28日、大井競馬場で行われたG?「第29回帝王賞」を取材した。昨年、東京大賞典以来、久々に3万人を超えたファンがスタンドを埋め尽くし、アジュディミツオー、カネヒキリのマッチレースに大歓声が巻き起こった。
まさに歴史に残る名勝負となった。国内ダート最強馬のメンツを賭けた戦いに、私も酔いしれた。逃げ込みを図るアジュディミツオー、それに襲いかかろうとするカネヒキリ。その瞬間、ファンと馬と騎手が一体となった。これぞ競馬の醍醐味、現場にいたことを幸せに思った。
ホームとアウェー。確かにそれも大きかった。それまでアジュディミツオーはカネヒキリに3戦全敗だったが、舞台はJRA東京競馬場。今回はアジュディミツオーには自分の庭とも言える大井競馬場だが、ダート2000mを2分2秒1で駆け抜けるなんて驚異的だ。
一方のカネヒキリはアウェーの立場だったし、ドバイ帰り初戦で遠征疲れも懸念された。パドックでそのカネヒキリをずっと注視していたが、体の輪郭がちょっとぼやけていたように思う(もちろん主観で、だが)。それでも目の輝きは失っていなかった。私は前々からカネヒキリの瞳に惚れているのだが、実にいい目をしていた。
カネヒキリは追撃むなしく2着に敗れた。しかし決して完調とは言えなくてもアドマイヤドンの従来レコードを上回る2分2秒3をマークしてしまうのだから、さすがだ。本当にいいレースだった。
さて本題。7月1日メインはA2級特別「第7回ねむの木賞」、水沢ダート1600m。1着馬には同条件で行われるオープン特別・すずらん賞への優先出走権が与えられる。
主軸にミサキノハンターを指名する。再転入初戦・水沢マイル戦を2着にまとめたが、続く盛岡2戦はいずれも4着。これは左回り、一方は芝が合わなかったとの見方もできるが、どうやらそれだけではないようだ。
水沢に戻った前走は行きたいだけ行かせ、後続を離して逃げた。直線に入っても脚色は衰えず、2着ブルーオスカーに4馬身差をつける圧勝劇を演じたが、これがベストの戦法だったようだ。と言うのは脚をためる競馬はあまり向かず、多少ペースが速くなってもセーフティリードを保ち、そのまま押し切るのがこの馬の勝ちパターン。前回は1800m戦で絶好の1枠、今回は5枠だが、強力な逃げ馬が不在で再現の可能性は非常に高い。
逆転筆頭格はマルショウロイヤルだ。昨シーズンは8勝マークと荒稼ぎしたが、今季はA1級スタートもあってなかなか勝ち切れなかったが、前走は降格したこともあって2着(A1、2混合でマルショウロイヤルは負担重量55キロ)。また調子のほうも上向いてきたし、水沢マイル<4.4.4.8>の安定した成績も心強い。
この2頭に割って入ろうとするのがサンシャインヘイロ。4月16日のA2戦で1着に入り、3連単173万540円の岩手3連単最高配当記録を叩き出した張本人だが、その後は一戦置きの好、凡走。それに当てはめると今回は凡走の順番だが、元々が常識にかからないタイプ。それだけに軽視すると痛い目にあう。
以下は前回、逃げて0・1秒差の僅差4着に敗れたドラグーン、再転入5戦目で白星をマークしたパワーポリティクスの序列。
3連単は5、1の1、2着折り返しに9、8、6へ3着流し
馬複は1−5、5−9、5−8、5−6
<お奨めの1頭>
1レース コネコノオヒゲ
子猫のお髭? 転入初戦を3着にまとめ、今回はメンバー的にもチャンス。負けたら大事なお髭、切っちゃうぞ
既に色々なところで報道されていますし、近日発売になるテシオ最新号でもカラーの特集ページが組まれていますが、やっぱり私も取り上げたいので…。
先週24日、元宇都宮競馬所属の3000勝ジョッキー、内田利雄騎手の岩手騎乗が今年も始まりました。思えば昨年のちょうど同じ時期、地方競馬初のフリージョッキーを目指し活動を始めた内田騎手が、その第一歩を踏み出したのがここ岩手での短期所属という形。それは交渉や手続き上の問題など様々あった結果なのでしょうが、初めに岩手に来てくれて、また岩手が最初に受け入れたということを、岩手のファンも関係者も非常に喜ばしく思ったものです。
さて7レースのパドックに姿を現した内田騎手。かの有名な『100万ドルの流し目』は健在でした。「おーい、今年も頼むぞー」の声が飛び暖かい雰囲気で迎えたパドックのファンらに向かって、にこやかな目線でぐるりと一回り。カメラが向けられた場所には特に重点的に視線を注ぎます。これはファンばかりでなく、私たちプロカメラマンにも向けてくれるんですね。それも日本一と言われるファンサービス精神の一環。内田さん曰く、「あんまりたくさんカメラがあると、どこを見ていいか分からなくて困っちゃうんですよ」なのだそうですが、カメラマンにとって非常に有り難い方であります。
これもご存知の方はご存知だと思いますが、内田騎手愛用のヘルメット(枠色のカバーを被せる下の、メット本体の部分)には、「ミスターピンク」のイラストが描かれています。これは内田騎手のファンで、イラストレーターをなさっている方が描いてくれたそうですが、今年はこれがひとつ増えていました。本年バージョンは派手な虹色の部分がカバーの下からちらっと見えているので、パドックで「おや、あれは何?」と思った方もいるのではないでしょうか。
内田利雄騎手は先週の3日間だけで既に3勝もあげてしまいました。炸裂するベテランの技に、岩手の騎手らも意地を見せようと発奮しているのがそのレースぶりから窺えます。どんなスポーツでもそうですが、外からの刺激があると試合が面白くなり、またプレイヤーもひとつ成長するきっかけになるのではないでしょうか。内田騎手はこうして全国の競馬場を巡りながら、地方競馬全体の充実に貢献しているということになりますね。まだ所属の叶っていない北海道や九州などの地区でも、早く騎乗できれば良いと思います。
ただ個人的には、毎年1度か2度は岩手に来て欲しいというのが本音ですが。
(文・写真/佐藤到)
先週24日から岩手で騎乗開始した内田利雄騎手が、初日から派手なパフォーマンスを披露してくれた。騎乗一鞍目となった第7レース、マイネパトリシアで鮮やかな逃げ切りを決めるや、最終11レースでも8番人気の低評価を覆し、ビクトリームワンでこれまた逃げ切り圧勝。この馬は過去、ダート戦で2着すら入ったことがなかったが、それが信じられないような強いレースを見せてくれた。また翌日25日にも1勝をマークし、早々と3勝を稼ぎ“ピンクの魔術師”ぶりを如何なく発揮した。今後の活躍にも注目していきたい。
<次走へのメモ>
6月24日 第32回あやめ賞
1着 サイレントエクセル
ムーンプライドが大逃げを打ち、3番手を追走するゴールデンパンジーの直後につける。これは相手がゴールデンパンジー、1頭だけと踏んだ戦法でいつでも交わせる構えだった。その読みどおり、3コーナー過ぎから2頭のマッチレース模様となったが、直線では能力の違いマザマザ。後続をどんどん突き放し、2着に9馬身差の大差をつけて圧勝した。「以前に比べてスタートが良くなり、レースがしやすくなった。直線、追ってから反応が素晴らしい馬なので、安心して乗れる」(板垣騎手)。いずれ牝馬同士では力が違いすぎる。
2着 ゴールデンパンジー
3番手キープも3コーナー過ぎ先頭のイメージどおりだったが、終始サイレントエクセルにマークされる苦しい展開。マイナス15キロと大幅に体重を減らしたが、2走前には466キロで走っていたので470キロは許容範囲か。パドックでもそんなに細くは映らなかった。今回で言えば相手が強すぎたもので、ひとまず2着確保なら上出来だろう。
3着 ピグレット
道中は4番手インの経済コースを回り、渋太く3着。春先は菜の花賞10着、やまびこ賞9着と大敗したが、一戦ごとに地力アップ。アジュディケーティング×パークリージエントとダートの申し子的な血統。もっとキャリアを積んでいけば、さらに好勝負に持ち込めるに違いない。
6月25日 第32回サマーカップ
1着 オウシュウクラウン
ダンディキング、ジャパンアケボノがハイペースを形成し、スタンド前では4番手インに入れる。3コーナーでは内ダンディキング、中テンショウボス、外オウシュウクラウンが併せ馬のような形となり、4コーナーでその2頭を突き放す。それで勝負は決着し、直線余裕たっぷりでゴールに入った。初の1900mも何ら問題にせず、岩手の同世代では抜けた存在で、腰に疲れさえ出なければほぼ敵なしだろう。
2着 ブラックショコラ
今回からブリンカーを着用。「もっさりスタートだったので最後方で待機し、それで折り合いがついた」(村松騎手)。向正面なかほどからロングスパートをかけ、前にいた馬をごぼう抜き。ゴール前でテンショウボスをキッチリ交わして2着を確保した。元々、切れる脚が武器だが、この戦法ならブラックホーク産駒でも1900mは持つ。
3着 テンショウボス
オウシュウクラウンより前の競馬は意外だったが、「調子があまり良くない」(阿部騎手)と判断しての積極策か。向正面で手が動き、手ごたえはひと息だったため、最後で脚が上がってしまった。それでもブラックショコラから半馬身差ならよく持ち堪えたと言っていい。
4着 ダンディキング
前半2ハロンで結構、脚を使ったため直線で失速。これが逃げ馬の宿命だけに離された4着も仕方なし。水沢条件でマイペースならば巻き返す可能性はある。
さあ皆さん、宝塚記念の結果はいかがでしたか?
私は・・・って、あ〜、G1のネタは外してしまうのでやめようやめようと思うんですが、どうしても書いてしまう・・・。まあしかし、G1ですからね。気になるんですよね。
今回私は、ディープインパクトに逆らわない事にしました。今まではさんざん逆らって、2・3着のワイド狙いばかりしていたんですが、今度ばかりは黙ってディープから馬券を買いました。穴狙いに行きたいけど、今回はお手上げ。処置なし。せめて相手は穴っぽいところをと、距離が微妙なのを承知でダイワメジャーにしました。
あ、念のため申しておきますと、このコーナーの原稿を書いているのは土曜日の夜。ですので、私はまだ“明日のレース”をあれこれと考えているところです。これを読んでいる皆さんにはもう結果が分かっているでしょうから、これを読みつつ「何でダイワメジャーなんだよ、けっ!」とか、「また外れてるよ。けっ!」とか思っていらっしゃるやもしれません。が、そこは広い心でご覧になって頂ければ、と。
いや、自分でも弱気だなと思うんですけど、今回はねえ。消去法で考えてしまう時って、案外、予想外のことが起こりやすいと思うのですが・・・。
前日の3歳牝馬特別・あやめ賞に続いて25日のメインは3歳馬による1900m戦「第32回サマーカップ」。このレースは8月6日、3歳重賞「第38回不来方(こずかた)賞」から9月18日、G?「第21回ダービーグランプリ」へと続く、いわば岩手のクラシックロード。これまで戦いの場は1600m以下だったが、今回はいきなり水沢1900mが舞台。出走全馬は未知の距離を経験することになる。
水沢1900mのスターティングゲートは向正面の中ほどで、枠順の有利不利はあまりない。まぁ今回の場合、たとえそれがあったとしてもオウシュウクラウンの首位は動かし難い。里帰り3戦目となった前走・岩手ダービー ダイヤモンドカップでは圧倒的な1番人気に支持され、2番手追走から4角先頭に立ち、あとは後続を突き放す横綱相撲を披露。道中、掛かりっぱなしだったが、それを何ら問題にしなかった。
ネックとなるのは、やはり初の1900mの距離だが、父がジェイドロバリーで近親にフランスダービー馬オールドヴィックがおり、血統的には2000mでも不安はない。前走、カリカリしたところをパドック、返し馬でも出していたが、今回は水沢輸送にも慣れると思いたい。それでもパドックの気配には一応、注意を払いたい。
(写真はダイヤモンドカップ、ゴール。優勝オウシュウクラウン)
対抗筆頭格はテンショウボスだろう。オウシュウクラウンと一緒に走ったダイヤモンドカップは牝馬サイレントエクセルに先着を許して3着。しかしこれは「勝ちに行った分、末が甘くなった」と阿部騎手がコメントしたように納得の結果。
テンショウボスは短い距離もソコソコこなすが、父がティンバーカントリーであれば1800〜2000mがベスト。それはアドマイヤドン、そしてムガムチュウの2頭のダートG?ホースでも裏付けているし、自身が500キロを優に越すパワータイプ。
付け加えるなら前走ダイヤモンドカップはやまびこ賞時からプラス11キロで出走。地元競馬を考えればプラス体重は当然だが、それでも若干、腹回りが太めに映っていた。体がキッチリ絞れればオウシュウクラウン逆転の目もあるかもしれない。
ダンディキングはダイヤモンドカップ6着で評価ダウン止むなしだが、スタートダッシュがひと息で外からダンストーンアレスに被せられたのが痛かった。それで戦意喪失したとも解釈でき、気性などを考えればやはり逃げがベストの戦法。幸い、今回は絶好の2番枠も引き当て、1900mならスローの流れになるのはまず間違いない。血統的に父がニホンピロウイナー産駒ダンディキング、母も快速馬ミスハクギン、母父がトライバルセンプー とスピード色が強いが、気分良く逃げれば距離もこなすはず。いずれ主導権を握るのは確実だ。
ブラックショコラはダイヤモンドカップを自重してここに臨んできた。デビュー以来、中央遠征の1戦を除いてはすべて3着以上にまとめ、芝ダート兼用の器用なタイプ。父がブラックホークならマイルまでが守備範囲だろうが、レース運びが実に巧み。ダンディキング、オウシュウクラウンの動き次第だろうが、ハイペースなら持ち味の瞬発力が生きる可能性もある。
以上4頭の戦いが濃厚だが、他ではメイセイオペラ産駒ウエストサンオペラを穴で押さえたいところか。
3連単は11を1着固定に7、2折り返し、押さえに10、4
馬複は7−11、2−11、10−11、4−11
<お奨めの1頭>
8レース アポインテッドラブ
岩手転入後<4.2.1.0>と安定度抜群。しかも今シーズンは3戦3勝と負け知らずだ