今週から戦いの場は水沢競馬場からオーロパーク=盛岡競馬場へと替わり、その開幕戦メインはオープン馬による「第1回あじさい賞」。舞台はオーロパーク自慢の芝1700m。4コーナーを回った直後にスタート地点があり、直線の上り坂を2度通過しなければならずスピードに加え、タフさを要求される馬場である。
(シアンモア記念ゴール 1着ニューベリー 写真・佐藤到)
中心はニューベリーで大丈夫だろう。前走・シアンモア記念で見事な逃げ切りを決めて快勝。転入3戦目がうれしい岩手初勝利となった。同馬の選択肢はダート2000mのみちのく大賞典(6月17日)を目指すダート路線か、芝路線かの2つがあったが、ひとまず芝路線を歩むことに決定した。
中央時代9勝の中味はダート6勝、芝で3勝。元々が芝ダートを問わないオールラウンドプレイヤーで鳴らしていたが、芝3勝がすべてオープン芝1600mでマークしたもので、昨年1月、G?・京都金杯でも2着とマイル芝の実績は非常に高い。今回の芝1700mはもちろん守備範囲内だろうし、1周1400mの小回りなら2400mでもおそらく問題ないと見て間違いない。
また気になるのは体調面だが、シアンモア記念快勝後の順調そのものだし、9歳馬とはとても思えない馬体の張りを誇っており、初の盛岡芝コースも難なくこなしてくれるだろう。
当初、昨年の最優秀ターフホース・ジェーピーバトルの登録があり、対抗一番手に位置していたが、脚元が若干モヤモヤしていたため自重した。これが残念だったが、盛岡の芝は鬼的存在。ここで無理をすれば今後にも影響大だけに、一日も早い回復を待ちたいところだ。
ジェーピーバトルの回避によって相手捜しがちょっと難しくなったが、過去実績からタイキリオンが有力か。3歳4月、中京500万下・はなのき賞1着後、G?・ニュージーランドトロフィーに挑戦。メンバーが大幅強化で15頭立て11番人気と低評価だったが、それを覆して1着。デビュー4戦目に重賞タイトルを手にした。
その後は頭打ちのレースを繰り返し、4歳冬から障害へ転向。2勝をマークして今年3月に岩手へトレードされ、初戦は9ヵ月半ぶりの実戦のため2・7秒差7着に沈んだが、その一戦を叩かれて気配アップ。2戦目に早くも白星をあげた。
前走・シアンモア記念は好位3番手につけたものの、直線失速9着に敗れたが、これは重いダートに泣いたもので度外視。脚抜きのいい芝に替わって能力全開といきたい。
昨年度の年度代表馬オウシュウクラウンは前走・あすなろ賞でようやく復活の兆しが窺えた。川崎記念の返し馬で暴走し、悪夢の18秒差しんがり負け。それが尾を引いて帰郷初戦・栗駒賞は10番手追走から7着。続くシアンモア記念でも出遅れを喫し、後方のまま12頭立て11着。オウシュウクラウンの持ち味は軽快な先行力と粘りだったが、完全に影を潜めて追走するので一杯だった。
しかし、あすなろ賞では好スタートを決め、果敢に先行。直線は脚色が鈍って5着だったが、本来の先行力が蘇ったのが最大の収穫だった。
盛岡芝は昨年5月28日、はまなす賞以来、丸1年ぶりだが、その時は余裕の直線抜け出しを決めて快勝。適性面は全く不安ないし、気分を一新する意味でもコース替わりはプラスに作用すると見ている。オウシュウクラウンの強さは誰もが認めるところ。ここで復活の雄叫びをあげてほしいと願っている。
以下は中央芝1200〜1400mで6勝マークのナイキアヘッド、ピークは過ぎた感があるが、盛岡の芝は鬼的存在のサイレントグリーン、マツリダアーティスを押さえたい。
◎ ?ニューベリー
○ ?タイキリオン
▲ ?オウシュウクラウン
△ ?ナイキアヘッド
△ ?サイレントグリーン
△ ?マツリダアーティス
3連単は5を1着固定に、4、2折り返し。3着押さえで8、7、1
馬複は4−5、2−5、5−8、5−7、1−5
<お奨めの1頭>
6レース ブライティアメセナ
1年1ヶ月の長期休養後、岩手で復帰して2連勝中。左回りは初めてだが、他とは能力が違いすぎる
いよいよ今年度初の盛岡競馬開幕ですね。
思えば昨年11月の盛岡最終日、「まさか、オーロはこれが最後なんてことになったりしないよな…」などと思いながら後にした競馬場でしたが、なんと3月には危うくそれが現実と化しそうになり、直後の9回裏逆転によって再び今週末からオーローパークでの競馬を見ることが出来るというわけです。そう考えるとこの地で競馬が行われるという事にとても有り難みを感じると共に、まだまだ油断ならない現状を忘れず、気を抜かないでいかなければと思います。
水沢と盛岡。性格が異なるレースコースが2つあるというのは岩手競馬の大きな“売り”になのではないでしょうか。左回りが駄目な馬が右回りで激走とか、水沢で届かなかった馬が盛岡で差し切るなんてことは1場開催の他地区では見られるはずもなく、見る側にとって面白いのはもちろん、馬の個性を生かせる・試せるという意味で関係者や馬自身にとっても大変有意義です。もちろん芝コースの存在も大きいですね。経費節減の観点からは1場に統合という考え方が出てくるのも当然なのですが、大きなセールスポイントを簡単に捨て去るようなことだけはしないで欲しいと思います。
さて、初日の6月2日には開幕イベントとしていろいろな企画が用意されているようですね。(公式ホームページをご覧下さい)
騎手によるお出迎えは一昨年にも行われましたが、馬像の前に全騎手が整列した様はなかなか壮観でしたし、その後には騎手が触れ合う機会もあってお目当てのジョッキーとお話ししたり記念写真を撮ったりとファンにも好評でした。
それから昨年度グレードレースの際に販売された限定スイーツが再び登場するようです。下の写真は昨年のテシオ9,10月号のトピックスにも掲載しましたが、白黒ページでなんだかよく分からなかったで今回はカラーでどうぞ ^^)
このスイーツ、本格フレンチのシェフが作っていて、お値段もそれなりに張るのですがその価値アリの逸品です。
では、本場においでの方もモニターの前でご覧になる方も、オーローパーク盛岡競馬をお楽しみに!
(文/写真・佐藤 到)
<次走へのメモ>
5月26日 第12回七時雨賞(3歳オープン 水沢1800m)
(写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
前走(ニュージーランドトロフィー)時に比較してプラス17キロの472キロで出走。この数字だけで見れば明らかに太目の印象を受けるが、実際はデビュー時、487キロ(水沢850m 1着)で出走し、4戦目の重賞・ジュニアグランプリも472キロで快勝していたように、今回は長距離輸送もない地元水沢での競馬。それゆえ元に戻ったと言うか、太め感はほとんどなし。パドックで少しチャカチャカしたところを見せたが、全体的には落ち着いて好印象を受けた。
レースは中央挑戦の時と同様、後方待機策を取ってジックリ待機。3コーナー過ぎからスパートをかけ、直線半ばで先頭。そこで一瞬、とぼけた感じもあったが、内を突いて伸びてきたハルサンヒコとはやはり役者の違い。仮にゴールが50m先にあっても交わされることはなかっただろう。
冒頭にも記したが、今季始動はJRA中山・ニュージーランドTから。その後はJRAに適鞍がなかったため、次走へのステップとしてこの七時雨賞を選んだ。
ダートは昨年8月、りんどう賞(水沢1400m)3着以来、久々でパワーのいるダートが懸念材料ではあったが、いつも調教で走っているコース。また砂を被ってもさほど影響なく、着差はクビだったが、それ以上に余裕が感じられた。さすがハイレベルのメンバーで戦ってきた実績はダテではなかった。
「久々の地元戦で気合いが入ったのか、折り合いに苦労する場面もあったし、ダートも久々で半信半疑だったが、ここでは力が違っていたということでしょうね」と菅原勲騎手。
次走予定は盛岡芝1700mを舞台に行われる特別「第8回ガーベラ賞」。その一戦を叩いて、選ばれればラジオNIKKEI賞へ向かいたいと鈴木七郎調教師。
2着 ハルサンヒコ
終始5、6番手インでじっと我慢し、直線も外に出せるところがなく、最内コースを選ぶ。ゴール前で2番手争いから抜け出してボスアミーゴに肉薄しそうになったが、最後は脚色がいっしょになって2着となった。
この馬の良さはどんな流れ、展開にも対応ができ追い出すと確実に伸びる末脚。欲を言えば最後の爆発力がほしく、それで勝ちを逃がしているが、メンバー構わず4戦連続で2着は立派。
3着 ネバーオブライト
無理をせずに4番手外を追走し、3コーナーから仕掛けたが、例によってコーナーコーナーでもたつく。そのロスがなんとも痛いが、直線ではジワジワ盛り返して3着に入った。550キロの大型馬で決して器用なタイプではなく、それならば盛岡の広いコースの方が合うかもしれない。
5月27日 第21回ひまわり賞(3歳牝馬 地方競馬全国交流 水沢1900m)
(写真・佐藤到)
1着 マツリダワルツ
もっさりスタートで後方2番手からの競馬だったが、馬群が固まり始めた3コーナー手前からロングスパート。前回・あやめ賞もそうだったが、行き脚がついてからの伸び脚が実にシャープ。逃げたオーナーズスキャンを捕らえるのにもたつくパラダイスフラワーを尻目に、大外一気に交わして快勝。ほぼ最後方から追い込んで2着に1馬身半差をつけるのだから、これは圧勝と言える内容。あやめ賞を勝ってもパラダイスフラワーとの力比較では劣ると見られていたが、それをアッサリ覆す。完全に本格化を迎えたと言って間違いないだろう。
「最初、スタートが悪くてちょっとヒヤッとしましたが、うまく進路が取れて大きなロスが無くて済みました。馬の方は前走と同じくらい落ち着いていたし、反応も良かったので、3コーナーくらいでイケるなと思いました。
あやめ賞もそうでしたが、距離が長いとレースが楽。それに必ず終いの脚を使ってくれる馬で、それを信用しているからこちらも安心して乗れます」と南郷騎手。
次回から舞台は盛岡競馬場に替わる。マツリダワルツは芝2戦1勝2着1回と全く問題なし。一方、ダートは若駒賞5着、プリンセスカップ6着と苦手の印象はあるが、当時はまだ出世するはるか前。今の充実度を持ってすればダートでも見事な末脚を披露してくれるだろう。
2着 パラダイスフラワー
1周目スタンド前はマツノメガミ、オーナーズスキャンの3番手外。1コーナー過ぎから2番手をキープし、3コーナーでスパート。やはり前回同様、前を捉えるのに苦労し、オーナーズスキャンをようやく捕らえたと思ったのもつかの間、外強襲マツリダワルツに一瞬で交わされる。
今回からレースに集中させるべくチークピーシーズを着用したが、それ以前に前走比(あやめ賞)と比較してプラス7キロの498キロ。3月のレースでも同じ馬体重でマツリダワルツに敗れていたが、これは太めの印象。その影響もあって道中、もたついた可能性もあり、完敗とは言い切れない。
昨年は追い出してからシャープな反応を見せていたが、一日も早くその気の良さを取り戻してほしいところ。
3着 オーナーズスキャン
笠松転籍、そして再転入後とずっと精彩を欠いていたが、今回は積極策に出て直線でも渋太く粘る。2歳時、重賞・白菊賞でも逃げて勝ったように、それが持ち味を最大に出せる戦法だと思う。マツノメガミを1周目1コーナーで交わして先頭に立った積極策が好結果につながった。
4開催連続で続いた水沢競馬も今日でひとまず区切り。来週からはOROパーク盛岡競馬場が舞台となります。
普段は盛岡から水沢まで通っている身としては、移動時間が大幅に短縮されるOROは大歓迎。ですが水沢にちょっと心残りもあります。
というのは、水沢競馬場の食堂に「冷やしたぬきそば(うどん)」というのがありまして、これがボリュームがありつつさっぱりしていて夏のお気に入りメニューなのです。
今日(土曜日)、来週から盛岡だし、気温も高くなったしでそろそろどうかな、とお店をのぞいてみたのですが、残念ながら「まだ始めてないのよ」とのお返事。結局、待望の冷やしたぬきに会えるのは次回の水沢開催、7月下旬からという事になりそうです。
盛岡競馬場はあっさり・さっぱり系のメニューがあまりないんですよねえ。競馬場を降りてから冷麺とかかな?そんなこんなで早くも次の水沢開催が待ち遠しくなってしまいました。
◇お奨めこの一頭
8R:モエレターボ
いずれは重賞で活躍できる器。その時が来るまで追いかけ続けるのみ!
27日(日)メインは3歳牝馬による岩手版オークス「第21回ひまわり賞」(地方競馬全国交流 水沢1900m)、12頭立て。昨シーズンまで同レースは8月に実施されていたが、全国のオークスと歩調を合わせて5月に前倒しした。
その影響なのかは分からないが、他地区からの遠征馬は1頭もなく、地元同士の戦い。今季3歳牝馬路線の「菜の花賞」、重賞「留守杯日高賞」、「あやめ賞」の延長ムードが強く漂っている。
とすれば、直近のトライアル・あやめ賞が最も重要な参考レースとなるだろう。そのあやめ賞だが、1枠に入ったパラダイスフラワーが逃げると誰もが疑わなかったが、その出鼻を叩いてマツノメガミが果敢に先手を取り、パラダイスフラワーがスッと2番手に控えた。
勝負どころの3コーナー、パラダイスフラワーがマツノメガミを捕らえにかかったが、反応がひと息でモタモタしている。やっと交わしたのは直線半ばだったが、それもつかの間、大外からマツリダワルツが鋭く伸びて頭差でパラダイスフラワーを完封。マツリダワルツは嬉しい初特別を手にした。
昨年までのパラダイスフラワーは鞍上の指示にすばやく反応し、ダートでは圧倒的な強さを誇っていたが、今季はズブい面が出始めて菜の花賞、日高賞と連勝したものの、持ち味の破壊力が影を潜めていた。
(パラダイスフラワー 写真・佐藤到)
そして前回・あやめ賞でよもやの敗戦2着。この内容に不満が残った陣営は、レースに集中させるべく今回からチークピーシーズを着用することに決めた。果たして効果があるか、神のみぞ知るだがそれが吉と出るよう、期待したいところだ。
マツリダワルツの今季充実度には目を見張るものがある。2月にJRA500万下(東京芝1600m)に挑戦して13着。実績、力関係を考えれば当然の結果だったが、これがマツリダワルツ自身には貴重な経験となった。
帰郷後、3月27日の特別開催3歳A1戦に出走したマツリダワルツは、東京遠征の反動もあって389キロまで馬体重が減っていた。デビュー戦が419キロだったが、一戦ごとに体重を減らし、JRA遠征では396キロ。これは長距離輸送の影響だと思うが、初めて400キロ台を割った。それからさらに7キロ減少し、馬体もアバラが浮いて必ずしもいい状態とは言い難かった。
ところが、実戦を使われた強味があったにせよ、ほぼ最後方から並ぶ間もなく直線ごぼう抜きを決め、パラダイスフラワーまでも破る大金星をあげた。
続く菜の花賞はパラダイスフラワーの逆襲に遭い、シュクジャンヌにも先着を許して3着。この着順だけを見れば前回1着はフロックと判断されそうだが、それは否だ。
パラダイスフラワーが楽に先手を取って即、スローに落としたが、その流れを見てマツリダワルツはいつもより前につけ3コーナーでスパート。
4コーナーではパラダイスフラワーに馬体を併せ、交わす勢いもあったが、早めに仕掛けた分だけ最後の伸びが甘くなったもの。内容的には負けて尚強しだった。
それを証明するように日高賞ではパラダイスフラワーの2着を確保し、そして前走・あやめ賞ではパラダイスフラワーがもたついているのを尻目に、大外一気を決めて快勝。馬体重も400キロまで戻し、パワーアップは誰の目にも歴然だった。
(あやめ賞ゴール 1着マツリダワルツ 写真・佐藤到)
とは言っても追い込み一手の脚質。パラダイスフラワーは自分で競馬を作れるのに対し、展開に注文がつく分だけ対抗に落ち着くのは仕方なしだろう。
シュクジャンヌはあやめ賞をスキップした。理由は簡単。2週ごとに牝馬の重賞・特別が組まれているが、それを使っていくと無理が必ず来ると陣営が判断したからだ。
3月に待望の初勝利を飾るや、菜の花賞で2着。前回・日高賞は4着だったが、直線で前がふさがる不利があったもので基準外。その後も順調に攻め馬を消化し、満を持してこのひまわり賞へ臨んできた。
サクラアリエルは、そのシュクジャンヌとほぼ同じ実力と見ていい。日高賞はスローペースに反発し向正面から早めスパートしたが、直線で最後苦しくなって3着。前走・あやめ賞は水沢1800mの大外に入ったのが痛く、それでゴール前の詰めが甘くなって3着。もう一つ吹っ切れないレースが続いているが、今回は枠順の有利不利がないし、1900mへ距離延長は大歓迎のはず。まとめての局面まであり得る。
他では前回・あやめ賞で逃げて見せ場を作ったマツノメガミも若干怖いが、ここは前記4頭に絞って決め打ちしたい。
◎ ?パラダイスフラワー
○ ?マツリダワルツ
▲ ?シュクジャンヌ
△ ?サクラアリエル
3連単は4頭ボックスと行きたいが、それでは点数が多いので本命党は6、8の1、2着折り返しから7、4。穴党は4、7の1、2着折り返しがおもしろい
馬複は6−8、6−7、7−8、4−6、4−8
<お奨めの1頭>
7レース ナイキビッグ
今季はC3級スタートで相手に恵まれ、格上の実力マザマザ。ここも期待に応える