ここ3年間、岩手競馬は出走するしないにかかわらず、ナムラタイタンを中心に古馬戦線が展開した。
そのナムラタイタンが今シーズン第一弾の古馬重賞・赤松杯3着後、引退を表明。必然的にポスト・ナムラタイタンが最大テーマとなった。
5月7日、シアンモア記念(盛岡ダート1600m)で1番人気に支持されたのは赤松杯でナムラタイタンを退け、6馬身差で圧勝したイーグルカザン。2・1倍。2番人気にプリムラブルガリス3・1倍で支持された。
しかし、勝ったのは牝馬ユッコ。プリムラブルガリスが2番手キープから直線入り口で先頭に立ち、内からブラックサンダーが接近。競り合いの末にプリムラブルガリスがクビ差で退けたのもつかの間、外ユッコが最後でひと伸び。半馬身差で抜け出し、史上3頭目のシアンモア記念優勝を果たした。
最大の勝因は流れが落ち着くと判断した高松亮騎手の好判断。本来は差しタイプだが、3番手の積極策。4コーナーで手応えが怪しくなったが、ゴール前で根性を発揮。JBCレディスクラシックなどで強豪と戦ってきた経験が最後のひと踏ん張りにつながった。
本題に入る。20日メイン「第18回あすなろ賞」(盛岡ダート1800m)にシアンモア記念1、2着ユッコ、プリムラブルガリスの登録もあったが、両馬ともレース間隔が詰まっているため大事を取った。
ただ、仮に出走していたとしても本線はエンパイアペガサス、スズカセクレターボを考えていた。2頭が今季古馬戦線をリードするだろうと思ったからだ。いよいよ真打が登場する。
エンパイアペガサスはアメリカに買い戻されたエンパイアメーカーの産駒第3世代。デビューは2歳10月までずれ込み、2戦連続2着だったが、その後は快進撃。8連勝を飾り、3歳重賞を総なめ。ダービーグランプリ2着後、南関東・浦和へ移籍。
初戦のA2以下を勝ち、2戦目3着から報知グランプリカップ(船橋)を村上忍騎手とのコンビで逃げ切り快勝。日進月歩で成長を続けている。
そのまま南関東へ残ると思ったが、岩手へ里帰り。3ヵ月半の休養から満を持して始動する。当然だが、世代交代の旗頭になる器。どれほど逞しくなったか再会が待ち遠しい。
スズカセクレターボは中央ダート1200m~1800mで5勝。高齢9歳の転入だが、大事に使われて実戦35回。初戦のパドックで観た印象はとても9歳とは思えなかった。
肝心のレースも強いの一語。2着に9馬身差をつけて圧勝。いかに一線級がシアンモア記念に向かったとは言え、強烈な岩手デビューを飾った。
時計的には強調できないが、道中はほぼ持ったまま。しかも1枠で出遅れて外に出すまでのロスもあった。首が高いのが若干気になったが、噂どおりの結果を出した。
方や岩手デビューの4歳馬。一方は9歳だが中央オープン馬。エンパイアペガサスの今後を占う意味でも非常に興味深い一戦となった。
だが、忘れてならないのはコミュニティ。ナムラタイタンと同じ時期に走った不運はあったが、3年前の桐花賞で撃破。一昨年のみちのく大賞典を10馬身差で圧勝。そしてあすなろ賞は目下2連覇と実績申し分なし。1800m以上で持てる能力を最大限に発揮する。
今季2戦2着はコミュニティにしてみれば上々のスタート。シアンモア記念をスキップし、あすなろ賞1本に照準を絞ったのも心強い。2頭に割って入るだけではなく、3連覇の可能性も十分にある。
イーグルカザンは転入初戦の赤松杯を6馬身差で優勝。続くシアンモア記念は先行決着に終わり、直線追い込んだが届かず4着。外目を回ったのも痛かった。今度は人気も下がり、気楽に乗って反撃を狙う。
アントニオピサは先行力と渋太さが身上だが、シアンモア記念は痛恨の出遅れ。後方からの競馬を余儀なくされた。この一戦で見限るのは早計だろう。
◎⑥エンパイアペガサス
〇⑦スズカセクレターボ
▲④コミュニティ
△③イーグルカザン
△⑤アントニオピサ
<お奨めの1頭>
11R ビッグバンドジャズ
今季2戦目から3連勝。元A級の底力を見せつけている。伏兵多いが、地力でねじ伏せる
★重賞・はまなす賞はソーディスイズラヴ
14日に行われた3歳芝の重賞『はまなす賞』はこれが転入初戦だった6番人気ソーディスイズラヴが快勝。初めての芝戦で初の重賞制覇を果たしました。
2着は9番人気サンエイジャック。3着には2番人気ミスターシーバスとなり馬番3連単は11万4220円の波乱に。
1番人気ダンストンレガーメは伸びを欠き7着、3番人気ダズンフラワーはハナを奪ったものの終盤失速して9着に終わっています。
5月15日のメインレースは11Rです。JRA交流『フレンドリーカップアンタレス賞』。岩手B1級以下・JRA500万下の条件交流戦です。
このクラスの交流戦はJRA勢優勢と考えていいのですが、舞台が芝となった場合は岩手勢の健闘も目立ちます。ここはどんな戦いになるのでしょうか?
本命はJRA勢、(8)コスモレティクルムとしました。勝ち星を挙げたのは昨年8月、今年はここまでまだ3戦しかしておらず掲示板圏内も無し・・・という近況。しかしながら芝の1200mから2000mまで堅実にこなして勝ち星こそひとつなものの大敗も少ないという戦績は魅力的ですし、左回りにも小回りにも苦手感が無さそうな点、洋芝の札幌で勝っているという点などもプラス方向に評価できる材料でしょう。
対抗もJRA勢で(3)ウインティアラ。着順の数字で見るとやや大きめですが500万特別で先行して勝馬から1秒圏内の走りなら決して悪くは無い。加えてここは鞍上が50kgと軽量。先行有利な馬場になったりすればこれは怖いハンデです。
(10)ラレッサングルはここまでふたケタ着順が無い堅実派。2着6回3着2回という成績は地力の高さをうかがわせるものなのは間違いありません。一方でJRAの名手達の手をもってしても勝ち切れなかった・・・というのもまた確か。地力・素質の高さは認めつつも過信はしづらいのでは、という評価で三番手に留めます。
ヒモの一番手は(9)プレシャスギフト。ラレッサングルを破った時のような走りができるなら当然互角と見るべきでしょう。そして穴っぽく押さえておくなら(11)フィールザオーロラを。JRA時代の成績で、例えば芝1800mの持ち時計では今回の遠征勢とも差が無いといえるものがあります。地方に転じて初めての芝戦で変化がある可能性を狙ってみてもいいのではないでしょうか。
●11Rの買い目
馬単(8)=(3)、(8)=(10)、(3)=(10)、(8)→(9)、(8)→(11)
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★オッズパークLOTO 5重勝/5月15日(対象8R~12R)
8R/評価A: 4番 評価B: 2番 穴:7番
9R/評価A: 5番 評価B: 9番、 1番 穴:4番
10R/評価A:10番 評価B: 8番 穴:7番
11R/評価A: 8番、 3番 評価B:10番 穴:9番
12R/評価A: 5番 評価B:10番 穴:4番
今年で22回目を迎える盛岡芝1600m・3歳重賞「はまなす賞」。振り返れば盛岡芝のこけら落としの一戦がはまなす賞だった。
1996年、新盛岡競馬場=OROパークが完成。地方競馬初の芝コースを設置し、各方面から注目を集めたが、6月16日、メインで「第1回はまなす賞」を実施。
人気は2歳時にJRA福島・きんもくせい特別(500万下)を勝ったテツノジョージ、快速で鳴らしたサカモトデュラブが集めたが、7番人気サンディゴボーイ(鞍上・三野宮通騎手)が直線一気を決めて快勝。芝の醍醐味であるごぼう抜きを披露した。
1周1400m、直線も300mだったが、最後の上り坂で主客が逆転。あの時の興奮が今でも忘れられない。
あれから21年が過ぎ、盛岡芝の相対価値も上昇。今では芝を求めてのトレードが数多くあったし、隠れた適性が引き出された馬たちも枚挙にいとまがない。
今後、盛岡競馬場が生きる道は芝をどう活用していくか―が分かれ道。日を追って青さが増していく芝を見ていると改めてそう思う。
第22回はまなす賞、主軸にダズンフラワーを推す。昨年5月21日、盛岡芝1000mを舞台に行われた2歳新馬戦を逃げ切り快勝。勝ち馬第一号となった。
以降2戦は体調も崩して8、3着に敗れたが、4戦目の芝交流・ジュニアグランプリを2馬身差で完勝。遠征馬の追撃を見事封じた。
続いてJRA・福島2歳ステークスに挑戦。13頭立て12番人気ながら1秒1差6着に健闘。芝適性あることを証明した。
パワーの要るダートでは精彩を欠き、今季初戦のあやめ賞も大敗。しかし、はまなす賞の叩き台と考えれば度外視できるもの。賞金の関係で牝馬定量54キロから1キロ増えたが、適性でカバーする。
ミスターシーバスもダートでは安定した成績を残せなかったが、前回の水沢戦でダート初勝利をマーク。上昇ムードが心強い。
芝は2戦1勝2着1回。本質的に芝向きと見て間違いなく、盛岡芝に替わるのは基本歓迎。待望の初重賞制覇まで。
ダンストンレガーメはあやめ賞、交流・留守杯日高賞と牝馬重賞2連勝中。牝馬トップを確定させた。
不安は400キロ前後の小柄な牝馬が2キロ増の56キロを背負い、生涯初めての芝。アッサリか、はたまた凡走の両極端なケースが考えられるが、実力は折り紙付き。
リュウノビーナスも典型的な芝馬。ダート戦は4戦すべて着外に対し、芝3勝。待ちに待った舞台を迎えた。
サンエイジャックは芝2勝。ミスターシーバスをクビ差で退けた1勝が光る。乗り込みも万全だし、父ジャングルポケット、母父ダンスインザダークが盛岡芝と相性抜群。
ブラックロードは転入初戦・やまびこ賞6着に敗れたが、走法的に芝が合いそうな印象。この挑戦も見逃せない。
◎①ダズンフラワー
〇⑦ミスターシーバス
▲⑧ダンストンレガーメ
△⑨リュウノビーナス
△⑤サンエイジャック
△⑪ブラックロード
<お奨めの1頭>
1R ワールンガ
移籍2戦目を2秒4差で圧勝。初戦2着のうっ憤を一気に晴らした。ここもフリーパスの一戦
5月9日(火)、金沢競馬場で行われたスーパージョッキーズトライアル2017・ワイルドカードが行われ、岩手から村上忍騎手が参戦。
1戦目「ブロンズサドル賞」でコンビを組んだシーユーアゲンは1番人気に支持され、3番手インを追走。直線で外に持ち出したが、伸び切れず4着。
村上忍騎手「勝ち急いだ感もあって4着。これで雲行きが怪しくなった」が、2戦目「ブロンズホイップ賞」はオイヌサマで逃げの手に出て後続の追撃を完封。見事な逃げ切りを決めた。
「好枠を引き当てたので思い切って逃げた。馬もいいリズムで走っていたので最後も我慢してくれた」
この結果、1戦目11ポイント、2戦目で20ポイント。計31ポイントを獲得し、堂々1位で本選「スーパージョッキーズトライアル」の出走権を手に入れた。
「次の舞台は地元・盛岡。地の利を生かして今年こそ優勝を目指したい。応援よろしくお願いします」と村上忍騎手。SJT第1ステージは6月5日、盛岡競馬場。山本聡哉騎手ともども活躍を期待してやまない。
13日メイン10RはB2「メイカップ」(盛岡ダート1800m)。実力プラス距離適性が大きくモノを言う一戦になりそうだ。
主軸にスタンドアウトを指名。笠松A級から再転入後、初戦こそ7着に終わったが、2戦目から2連勝。C2一組の激戦区を勝ち抜いた。
元々、北海道時代にクラシック三冠目・王冠賞を制し、岩手でもA級1勝。トウケイニセイ記念で5着を確保した実力馬。納得の連勝だった。
前走は2着。ビッグステラの逃げ切りにしてやられたが、山本聡哉騎手が3~4コーナー中間で後続を離して5馬身ほどリード。好騎乗に3連勝を阻まれたが、スタンドアウトは一完歩ごとに差を詰めて半馬身差。負けて強しの一戦だった。
今度は過去4勝の1800mが舞台。自身の能力を最大限に発揮できると判断した。
オメガブレインは中央芝4勝・準オープン、園田A1から転入。北上川大賞典で逃げて6着、続く一戦で5着確保してB2へ降格。2戦2着に終わり、前走も4着だったが、巡り合わせが悪かった。気配落ちなく、反撃に転じて当然。
ビッグステラは園田C1から転入初戦を逃げ切り快勝。1800m延長がネックだが、成長続ける4歳牝馬の大型馬。勢いに乗って2連勝まで。
シーザドナルドは5ヵ月ぶりの実戦を圧勝。能力の片りんをのぞかせたが、大屋梅賞4着、南関東ジョッキーズ3着。前者は距離1400mが短く、後者は先行決着が敗因。ジリ脚タイプで明らかに長距離向き。1800mで巻き返し必至。
ピースワンポイントは9ヵ月ぶりの今季初戦は10着だったが、叩かれて2、3着。上昇ムードは見逃せない。
◎⑨スタンドアウト
〇②オメガブレイン
▲⑥ビッグステラ
△⑦シーザドナルド
△⑧ピースワンポイント
<お奨めの1頭>
4R シルクプラズマ
盛岡に替わって動きが一変。着外から2、3着にまとめてコース適性を誇示した。メンバーが甘くなって待望の勝利を飾る
★重賞・シアンモア記念/ユッコが初重賞制覇
7日の盛岡競馬場で行われた今期最初のM1・『シアンモア記念』は最後の最後まで二転三転する大激戦の末に6番人気の牝馬ユッコが差し切り勝ち。自身初の重賞タイトルを手にしました。
同馬は昨年のビューチフルドリーマーカップ2着など重賞でも健闘していましたが優勝まではなかなか及ばず。しかし牡馬の一線級との対戦となったここでビッグタイトルを獲得してみせました。このレースでの牝馬の勝利は史上3頭目。
鞍上の高松亮騎手・同馬を管理する佐藤雅彦調教師ともシアンモア記念は初勝利。また佐藤雅彦調教師は騎手時代にこのレースを2度制しており、騎手・調教師双方での制覇ともなりました。
2着は2番人気プリムラブルガリス、3着には7番人気のブラックサンダーが入り、1番人気に推されたイーグルカザンは4着でした。
●11Rの買い目
馬単(1)=(3)、(1)=(4)、(1)→(8)、(1)→(7)
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★オッズパークLOTO 5重勝/5月8日(対象7R~11R)
7R/評価A: 7番 評価B:10番 穴:6番
8R/評価A: 9番 評価B: 3番 穴:5番、2番
9R/評価A: 4番、 8番 評価B: 9番 穴:6番
10R/評価A: 5番、 3番 評価B: 8番 穴:9番
11R/評価A: 1番 評価B: 3番、 4番 穴:8番