9月2日、水沢1900mで行われる"グランダム・ジャパン2013"古馬シーズン「第39回ビューチフル・ドリーマーカップ」は本当に楽しみな一戦。過去最高のメンバーが集まった。
グレードウイナー(関東オークス)・アスカリーブル、門別・ノースクイーンカップでアタマ、ハナ差の大激戦を演じたクラキンコ、ショウリダバンザイ、シャイニングサヤカがそろって参戦。最終的に9頭立てとなったが、真っ向勝負には丁度いい頭数。各馬の持ち味をフルに発揮してほしい。
今年のビューチフル・ドリーマーカップにはもう一つの楽しみがある。昨年、今年の岩手版オークス・ひまわり賞馬ミキノウインク、コウギョウデジタルが挑戦状を叩きつけたからだ。
ミキノウインクは2年連続の参戦。昨年はサクラサクラサクラの5着に敗れ、全国の壁は厚かったが、最転入戦のトライアル・フェアリーカップ、そして前走A級戦と圧勝。盛岡ダート1800m1分53秒8は優秀だ。
一方のコウギョウデジタルはレースを使われながら成長一途。ウイナーカップ、ひまわり賞と重賞2連勝を飾ったが、驚いたのはひまわり賞の走破時計。従来のレースレコードを2秒1も更新。盛岡ダート2000mで2分6秒0は驚異的だった。
いかにすばらしいタイムかは岩手3歳レコードタイで証明。4年前、馬インフルエンザの影響で地元重賞での開催を余儀なくされたダービーグランプリでハルサンヒコと同タイム。あのときは断続的に激しく雨が降り、恐ろしく馬場が軽かった。
ロックハンドスターでさえ不来方賞でマークした2分8秒8。今回の強豪相手にコウギョウデジタルが即、通用とはさすがに思えないが、有力馬にどこまで食らいつくか。ひそかに期待している。当日が待ち遠しい。
1日メインはC1・水沢1600m戦「田瀬湖賞」だが、今年のメインで最も難解な一戦となった。オール1着馬の戦いなら望むところだが、前走1着馬が2頭だけ。しかもシルクメディエイトは水沢コースが苦手。もう1頭のブリッジポートは芝での勝利。力の要るダートは基本的に合わず、2頭とも無印。
頭を悩ませたが、最終決断は水沢1600m適性からタケデンエビス本命。夏負け気味だが、前走2着。メンバーは確かに甘かったが、上昇ムード。あとはスーパージョッキーズトライアルの切符を手に入れた山本聡哉騎手の腕に託したい。
エプソムジャンボは元A級の格上馬。一本調子の逃げ馬で自分の競馬ができないと失速ケースも多いが、ここ一番は格がモノを言うか。同型をどうさばくかが最大のカギとなる。
ラブヘリテージも逃げタイプだが、砂さえ被らなければ控える競馬も問題ない。エプソムジャンボを行かせ、2番手キープから流れ込みの可能性十分。
ショウナンカルマンは成績ひと息だが、気配そのものは悪くない。同厩ラブヘリテージがいるので無理はしないと思うが、自分の競馬ができれば強じんな粘りを発揮。
イツマデモアイシテは展開から浮上。デビューからいまだ未勝利で岩手転入後は3着最高だが、堅実な差し脚が武器とする。
◎(12)タケデンエビス
○(8)エプソムジャンボ
▲(9)ラブヘリテージ
△(7)ショウナンカルマン
△(11)イツマデモアイシテ
<お奨めの1頭>
1R エノテカ
550キロを越す雄大な馬格ゆえ、脚部不安に悩まされているが、4戦2勝2着2回と能力は相当なもの。水沢コース初めてだが、地力の高さを信頼
先週までの猛暑が嘘だったのか―と思うほど水曜夜から一気に気温が下がった。朝晩、半そでで出歩いたら耐えられないほど。この激変に戸惑っているが、競走馬にとっては恵みの寒さ。暑さ対策に苦労せず、予定どおりの調教をこなせる。
これなら過去最高のメンバーがそろう9月2日、牝馬交流「第39回ビューチフル・ドリーマーカップ」も期待が高まる。各陣営とも万全の態勢で臨んでほしいと切に願っている。
8月31日メインはA級二組による「オッズパーク賞」(水沢1600m)。次開催に南部杯トライアル・青藍賞を控え、見逃せないレースとなった。
主軸にイーサンジャンパーを指名する。中央1000万下から今年7月に転入。2011年以来、勝ち星から遠ざかっていた上、中央では3着4回が最高。厩舎サイドも半信半疑で送り込んだが、初戦で豪快なマクリを決めて快勝。
2戦目に重賞へ格上げされたすずらん賞に駒を進め、そこでもコスモフィナンシェの3着に善戦。イン強襲したトーホクキングに先着したのが光った。
前走は蕁麻疹のために出走取り消し。おそらくだが、藁(わら)に紛れ込んだ蜘蛛を食べてしまったのだと思う。これは思った以上に多く、競走能力にはほとんど影響なし。治まったあとは順調に乗り込まれ、追い切りでも好タイムをマーク。
曲者(くせもの)ぞろいのメンバー構成で油断はできないが、素直にすずらん賞3着を信じるべき。不安は小回り水沢対応だが、笠松の条件交流(1400m)を勝っているので大丈夫だとは思う。
ファーストメジャーは南関東から再転入。一昨年9月、中央1勝(ダート1150m)から転入して初戦を快勝。続いて新設の交流重賞・絆カップでもリュウノボーイの2着確保。一戦置いて特別・栗駒賞優勝と実績は文句なし。
前走は2ヶ月ぶりの実戦でひと叩きされた変わり身も当然見込め、逆転首位まで十分考えられる。
ロリンザーユーザーは抜群の安定度を誇り、岩手9戦2勝2着4回3着3回。すべて馬券対象となっている。詰めの甘さが課題だったが、前走は中団に控える競馬から直線抜け出して完勝。レースに幅が出たのが心強い。
トーホクアローはここ2戦4着止まりと足踏み状態だが、古馬伝統のみちのく大賞典で僅差3着。大外から一気に伸びて周囲をアッと言わせた。追い込み脚質のため流れに左右される面があり、信頼性ひと息だが、展開はまれば単まで。
ランドオウジは1年9ヶ月の長期休養を経て転入。当初はレース勘を取り戻していなかったが、一戦ごとに良化をたどり、前走は少頭数ながら好タイムで快勝。これで本来のシャープさを取り戻した。
クリスティラビットは逃げがベスト。その意味で今回は流れがきつそうだが、自分の競馬ができれば残り目もある。
◎(12)イーサンジャンパー
○(1)ファーストメジャー
▲(5)ロリンザーユーザー
△(10)トーホクキング
△(3)ランドオウジ
△(2)クリスティラビット
<お奨めの1頭>
5R トゥルーブルー
前走は開催替わり初日で馬場も軽かったが、それにしても1分20秒9の走破タイムにびっくり。レコードに0秒5まで肉薄なら今度は首位当然
WSJS(ワールドスーパージョッキーズシリーズ)の地方競馬からの出場権をかけて戦うSJT(スーパージョッキーズトライアル)の、岩手からの出場騎手が決まりました。
SJT本戦には山本聡哉騎手、ワイルドカード戦には村上忍騎手。今年1月1日から8月18日までの間の勝利数でわずかに2勝上回った山本聡哉騎手が見事本戦の出場権を手に入れたのです。
過去のこの手のレースは菅原勲元騎手、小林俊彦騎手、そして村上忍騎手が出場するのがある意味当然。その中に山本聡哉騎手が食い込んできたのは岩手競馬史上に残る快挙といっていいでしょう。
今季の山本聡哉騎手は打倒・村上忍騎手に燃えて、なんとかして上回ってやろうという意気込みを見せていますが、その気概がこのSJT本戦出場を呼び寄せたのでしょう。
SJT本戦の第1ステージは9月25日・船橋競馬場。弟・山本聡紀騎手のホームです。弟の前で兄の貫禄を見せようと山本聡哉騎手がさらに燃え上がる可能性も十分にありますよね。
加えて船橋は山本聡哉騎手が南関での期間限定騎乗時に所属していた、自身にとっても第二のホーム。勝手知ったる競馬場で戦えるのは有利なはず。
村上忍騎手も、もちろんがんばって欲しいもの。今年のワイルドカード戦は上位2名が本戦への出場権を手にします。理想は当然、本戦に岩手の騎手が二人出場する事。さらに二人とも第2ステージまで行ってくれればなお良し。好結果を期待しましょう。
8月21日、地全協(NAR)から今年のワールドスーパージョッキーズシリーズ(11月30日、12月1日実施)の地方代表騎手を決める『スーパージョッキーズトライアル2013』の各地区出場騎手が発表された。
岩手代表は山本聡哉騎手。現在25歳で今年のメンバーでは最も若い代表となったが、不思議に思う方も多いかもしれない。
今年度(4月6日開幕)の岩手競馬リーディングジョッキーは76勝(8月18日終了時点)で村上忍騎手。4勝差72勝で山本聡哉騎手が2位につけているが、代表に選ばれたのは今年1月1日からの通算勝ち星数。
しかし、村上忍騎手は今年冬、南関東へ遠征。3勝をあげており、述べ勝ち数で上ではないかと思うかもしれないが、岩手での勝ち星が対象。その結果から山本聡哉騎手が代表に選ばれた。
山本聡哉騎手「ずっと4月からの勝利数だと思っていましたから、自分じゃないと。なかなか出場できるレースではないので正直、ラッキーでした。全国のトップジョッキーがそろいますから学びに行くという気持ち。もちろん夢はワールドスーパージョッキーズ出場ですが、結果ばかり気にしたらレースに集中できない。ちゃんと冷静に騎乗できれば、おのずと結果がついてくると思っています」
第1ステージは9月25日、船橋競馬場。最終第2ステージは10月17日、園田競馬場。「園田で騎乗したことがないので、足切りで落とされないで生き残りたいと思っています(笑)」と山本聡哉騎手。朗報に期待したい。
25日メインは「ムーンライトカップ」(B1 水沢1800m)。当初、12頭格付けだったが、前開催(8月14日~18日)からレース間隔が詰まっているため続々と回避。しかもほとんどが主力級の馬たち。シルクタイタンに運も味方した。
シルクタイタンは昨年までA級に在籍して2着2回と通用十分を証明していたが、今年はC1へ一気に降格。メンバーが大幅に楽になり、開幕から土付かずの6連勝をマークした。
前回は格上ダイワマックワンの逃げ切りに屈したが、これは実質A級馬で仕方なし。そのダイワマックワンが回避により、さらに軸不動となった。
ユウキタカラオーは駒形賞、新緑賞で連続2着。特に新緑賞で勝ったのはのちにみちのく大賞典、すずらん賞を制したコスモフィナンシェ。A級入りは時間の問題かと思ったが、以降は低迷を続け入着が精一杯。これは体調以上にメンタル面の問題。ムーンライトカップ好走で反撃に転じたいところ。
ヒシウィンザーは南関東B1から今年4月に転入。3戦目を快勝したが、その後は伸びを欠くレースの連続。体調は決して本物ではないが、ここなら底力を発揮できるはず。
コウギョウメンバーも入着一杯が続き、10戦を消化して馬券対象になっていないが、転入初戦のA級戦で4着確保。少頭数なら浮上のシーンも考えられる。
◎(2)シルクタイタン
○(6)ユウキタカラオー
▲(3)ヒシウィンザー
△(7)コウギョウメンバー
<お奨めの1頭>
1R コミュニティ
中央未勝利から転入初戦、直線鋭く伸びて圧勝。加速ついてからの迫力がすばらしかった。岩手で大化けする予感
今週から戦いの舞台は盛岡から水沢へと替わり、盛岡データは一旦クリアーしたい。言うまでもなく水沢と盛岡は真逆のコース形態。1周1200mのフラットコースに加え、直線が約200m。一見すると先行馬が圧倒的有利と思ってしまうが、あにはからんや。
今回のテシオ特集(tesio.jp)で今季これまでの水沢データを掲載したのでご覧になってほしい。ダート競馬なので先行有利は動かないが、差し馬の健闘も目につく。見どころは3コーナー、ラスト600mの攻防。そこから各馬が一気にスパートをかけ、そのときの手応えが重要となる。
開催代わり初日メインは「刮目相待て!三陸は必ず復興する」(B1 水沢1600m)。調騎会騎手部会の協賛でネーミングをファンから募集。詳細は当日メインの勝ちそーファイナルチェックで報告があると思うが、由来は三国志から。「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」
意味は日々鍛錬している者は三日も会わなければ見違えるほど変わっているということ。復興が思った以上に進んでいないのに対する意思表示。ジョッキーたちの気持ちも同じに違いない。
主軸をソーラーインパルス、ギシアラバストロのどちらにするか迷ったが、最終決断はソーラーインパルス。ギシアラバストロのレース間隔が詰まっているのが若干不安だったからだ。
ソーラーインパルスは中央0勝だったが、船橋の条件交流(1400m)で勝利を飾り、2着2回はダート短距離戦でマーク。転入初戦の前走は3ヶ月ぶりの実戦だったが、3着にまとめた。
馬体重がマイナス19キロだったが、上記の好成績を収めていたときとほぼ同じ。近走不振は体が重かったと解釈して間違いない。
今回は休み明け2戦目に加え、ベストの1300m戦。小回り対応がネックだが、好走要因がほぼ整った。
ギシアラバストロは中央ダート1400mで4勝。準オープンから鳴り物入りで転入し、初戦を快勝。2戦目のすずらん賞でも逃げて2着に粘ったが、その後、脚部不安が発生。以降は順調さを欠いて昨年は1勝のみ。
不本意なシーズンに終わったが、今季は短距離をメインにローテーションを組み、前走で待望の白星。盛岡ダート1200mを1分12秒2の好時計で快勝し、ようやく吹っ切れた印象。間隔詰まっても2連勝の可能性も高い。
タケノトレジャーはシーズン当初、マイルで勝ちきれないレースが続いたが、短距離に路線変更して反撃。早池峰賞2着、3走前の水沢1400m快勝で古豪健在を誇示した。
前走・クラスターカップ13着はメンバーが強い上、1分9秒台の決着でブービー13着も仕方なし。地元同士の戦いなら絶対能力でアッサリまで。
レッドヴェレーナは芝1600m・レインボーカップで嬉しい初勝利。自慢の切れがさく裂した。1300mの忙しい競馬がどうかだが、4走前の水沢1400mでギシアラバストロに先着3着。位負けはまったくない。
モンテムーンは次第に尻すぼみ気味だが、条件も合わなかった。マイル実績はひとまずあるが、本質的には短距離向き。サーストンサブリナは開幕2連勝後、精彩を欠いているが、前走・盛岡ダート1200mで4着。1300mなら逃げなくても好勝負に持ち込める。
◎(7)ソーラーインパルス
○(9)ギシアラバストロ
▲(10)タケノトレジャー
△(5)レッドヴェレーナ
△(8)モンテムーン
△(4)サーストンサブリナ
<お奨めの1頭>
5R セイカスプレンダー
近走は入着が一杯だが、3歳の強豪相手で仕方なしの結果。それでも前走タイム1分27秒5をマークし、ここは相手有利