみ。南関東へ新天地を求めたが、1勝のみとどまり、北海道1戦を最後に引退。種牡馬入りを果たした。
成績的には目立たず種付け頭数も20頭以下だったが、注目してほしいのは血統。ゴールデンバローズはアメリカの大種牡馬タピット(APインディ系)の直仔。母
マザーロシアも北米で7勝マークし、 走る素地は十分あった。すでに同産駒は門別新馬戦をオオイチョウが勝ち上がっているが、フジユージーンの器は近年でも相当レベルと断言して間違いない。
今回のビギナーズカップは単なる通過点。10月3日、新設の2歳1000万重賞「ネクストスター盛岡」(ダート1400m)へ向けて、しっかり足固めをする。
相手筆頭はリトルカリッジ。フジユージーンと同日の2歳新馬戦を完勝。フジユージーンのパフォーマンスが強烈すぎて陰に隠れた感じだったが、52秒0の好タイムで逃げ切った。2戦目の盛岡ダート1200m戦は2着に2秒1差をつけて圧勝。完成度の高さが目についた。
3戦目は重賞・若鮎賞へ駒を進めて1番人気。芝は未経験だったが、父アジアエクスプレスは朝日杯FSを無敗3連勝で優勝した芝ダート兼用のタイプ。メンバーも甘く順当に制するかと思ったが、直線失速8着。結果的に芝が合わなかった。今回は実績あるダートに戻って反撃必至。あとは逃げ一辺倒の可能性が少しあり、展開がカギを握る。
シングルモルトはデビュー戦を2着にまとめ、4戦目を快勝。一戦ごとに地力アップが目につく。今回が試金石の一戦となる。
クルトゥルンはデビュー4戦連続3着から初芝の重賞・若鮎賞5着。詰めが課題だが、相手なりにかける堅実さが身上。
コンバットスプーンは出遅れながらもデビュー戦を1秒2差で圧勝。初距離、相手も大幅に強化されたが、マーク欠かせない。
◎④フジユージーン
〇②リトルカリッジ
▲⑦シングルモルト
△①クルトゥルン
△⑥コンバットスプーン
<お奨めの1頭>
1R エメラルディ
南関東から再転入後、スピードの違いを見せつけてあっさり2連勝。850mも1戦1勝とまったく問題ない
15日(月)、盛岡ダート1200mを舞台に行われたJpnIII「第28回クラスターカップ」はリメイクが完勝。衝撃的なゴールだった。
レースは予想どおりドンフランキーが逃げ、内からアップテンペストも先行する構えを見せる。3番手外にスペシャルエックス、その内にオーロラテソーロ。5番手インにリュウノユキナ。リメイクは中団を追走。3コーナーでは先陣グループとは10馬身以上の差があった。
逃げるドンフランキー、2番手外にスペシャルエックス、オーロラテソーロも遅れず追走したが、3~4コーナーからリメイクが満を持してスパート。先陣グループはドンフランキーを基軸に外を回ったが、リメイクはインを強襲。いつ抜け出したか分からなかったが、外目コースで逃げるドンフランキーを残り200mで捕らえた。レースリプレイ、川田将雅騎手のコメントで分かったが、リュウノユキナの内から一瞬のうちに突き抜けた。
あとはリメイクの独壇場。ドンフランキーに2馬身半差をつけ、カペラステークスに続いて重賞2勝目を手にした。この時、リメイクが使った脚が上がり3ハロン33秒5!。レース上がりが35秒0。いかに強烈な末脚だったか、この数字でも一目瞭然だった。盛岡ダート1000m戦なら過去に記憶があるが、盛岡ダート1200mで33秒5は史上最速。リメイクの末脚に舌を巻いた。
川田将雅騎手「ポジションは気にすることなく、馬のリズムを優先したら中団からの競馬になった。直線は外に行く形にならなかったので、並びから内を選択した。前回(プロキオンステークス)負けた相手ですし、直線で渋太く残っていたから、こちらも最後まで頑張ってもらった。これから楽しみな将来が待っている馬ですので、無事に勝ち切れて何よりです」
新谷功一調教師「(鞍上が)スタートから馬のリズムを狂わさずにレースを進めてくれた。ドンフランキーにどこまで粘られるか心配だったが、雪辱を果たせた。前回2着に敗れ、きゅう舎一同が悔しい思いをした。プロキオンステークスが初対決だったから、心理的な戦いでもあった。リメイクの強さはわかっていたが、ほんの少し足りなかった。今回はそれを調整して臨んだが、1200m戦でよりリメイクの良さが出たと思う。今のところ韓国(コリアスプリント)に登録しているが、馬の状態を見ながら次走を決めたいと思っています」
どうやら陣営はアメリカのブリーダーズカップ・スプリント(今年はサンタアニタ競馬場)も視界に入っている模様。ぜひ、夢を実現してほしいと思う。
自分は本命ドンフランキー、対抗リメイクにしたのには訳がある。クラスターカップは基本、先行馬に有利だったからだ。前半ハイペースで飛ばしても、そのまま押し切るレースを何度も見てきた。ドンフランキーは前半3ハロン33秒6、上がり3ハロン35秒4。決して脚が上がったわけではなかった。普通なら逃げ切れるパターンだった。
リメイクの海外2戦リヤドダートスプリント、ドバイゴールデンシャヒーンのビデオを何度も観た。確かに直線の伸びはすばらしかったが、それでも3、5着。ましてや盛岡ダート1200mで届くか半信半疑だったが、リメイクの破壊力が凄すぎた、強すぎた。思わず脱帽した。次走の決定を待ちたい。
今週の岩手競馬
8月20日(日) メイン10R 「第41回ビギナーズカップ」(2歳 水沢1400m)
8月21日(月) メイン12R 「秋桜賞」(B1級 水沢1400m)
8月22日(火) メイン11R 「夢・希望・未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)
8月15日は盛岡競馬場でクラスターカップが行われます。ダート1200mのグレードレースJpn3、出走は14頭。このあとは東京盃からJBCスプリントに繋がっていくスプリント路線の重要な一戦になりますね。
まず最初に馬場状態について。この週末の盛岡競馬は中間の雨の影響に加えて開催中もしばしば強い雨が降りました。13日は終盤のメインレース頃に土砂降りの雨が降りましたし、14日は断続的に強めの雨が来ました。15日も夜間から早朝にかけて時折強めの雨が降っています。15日の日中はそれほど強い雨ではない予報ではありますがぐずついた空模様が続きそうで、馬場状態の急激な回復は無いと考えておく方が良さそうです。
となると先行有利、スピード優先という馬場傾向になるでしょう。その程度が、昨年のように、レース直前の土砂降りの雨で水が浮きまくるような状態なのか、あるいは2020年にマテラスカイが日本レコードを出した時のようにある程度回復して、当時の発表では良馬場でしたが"稍重に近い良"で非常に脚抜きが良かった状態になるのか?がレースの行方をも左右しそう。今この原稿を書いている段階ではなんとも言えませんが、ここのところも突然天候が急変するような事が続いていますし、馬場状態・馬場傾向の変化にはレース直前まで気をつけておいてほしいですね。
ということで予想に行きましょう。クラスターカップの本命は(5)リュウノユキナです。
前走は4月の東京スプリント。先行勢の直後に付けたものの直線に入っても進路が無く、最後は半ば強引に割って出てくるような形の勝利ではありましたが、海外遠征帰り初戦・8歳になっての国内初戦ということを思えば力量にいまだ衰えなしと言っていい内容でもあったと思います。その時に退けた2着馬ケイアイドリーがその後北海道スプリントC優勝、3着オーロラテソーロは昨年のクラスターCで先着された相手・・・ということをあわせて考えても地力健在という評価でいいはずです。
昨年は、JBCの出走権を獲るために間隔を詰めて使っていた面もありました。東京スプリントを勝ってローテーションに余裕ができたのならこれまでとは違って4月からの直行になるという点を心配しなくていいでしょう。そして一昨年のこのレース優勝、昨年は2着、JBCスプリントでも2着と盛岡1200mは3戦1勝2着2回という実績は今回のメンバー中でも最右翼のもの。となれば昨年ではなく一昨年の再現に期待してみたいところ。
対抗は(8)リメイクとしました。デビューからずっとダートで戦ってきてグレードでも上位の結果を残してきていますよね。中でも目を惹くのが昨年12月のカペラS。絵に描いたような直線一気の差し切り勝ちはこの馬の時代の到来を想像させるものでした。その後海外遠征を挟んでの前走プロキオンSは逃げ馬を捉まえきれなかったのがちょっともったいなかったですが地力は証明。今回はどのような手を採ってくるか?カペラSのような鬼脚を見たい気はしますがそれには馬場傾向・・・でしょうか。であれば手堅い立ち回りに期待。
(6)ドンフランキーは3番手に。3勝クラスを勝ってオープン入りしたのは今年の冬。それで7月にはプロキオンSを制したのですから"強い4歳世代"はその名の通り強い、ということですよね。逃げを武器に戦ってきていますし左回りも今では問題ないと思いますが、ひとつ懸念材料を挙げるとすればダートスタートだと芝スタートほどの出足が無い点。それでも最終的にはハナに立っているとは思いますが一応の不安点として。
△は3頭。まず一頭目は(10)オーロラテソーロ。昨年の覇者をこの辺にするのは申し訳ないですが、昨年の参戦時のような上り調子の勢いまでは・・・という気がします。ひとつ注目しているのは脚質転換。前走は好位差しの競馬で勝ちきりました。スタートが決まれば前に行くのでしょうが、自分はこの差し競馬をやってきた時の方が怖いように思っています。
(13)スティールペガサスは昨年の北海道スプリントが5着、今年が3着。6歳を迎えて充実期に入っている印象があります。遠征競馬はもうひとつの面もありますが盛岡では2歳時の南部駒賞で2着の経験あり。今の力を発揮し切れたなら上位に。
もう一頭は(9)アポロビビ。いつも出遅れますよね。それで不利になるんですが、それでも巻き返してくるだけの力があってのさきたま杯4着、東京スプリント6着。一概に軽視は不可と考えたいですね。
◎(5)リュウノユキナ
○(8)リメイク
▲(6)ドンフランキー
△(10)オーロラテソーロ
△(13)スティールペガサス
△(9)アポロビビ
●10Rの買い目
馬単(5)=(8)、(5)=(6)、(8)=(6)、(5)→(10)、(5)→(13)、(5)→(9)
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14日メインはA級三組「竜胆特別」(盛岡ダート1600m)。恥をしのんで言います。竜胆の読み方を知りませんでした。正解は"リンドウ"。花言葉は薬草でもあることから『病に打ち勝つ』。転じて『勝利』。『正義感』なんだそうです。勉強になりました。
なので本命はストロングフォース。ストロング=強い、フォース(Force)=強さ。竜胆(リンドウ)特別に一番ふさわしい名前です。
余談はここで終わらせます。ストロングフォースは昨年10月、中央未勝利から転入。C2スタートにも恵まれて6戦5勝2着1回。連対パーフェクトでシーズンを終えた。今季も初戦3着から2戦目を快勝し、順調な滑り出し。しかしB1級とA級を行き来してその後は1勝のみ。2着1回3着3回4着3回。抜群の安定度を誇りながら、勝ち味の遅さが目につくようになった。
ストロングフォースは単有力とは言えない面があるが、今回は先に行きたいメンバーがそろってハイペースの可能性大。おあつらえの展開に持ち込め、近走のうっ憤を晴らす格好の舞台。
リュウノゾロは門別デビュー2連勝を飾り、イノセントカップ9着から園田(競走除外)を経て中央へトレード。ダート短距離で2勝をマークして3勝クラスに在籍した。その後。南関東、高知1勝と転籍して岩手入り。初戦の水沢1400mを完勝し、2戦目2着。短距離路線をにぎわすかと思ったが、脚部不安のために戦列離脱。今回は4ヵ月ぶりの実戦だが、放牧先で乗り込まれて帰郷。マイルは気持ち長い印象もあるが、いきなり勝ち負けに持ち込める。
ギャレットはデビュー3戦目、盛岡芝1600m重賞・若鮎賞を優勝。芝交流・ジュニアグランプリ2着。続く芝1600mで2勝目をマークし、冬場は笠松へ移籍。3戦を使って帰郷したが、初戦の3歳芝準重賞・はまなす賞3着後、長い低迷期に入ってしまった。確かに体のラインが崩れて、2歳時の迫力を取り戻せずにいた。
今季も苦戦を強いられていたが、芝準重賞・かきつばた賞4着から前回、B1級芝を快勝。2歳10月以来、久々の美酒を味わった。今度はダートが舞台。2歳デビュー戦の850m2着が最高でダート対応がネックだが、復活した今なら克服できる。
メイショウメイスイは昨年、南関東C1から転入後、6勝を荒稼ぎしたが、今季は着外の連続。しかし近2走はタイム差0秒6、0秒7にまとめており、復調の兆し。
カッチャオは短距離をメインに活躍。今季も2勝2着1回3着4回と善戦している。カギはマイル延長だが、控える競馬ならガマンする。
ミュアウッズは休み明け後は3戦着外だが、徐々に状態は上がっている。
◎⑦ストロングフォース
〇②リュウノゾロ
▲④ギャレット
△①メイショウメイスイ
△⑤カッチャオ
△③ミュアウッズ
<お奨めの1頭>
1R スターアイランド
前走2着は枠順の差も大きかった。今度はベルヴュードライヴが6番枠に対し、絶好の1番枠。今度こそ逃げ切りを決める