突き抜けた選手不在で大混戦ムード!
今節はS級選手が斡旋されておらず、競争はA級とB級だけで行なわれる。地元のランクトップは岩田裕臣。前走の浜松では優勝戦まで進んでいる。ただし、そこまで状態が良いわけではない。他にも仕上がり万全の選手はいないので誰にでも優勝のチャンスが巡ってくる。このような状況ではエンジンよりも選手の技量や個性が大きなカギを握ってくる。気になる選手を挙げていく。
出場する選手の中でスピードがあるのは阿部剛士、早船歩、秋田貴弘、深谷輝など。阿部はエンジンがずっと高位で安定している。スタートもソコソコ早いので、レース序盤から積極的に仕掛けて行ける。早船も一人で走るとペース上がるタイプ。ただし、前団がゴチャ付くと脆い面もあるので、同じレースで走るメンバーはよく確認しておきたい。秋田、深谷も車速はかなりある。ただし、スタートに課題を残している。好枠に入っても外枠の人に行かれてしまうケースが多い。それでも今回のメンバー構成なら、外寄りに置かれることが多いだろうから、むしろスタートの心配は軽減されるかもしれない。
捌きがあるのは梅内幹雄、永瀬敏一など。どちらも混戦を得意としているが、スタートはやや甘い面もあるので、序盤の展開は厳しくなる。ただし、今回のメンバーならレース後半からでも盛り返していける。
スタートが早く、速攻を得意としているのは鈴木辰己、矢内昌木、青山文敏、小林悠樹など。10メートル前の選手でもスタートで叩いて行くケースが多い。試走タイムに関わらず、レースでは有利な展開を作れるので注目したい存在だ。特に、鈴木は近況エンジンが上向き。全盛期までとは言わないが、時折り切れ味鋭い走りが見られる。
前回の川口で優勝戦に乗っていたのは福村唯倫と深沢隆。深沢は長らく不調に陥っていたが、前回あたりから急激に回復してきた。インコースをしっかり回れるタイプで、前が混み合っていても突っ込んでいける。福村はこれと言って死角がないタイプ。スタートも雨走路も捌きもマズマズの腕を持っている。
B級で注目なのは外来勢に多い。城戸徹、西村昭紀が近況の動き活発。この両者は走路温度が上がってくると、成績も良くなるタイプ。レース当日にお日様が出るようなら狙ってみたい選手。スピード面では重富英雄だ。前にあまり抜く車が少ないときは、早めに抜け出して後続を引き離すときがある。一発に注意したいのは森園数敏。1節に1回は必ず連に絡む。3日目まで連対がなければ、最終日は絶対狙いたい。試走以上に本走でよい走りをするのは竹島繁夫。こちらも走路温度が上がったほうが持ち味を出しやすい。女子レーサー・藤本梨恵も1戦ごとに力を付けているので、その走りからは目が離せない。
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主な出場予定選手
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岩田 裕臣〔川口 A-15(31期)〕
阿部 剛士〔川口 A-16(27期)〕
早船 歩〔川口 A-18(27期)〕
秋田 貴弘〔川口 A-31(23期)〕
山際 真介〔川口 A-40(26期)〕
福田 勝則〔伊勢崎 A-84(24期)〕
高林 亮〔飯塚 A-61(27期)〕
鈴木 辰己〔浜松 A-106(13期)〕
石橋 大〔山陽 A-223(28期)〕
青山周平が黒岩明との死闘を制す!
GI第22回平成チャンピオンカップの優勝戦は青山周平が制した。スタート決めての逃げ切り勝ちではなく、レース道中では激しい競り合いが見られた見ごたえのあるレースだった。
トップスタートを切ったのは最内の前田淳。地元開催の記念だけに、スタートで見せ場を作った。しかし、ペースは上がらず、2番手スタートを切った青山が交わして行く。3番手スタートを切ったのは大外の荒尾聡。こちらは伸びを欠き、黒岩明に交わされてしまう。黒岩は2番手で走っていた前田を捲ると、青山を追いかける態勢を作る。逃げる青山と追う黒岩。直線の伸びは明らかに黒岩が勝っていた。
黒岩は落ち着いて青山を差すと、今度は自分が逃げる形に。しかし、ここで走るコースが小さくなってしまう。それを見た青山は捲りを仕掛けていく。これが功を奏し先頭を奪い返す。黒岩は再び2番手で追走。機を窺う。そして、最終3コーナーで黒岩が青山のインに突っ込む。しかし、これは態勢不十分。半端な突っ込みになって黒岩は落車してしまう。青山が見事に逃げ切って栄冠のゴールを切った。
黒岩の落車により、3着入線の前田と4着入線の荒尾が繰り上がり。2-1-8で決まった。他の、田中茂、新井恵匠、人見剛志らは見せ場を作ることができなかった。中村友和もスタートで遅れて8番手発進。ここから巻き返しに行くには厳しかった。
青山はこれで記念タイトルが12個目(GIに関しては8個目)。4月から伊勢崎所属となったが、これまでと変わらぬ快進撃を見せてくれそうだ。また、落車した黒岩も、エンジンさえ仕上がれば記念の優勝戦でも戦えることを証明した。