GIII・シンザン記念を制したキョウヘイ(牡9歳 父リーチザクラウン)が水沢・佐藤雅彦きゅう舎へ転入した。2017年1月8日、京都芝1600m・雨重。ポツンと最後方を追走したキョウヘイは直線でメンバー最速の上がりを駆使。鮮やかな直線一気を決め、後の皐月賞、大阪杯とGI2勝したアルアイン、同年マイルチャンピオンシップを制したペルシアンナイトらを一蹴した。
佐藤雅彦調教師「ファンが多かったキョウヘイがうちに来ましたが、反響の大きさに驚いています。実は昨年、1着賞金3000万円で行われたOROカップを目指して転厩するという話もありましたが、ダートでも悪くないようだったので、今年になりました。キョウヘイはオーナーの知人の息子さんからいただいた名前。21歳で亡くなったそうですが、オーナーが知人の方に了解をいただいて命名。当時、新聞でも取り上げてくださいました。今年9歳ですが、まったく年齢を感じさせません。開催の都合もあって当面はダートを使いますが、いずれは盛岡芝を走らせたい。オーナーとも、もう一花咲かせてやりたいとお話しています」
転入後も順調に乗り込まれて新シーズンがスタートする4月から始動する予定だという。キョウヘイの動向に注目してほしい。
20日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望・未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。オープン入りを目指す面々がそろい、興味深いメンバー構成となった。
サンエイウルフは2歳時、南部駒賞に参戦して6着。3歳時にはハヤテスプリントに参戦しても6着だったが、全日本2歳優駿トライアル・鎌倉記念で4着。転入前成績は2勝2着5回だが、南関東B2へ在籍。岩手B1なら当然勝ち負けに持ち込める。右回りは意外にも未経験だが、先行できるのが最大の武器。転入戦を制し、今後に弾みをつけたいところだろう。
ベルフラカンは大井1勝、中央未勝利、門別C2から転入したが、3ヵ月の休養で去勢手術を施され、セン馬になった。それが尾を引いて当初は精彩を欠いていたが、翌シーズンの昨年にグングン頭角。3勝2着3回3着3回。夏の盛岡戦で2連勝をマークし、直後に休養に入ったが、復帰戦も逃げ粘って2着を確保した。最大収穫は気の悪さを出さず、レースに集中できるようになったこと。ここで好勝負に持ち込めればオープン入りも確実。
ソルメンシスは中央未勝利、門別1勝、南関東2勝・C1から転入。2戦目の盛岡戦を快勝し、続く水沢でも毎回勝ち負けを演じた。しかし2年目の盛岡では精彩を欠くレースが続き、3着が最高だった。そのまま尻すぼみになるかと思ったが、終盤の水沢で1、3着に反撃。明らかに水沢コースが合った。加えて水沢マイルは3勝2着4回と最も得意とする条件。2頭をまとめて負かすシーンまで。
エンパイヤアーサーは強さとモロさの両極端な面を併せ持つタイプ。見せ場すら作れず後方のままに終わるかと思うと、いきなり激走する。本質的に追い込みがきく盛岡向きだが、水沢でも2勝2着3回。ひと叩きされた変わり身を期待したい。
アナンクスも似たようなタイプ。昨年11月、豪快な直線一気を決めたが、前走は後方のままに終始した。当日の気配と馬場傾向に注視して取捨するのが妥当。
フェブサンカラは中央芝1200mで1勝2着1回。ダートは阪神1400m8着一度のみと未知数だが、やはりノーマークにできない。
◎⑦サンエイウルフ
〇⑧ベルフラカン
▲①ソルメンシス
△⑥エンパイヤアーサー
△③アナンクス
△②フェブサンカラ
<お奨めの1頭>
4R アテンハピネス
太め残りだった転入戦を4角先頭で圧勝。好発進を決めた。一度実戦を使われてさらに良化は確実
3月11日(土)から再開した岩手競馬は2週目に突入した。19日メインは3歳牝馬重賞「第48回あやめ賞」(水沢1400m)。1着馬から3着馬に4月16日に行われる"GRANDAME-JAPAN2023"3歳シーズン・留守杯日高賞の優先出走権が与えられる。
この時期に3歳牝)・あやめ賞が実施されるのは初のケース。特別競馬(3月競馬)の3歳重賞も2017年3月18日、「第1回奥州弥生賞」(その後は重賞での実施はなし。2020年、フレッチャビアンカが制した時は準重賞)以来のこと。
なぜあやめ賞が3月になったのかは、留守杯日高賞の実施時期も4月16日まで早まったため。トライアルから本番までジックリ期間を設けたかったから。留守杯日高賞から逆算すると3月19日の実施も納得いく。来期3月に復活するオープン重賞・白嶺賞の実施日も3月31日。必然的に今後は3月競馬もより重要度を増すことになる。
さて本題。ミニアチュールは北海道2勝2着4回から転入。初戦の2歳B1戦・水沢1400mを1分29秒4の破格タイムで圧勝し、重賞・金杯へ名乗り。世代No.1フジラプンツェルが東京2歳優駿牝馬挑戦で不在だったこともあり、1番人気に支持されて0秒7差で完勝した。
これは地区レベルもさることながら、レースセンスの賜物(たまもの)。鞍上・山本政聡騎手も「小柄な馬ですが、体の使い方が上手なので、パワーの要る馬場もこなせたと思います」とミニアチュールの良さを賞賛した。
冬場は自きゅう舎で英気を養い、予定どおりに始動。未対決馬も複数いるが、岩手2連勝のパフォーマンスを見れば、あやめ賞はフリーパス。本番・留守杯日高賞へ向けて好発進を決める。
セイレジーナは昨年5月にデビューして3着。その後は3ヵ月半の休養を取って復帰して初戦を快勝した。以降は伸びを欠いたが、水沢に替わって反撃。太夫黒特別2着から重賞・寒菊賞を逃げ切って優勝。続く金杯でも2着を確保した。
板垣吉則調教師「デビュー戦を使ったあと休養させたのは、体調が本物じゃなかったから。帰厩した頃もまだまだだったが、水沢開催あたりから状態が上がってきた」。デビュー戦後、無理せず休養に入ったのが功を奏し、終盤にグングンと頭角。仮に冬場、さらに成長の跡が見られたとしたら逆転の可能性もある。
ケープライトはデビューから完成度の高さを見せて4勝2着2回3着1回。馬券対象から消えたのは芝交流・ジュニアグランプリ10着のみ。重賞・若駒賞も制し、フジラプンツェルのNo.2の座についた。気になるのは昨最終戦・金杯3着。ミニアチュールの圧勝はともかく、セイレジーナの後塵を拝したこと。ひと冬を超してリフレッシュできたかがカギを握る。
ユウユウレラシオンは自慢のスピードを前面にデビュー2連勝。3戦目は初芝にもとまどって7着に沈んだが、ダートに戻って重賞・ビギナーズカップ2着に軌道修正。続く一戦を2着に1秒6差をつけて圧勝したが、脚部不安が発生。長期休養を余儀なくされた。今回は9月以来、半年ぶりの実戦だが、乗り込み万全。休み明けでもいきなりまで十分。
スノーパトロールは東京ダート1600mで2着1回。前々走も同じ条件で逃げて4着に粘った。パワーの要る水沢ダート対応がネックだが、実績は申し分なし。こちらもあっさりの可能性を秘める。
ペルトランは盛岡芝1勝。ダートは未勝利だが、切れる脚を駆使して寒菊賞4着、金杯5着。冬場は南関東で実戦を使われて11着だったが、その経験を生かす。
◎⑥ミニアチュール
〇①セイレジーナ
▲⑪ケープライト
△⑨ユウユウレラシオン
△⑩スノーパトロール
△⑤ペルトラン
<お奨めの1頭>
1R ノーブルゲート
浦和800mで1勝2着1回と短距離向きは明らか。メンバーにも恵まれて初戦からいける
3月11日(土)から再開した岩手競馬。13日(月)までの脚質別連対率を調べてみた。
11日 晴良
1着 2着
逃げ 2回 2回
先行 5回 4回
差し 3回 5回
追込 2回 1回
12日 曇良
1着 2着
逃げ 2回 1回
先行 9回 4回
差し 1回 5回
追込 0回 2回
13日 曇のち雨 1~7R 良 8R~ 稍重
1着 2着
逃げ 4回 1回
先行 4回 6回
差し 4回 4回
追込 0回 1回
再開週の関心ごとは馬場傾向だった。時計がどれぐらいかかるか。内が深いか浅いか。逃げ有利か差し有利かだったが、驚いた。
再開初日は逃げ切りが2レースあったが、どちらも850m戦。逃げ馬には厳しい馬場だった。特に3~4コーナーの内が深い印象だった。馬場の砂も白く、思った以上に時計がかかっていた。
12日も同様だった。逃げ切りは2レースだが、8Rは大本命アルバリが出走取り消し。フェイダウェイが絶好のペースに持ち込めた。もう1レースはメイン12R。ご覧になった方もいると思うが、1枠に入ったドルズプライスレスが大逃げを打ち、直線でも突き放して2秒2差で圧勝。正直、度肝を抜いたが、基本は前日と同じだった。
ところが13日は4レースあたりから激しく雨が降り始め、8R以降は稍重。一気に流れが変わり、逃げ切り4回。差しも届いたが、逃げ切りが目についた。以上のように馬場傾向は重要なファクター。夜になって雨は止んだが、14日はどのような傾向になるか。自分もしっかりチェックしたいと思っている。
14日メインはA級「弥生特別」(水沢1600m)。カギを握るのは新参グローリーグローリ。在厩勢力との力比較が焦点となった。
本命はそのグローリーグローリ。中央ダート1400m3勝、ダート1600m1勝でオープン入り。以降は頭打ちとなり、障害へ転向。今回は昨年6月以来の平地戦。過去、障害から転入してきたケースは凡走することも多かった。逆に活躍することもあるが、果たしてグローリーグローリはどうか。仮に快勝すれば重賞路線でも勝ち負けになる。
セイヴァリアントは中央ダート2勝、大井1勝・A2級から昨年転入。3勝2着5回の好成績を残した上、重賞・トウケイニセイ記念でもノーブルサターンの2着を確保した。続く桐花賞は5着だったが、相手以上に距離の壁。2000mが長すぎた。こちらもグローリーグローリ以下を一蹴すれば、新シーズンの重賞・赤松杯、シアンモア記念でも上位評価の対象となる。
リリーモントルーは一昨年、昨年とコンスタントに好走。昨年も12戦5勝2着5回と抜群の安定感を誇った。重賞が舞台だと前走・トウケイニセイ記念のように3着。勝ち負けまでには持ち込めないが、平場なら話は別。今回も自己能力をキッチリ出す。
ブラックバゴは2020年のOROカップ覇者。昨年、大井から転入し、明らかに芝をにらんだトレードだったが、好走はダートに集中。現在はダート向きと解釈して間違いない。最終2戦着外が気になるが、前走は桐花賞。11歳でも軽視できない。
サンエイブレーヴは3歳重賞路線に乗ったが、ウイナーカップ2着が最高。期待したほどの成長は観られなかった。しかし父がロージズインメイ、母父アブクマポーロなら遅咲きの可能性大。4歳を迎えてひと皮むけるか注目したい。
ブローヴェイスは転入戦で3歳芝2400m重賞・サファイア賞を優勝。ダートに替わっても2勝し、ほかも2、3着。完全に岩手の水が合った。今回が試金石の一戦となる。
◎⑧グローリーグローリ
〇⑩セイヴァリアント
▲②リリーモントルー
△①ブラックバゴ
△⑦サンエイブレーヴ
△④ブローヴェイス
<お奨めの1頭>
1R テリオスドン
移籍前の中山ダート1200m10着だったが、1分14秒1をマーク。3歳下級戦なら、これで勝ち負け十分
2ヶ月あまりの冬休みが明けて、3月11日から春の水沢競馬がスタートしました。
この間、例年よりも多いかと思った雪が降ったりもしましたが3月に入る頃には気温急上昇、積もって残っていた雪もあっという間に消えてしまいました。そうなってみれば桜の開花も例年より少し早いくらいでは・・・というのですから季節の移り変わりというものは速いというか慌ただしいというか。
この春からの水沢競馬で大きく変わった点はなんと言っても照明設置でしょう。冬期間に進められていたはくぼ用照明設置工事を終え、春競馬から早速照明の使用が開始されました。初日二日目に現地を訪れて照明を体感してみたという方もおられるのではないでしょうか。
これに伴って最終レースの時間帯が例年のこの時期よりも遅めに設定されております。インターネットで馬券を購入されている皆さんもこれを機に水沢競馬、岩手競馬をよりお楽しみいただければ。
さて3月13日のメインレースは12Rのオープン級ダート1400m『スプリント特別』。本命は(6)サザンジンジャーとしました。
本馬は高知で通算12勝を挙げている5歳馬、距離も1300mから1600mまでまんべんなく制覇してきているという非常に魅力的なキャリアを持つ馬です。直近は主にB級戦で戦っており一見すると昇級の形に見えますが、高知の場合は重賞で活躍する主力がB級にいたりするので特に気にする必要はありません。
今の高知の古馬上位クラス、特に短距離路線の馬は層が厚くレベルも高い印象があります。サザンジンジャーにしても三走前に4着だった時の上位馬は勝ったダノンロイヤルを始めいずれも重賞入着級。とすればこの辺のクラスへの転入はむしろ相手緩和になる可能性が高いでしょう。まずはお手並み拝見。
対抗は(4)アマルインジャズ。12月30日のスプリント特別を勝って気持ちよく冬休み入り。昨年も、当時はB1級だったとはいえ前年冬から翌春にかけて連続好走してA級入りを果たしたようにこの時期に走るタイプでもあるはずです。水沢の1400mも得意条件。雨が降って馬場が軽くなるのも好都合では。
三番手も昨冬からの流れで(5)トミケンキルカス。今回の1400mは気持ち長いかも、もう少し短い方がより良いかもと感じる戦績ですがもちろん守備範囲ですし、芝ダ兼用型だけに雨馬場も悪くはない条件でしょう。すんなり流れに乗れれば上位に。
(1)ツルマルハナコはどちらかといえば盛岡の方が合うタイプですが水沢がからきしダメというわけではありません。距離は手頃なはずですし、大きく崩れない堅実さは忘れずにいたいもの。もう一頭は(2)リッジマン。直近の状態自体は悪くないとの事で、門別時代以来のダート短距離戦ですが格の力を発揮できれば。
●12Rの買い目
馬単(6)=(4)、(6)=(5)、(6)→(1)、(6)→(2)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
12日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望・未来へ前進」(B1級 水沢1400m)。このレースは「震災復興祈念協賛レース(昨年は21レース実施)」に騎乗した岩手競馬所属騎手が騎乗手当の一部などを積み立て、『いわての学び希望基金』への寄付金として贈呈。今年も3月7日、岩手県県庁で贈呈式が行われた。
スタートしたのは東日本大震災に襲われた2011年(平成23年)。岩手競馬も甚大な被害を受けたが、今年も含めて合計1194万6947円が『いわての学び希望基金』へ寄付してきた。
岩手県調騎会騎手部会副会長・山本政聡騎手「これまで毎年寄付金の贈呈を行っていますが、騎手部会として今後も続けていくつもりです。寄付金は子ども達が自分の夢を叶えるために使ってほしいと思います」
また同日には「LJSレディスジョッキーズシリーズ2022」(第1戦:盛岡競馬場11月22日、第2戦:川崎競馬場3月2日)で総合優勝した関本玲花騎手の優勝報告会が予定されている。
盛岡ラウンド第2戦を快勝し、同時に記念すべき通算100勝をマークした関本玲花騎手。優勝報告会にも注目してほしい。
ドラセナは中央ダート1400m2勝から一昨年に転入。初戦を快勝し、JpnI・マイルチャンピオンシップでも9着に善戦し、以降も堅実さを発揮してきた。昨年5月以降は入着止まりを繰り返していたが、今回からB1級へクラスが下がって相手が大幅に緩和。これまでのうっ憤を晴らす絶好の舞台となった。
メジャーハリケーンは中京芝1200m1勝、南関東B2から転入。短距離を専門に使われて芝1000m戦も含めて3勝2着6回。3走前のマイル戦は距離が長く9着に沈んだが、適距離に戻って2戦連続で4着を確保した。水沢1400mも1勝2着2回と得意とする条件。反撃のお膳立てが整った。
ノーブルパレスは中央未勝利から転入して2勝マークして再び中央入り。2戦とも二けた着順に終わり、岩手へ再転入。初戦のオープン・水沢1400m戦を快勝した。その後は精彩を欠いて昨年8月、盛岡1200m戦9着後、リタイア。7ヵ月ぶりの実戦がカギを握るが、水沢1400m2戦2勝。その実績に期待する。
セイシークエンスは大井1勝から転入。2勝2着4回の好成績を収めた。昨最終戦は8着に敗れたが、B2から一気にオープン入りしたのが敗因。B1級へ降格なら反撃に転じて不思議はない。
ドルズプライスレスは自分の競馬ができないとモロさを出すが、すんなりの流れで強じんな粘りを発揮。同型いるが、絶好の1番枠を引き当てたのは強運。マイペースに持ち込めれば侮れない。
マリノジェノヴァが過去6勝2着15回。園田C2からA級編入はきつく6、7着に終わったが、B1なら話は別。ノーマークは危険。
◎(12)ドラセナ
〇(3)メジャーハリケーン
▲(6)ノーブルパレス
△(9)セイシークエンス
△(1)ドルズプライスレス
△(2)マリノジェノヴァ
<お奨めの1頭>
4R サンカプリス
デビューは遅れたが、浦和2戦1勝2着1回。前走は1秒差で圧勝し、まだまだ伸びる可能性が十分ある