5日メインは新設重賞「第1回早池峰スーパースプリント」(盛岡ダート1000m)。7月20日、船橋1000mで行われる地方競馬スーパースプリントシリーズ最終決戦・習志野きらっとスプリントのトライアルに位置付けられた。
このレースの前身はもちろん早池峰賞。昨年まで盛岡ダート1200mで実施されていたが、さらに昔へさかのぼれば幾つかの変遷があった。
創設は昭和50年、舞台は旧盛岡競馬1100m。当時、長距離偏重の時代にあって異彩を放ち、毎年お盆に行われる早池峰賞は夏の風物詩と言われていた。
歴代優勝馬も個性派がずらり。第9回、10回と史上初めて連覇を達成したアカネプリンス(父ボールドコンバタント)、下級条件から叩き上げで制したタツミマーチ(父ヴァイスリーガル)、2度制したホワイトシロー(父シャンペンチャーリー)、すずらん賞でスイフトセイダイに土をつけたローマンプリンス(ブレイヴェストローマン)など記録より記憶に残る馬ばかり。
第24回から第33回まで水沢1400mに舞台が替わり、特性は薄れてしまったが、第34回(平成20年)から盛岡ダート1200mで実施。開催時期にも変更があったが、一貫して短距離戦の名物レースに定着していた。
実は早池峰賞から発展したのがクラスターカップ。お盆開催は早池峰賞の遺伝子を受け継いだものだった。
そして今度はスーパースプリントへ移行したが、岩手競馬発展の礎になるなら潔く"良し"とする。早池峰スーパースプリントの誕生を歓迎したい。
本題に入る。初代覇者に最も近いのはエゴイストだろう。父ファスリエフは芝1200mのGIを2勝。母ゴールデンチェリーは2000年のクラスターカップ(当時・GIII)を優勝。父母とも現役時代は快速で鳴らした。加えてエゴイストはミスプロの3×3という強烈なインブリードを持ち、典型的なスプリンターも納得がいく。
それを裏付けるように中央1勝を函館ダート1000mでマーク。岩手入り後もハーベストカップ、OROターフスプリントと芝1000mで2勝し、前走の1着も盛岡ダート1000m戦。計4勝。
この成績からも短距離のスペシャリストではない。距離が短くても長くてもダメ。1000mのスペシャリストと評しても大げさではない。
エーシンシャラクは転入後、芝ダートを問わず短距離で活躍。重賞でも毎回のように上位争いを演じている。
意外に仕掛けどころが難しいタイプで早すぎると末が甘くなり、遅いと勝負付けがすんでから伸びる。それが間違えなければ白嶺賞、トウケイニセイ記念2着を確保。マイルもこなせる。
前走の盛岡1000m戦の敗因を言及すると12頭立ての11番枠がこたえた。好ポジションを取るのに手こずり、勝負どころで置かれたのが致命傷。直線猛追したが、あとひと伸びが足りなかった。今回は4枠。包まれる可能性あるが、直線で確実に脚を使える。馬群をさばければ勝ち負けになる。
アルベルティは中央ダート短距離3勝2着9回。大井オープン1200mでも4着の実績が光り、転入初戦から注目の1頭。
デュアルスウォードは昨年最後となった早池峰賞(1200m)の覇者。前走のマイル戦2着で復調の兆しを掴んだ。
あとは前哨戦でエーシンシャラクに先着2着タイセイメテオ、適性は引けを取らないサカジロヴィグラスが押さえ。
◎⑦エゴイスト
〇④エーシンシャラク
▲⑩アルベルティ
△⑨デュアルスウォード
△⑤タイセイメテオ
△⑥サカジロヴィグラス
<お奨めの1頭>
11R マダムインパリ
園田B2から転入後、6戦5勝2着1回と抜群の成績。今回はC1昇級、マイル延長などの課題あるが、勢いを重視
6月1日(水)、浦和競馬場でJpnII「第20回さきたま杯」が行われ、岩手からラブバレットが参戦。応援を兼ねて取材に行ってきた。
中央代表4頭はすべてG(Jpn)Iホース。そして南関東の星ソルテは前走・かしわ記念で逃げてコパノリッキーの2着。過去最強のメンバーがそろったともっぱらの噂だった。
勝ったのはソルテ。好ダッシュを決めてJRA勢を見事完封。初グレードタイトルを手にした。鞍上は吉原寛人騎手。逃げの手に出ると思われていたコーリンベリーが外11番枠に入り、対するソルテは4番枠。
コーリンベリーがハナを主張した場合、1コーナーで外にふくれる危険があり、『無理をしないだろう』と読んだ吉原寛人騎手の頭脳プレーだった。
あとはマイペースに持ち込み、早めに捕えにかかったベストウォーリアの追撃を1馬身半差で振り切った。
南関東に出現した大物ソルテ。最大目標はJBCスプリントだという。それに向けてどんなローテーションを組むのか興味尽きない。
一方、ラブバレットは7着だった。スタートは上々だったが、逃げたソルテ、外からコーリンベリーが先行して一旦、後方に下げざるを得なかったが、3コーナーからスパート。さすがに相手が強かったが、内容は悪くなかった。
山本聡哉騎手「外からコーリンベリーが被せて一旦下がる形になったが、勝負どころからの反応は今まで乗った中で一番。左回りもあったと思います。このメンバーと戦った経験が今後に生きるはず。収穫ある一戦でした」
菅原勲調教師「今回は相手がそろったので7着は仕方ない。今後につながる内容でしたので納得のいく結果です。次走予定は栗駒賞(7月4日 水沢1400m)。地元のクラスターカップが今年前半の目標です」。関係者のみなさん、お疲れさまでした。
4日メインは「芒種(ぼうしゅ)特別」(A級二組 盛岡ダート1600m)。シャークに絶好の勝機を迎えた。
シャークは軽快な先行力と強じんな粘りが武器。下級条件から着実に白星を積み重ね、通算25勝。名脇役として活躍を続けている。
今季も叩かれながら調子を上げて前走・あすなろ賞でも逃げてコミュニティの3着に健闘。暖かい季節を迎えて本領を発揮した。今回はメンバーも手頃。展開的に決して楽ではないが、地力でカバーし待望の白星を手にする。
ハイフロンティアは中央500万下から転入して<1.1.1.1>。前回は鮮やかな逃げ切りを決めた。実戦を使われながら体も締まってきたのが好走要因。自在脚質も有力な武器となる。
チェーザレも500万下から移籍。初戦はハイフロンティアの2着を確保し、芝に替わった前走3着とマズマズ。父譲りの好馬体で上位を狙う。
リトルキングは最後の詰めに課題を残すが、毎回上位争い。相手なりに駆ける堅実タイプでいつでもマークを欠かせない。
ローレルイニシオは本質的にはスプリンターだが、一瞬の伸び脚で距離にも対応。仕掛け次第では台頭十分。
ナムラハンベエはB1降格の前走を快勝。再びA級馬が相手だが、弾みついたのは確実。
◎(10)シャーク
〇(6)ハイフロンティア
▲(8)チェーザレ
△(1)リトルキング
△(9)ローレルイニシオ
△(4)ナムラハンベエ
<お奨めの1頭>
6R ワイエスプリンセス
無理のないローテーションに好感がもて、前回快勝で勢いを取り戻した。メンバーも甘く2連勝濃厚