タガノキトピロは昨年の吉野ヶ里記念でミスカゴシマの7着に負けたあとは、ここまで11戦10勝。一度だけ2着に負けた昨年12月のウインターチャンピオンは、先に先頭に立ったミスカゴシマを半馬身とらえきれずというものだった。その後3月の九州クラウンを制するなど、佐賀1400メートル路線では不動と言っていい中心的存在となった。地元同士の定量戦ならまだまだ連勝を伸ばせそう。
相手は、タガノキトピロの天敵といえるミスカゴシマ。今年1月以来勝ち星から遠ざかっているが、2カ月半の休養をとっての復帰2戦目。3、4歳時に吉野ヶ里記念を連覇しているように、ここ一番の大レースに強い。タガノキトピロと同じ5歳で、まだ衰えるには早い。
スパーダは中央オープンから大井経由で転入して4戦。初戦の1300メートル戦は2着だったが、1400メートルでは、5馬身、7馬身という圧倒的な差をつけて2連勝。その後、前走有明海特別ではタガノキトピロの3着だったが、半馬身+半馬身という僅差。状態アップなら逆転も狙えそう。
900メートル戦で強さを見せているキタカラキタムスメ、ロトヴィグラスは、1400メートルでも結果を残しているが、上記3頭との比較ではやや見劣る。展開に恵まれれば一角崩しも。
スーパースナッズは前走・有明海特別では3キロ減の青海大樹騎手を起用してタガノキトピロに半馬身差と食い下がった。今回は定量戦となってどうか。
◎6タガノキトピロ
○12ミスカゴシマ
▲4スパーダ
△1キタカラキタムスメ
△7ロトヴィグラス
△10スーパースナッズ
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金沢シンデレラカップで遠征勢を相手にせずデビューから無敵の6連勝としたショウガタップリは、11月8日の川崎・ローレル賞に遠征予定とあってここは不在。となると、北海道からの転入馬が強そう。
門別でデビューしたノブノビスケッツは初勝利まで6戦とかかったが、その後は3着以内を外さず1700メートルの2歳オープンで3着と好走。転入初戦となった若武者特別はカレイジャスをなんとか振り切ったというレースで、勝ちタイムの1分37秒9というのも、ショウガタップリが制した金沢シンデレラカップより2秒以上も遅かった。しかしながら向正面までは行きたがる馬を青柳騎手がなんとか抑えてという道中で、直線ではカレイジャスが差し切るような勢いだったが、並ばれても抜かせなかった。そのレースぶりから、おそらく相手なりに走るタイプで、強い相手と対戦すれば、タイムも必然的に詰めらそう。
ピンクビジョンはここまで6戦2勝、2着4回。そのうちショウガタップリの2着が3回。しかもタイム差は0秒6差以内という善戦。金沢デビュー馬ではショウガタップリに次ぐナンバー2といってもよさそう。前走ショウガタップリが不在となった金沢デビュー馬限定のくろゆり賞では好位から直線で抜け出し着差以上の完勝だった。
北海道から転入初戦となるエムオージェネラルは、デビュー2戦目の未勝利戦を勝ったのみだが、ここまで6戦してすべて3着以内。距離も1700メートルまで経験しており、勝ち負けまで期待できる。
くろゆり賞でピンクビジョンに1馬身半差で2着だったダイヤモンドライン、転入初戦の金沢シンデレラカップでいきなりショウガタップリと対戦して4着だったミオソフィアらも連下争いなら。
◎2ノブノビスケッツ
○3ピンクビジョン
▲6エムオージェネラル
△8ダイヤモンドライン
△4ミオソフィア
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ステラモナークは今年まだ勝ち星がないが、兵庫サマークイーン賞は単騎で逃げて、断然人気ダノンレジーナに早めに来られたぶん、最後は苦しくなったが、それでも直線までは粘って4着。続くA1A2特別では、摂津盃3着だったフーズサイドにゴール前でとらえられたものの1馬身半差2着は健闘といえる。メンバー的にも枠順的にもマイペースの逃げが叶いそうで、3歳時の園田オータムトロフィー以来、2年ぶりの重賞勝利に期待だ。
クリノアリエルは、中央から再転入初戦の前走がやや離されての4着。中央では芝の短距離を中心に使われていたが、かつて中央未勝利から転入した2018〜19年には園田1700/1870メートルでC2〜B1まで6連勝という実績。今年夏までは芝の3勝クラスで勝ち馬とコンマ数秒差というスピードを見せていた。移籍2戦目の上積みがあればあっさりまでありそう。
デンコウハピネスは、兵庫サマークイーン賞ではステラモナークに先着しての3着。ステラモナークがダノンレジーナに早めにマークされる厳しい展開だったのに対し、デンコウハピネスは直線勝負に賭けてという展開的なことがあった。兵庫転入後勝ち星こそないが、牝馬同士なら力は見劣らない。
笠松に遠征したくろゆり賞で2着好走のナナカマドカ、金沢で重賞上位常連のベニスビーチらも上位を狙えそう。
前走秋の鞍で復活勝利となった高知のアンティキティラだが、古馬オープンクラスとは初対戦でどうだろう。連下争いまで。
◎2ステラモナーク
○4クリノアリエル
▲11デンコウハピネス
△5ナナカマドカ
△7ベニスビーチ
△6アンティキティラ
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22年目を迎えるJBC開催が近づいた。今年は、2014年以来、8年ぶり3度目となる盛岡開催。
現在の地方競馬で、スプリント、クラシックの基本距離である1200m、2000mのレースができるのは、大井と盛岡だけ。船橋にも両距離の設定はあるが、コース形態の関係から1200mでは重賞などの主要競走が行われておらず、2000mは近年ほとんど実施されることがなくなった。
その盛岡競馬場が移転・オープンしたのが1996年。施設面でも充実していたことから、第1回の大井に続いて、第2回(2002年)のJBC開催場となった。そのときの入場者は14,287名。2度目の盛岡開催となった2014年の10,331名と比べるとかなり多い。当時はまだ馬券のネット発売があまり一般的ではなく、売上の大部分を本場および場外発売施設が占めている時代だった。
中央競馬では、ダート競馬がまだまだ芝に対して格下に見られていた時代。オープンクラスの馬で、デビューからずっとダートを使われてきたという馬は少なかった。中央の2・3歳戦はオープンクラスのダートのレースがごくわずかだったという番組的な事情もある。
JBCスプリントを制したスターリングローズは、デビューこそダートだったが、3歳春には毎日杯や青葉賞に出走するなどクラシック戦線を目指した。JBCには南部杯7着からの参戦で、1200mは芝も含めて未経験の距離だった。
JBCクラシックを制したアドマイヤドンは、皐月賞7着、日本ダービー6着、そして菊花賞4着からの参戦。2歳時には朝日杯フューチュリティステークスを制しており、芝・ダート双方でのGI制覇で話題となった。アドマイヤドンはその後、JBCクラシック3連覇を果たすなど、ダートで不動の地位を築いた。
当時は盛岡のダービーグランプリが中央との交流GIとして行われており、この年の勝ち馬は、のちにダートのチャンピオン種牡馬となるゴールドアリュール。この馬も日本ダービー5着という実績があり、その後、ジャパンダートダービーからダービーグランプリを連勝。芝でもそこそこの実績を残した馬の中で、ダート適性の高い馬が、ダートのチャンピオンとなる時代だった。
コースも含めた施設面で充実していた盛岡競馬場だが、2度目にJBCが行われたのは2014年。干支が一回りもするほど期間が空いてしまったのにはわけがある。
ひとつは財政難。地方競馬専用の競馬場としては唯一、芝コースも完備された豪華施設の盛岡競馬場の移転が計画されたのはバブル期。しかしその後、地方競馬全体で売上が下がり続け、岩手競馬は盛岡競馬場建設の借金の返済も重なり、累積赤字に苦しむことになった。そして2006年度に岩手競馬は廃止の方向に動き出した。しかし、年度末ギリギリの07年3月中旬、県議会の採決でわずか1票差で存続。首の皮一枚で岩手競馬の歴史が継続された。
もうひとつは東日本大震災。存続が決まったとはいえ、苦しい経営は変わらず、さらに追い打ちをかけるように起こったのが、2011年の震災だった。水沢競馬場はスタンドなどに被害があったが、内陸部にある盛岡競馬場はほとんど被害がなかった。とはいえ競馬を開催できるような社会情勢ではなく、そもそも苦しい財政状況ながら、売上の中から震災復興に資金を拠出することで、競馬が再開されたのは5月中旬のことだった。
それから3年が経過。2014年のJBC盛岡開催は、震災復興の象徴のひとつとして行われた。地方競馬全体の売上でも2011年を底に売上が上昇に転じ、明るい未来が見えてきた時期だった。
そして今年、3回目となるJBC盛岡開催は、地方競馬全体の売上が好調に推移してきたこともあり、賞金が大幅アップした。
第1回のJBCは、地方競馬初の1着賞金1億円(JBCクラシック)として始まり、JBCスプリントも8000万円。しかしJBCレディスクラシックが加わった2011年からは、クラシックは8000万円、スプリントは6000万円に減額となり、レディスクラシックは4000万円(13年から4100万円)で続けられてきた。それが今年、クラシック1億円、スプリント8000万円という当初の高額賞金が復活。レディスクラシックも6000万円となった。
日本の競馬では、レースの賞金は1着賞金で言われることが多いが、欧米では総賞金として表されるのが一般的。総賞金で言うなら、JBCクラシック1億7000万円、スプリント1億3600万円、レディスクラシック1億200万円となる。
また同日盛岡競馬場で行われる重賞、3歳以上芝のOROカップは1着3000万円(昨年1000万円)、2歳馬による芝のジュニアグランプリは同2000万円(昨年400万円)と、ダートグレード並みの賞金に大幅アップしての実施となる。
今回のJBC当日は、地方競馬の1日1競馬場の賞金としては、おそらく過去最高額で争われる、記念すべきJBC開催となる。
ディアリッキーは、前走休み明けの転入初戦となったスプリント特別では、スタートで後手を踏んで中団ラチ沿い追走という苦しい展開になり、さらに直線では前が壁になって行き場をなくしたが、そこからこじ開けるように抜け出した。2着に1馬身差だが着差以上の強さ。デビュー以来初めての1200メートル戦だったが、昨年3歳時は東京プリンセス賞2着、クイーン賞JpnIIIで4着という能力の高さをこの舞台で発揮できれば、今回のみならず重賞タイトルを重ねられそうだ。
スティローザは船橋B2級から転入して8戦6勝、2着1回。唯一の着外はヤングジョッキーズシリーズで、底を見せていない。3走前の盛岡1200メートル(良)1分12秒3は、昨年このレースを制したキラットダイヤの勝ちタイムとぴったり同じ。
エイシントゥランは、兵庫から転入初戦となったハヤテスプリントは4着だったが、地元馬最先着で、走破タイムも1分12秒5と優秀。ここ2戦は芝を使われ、しかも古馬相手。今回ダートに戻って3歳同士ならあらためての期待だ。
タイセイエクセルは船橋から転入初戦の盛岡1000メートル戦を勝ち、前走マイル戦だがA二組特別2着なら、ここでも勝負になりそう。
マルケイマーヴェルは昨年のこのレース2着。前が競り合って末脚が生かせる展開なら出番がありそう。
ボサノヴァは2歳時に金沢シンデレラカップを制したのをはじめ、今年も岩手の重賞でたびたび好走。2走前に1200メートル戦も制しており、好走の条件は揃った。
◎11ディアリッキー
○1スティローザ
▲3エイシントゥラン
△6タイセイエクセル
△10マルケイマーヴェル
△9ボサノヴァ
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