手薄地元勢に外来勢が襲いかかる!
今回は直前にSGが行なわれていた関係で、S級とA級上位の選手は不在。A級中堅以下とB級による戦いになる。全体的な印象では船橋と川口勢に好調車が多く、地元勢は状態イマイチ。
船橋からは9選手参戦予定で、その内、前走の地元で優出した選手が4人。最も成績が良かったは新村嘉之の優勝。初日こそ6着だったが、その後はオール連対で優出すると、優勝戦では最後方からのレースを強いられながらも、豪快な追い込みを見せて見事快勝。センスの高さを再確認させられた。エンジンの波が緩やかな選手で、好調の今はまさに狙い時。初日から追いかけてみたい。
その新村に敗れ準優勝だったのが古木賢。初優勝がかかった優勝戦で先頭を走っていたが、最後には新村に突っ込まれ2着。それでもエンジンの上昇とともに、乗り手の積極性も増してきた。少なからず自信に繋がったことだろう。優勝戦3着だったのは木村義明。予選道中の被害で落車があったにも関わらず、準決でしっかり立て直し優出。優勝戦でも厳しい展開を巻き返して3着に食い込んだ。平川博康も優勝戦まで進み5着と健闘。スピードある走りは魅力だ。
川口からは吉田祐也と丸山浩信が、前走の地元で優出しての参戦。吉田は本来の車速が戻ってきた。冬場のスピードレースでも十分通用するし、今回のメンバーの中では上位級。連続優出してもなんらおかしくない。丸山もエンジンが仕上がっていた。優勝戦でも重ハン勢に簡単には抜かれず、直線では車が伸び返すような動きがあった。同じような仕上がりを維持できれば、今回も大いに活躍が見込まれる。優出はしていないが、初日に落車した不安を一掃できている牛沢和彦も、今回のメンバー相手なら決め手上位。
他の外来では、スピード出てきた栗原俊介や、前走の船橋で尻上がりにエンジン良くなってきた水本竜二、地元開催で優出し3着に入った緒方浩一あたりに注目。また、B級ではあるが、中原誠が前走の船橋で優出している。予選道中はオール連対の好内容。早々と逃げに入れる展開ならペースを上げられる。
地元勢はランクトップが鈴木辰己。往年の迫力は薄れているが、かつて一世を風靡したスタート力は健在。10M前の選手達を叩き、好展開に持ち込むことができれば連対も十分あり得る。同じく速攻派の鈴木静二、斎藤正悟にも期待したい。スピード戦なら関口隆広や鈴木健吾が見せ場を作れる。一発があるなら青嶋裕治だ。
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主な出場予定選手
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鈴木 辰己〔浜松 A-75(13期)〕
鈴木 静二〔浜松 A-87(20期)〕
岩科 州〔浜松 A-106(27期)〕
栗原 俊介〔伊勢崎 A-34(31期)〕
福村 唯倫〔船橋 A-41(25期)〕
吉田 祐也〔川口 A-46(29期)〕
畑 吉広〔山陽 A-81(20期)〕
水本 竜二〔飯塚 A-125(27期)〕
執念の追い込みで中村雅人がV!
飯塚で行われたSG全日本選抜オートレースは船橋の中村雅人が制した。トップスタートから逃げ切りを図る青山周平を最終3コーナーで捕らえての栄冠。中村らしいレースっぷりを見せてくれた。
試走タイムは金子大輔が27で一番時計。中村と青山が次いで29。他の選手達は31以上とイマイチの数字だった。
レースはまず最内の青山が先行する。2枠の荒尾聡が乗って出る形だったが、中村が早々に捌き2番手に立つ。試走一番時計の金子は、スタート後に加賀谷建明と接触しかけ後退し、最後方からのレースを強いられた。逃げる青山のペースは素晴らしかった。離れて追走する中村以外は、突き放される一方だった。青山の逃げに必死に食らい付くのは中村。序盤ではその差は大きかったが、周回ごとに縮まっていく。そして、9周3コーナーでは中村が青山のインに入る素振りが見られた。これは伸びが足りず、1回引く形になった。ただし、最終3コーナーで再びインを狙っていく。思い切った突っ込みは、やや立ち上がりで膨らんだものの、しっかり回り切り先頭でゴール。
中盤までは青山の逃げ切りかと思われたが、中村は最後まで諦めなかった。最後の2周は青山も多少ペースが落ちたのかもしれない。元々、小さいコース取りで逃げる青山なので、普通に考えればペースは上がりにくい。しかし、青山の走りは小さく走ってもスピードが出る特殊なモノ。それでも最後は少しタレたか。狭い所でも突っ込んで行ける中村には分が悪かった。
このレースで動きが光ったのは藤岡一樹。スタートで前輪を浮かせてしまい7番手からのレースになったが、そこからの巻き返しが素晴らしかった。前を走る車の動きを冷静に見ながら、攻撃を仕掛けていく。3番手で粘っていた荒尾を差し込むと、はるか前方にいた中村、青山との差を一気に詰めて行った。レース後半の伸びだけで言えば、全車の中で一番だった。スタートで3から4番手くらいに出れていれば、十分優勝争いに参加できていた。今後の楽しみがまた一つ増えた。