5月29日に行われた3歳馬の重賞『イーハトーブマイル』。晩夏から初夏へと移動してきたこのレースを制したのは4番人気のフジクラウンでした。
スタートがややタイミングが合わなかったフジクラウンでしたが即座に3番手に巻き返すと道中はその位置で逃げ馬を追走。向こう正面半ば過ぎ、後方の人気上位勢が動くのに合わせて仕掛けるとそのままロングスパートを決めて1着でゴール。直線は後続を置き去りにする一方の6馬身差圧勝でした。
2歳時から期待されていた同馬はしかし昨年はなかなか軌道にのることができず、今回が初めての重賞挑戦。しかしその結果がこの6馬身差。ダービーへの最終切符を見事掴んだ形になりました。
5月最後の31日、メインレースは12レースのB1級特別『紫陽花賞』ダート1600m。先週までは好天が続いてきた水沢競馬場ですが今日31日は日中雨という予報になっています。当初の予報に比べると弱めの雨にはなりそうですが、馬場状態の変化、展開の変化には十分な注意が必要になりそうです
。
さて本命は(4)ハナレイです。大井から門別を経て昨秋に岩手に転入、昨年は4戦して2着が最高にとどまりましたが、今季は一変して3戦3勝。それも10馬身・6馬身・9馬身と圧倒的な強さを見せつけてきています。その今季はC2級スタートからで前走もC1級、今回はB1級特別戦ですから「ここまでは下のクラスだから」という見方も確かにできるでしょうが、しかし前走では元A級のディーエスプルーフを圧倒、昨季も結果勝てなかったとは言え元A級馬もいるB1戦で上位で戦っていたのですからこの辺で"格下"ということは無いはず。3連勝の勢いは素直に評価していいでしょう。
ただしライバルも好調馬が多数おりハナレイの隙を突こうと虎視眈々。まず(2)フェアリーモナック。こちらも今季は5戦4勝3着1回、昨年はハナレイと同じ頃に転入してきた本馬はその時はC2級だったのですが、そこから一気にA級をうかがうところまで出世してきました。近走も大きな差こそ付けていないものの厳しい戦いを切り抜けてきており、この馬の上昇感も侮れないもの。
そして(5)アマルインジャズ。奇しくもこの馬も昨年11月に南関東から転入してきた馬で、B1級で勝ち星を挙げて一時A級に上がっていたのですから地力はむしろ上と言っていい存在でしょう。前走が1300m戦での勝利、過去の実績を見ても短距離指向が強そうな印象ですが、その地力はやはり侮れないというべきでしょう。
(8)ファルキートは白星先行ではないのでやや目立たないですが今季は非常に手堅い戦いを続けています。例えばフェアリーモナックとの差はほとんど無いといえる直近の成績ですから軽視するのは禁物。(6)エクスポーネントの前走は気難しいところを見せてゴール寸前失速。すんなり先行できればの希望は同型が強力だけに難しいかもしれませんが流れに乗れれば粘り込めていいだけの力はあるだけにこの馬も軽視するのは禁物です。
●12Rの買い目
馬単(4)=(2)、(4)=(5)、(2)=(5)、(2)→(8)、(2)→(6)
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先週22日、水沢1900mで行われた一條記念みちのく大賞典トライアル「第23回あすなろ賞」は、マイネルアストリアが圧勝。2着リリーモントルーに6馬身差をつけ、赤松杯に続いて重賞2勝目を手にした。
山本聡哉騎手「2番手にはつけたいと思っていましたから、想定どおりのポジションが取れました。ペースが遅く、後ろから馬が近づいたら一瞬ハミがかかったので、そこだけが心配でしたが、あとは大丈夫でした。今回、乗ってみて改めて力がある馬だと思いました。馬格があってスタミナもある。スピードもありますから、安心して乗ることができました。今日の1900m勝利で2000mもこなせる感触をつかみましたから、次走も楽しみです」
板垣吉則調教師「1600mだと位置を取るために出していかなければなりませんからね。楽に自分の競馬ができる1900mから2000mぐらいがベストだと思います。今回はシアンモア記念から中1週でしたが、みちのく大賞典までには1ヵ月ぐらいあるので、ちょうどいいローテーションになる。最終的にはオーナーと相談の上で決定しますが、おそらくみちのく大賞典に直行すると思います」
板垣調教師のコメントどおり前走・シアンモア記念では2番手をキープしたが、3コーナーでゴールデンヒーラーなどにプレッシャーをかけられて直線一杯。マイルの忙しい競馬も合わなかった。みちのく大賞典は水沢2000mが舞台。マイネルアストリアには格好の条件になり、好勝負が期待できる。
30日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級 水沢1300m)。実力比較に加え、距離対応がカギを握る一戦となった。
エイシンハルニレは名古屋から再々編入。B2級編入にも恵まれて3勝2着1回と連対パーフェクトを継続している。若干気になるのが一度2着は今回と同じ水沢1300m戦。2コーナーから先頭に立ったが、後続のマークが厳しく息の抜けない流れ。最後はフィナルタの差し脚に屈した。敗因は展開か距離適性かだが、結論は展開苦。1300mでも首位をキープできると判断した。
フィナルタは南関東C1から転入。一戦ごとに着順を上げ、前々走完勝。2連勝中だったエイシンハルニレをあっさり交わして岩手初勝利を飾った。前走は同馬の逆襲に遭ったが、今度は勝利を飾った1300mが舞台。両馬の3度目対決が見ものだ。
フェンドオフは一昨年9月、南関東A2から再転入。2、3着が最高だったが、冬休み明け初戦を快勝。続く2戦も2着にまとめ、重賞・シアンモア記念へ登場。9番人気に支持されたが、10頭立て10着。以降は完全にスランプに陥った。今季2戦も10、8着に終わったが、1300mにエントリーして快勝。久々の美酒を味わった。短距離に活路を求め、新境地を拓いたかもしれない。
タイセイビルダーは東京ダート1600m1勝、笠松交流1勝。2勝クラスから南関東を経て転入。当初は着外の連続だったが、こちらも1300mへ。最内枠で出遅れを喫したが、待機策から直線勝負に賭けて2着。これでメドが立った上、今回はB1へ降格。好走要因がそろった。
カガジャドールは前走、鮮やかなまくり決めて快勝。シャープな切れを武器とする。あくまでも展開次第だが、流れ速くなれば再現まで。
ツーエムプライドは逆に先行粘りが身上。折り合いがつくが、逃げがベスト。外枠をどう克服するかが勝敗の分かれ目となる。
◎⑪エイシンハルニレ
〇⑦フィナルタ
▲⑤フェンドオフ
△①タイセイビルダー
△⑨カガジャドール
△⑩ツーエムプライド
<お奨めの1頭>
6R プチョヘンザ
2戦連続2着は決め手の差が出た結果。最後の詰めが課題だが、このメンバーなら首位を奪回できる
イーハトーブマイルは2013年に創設。イーハトーブとは岩手が生んだ偉人・宮沢賢治が"理想郷"を意味にした造語。一説によるとエスペラント語で岩手県をもじったと言われているが、定かではない。
当初は不来方賞前の3歳マイル重賞で行われていたが、2019年から11月に移行。昨年は8月に実施され、マツリダスティールが久々のダートを問題にせず完勝。続く不来方賞を圧勝し、リュウノシンゲンの三冠を阻止した。
今年は5月末に移行。このレースから6月14日(火)に行われる岩手クラシック二冠目・東北優駿(岩手ダービー)へ向かう可能性も高く、イーハトーブマイルは見逃せない一戦となった。
一冠目・ダイヤモンドカップを優勝したグットクレンジングは直行予定。またスプリングカップを完勝したクロールキックはダイヤモンドCを自重したが、放牧先から帰郷。さらにイーハトーブマイル上位組の激突が東北優駿の図式と見て間違いない。
サンエイブレーヴは父がロージズインメイ。母父(ブルードメアサイアー)はダートで一世を風びしたアブクマポーロ。サンエイブレーヴはアブクマポーロの流れをくむ貴重な1頭。デビュー2戦目を快勝し、2歳重賞路線でも活躍。若駒賞、北海道交流・知床賞3着。暮の寒菊賞ではクロールキックの2着を確保した。
今季は3月から始動。中団キープのタイプが2番手の積極策に出て4角先頭から0秒4差で完勝。水沢で好走が目立ったが、ひと冬を越して成長したかなと思わせた。
ところがスプリングカップ、ダイヤモンドカップで4着止まり。伸びを欠いた内容だったが、前走・ダイヤモンドCは出遅れたのも敗因。今回はメンバーが大幅に甘くなり、勝機をガッチリとつかむか注目が集まる。
コイビトサンタはデビュー戦で競走中止。去勢手術を行って復帰。好、凡走の落差が激しかったが、今季初戦3着から圧巻の2連勝。1勝目は逃げ切りを決め、2連勝目は最内枠に入り、インで厳しい競馬を強いられたが、見事跳ね返して完勝。ひと皮むけた印象を与えたが、ダイヤモンドカップは見せ場すら作れず6着。
評価が難しくなったが、当日は極端な不良馬場だったことに酌量の余地。馬場条件で反撃十分と見た。
マルルットゥはタフさが身上の牝馬。今季4戦目のあやめ賞でロングスパートを決め、初重賞を手にした。続いて全国交流・留守杯日高賞へ向かったが、出遅れを喫した上、向こう正面、4コーナー手前で前が壁になる不利。それでも4着なら評価ダウンにはならない。今回は牡馬相手だが、勝ち負けに持ち込める。
フジクラウンはデビュー2戦2着から3戦目を完勝したが、脚部不安が発生して戦線離脱。出世が遅れたが、今季2戦目から3戦連続で勝ち負け。初重賞へ挑戦する。相手は骨っぽくなったが、成長力で突破できるか楽しみ。
アテナは北海道1勝、南関東1勝から転入戦を快勝。牝馬重賞・あやめ賞3着、留守杯日高賞5着と堅実さを発揮。ここでもレース巧者ぶりを発揮する。
グラフィアスレディは今季初戦でサンエイブレーヴの2着。追い込みタイプで展開に注文つくが、ハイペースになれば台頭の可能性あり。
◎⑨サンエイブレーヴ
〇①コイビトサンタ
▲③マルルットゥ
△⑥フジクラウン
△⑦アテナ
△②グラフィアスレディ
<お奨めの1頭>
4R ガレス
1年1ヵ月ぶりの実戦を問題にせず、転入戦を圧勝。能力の違いをマザマザと見せつけた。どこまで連勝を伸ばすか注目
5月22日に行われた古馬ダート1900m・一條記念みちのく大賞典トライアルの重賞『あすなろ賞』は1番人気マイネルアストリアが優勝。前走シアンモア記念の雪辱を果たすと共に自身二つ目の重賞タイトルを獲得しました。
逃げたのは今回もパンプキンズ。その2番手を追走したマイネルアストリアは終始スムーズかつ手応え十分な走りで、2周目の3~4コーナーで持ったままで先頭に立つとそのまま後続を突き放してゴール。小回りコース・コーナー6つの1900m戦という独特な条件もものともせずの6馬身差。次戦に予定されるみちのく大賞典に向けての猛烈アピールとなりました。
2着はリリーモントルー、3着はジェイケイブラックがそれぞれ直線追い上げた形。ここまでの3頭がみちのく大賞典の優先出走権を手にしました。
5月24日のメインレースは12レースです。オープン級の1300m戦『スプリント特別』。今週は先に触れたあすなろ賞を含めオープン級・A級のレースが多く有力馬がやや分散気味。このレースも"久しぶりの短距離"という馬も目立っていて力関係の比較が少し難しい印象があります。
ここでの本命は(2)トミケンキルカスです。
前走ではマイルを使って勝っている同馬ですが二走前は1400m、昨年12月の三走前は今回と同じ1300mで戦っているように、また旧地の南関東・JRA時代には芝・ダートの1400m以下で戦うことが多かったように主戦場はやはり短距離の馬。そう思えば前走の、昇級して距離も延長という条件をあっさりこなしたのは地力の高さの表れと見ていいものでしょう。そもそもJRA時代はオープン、南関東でも準オープンクラスで戦ってきていたのですから前走くらいはむしろ当然といえるのかも。10歳馬ですが直近の走りに衰えはなく、本命の期待をかけるのに躊躇は必要なし。
相手は(7)スティンライクビー。年齢を重ねて"勝ちきれずとも堅実"という面が出てきた印象で、今季は重賞を含む三戦して2着-2着-3着と掲示板圏内を守り続けています。短距離主体で使われている本馬ですが水沢1300m2戦していずれも着外という点が少し気になりますが、極端に崩れているわけではないのでカバーはできる範囲と見ます。
三番手は、こちらも高齢馬になりますが(8)ツルオカボルトでどうでしょうか。
トミケンキルカス、スティンライクビーが10歳馬、ツルオカボルトは11歳馬。ですが昨秋頃からのこの馬はなかなかの好調で、勝ち星こそないものの存在感十分の戦いを見せ続けています。例年、秋冬に調子を上げて初夏頃まで好走を続けるパターンの馬でもあり、この辺でそろそろ白星が欲しい頃合いでもあるでしょう。
以下、(3)ピシュマニエはもっと距離が短い方が良いのかもしれませんが少なくとも近二走のマイルよりは戦いやすいはず。(5)セシールもまだ良化途上でしょうが距離は短い方が合うタイプ。勝ち負けまで一変とまではいいませんが上位突入の可能性は考慮しておきたいところ。
●12Rの買い目
馬単(2)=(7)、(2)=(8)、(2)→(3)、(2)→(5)
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先週15日、"GRANDAME-JAPAN2022"3歳シーズン「第22回留守杯日高賞」は船橋代表・グラーツィアが10馬身差で圧勝。能力の違いを見せつけ、15ポイントを獲得。合計30ポイントとなり、暫定首位に立った。
米谷康秀調教師「東海クイーンカップを優勝後、レース間隔を開けたかったので結果的に日高賞を選ぶ形になった。輸送が入ってプラス体重だったのは成長期だから。力強さが出てきた。今回は勝つイメージがあったが、さすがに10馬身差までは考えていなかった。あくまでもレース上がり次第だが、ここまで来たら総合優勝を狙いたいので関東オークス挑戦を考えています。現状は右回りがベストだが、一線級相手にどこまでやれるかも試してみたい」
確かに今回はメンバーが楽だったが、それでも圧倒的な強さに舌を巻いた。JRA、スピーディキックなどを相手に、グラーツィアがどんな競馬ができるか。熱い視線で応援を送りたい。
23日メインはA級一組「青葉特別」(水沢1600m)。シアンモア記念組のほかは前日のあすなろ賞へ出走。第2グループの戦いとなったが、伏兵もずらり。馬券的にもおもしろい一戦となった。
スカイサーベルはシーズン初戦はリリーモントルーの2着。同馬はあすなろ賞でも人気の一角を形成する強豪。2着も仕方なしだった。2戦目はゴールデンヒーラーの4着だったが、8馬身差で圧勝。2着リリーモントルーとは0秒2差。納得の結果とも言えた。
しかし3戦目から目下2連勝中。相手が緩和されたことに加え、3走前からコンビを組んだ関本淳騎手が手の内に入れた印象。前半は好位キープに専念して3コーナーからスパート。スカイサーベルの持ち味をフルに引き出した。
各馬が死角を抱える中、最も計算できるのがスカイサーベル。今回も首位争い必至と見るべきだろう。
タイセイブラストは今季3、6着から連覇を狙って栗駒賞へ駒を進めたが、ハイペースにも巻き込まれて8着失速。年齢的な衰えが隠せないかと思わせたが、前回完勝。道中は4番手キープから3角スパート。ジョッキーの指示にすばやく反応して4角先頭。2着マルケイマーヴェルに0秒4差をつけて完勝した。
これで軌道に乗ったと解釈していいだろうが、素直に評価していいか迷っているのが正直なところ。水沢1600mは過去4勝2着1回と得意としているのは確か。連勝できれば軌道に乗ったと思っていいだろう。
ドラセナは昨年9月、中央2勝クラスから転入、初戦を快勝し、南部杯に挑戦9着。以降は最低でも4着2回。ほかはすべて馬券対象を果たして安定度抜群。今季も2勝2着2回3着1回。前走も自慢の末脚を駆使して快勝した。スカイサーベルと似たタイプで、ここでも上位扱いが必要。
マルケイマーヴェルは4月11日から始動。ゆったりしたローテーションでひと叩きされた2戦目2着。昨年まで盛岡が得意コースだったが、前走2着は成長の可能性大。5歳馬だが、伸びしろは十分。一気に突き抜けるか。
ステイオンザトップは中央3勝クラス。ダート戦で未勝利を脱出した実績があり、芝ダート兼用のタイプ。今回好走できれば選択肢も増えるだけに陣営も力が入る。
ツーエムアリエスは番手外なら控える競馬もでき、再転入2戦2着。おそらく大外でもアドマイヤホルンが逃げるだろうから、今回も2番手キープ。あとは道中でいかに楽ができるかがカギを握る。
◎⑥スカイサーベル
〇⑦タイセイブラスト
▲⑤ドラセナ
△⑨マルケイマーヴェル
△③ステイオンザトップ
△⑧ツーエムアリエス
<お奨めの1頭>
2R キタノコレット
転入初戦は相手が強く2着も仕方なし。それでも1300m戦で1分23秒6の好タイムをマークし、今度は首位を奪取する