7月7日 第8回ミルキーウェイカップ(3歳オープン ダート1800m)
(写真・佐藤到)
1着 マツノメガミ
外から好ダッシュを決め、同型オーナーズスキャンが後方に控えたこともあってスンナリ先手を取る。2コーナーからスッとペースを落とし、これで息を抜けたのが最後で二の脚を使えた最大の要因。そして3コーナーで徐々にピッチを上げ、4コーナーでは後続に3馬身ほどのセーフティリード。これも板垣騎手の絶妙の判断で、ネバーオブライトが差を詰めようとしたが、マツノメガミはさらに突き放してゴール。2連勝を飾るとともに初タイトルを手に入れた。
「スタートで競られなかったので、楽に逃げることができた。4コーナーで後ろを離したのは追って伸びるタイプではないから。あのぐらい離さないと…と思って早めにスパートをかけた。まじめで気のいい馬なのでとても乗りやすい」と板垣騎手。
2着 ネバーオブライト
マツノメガミの3馬身ほど後ろを追走。ゆったりとしたペースだったため、ここ2戦のように追っ付けどおしではなく終始2番手をキープし、直線勝負に持ち込もうとしたが、マツノメガミの方の脚色が上回り、4馬身差をつけられてしまった。
それでもひとまず2着にまとめたのが収穫で、タイプ的に忙しい競馬より今回のような中距離以上が合う印象を受けた。
3着 ハルサンヒコ
ネバーオブライトからまた3馬身離れた中団インを追走し、3コーナーからジワジワ差を詰めようとしたが、伸び案外に終わる。
ダイヤモンドカップ1、2着馬が不在。そしてボスアミーゴも福島遠征で絶好のチャンスかに見えたが、同厩マツノメガミの逃げ切りにしてやられる。いわゆるどんな相手でも上位争いを演じる一方で、メンバーに恵まれても勝ち切れないタイプで、どこかでひと皮むけないと表舞台での白星は難しいかもしれない。
7月8日 第7回ふみづき賞(B1級以下 ダート3000m)
(写真・佐藤到)
1着 ベリーメリーホーク
現在、日本ダートでは最長の3000mが話題を呼んだが、ツジジオットがレースを非常におもしろくした。そのツジジオットは大逃げを打ったと思ったら、600m以降はガクンとペースダウン。緩急自在の戦法を取ったが、ベリーメリーホークはそれに惑わされず終始5番手でジックリ待機する。徐々にペースが上がり始めたラスト800mから仕掛け、4コーナーではツジジオット、ウエストサンオペラを射程圏内に入れる。
ラスト200mあたりでウエストサンオペラと併走状態になったが、馬体を併せると渋太いのを知り尽くしていた菅原勲騎手は、ベリーメリーホークを意識的に離して大外コースを選んで交わし、盛岡ダート3000mのレコードホルダー(基準がないため、あくまでも参考だが)となった。
「忙しい競馬より今回のような長い距離が合うし、道中はまったく掛かるところがなく、直線までいかに脚を貯めていられるかだけを考えて乗った。長丁場はいかに騎手が我慢させるかがカギなので、折り合いがつくこの馬にはベスト」と菅原勲騎手。
その言葉どおり、菅原勲騎手は見事な騎乗ぶりを披露した。
2着 ウエストサンオペラ
1周目スタンド前でヒメツバキが掛かり気味となって2番手まで進出したが、こちらは終始2、3番手インをキープ。ツジジオットが4コーナー過ぎに一杯となって押し出される格好で早め先頭に立ったが、それでベリーメリーホークの格好の標的になった格好。それでもゴールまで内で粘ったが、競り合いを避けられたのが痛かった。
3着 ヤマニンリボールト
ベリーメリーホークと同様、道中は掛かることなく4番手をキープ。4コーナーで徐々に先陣に接近したが、そこで脚色が一杯となった。
4着 ツジジオット
先にも記したが、3000mレースを盛り上げた最大の功労馬。いつもどおり好スタートから1周目3コーナーでは後続を10馬身ほど離す大逃げを打ったが、その後はガクンとペースを落とし、後ろを団子状態にする。向正面では5、6馬身と馬群がグッと詰めるほどのスローに落とし、まさに関本浩司マジック。そして4コーナーまで主導権を握ったが、さすがに直線を向くと苦しくなって失速したものの、3000mの長丁場でずっと緊張感を保ってレースを運んだ功績は大だった。
先週の月曜日になりますが、青森県八戸市で行われたサラブレッド市場「八戸市場2007」に行ってきました。かつてはアラブ馬の生産で栄えた八戸市場、そして青森の馬産も、アラブの縮小や新潟・上山の廃止、岩手競馬の不振の影響をうけて徐々に縮小。一時は150頭近くにまで達した八戸市場の上場馬数も近年は90頭前後に減少し、今年は75頭になりました。
ですが、その分上場馬の質は上がってきており、北海道のセリ関係者が見ても評価が高い馬が増えています。いい例が先日北海道で行われた「HBAトレーニングセール」の最高額3500万円で落札された「モーリフェアリーの17」は昨年の八戸市場で350万円で落札された馬。「八戸で安く仕入れた素質馬を鍛えて高額で転売する」という形で八戸市場が注目を集めるのは、これからのサラブレッド市場はトレーニングセールを始めとした2歳馬の取引に主流が移るだろう事を考えれば、それもまた“有り”なのかなと思います。
◇お奨めこの一頭
11R:モエレターボ
前走は人気に応えられなかったが、勝ったマツノメガミが土曜の特別戦でも圧勝したところからすると致し方ない点も。ここで巻き返す。
8日メインはB1級馬による盛岡ダート3000m戦「第7回ふみづき賞」、9頭立て。もちろん岩手では最長距離戦(これまでの最長は北上川大賞典の2500m)で、全国を見渡しても大井記念、北国王冠、福山大賞典の2600mが最高。JRAを含めてダートでは日本最長距離で実施されることになる。
当然だが、この3000m戦には賛否両論が出ている。普段は1400〜1600mで走っている馬、長くても2000mまでの馬にこの距離は過酷ではないか。大事な馬を故障させたら大変ではないか。小生もそれに反論はできないが、一方ではこうも思う。
長距離戦は馬自身の適性もさることながら、騎手の駆け引き、技術がモノを言うとよく言われるが、それぞれ騎手が3000mをどう御するか興味深いし、こう記すと誤解を招くかもしれないが、今の岩手競馬に話題を作ることが何よりも必要。好レースを期待したい。
主軸にウエストサンオペラを指名する。ご存知メイセイオペラ産駒でデビュー2戦目に白星を飾ったが、堅実な半面で勝ち味に遅く、2勝目(JRA条件交流・エメラルド賞)マークに丸1年を要した。その後は小回り水沢開催が多かったため、着止まりを繰り返していたが、盛岡に替わってエンジン全開。前々走、そして前走と直線鋭く追い込んで2連勝を飾った。
今回、ネックとなるのは全馬がそうだが、3000mの距離。メイセイオペラ産駒はマイラー、中距離のイメージが強いのだが、ウエストサンオペラの場合、母系に注目してほしい。母父がジェイドロバリーで祖母の父がボールドリックなら、長距離も十分にこなす素地がある。決め手は盛岡適性と血統、それに賭けてみたい。
対抗はベリーメリーホーク。中央時9戦0勝に終わったが、3着1回は芝2000mで中距離以上をずっと使われてきた。
岩手転入は昨年11月、3戦目に初勝利を飾るや、一戦ごとに上昇一途。現在まで5勝をマークしている。このベリーメリーホークの特長は昇級初戦を勝てないのだが、レースの流れを体でつかむとキッチリ結果を出すこと。例えば前々走はB3からB1へジャンプアップしたため3着に終わったが、前回は強いレースで勝っている。
父は安田記念、高松宮記念のG?2勝のため、スプリンターの印象があるが、血統的には必ずしもそうではないし、母父イブンベイはジャパンカップで驚異的なラップで逃げ、ホーリックスのレコードをアシスト。また愛セントレジャー(2800m)、イタリア大賞典(2400m)などの長距離戦で活躍したミルリーフ産駒。そして何よりも「ベリー・メリー・ホーク」という名前は、いかにも長ーい距離が合いそうな感じではないか(ジョークだが)。
C2から果敢に挑戦状を叩きつけたのがホウイツだ。中央5戦0勝(うち一戦は地方旭川)からベリーメリーホークとほぼ同じ時期に転入したが、こちらは昨年の1勝のみ。今季も4着が最高と正直、強調材料に乏しいのだが、父がマーベラスサンデー、母父がブライアンズタイムといかにもタフな配合。
おそらく陣営もそれを見込んでエントリーしたと思うが、最大の魅力は50キロ(当初の負担重量は51キロだったが、山本聡騎手が騎乗するので50キロ)の軽ハンデ。B1級在籍馬は57キロ(牝馬は55キロ、B2級のウエストサンオペラは55キロ)で6キロのハンデ差が長距離戦では一番の魅力となるのではないか。そしてもし勝ったなら、今後も下級条件からのチャレンジが増える可能性もあり、その意味でも期待している。
以下は目下3連勝中と11歳馬が絶好調ツジジオット、長距離戦特有の上がり勝負になれば出番がありそうなヒメツバキ、そしてレース運びが巧みなヤマニンリボールトもマークが必要だろう。
◎ ?ウエストサンオペラ
○ ?ベリーメリーホーク
▲ ?ホウイツ
△ ?ツジジオット
△ ?ヒメツバキ
△ ?ヤマニンリボールト
3連単は5を1着固定に2、3折り返し。あとは7、8、6を押さえ
馬複は2−5、3−5、5−7、5−8、5−6
<お奨めの1頭>
7レース ダンストンルージュ
盛岡戦での安定度は群を抜く存在だし、ここでは前回タイムも抜けている
7日(土)メインは3歳馬による盛岡ダート1800m戦「第8回ミルキーウェイカップ」、10頭立て。このレースから岩手3歳の最高峰・不来方賞(8月19日 今年は水沢2000mで実施)、そしてJpn?・ダービーグランプリ(9月17日 盛岡ダート2000m)へとつながる“Vロード”である。
岩手ダービー・ダイヤモンドカップ1、2着馬セイントセーリング、マツリダワルツがそれぞれ古馬に挑戦し、セイントセーリングはA1級・エクセレント競走2着、マツリダワルツはJRA交流・東京カップけやき賞で6着。これはキャリアの差が出た格好だが、今後につながるレースは披露した。
(ハルサンヒコ 写真・佐藤到)
今回、その2頭が不在となり、ハルサンヒコには特別タイトルを手にする絶好のチャンスを迎えた。
ハルサンヒコは昨年8月、デビュー戦でひとまず2着に入ったが、以降は伸び悩んで凡走の繰り返し。しかし6戦目(12月11日)に初勝利を飾り、年明けの1月3日に2勝目をマークしてシーズンを終了。
冬休み明けの特別開催こそ太め残りのために4着に敗れたが、スプリングカップ2着を皮切りに4戦連続で2着。中味も文句なく重賞・阿久利黒賞はセイントセーリングの2着、七時雨賞はボスアミーゴの2着と地力アップは誰の目にも明白となった。
前走・ダイヤモンドカップは道中、インでじっと我慢し、直線でも最内を突き抜けて勝負を賭けたが、セイントセーリング、マツリダワルツに先着されて3着。これは3歳牡馬、牝馬?1相手だけに仕方なしの結果。ここは勝機をがっちりモノにしたい。
逆転首位まで十分可能なのがネバーオブライトだ。11月12日、南部駒賞4着後、早めに切り上げ、遠野馬の里でリフレッシュ。満を持して4月30日に戦列復帰し、アッサリ逃げ切り。能力の高さを誇示したが、以降は阿久利黒賞4着、七時雨賞3着ともう一つ物足りないレースとなった。この2戦の敗因はコーナー、コーナーでもたつき気味。ひとまず直線で盛り返すのだが、勝負どころで反応が鈍いため、それが最後まで影響した印象だった。
それならばコースが広く、コーナーのカーブもゆるい盛岡が間違いなく合うはず。そしてダイヤモンドカップを自重、無理のないローテーションにも好感が持て、アッサリのシーンまであるだろう。
血統、水沢850mで驚異のレコードをマークし、イメージはスプリンターだが、実際のネバーオブライトはピリッとした脚がない替わりに、平均ペースならどこまでもバテないタイプ。おそらく1800mも苦にしないはず。
この2頭が以下を大きく離しての本線で、このラインに割って入るのは難しいと思うのが妥当なところだが、ハルサンヒコは詰めが甘く、ネバーオブライトはもしかすると1800mに手こずる可能性もある。
その隙を狙っているのがマツノメガミ、ソードの2頭。マツノメガミは前走・3歳B1戦を見事な逃げ切りを決め、岩手初勝利を飾った。逃げてマイペースに持ち込んだ時の渋太さには定評があり、今回はそれが打てるメンバー構成。大外オーナーズスキャンがどう出るかによって左右されるが、スンナリ先手なら前記2頭の逆転の目もありそう。
一方、ソードは大崩れしないのが特長だが、最後の伸びがひと息で着止まりを繰り返している。昨シーズンまで差し一辺倒だったが、今季は2、3番手からの競馬。まだそれが実を結んでいないが、いずれ積極策が吉と出ると見ていいだろう。
あとは実績のあるダートに替わってコスモビシャモンがどこまで巻き返すか。
◎ ?ハルサンヒコ
○ ?ネバーオブライト
▲ ?マツノメガミ
△ ?ソード
△ ?コスモビシャモン
3連単は3、2の1、2着折り返しから8が本線。あとは7、1押さえだが、3、2、8のボックスも一考
馬複は2−3、3−8、3−7、2−8、1−3
<お奨めの1頭>
7レース フジノマンゲツ
前回、しんがり負け直後で狙いづらい面があるが、とにかく盛岡芝は走る。しかも盛岡芝1600mは5戦2勝2着2回と抜群の実績を誇る
先週末は誘導馬の廃止に加え、さらに馬名入り重賞ゼッケンの廃止が決行されました。これまで重賞用の青いゼッケンは馬番と馬名をアップリケ式に入れたものをレース毎に作成していましたが(費用は1枚およそ3000円と聞いています)、岩鷲賞では使い回し可能な数字のみのゼッケンになっていました。これが登場するのは99年以来のこと。その時は不評のためシーズン途中で元に戻したのですが、今回はどうなりますか…
コスト削減が必要なのは重々わかっていますが、なんだか真っ先に目についてガッカリするようなことから実行されているような気がするなぁ…
さて、暗い話題ばかりではなんですので、前向きに2歳戦の話でもしましょうか。
昨年のテシオ冬号において、岩手県馬主会による補助馬を対象にペーパーオーナーゲーム(POG)の募集を行いました。ところが、たくさんのご応募を頂いたにもかかわらず本誌「テシオ」が休刊……。 これにはスタッフ一同大変申し訳なく思っているのですが、その一方で対象馬のほうは、仕上がった馬から順調にデビューを果たしています。
まず今期最初の新馬戦となりました6月10日の1レースに、「ハドリセンプーの17」(父バトルライン)が登場。1枠1番からスタートしたその馬バトルアイは好位から抜け出しを決め、見事デビュー戦を優勝で飾りました。バトルアイはこの後、6月23日に行われた2歳級一般戦でも勝利し、早くも2戦2勝という素晴らしい戦績としています。
またバトルアイが優勝したのと同レースに出走予定だった「キイロイハンカチの2005」(父メイセイオペラ)は残念ながら感冒のため出走取消となりましたが、こちらハルカゼゴールドは6月24日のフューチャー競走に無事出走。3着に入賞しました。そしてこのレースには他にも「アサケロードの17」(父クリプティックラスカル)と「パワフルプリンセス」(父コマンダーインチーフ)の2頭がそれぞれリュウノフリーダム、アフターバーナーの馬名でデビューし、このうちリュウノフリーダムが2着に6馬身差で圧勝しています。リュウノフリーダムという名前は、今回のPOGと同時に募集した馬名候補の中から、北上市のBLACK STORNさんの応募作が採用されたもの。当日もスタンドで大声をあげて応援していたBLACK STORNさんは、喜びもひとしおだったのではないでしょうか。
左から ハルカゼゴールド・リュウノフリーダム・アフターバーナー
好素質を見せているテシオPOG馬。今後もこの場をお借りして各馬の様子をお伝えしていこうと思っています。
(ご協力/岩手県馬主会及び馬主のみなさま)
(文/写真・佐藤 到)