差しに迫力が出てきた佐藤貴也に注目!
前回のミッドナイトは、エンジン乗り換わり2節目の荒尾聡が圧勝で幕を閉じた。今回もS級選手が多く参加し、シリーズは盛り上がりそうな予感。今回も3日間の短期決戦だ。
S級の中で最も状態が良いのは佐藤貴也。前走の地元SG日本選手権で優勝戦まで進出した。優勝戦では5着に終わったが、準決までの4日間も1着2本、2着と3着がそれぞれ1本と充実した内容だった。タイム自体は、そこまでいい数字を出していないが、得意のイン走法に磨きがかかってきた。1回先頭に踊り出せば、なかなか後続には抜かせない走りができている。今回は追い込むレースがメインになるが、前団が混み合っていても、狭いインに突っ込んで行ける技量が身についている。エンジン、乗り手が最高潮の今、よほどの事がない限りは優勝戦まで進出してくるだろう。
地元のS級は桝崎陽介と久門徹。桝崎は前走のSGではシリーズ中に2勝を挙げた。最終日は試走タイムも出てきており、エンジンは高い位置で推移している。スタートを含めて攻めがあまり早くない傾向あるが、今回のようなハンデ戦ならジックリと追い上げて行くシーンが多く見られるだろう。久門は前走のSGでは1勝をマーク。レース後半は伸びが止まりやすいが、序盤の勢いは鋭いので、速攻が決まれば結果につながる。
伊勢崎からのS級は新井恵匠と西原智昭が参戦。どちらもSGでは優勝戦まで進めなかったが、新井は最終日に好タイムをマークして快勝しているし、西原もシリーズ中に1勝を挙げ、最終日は試走28を出すなど気配は悪くなかった。山陽からは人見剛志、丹村飛竜、岡松忠がS級として来場。3者ともSGでは力を出し切れなかったが、人見と丹村に関してはタイムが出ていたので、エンジン的には戦える状態にありそう。岡松も、今回のような一般開催なら十分通用するハズ。
A級では前回の飯塚で優勝した松尾隆広が好調。その後の山陽では準決6着で優出できなかったが、それ以外のレースでは全て1着。勢いは持続していると言える。松尾に敗れて準優勝だった辻大樹も、エンジン状態を保っており、今回も楽しみな選手。高林亮も前走の地元で優出しており、状態は良い。特に捲りが効きやすい冬場は成績が上向く傾向がある。
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主な出場予定選手
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桝崎 陽介〔飯塚 S-27(28期)〕
久門 徹〔飯塚 S-34(26期)〕
人見 剛志〔山陽 S-7(28期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-18(29期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-12(29期)〕
新井 恵匠〔伊勢崎 S-22(30期)〕
西原 智昭〔伊勢崎 S-24(28期)〕
岡松 忠〔山陽 S-41(17期)〕
やや低迷地元S級陣・勢いは木村武之!
S級とA級上位は前走が浜松のSG日本選手権。地元伊勢崎のS級は、誰も優勝戦まで進出できず、苦しいシリーズだった。今回出場する中で、選手権で優出したのは木村武之のみ。地元勢は総力でもって木村包囲網を形成できるか。
地元のS級は、層が薄い訳ではない。絶対王者・高橋貢を中心に底力の高い選手はほとんど今回出場する。その高橋貢は、SGの準決で3着になり優出を逃したが、シリーズを通してみればマズマズの成績でまとめていた。試走もほとんどのレースで30を切るなど、エンジン自体は決して悪くはない。今回は地元、更に一般開催なので優出はノルマと言える。地元勢を鼓舞しつつ、自身も優勝を狙い力走を連発させるハズ。
今期は伊勢崎2位の早川清太郎。SGでは準決までも進めず苦い大会になってしまった。スタートが良くなっているとは言え、やはりオープン戦での競走は厳しい結果になりがち。ただし、試走タイムは3台前半が出ていたように、エンジン自体はソコソコ。今回はハンデ戦で、いつもの追い込みを披露してくれそう。青山周平はSGの準決でまさかの7着。展開に揉まれる形で力を出せなかった。ただ、青山もシリーズ通して試走30前後の数字をマークしていたので、エンジン面はそれほど心配ないか。年末のスーパースターシリーズへ向けて、徐々にギアを上げていきたい。
内山高秀、三浦康平、吉原恭佑らもSGでは結果が出なかったが、エンジンは大崩れしている訳ではない。中の上程度で保てており、ちょっとした調整で完調の域まで達する可能性はある。逆に田村治郎、田中賢、岩田行雄の3車はエンジンがやや物足りない。今回の地元で立て直すべく、整備にとりかかりたい。
外来で最も注目なのは木村武之。先述したように前走のSG日本選手権では優出。それも優勝した鈴木圭一郎に次ぐ準優勝の結果だった。レース中盤までは鈴木圭にピタリとマークできていたように、エンジン状態はかなり良い。上がりも3・341をマークしていた。冬場で走路にタイヤが食い付くこの時期は、木村の走法的に好結果が出やすい。伊勢崎走路との相性もよいので、地元S級陣を脅かす存在になり得る。
他にも外来S級は3選手が来場。荒尾聡、田中茂、遠藤誠だ。田中茂と遠藤は、エンジン状態的にイマイチな感じで、早い段階での上積みが必要。荒尾は、このエンジンに乗り換わってからは好調が続いている。SGの最終日は試走も27を出していたので、エンジン的には期待できる。もちろん全国区であるスタート力も健在。
A級では地元で優出してきた室田泰利、スピードが出てきた浅香潤、今年は地元の一般開催で活躍している谷津圭治、攻撃力高い田中哲、S級並のポテンシャルがある笠木美孝、前田淳などに注目したい。
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主な出場予定選手
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高橋 貢〔伊勢崎 S-3(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-5(29期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-11(31期)〕
田村 治郎〔伊勢崎 S-19(30期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-9(27期)〕
田中 茂〔飯塚 S-20(26期)〕
木村 武之〔浜松 S-10(26期)〕
遠藤 誠〔浜松 S-36(25期)〕
鉄壁地元S級陣!・外来S級は3車
今回は地元のS級が数多く参戦し、更に状態としても良い選手が多いので地元の牙城を守れそう。対する外来勢はS級が3車のみとやや寂しい布陣。ただし、A級の中にも虎視眈々と優勝を狙っている伏兵的選手も存在するので、優勝争いは簡単には行かないか。
地元ランクトップは永井大介。前走のSG日本選手権では準決6着で優勝戦までは進めなかった。準決の日は試走から動きがニブく、レースでも精彩を欠いていたが、2日目や3日目は本来の走りができていたので、それほど心配はなさそう。今回は仕切り直しの1戦となる。現状では優勝に最も近い。今年の優勝を10にまで延ばしてくるか。
SG日本選手権で優勝戦まで進んだのは中村雅人、山田達也、金子大輔の3車。5枠だった金子が優勝戦の成績は一番良かった。優勝戦は一列棒状の展開になり、追い込みが効きにくかったが、試走は3・28としっかりした数字をマークしていたので、エンジン面は悪くない。金子は予選道中も、そつなくこなしていたので、エンジンはある程度の位置で保てている。中村は成績が安定しなかったが、準決に向けて仕上げてきた印象。優勝戦も試走3・29が出ており、動きとしては問題ない。山田も優勝戦では同じ試走タイムが出ていたので、エンジンは大丈夫そう。不安視されていたオープン戦でのスタートも、それなりに切っていた。
惜しかったのは森且行。3日目までは順調に進んでいたが、準決で失速。4日目と5日目は8着になってしまった。しかし、森は冬本番の今が最も活躍できるシーズン。走温が下がれば下がるほど、成績は上がっていく。状態としては若井友和、池田政和、斎藤撤二らも試走タイムが出ていたように悪くはなかった。
外来は金子と共に注目なのが浦田信輔。SG日本選手権では優勝戦に進めなかったものの、最終日は試走3・27、上がり3・348の素晴らしいタイムをマークして勝利。気持ち的には悪くないまま今回に臨める。伊藤信夫はSGで白星がなかったが、着自体はまとまっており、エンジンもソコソコといったところ。
A級では福田裕二が伊勢崎で、中山光が飯塚ミッドナイトで優出して帰ってきた。このまま流れに乗れれば初日から結果を出すかもしれない。SGのオープン戦でも奮起していた中野憲人、スタート力が戻り持ち味の独走が決まり出してる早船歩、A級にランクされているがS級並の実力を持つ東小野正道らにも注目したい。
B級では長谷川啓が、ここ数節奮闘している。インを抑えての粘り込みで、後続に渋滞を演出している。また、今回も浜松から新人33期が来場。元気一杯の走りをファンに見せたいところ。
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主な出場予定選手
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永井 大介〔川口 S-2(25期)〕
中村 雅人〔川口 S-6(28期)〕
若井 友和〔川口 S-13(25期)〕
山田 達也〔川口 S-14(28期)〕
池田 政和〔川口 S-16(23期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-4(23期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-28(24期)〕
金子 大輔〔浜松 S-48(29期)〕
鬼の居ぬ間に優勝を!
この開催の直前にSG日本選手権が行なわれている関係で、今回もS級とA級の主力勢は不在。普段は優勝のチャンスが少ない選手にとって絶好のシリーズ。SG日本選手権の直前に行なわれた、同様のメンバー構成による飯塚一般開催では、松尾隆広が優勝。今回も参戦しており、連続優勝がかかっている。
開催地区である山陽で、今回出場するランクトップは丸山智史。31期の中では中堅で、これまで2回優勝の経験がある。1級車に乗り換わったころはスピードタイプだったが、その後はしばらく伸び悩んだ。しかし、ここ数節はエンジンが好調な事もあり、乗り手が気持ち良く走れている印象。本来の軽快なスピードが出ている。今回は後方から追うレースが多くなるが、捌きの方も徐々に身に付いている様子。
その1期後輩の長田恭徳は現在、成長の壁に当たっている。ツボに入った時は素晴らしい走りをするので、それが安定して出てくるようになれば成績も付いてくるハズ。松生信二、松井大和ら若手と共に成長していきたい。他にも山陽勢はベテランの畑吉広、速攻タイプの番田隆弘、変則走法で粘る西久保英幸、堅実な走りがある竹中一成などに注目。
外来勢では飯塚が元気良い。先述の通り、前走の地元で優勝したのは松尾隆広。4日間のシリーズでは雨2走、晴れ2走をこなしオール連対での優勝だった。この時期、天候に左右されない強みは大きな魅力。晴れでもタイムが出ていたので、2節連続優勝も十分あり得る。松尾の2着で準優勝だったのは辻大樹。今回出場するメンバーの中でもランクはトップで、総合力も最上位級だ。スタート、重走路、スピードの3点に置いて不安要素はなく、今回は同期の松尾にリベンジを果たしたいところ。飯塚勢は他に、根本将人、竹中修二、青山文敏、室田泰利らもエンジンは上々で、優勝争いに参加してきそうだ。
川口からは篠崎実が来場。前々走の地元では準優勝だった。惜しくも最年長優勝記録の更新はならなかったが、まだまだ走りは闘志に溢れている。前走の3日間開催でもオール連対でまとめており、機力も気力も最高潮だ。女子レーサー片野利沙も上昇気配。前走の飯塚ミッドナイトで2勝を挙げる活躍。
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主な出場予定選手
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丸山 智史〔山陽 A-56(31期)〕
長田 恭徳〔山陽 A-69(32期)〕
畑 吉広〔山陽 A-74(20期)〕
吉松 憲治〔山陽 A-88(21期)〕
辻 大樹〔飯塚 A-20(28期)〕
松尾 隆広〔飯塚 A-50(28期)〕
青木 勝美〔伊勢崎 A-72(19期)〕
篠崎 実〔川口 A-118(9期)〕
鈴木圭一郎が選手権連覇を達成!
第49回SG日本選手権は地元の鈴木圭一郎が圧巻の走りで連覇を達成した。2日目の2着以外は全て1着と、ほぼ完全優勝と言ってもいいレース内容。現況の勢いがそのままレース結果に表れたかたちだ。
試走は一番時計タイの27。1枠の木村武之も同様のタイム。次いで、金子大輔が28。29が藤岡一樹、佐藤貴也、山田達也、中村雅人。有吉辰也が32と、やや数字を落とした。
スタートは2枠から鈴木が飛び出す。最内から木村も離されずに続く。佐藤と藤岡が3番手争い。外枠勢は好位を奪えず後方からのレース。前半4周までは鈴木の逃げに木村がピタリとマークし、仕掛けるタイミングをうかがっていたが、5周目あたりから徐々に間隔が開きつつあった。6周目以降は、抜く態勢を作るどころか差を広げないよう走るのが一杯だった木村。更に離れて3番手で粘る藤岡に対し、金子も攻撃の手立てを失っていた。5周目以降、木村を引き離して逃げる鈴木がそのまま1着ゴール。上がりタイムは今節最高の3・335だった。まさに文句のつけようのない勝利。
それにしても、今回は鈴木の強さを見せ付けるシリーズだった。5日間の試走は27か28のみ。エンジンは連日仕上がっていた。上がりタイムも2着に敗れた2日目が3・381。初日は3・368。3日目以降は3・34を切る素晴らしい数字を立て続けにマーク。スピード面は今、間違いなく日本一。スタートに関しても7枠から先行した準決、2枠からシッカリと決めた優勝戦を見る限り日本一。捌くレースが少なかったので分かりにくいが、捌きに関しても日本一クラス。すでにSG5Vだが、デビュー5年目の若手は、まだまだ成長の伸びシロが大きい。これからどのような選手になっていくのか。オート界の勢力図が大きく変わっていくのは間違いない。