先週の開催では、騎手の「節目の勝利」が2つありました。
まず土曜日28日の3レースで、エムアイロイヤル号に乗る阿部英俊騎手が地方競馬通算800勝を達成。1番人気に応える完勝劇で、前開催日の23日にリーチをかけてから4鞍目であっさりと記録に到達しました。
そして翌29日の2レースでは、齋藤雄一騎手が自身1764回目の騎乗で通算100勝に挑みました。齋藤騎手は前週23日にも今回と同じケイアイポラリス号を駆り1番人気で挑みましたが、ゴール直前に交わされ悔しい2着。しかしこの日は後続を見事に抑えて勝利し、大台を達成しました。
話は変わりますが、ケイアイポラリスのポラリスとは、北の空に輝く北極星のことですね。ひと昔前に大流行した超人気韓流ドラマで、「迷ったときはポラリスをさがせばいい。いつも北の空に輝いているから」(うろ覚え^^;)という台詞が有名になりました。北極星は、地球の自転によって回転しているように見える空の、北側の回転軸近くにあるために北半球では沈むことなく夜空にいつでも光っているというワケです。
ところが北の大国ロシアでは、国民の3割がいまだに天動説を信じているという調査結果が最近のニュースで明らかになりました。(!) 果たしてこれは本当に現代科学の常識が行き渡ってないのか、それとも、民族的、あるいは宗教的なこだわりによる何か、例えば「科学的には認められないけど、それでも天狗はいると信じる」のようなものなのか、詳細を伝えて欲しいところです。
今日はもうひとつおめでたいニュースを。4月26日、東京は馬事公苑で行われた総合馬術のトライアル競技で、水沢農業高校3年の佐藤改選手とドリームストーン号のコンビが全国優勝を成し遂げました。このコンビの優勝は昨年度シーズン3月に続く2連勝だそうで、全国にその実力を見せつけたようです。
トライアルというと長距離コースにたくさんの障害が設定され(今回の競技では全長3000m・17障害)、完走するだけでもたいへんな競技と聞いています(落馬や故障だけではなく、規定回数、馬が乗り手の指示に従わないとその場で失格になる)。馬事公苑は私も見学したことがありますが、急な坂や段差を登ったり飛び降りたり、また1mぐらいの障害を飛び越えた先が低くなっていて絶壁のようだったりと、普通に立って見ているだけでも「ここ、本当に馬で跳ぶの?」と言ってしまうようなコースでした。あれは本当にスゴイです。
佐藤君と水農乗馬部のみなさん、おめでとうございました。
(文/写真・佐藤 到)
ゴールデンウィークも後半に突入したが、それに合わせて岩手競馬も5月3日(木)から6日(日)までの4日間連続開催。6日には古馬・春の総決算「第33回シアンモア記念」(水沢1600m)も組まれ、大きな山場を迎える。
そして3日メインはB3級馬による1600m戦「第9回大屋梅賞」、12頭立てだが、実力伯仲のメンバーがそろい、馬券的にも非常におもしろい一戦となりそうだ。
主軸にベリーメリーホークを指名する。中央9戦0勝3着1回の成績で昨年11月に岩手転入。
当初はC2級へ編入し、メンバーも手頃だったこともあり、5戦2勝2着1回3着1回で冬期休養。その間に格付けが再編成され、今季はB3スタート。やはりメンバーが骨っぽくなり、2戦連続で3着に止まっていた。
しかし、休み明け3戦目の前回(4月23日 B3級)、味なレースを披露して見事快勝した。レースを振り返ってみたい。水沢1800m戦は内枠が有利だが、絶好の1枠を引き当ててマイペースの逃げの手に出た。
ところが1コーナーでグラスハンターが強引にハナに立ち大逃げを打ったが、無理をせずスッと2番手に控える。そして勝負どころの3コーナーで後続がスパートをかけると、ジワジワ前に進出して4角先頭。
あとは道中で余力を残した貯金を生かして2着に4馬身差、まさに非の打ち所のない内容で通算3勝目をマークした。
今回は距離がマイルへ短縮だが、これはむしろ歓迎のクチだし、どんな流れにも対応できるのが最大の持ち味。時に詰めに甘さを見せるのがネックだが、そこはジョッキーの腕に託したい。
カズノマックイーンの充実ぶりは一際目を引く。
昨年、3歳芝重賞・オパールカップで2着に入るなど、芝適性は世代でも上位に位置していたが、パワーのいるダートでは3着が最高。もたつきが目についたが、冬期休養明けのC1戦をアッサリ勝や、前回も鮮やかな逃げ切りを決めて快勝。これまでダート未勝利が信じられないほどの反応の良さを見せている。
ここを突破できればさらに上を望めるかもしれない。
サイレンスラダメスは中央5戦未勝利に終わったが、中山2歳新馬戦(ダート1200m)で2番人気(6着)に支持されたほど期待を集めていた逸材。また未勝利戦ながら4戦目には2着にも入り、岩手転入後2戦とも1番人気だったが、連続8着と凡走。
正直、期待はずれの感じだったが、前回は好位追走から豪快に直線抜け出して2着に0・7秒差。それまでのうっ憤をまとめて晴らした。今回は好調メンバーがずらり、楽はできそうにないが、弾みがついた今なら好勝負に持ち込めるのではないか。
サーストンラウンドは前回8着。道中は中団をキープし、3コーナーでスパート。直線入り口では一旦2番手まで進出したが、伸び案外に終わった。
この敗因を考えてみたが、まず前々走から距離が2ハロン延長されたこと。あとは浦和遠征の疲れが帰郷2戦目に出たのでは…と。それならばここで巻き返しに転じて何ら不思議はないはずだ。
以下も迷うところだが、目下3連勝中のマルワグランディはC2からB3へジャンプアップ。常識的にはメンバー強化と見るのが妥当だが、苦手だったダートをこなし、本格化と解釈して差し支えない。さらには抜群の安定感を誇るサイレントイン、前走で直線一気を決めたエムティグレースなど伏兵も散在し、好配当をゲットするのに格好な一戦となった。
◎ ?ベリーメリーホーク
○ ?カズノマックイーン
▲ ?サイレンスラダメス
△ ?サーストンラウンド
△ ?マルワグランディ
△ ?サイレントイン
3連単は8を1着固定に3、10の折り返しを厚め。あとは1、7、6を絡めたいが、8を2着固定もあり得る
馬複は3−8、8−10、1−8、7−8、6−7
<お奨めの1頭>
7レース ノーブルウィング
転入後、圧巻の4連勝中。そのすべてをワンサイドで決め、二階級特進もまったく問題なし
4月29日 重賞・第7回留守杯日高賞(3歳牝馬・水沢1600m 地方競馬全国交流)
1着 パラダイスフラワー
(写真・佐藤到)
前回・菜の花賞と同様、1枠に入って予想どおり逃げの手に。しかし「できれば追いかける競馬にしたかった」(小林騎手)そうで他に行く馬がいたら行かせようとしたが、無理にハナに立つ馬がいなかった。
1周目スタンド前で13秒台に落とし、続いて14秒1とガクンとペースダウン。2コーナーで、いや逃げた時点で勝利を確定させ、あとはどのようなレースで勝つかに焦点が絞られた。
4コーナー手前でサクラアリエルが馬体を併せそうなシーンも一瞬あったが、手応えが他馬とは全然違い、直線を向いて余裕で後続を突き放す。ただ「菜の花賞」回顧でも記したが、追ってからの反応に今回も若干不満が残った。このあたりを小林騎手に話を聞いてみたところ「前回より反応は良くなったが、昨年みたいに気一杯で走らずズブさが出てきた。それで追いかける競馬をしたかった。今ならマイルより長い距離の方が合うかもしれない」とコメント。
つまりパラダイスフラワーはまだ本気で走っていないことを意味するが、逆の見方をすれば今後、上昇の余地は十分と見るのが妥当だろう。
次走には5月に開催される牝馬重賞・ひまわり賞(昨年まで8月頃に実施)トライアル・あやめ賞(5月12日 水沢1800m)を予定している。
2着 マツリダワルツ
菜の花賞は後方4番手から早めにまくって3着。今回は後方2番手につける。これは南郷騎手の想定外だったようで「なぜか行く気がなくて、ちょっとやばいかなと思った」が、向正面からようやくエンジンがかかり、あとはシャープな末脚を駆使し、大外から2着に突っ込んできた。
3月の特別開催でパラダイスフラワーに土をつける金星をあげたが、それがフロックでないことを今回証明。400キロを割る小柄な牝馬でもう少しフックラして欲しいところだが、それにしても切れる脚は見事だった。
3着 サクラアリエル
今回、一番見せ場を作ったのがこのサクラアリエルだった。スローの流れに反発し、早めにスパートをかけてパラダイスフラワーを負かしに行き、直線で苦しがって内にササる場面もあったが、地力アップを証明した。
4着 シュクジャンヌ
前走・菜の花賞と同じく3、4番手のインでジックリ待機して直線抜け出しを図ったが、サクラアリエルに寄せられる不利もあって4着。これが不運だったが、2着以降はまさに団子状態。この結果だけで判断するのは早計だろう。