昨年のグランダム・ジャパン古馬シーズンで、わずか1ポイント差で2位だったケンブリッジナイスがあらためて女王の座を狙って遠征してきた。昨年のこのレースではエーシンサルサの2着。今回のメンバーにエーシンサルサほどの馬がいるかといえば、Noだと思う。半年ぶりの実戦ということは心配だが、年末の東京シンデレラマイル(3着)、年明けの多摩川オープン(3着)ほどの力が発揮できるのであれば能力上位は間違いない。
兵庫勢は火曜日の金沢スプリントカップでワンツーを決めたように、地区交流の重賞で強さを見せている。なかでも人気のドリームコンサートを競り落として快勝したタガノギャラクシーの新子雅司調教師&下原理騎手の勢いが止まらない。目下のところ、ともに頭ひとつ抜け出して兵庫リーディング。そのコンビで出走するのが、中央未勝利から転入して10連勝中というタガノトリオンフ。2走前の初めての1700メートル戦も6馬身差の圧勝だった。とはいえ距離延長のゆったりしたペースに行きたがる馬を抑えるのに下原騎手はかなり苦労していた。そのぶん、直線はセーフティリードではあったものの、最後は脚が上がっている様子だった。一線級のメンバー相手に1700メートルでどうだろう。まだ底を見せておらず圧勝まであってもおかしくはないのだが。
トーコーヴィーナスが復調気配だ。前走は接戦の3着だったが、相手は今年重賞2勝のアクロマティック。スタート後、チェリーベアハートに執拗に絡まれ前半ハイペースになってもよく粘ったものと思う。とはいえ前回が52キロで今回が55キロ。地元では初めての古馬重賞ということで試金石となりそうな一戦。
高知のブラックバカラは、昨年のこのレースでは10番人気で9着。しかしその後、地元のA-1特別や牝馬同士の準重賞をで勝利を挙げるなど確実に力をつけている。鞍上の永森大智騎手は、スーパージョッキーズトライアルと盛岡のジャパンジョッキーズカップを立て続けに優勝と勢いがある。
のじぎく賞から高知優駿を連勝したディアマルコが再び園田に遠征。古馬とは1キロ差、しかも先行馬が何頭かいての大外枠。楽ではない条件でどんなレースを見せるか。
デンコウガイアは、昨秋は連勝の勢いがあったものの今年になって勝ち星なし。とはいえ前走で復調気配を見せ、牝馬同士なら3着争いも。
◎3ケンブリッジナイス
◯6タガノトリオンフ
▲5トーコーヴィーナス
△7ブラックバカラ
△11ディアマルコ
△2デンコウガイア
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スティールキングに、ホッカイドウ競馬史上5頭目の三冠馬誕生の期待がかかる。一冠目の北斗盃、二冠目の北海優駿では、それぞれジャストフォファン、キングニミッツが2着、3着の着順を入れ替えたという結果。北斗盃では大きく差をつけられたキングニミッツが、北海優駿では2馬身半まで差を詰めたということでは、王冠賞がかつての2600メートルならさらにということも考えられなくもないが、北海優駿よりも短い1800メートルということでは、既存勢力とは勝負付けが済んだと考えてよさそう。北斗盃でのジャストフォファンとの1馬身差も、内回りコースでこそと思えた。ここまでの二冠には不出走の新興勢力との力関係ということになるが、北海優駿の余裕の勝ちっぷりからは、三冠を期待してもいいのではないか。
そして対抗にはキングニミッツ。逆転まではどうかだが、大井から戻って一戦ごとにレースぶりはよくなってきている。前走、JRA未勝利との交流で2着の走破タイムは良馬場で1分56秒5。去年あたりからの古馬1800メートル良馬場の重賞の勝ちタイムを見ると、概ね1分54秒~55秒台の決着となっているので、3歳馬同士なら重賞で勝ち負けになりそうなレベルにはある。
怖いのが中央未勝利から転入して5連勝中のキタサンシャドーだ。前走も楽々と逃げ切って2着馬に5馬身差。一気に世代の頂点に立つ可能性はある。
北海優駿ではゴール前失速して3着だったジャストフォファンだが、距離短縮となるのはよさそう。ただ、盛岡遠征から中2週は気になるところ。
北海優駿4着だったピットブルはどこまで差を詰められるか。
◎9スティールキング
◯5キングニミッツ
▲10キタサンシャドー
△2ジャストフォファン
△7ピットブル
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7月5日のMRO金賞では兵庫から遠征のエイシンニシパが6馬身差で圧勝していたように、近年の金沢の地区交流重賞では兵庫勢の活躍が目立っている。地元金沢勢にとってはちょっと肩身が狭い感じで、ここも兵庫勢が強力だ。
中央準オープンから兵庫に移籍したドリームコンサートは、昨年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIで4着に好走。名古屋に遠征し、1番人気に支持された東海桜花賞では、同じ兵庫のマルトクスパートに惜しくもクビ差及ばず2着だった。今回、重賞勝ち馬が門別時代に北海優駿を勝ったヤマノミラクルだけというメンバーなら実力上位は間違いない。先行争いが激しくなりそうな金沢の1400メートル戦だが、8頭立ての4番枠ということでは、ひとつ内のタツミリュウを先に行かせて楽に2番手をとれそう。高い勝率を誇る柏原誠路調教師にとっても、東海桜花賞で惜しくも逃した厩舎の重賞初勝利の期待がかかる。
笠松のサルバドールハクイにもチャンスはありそう。同じく中央準オープンから笠松に移籍し、今年3月以降、重賞や準重賞の東海クラウンを5戦してすべて3着以内。東海桜花賞では2着のドリームコンサートに3馬身差の3着だった。レースぶりから能力的に差はない。
中央1000万条件から兵庫に移籍し、A2〜A1で5戦4勝2着1回というのがタガノギャラクシー。しかもその園田での5戦はすべて1400メートル戦。重賞初挑戦でも好勝負が期待できそう。
トライアルを制したタツミリュウは2連勝と好調。とはいえ昨年のこのレースでは大きな差をつけられての7着で、そこからの上積みというのもどうだろう。
地元勢で実績上位は、今年の百万石賞で惜しくもジャングルスマイルの2着だったトウショウプライドだが、トライアルでタツミリュウの3着に負けているように、この距離はちょっと短い。
◎4ドリームコンサート
◯2サルバドールハクイ
▲7タガノギャラクシー
△3タツミリュウ
△8トウショウプライド
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中央500万条件から転入したクートネイは、いずれも一方的なレースぶりで3連勝。特にトレノ賞と同じ1300メートルの前走ヴェガ特別は、水の浮く不良馬場だったとはいえ勝ちタイムの1分20秒7は優秀。トレノ賞をそのタイムで走ればレースレコードだし、コースレコードにもコンマ5秒足りないだけ。楽しみな馬が転入してきた。
マウンテンダイヤは、昨年のトレノ賞がエプソムアーロンの2着。1300&1400メートル戦では崩れることがなく、33戦して連対を外したのは、たった2度だけ。その連対を外したひとつが黒船賞JpnIIIだから、地元同士ならまったく崩れることがない。昨年の雪辱を果たしたいところ。
エプソムアーロンはここ5戦でも4勝2着1回と、12歳でもまだまだ元気。とはいえさすがにズブくなってきたのか、今年になってから1300&1400メートルのレースぶりが今ひとつ。昨年ほどの勢いはないと見る。
カッサイは、大井から転入して初戦2着のあとA-4まで7連勝と一気に駆け上がってきた。遠征で重賞初挑戦となった園田FCスプリントは惜しくも2着。今回、園田以上にメンバーが揃った感じはあるが、あっと言わせる場面はありそう。
昨年中央オープンから転入して快進撃を続けたメイショウツチヤマだが、今年4月の二十四万石賞を制したあとは、らしくないレースが続いている。巻き返しに期待したいところ。
◎9クートネイ
◯10マウンテンダイヤ
▲3エプソムアーロン
△2カッサイ
△1メイショウツチヤマ
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テイエムチカラは、3連勝で前走、吉野ヶ里記念ステップの水無月賞を勝利。1番枠からハナを奪うと、3コーナー過ぎで迫ったモエレジュンキンを振り切っての逃げ切り勝ち。その水無月賞、さらに前々走の九千部山賞は、ともに不良馬場だったとはいえ、勝ちタイムの1分27秒4、1分28秒2は、ともに過去の吉野ヶ里記念の勝ちタイムと比較しても遜色のないもの。一気に佐賀1400メートル戦線のトップに立つ可能性はある。
キョウワカイザーは、昨年末の中島記念では1番人気の3歳馬キングプライドに4馬身差をつけての完勝。佐賀の頂点に立った。佐賀記念JpnIIIは6着だったが、それでもハイペースでレースを引っ張り中央馬相手に見せ場をつくった。今回ははがくれ大賞典6着以来4カ月ぶりの実戦に加え、ほとんど実績のない1400メートル戦がどうかだが、実力では抜けているのであっさりという場面もありそう。
マイネルマルシェは、高知から転入初戦となった前走1800メートルの大分川賞では、接戦の前2頭から大差をつけられての3着。今回は、転入2戦目に加え、慣れた1400メートル戦に戻って力を発揮しそう。高知のA-3クラスを快勝という実力なら通用するはず。
もうひとつのステップレース、黒髪山賞は水無月賞に比べてやや低調だった感じで、勝ったのがコパノエクスプレス、4着がカシノタロン。ただカシノタロンは前走の大船山特別を好タイムで9馬身差圧勝という強いレースをしているのがちょっと怖い。
◎10テイエムチカラ
◯5キョウワカイザー
▲9マイネルマルシェ
△8コパノエクスプレス
△1カシノタロン
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