年末のこの時期に行われるようになって今年で4年目。過去3回、牝馬の好走が目立ち毎年牝馬が連対している。しかも、05年は2頭の出走でワンツー、06年は2頭の出走で2着、昨年は3頭の出走で2着と、出走頭数からすれば、きわめて高い確率での好走といえる。今年は牝馬が3頭、前走ばんえいオークスの1、2、5着馬が出走してきた。
牝馬3冠を達成したニシキエースはどうだろう。イレネー記念8着、ばんえい菊花賞6着と、牡馬と混合の重賞では苦戦している。
そこで本命は牡馬からオレワスゴイ。イレネー記念を勝ったときは、その近走でいまひとつのレースを続けていて2番人気だったものの、本番では2着のニシキボスに9秒差をつける完勝だった。おそらくそうした大一番で力を発揮するタイプなのだろう。定量のばんえい菊花賞は4着だったが、ここ2走の400万未満、混合500万未満と連勝し、調子を上げてここに臨む。過去3年の連対馬6頭のうち、なんと5頭が8〜10番枠。外枠が好成績で、9番枠に入ったのも心強い。
馬場が軽くなるのを期待して、ホクショウジャパンが相手。ばんえい菊花賞2着のあと、300万未満のクラスで4、1、2、3着と安定したレースを続けている。
調子を上げているといえば200万未満を5連勝中のカイセテンザン。ばんえい菊花賞は7着だったが、その後に相当力をつけたと見る。
冒頭で牝馬が好走と盛り上げておきながら、ここまでは牡馬ばかりで、ニシキエースはようやく4番手評価。オークス2着のウィナーナナはこのメンバーに入ると厳しそう。4連勝で菊花賞を制したカネヅルは、その後300万未満で苦戦している近況では推しにくい。
ばんえい菊花賞では1番人気に推されながら障害に苦戦して9着に敗れたライデンロックは巻き返しに期待したい。
◎オレワスゴイ
○ホクショウジャパン
▲カイセテンザン
△ニシキエース
△ライデンロック
佐賀記念JpnIIIを別とすれば、19戦連続連対中のワンパクメロが断然といわざるをえない。57キロでもそれ以上に力の差はある。前走九州大賞典では、マリットチャージが逃げ切ってもおかしくないレース展開ながら、向正面からのロングスパートで余裕で差し切った。競馬に絶対はないとはいえ、負ける要素は見当たらない。いつだったかの実況にあったが、ワンパク王国は磐石だろう。
相手はやはりマリットチャージ。近走でワンパクメロに土をつけているのはこの馬だけ。本気でワンパクメロを負かしにいったときに惨敗ということも考えられなくもないが、結局はこの馬が逃げてこの馬のペースでレースが流れるわけだから、その可能性もきわめて少ない。
3年連続3着のザオリンポスマンは、2000メートルではやはりちょっと距離が長い。4年連続3着となるかどうか。
堅実にクラスを上げてきているマイネルポポラーレも3着候補。
◎ワンパクメロ
○マリットチャージ
△ザオリンポスマン
△マイネルポポラーレ
スマートファルコンは、自身の幅広い距離適性もあってのことなのだが、ほんとうにうまい使われ方をしているなあと思う。白山大賞典JpnIIIを勝ったあとは、当然のことながらJBCクラシックJpnIと思ったのだが、除外確実だからとJBCスプリントJpnIのほうに矛先を変え、勝てはしなかったものの2着と好走。彩の国浦和記念JpnII圧勝のあと「東京大賞典は出走枠に入れないだろうから、フェブラリーSを目指します」と小崎調教師は話していた。東京大賞典は、たしかにそのとおり、登録しても中央枠5頭にはまったく入れなかったのだが、なんとJBCスプリントと同じ舞台のここに出てくるとは、ちょっと不意を突かれた感じだった。3歳馬でハンデ57.5キロは決して楽ではないだろうが、今の充実度ならこなしてしまいそうだ。岩田康誠騎手は今週末から騎乗停止期間に入るために、ここは本気で臨んでくるだろう。
相手は、この秋充実している地元のアルドラゴン。JBCスプリントは定量57キロで、勝ったバンブーエールから0.5秒差の3着。2着だったスマートファルコンとの比較では、斤量的には大幅に楽になっており、机上の計算では逆転してもまったく不思議はない。
3連覇のかかるリミットレスビッドだが、さすがに9歳で衰えは否定できない。昨年より0.5キロ軽くなっているとはいえ、今年6着だったJBCスプリントの57キロよりは2キロも重くなっている。それで上積みを期待するのは酷だろう。ただ得意のコースだけに、あなどれない
JBCのころはなんとも不振だったベストタイザンだが、笠松グランプリを快勝して調子を取り戻した。1400メートルはもっとも得意とする舞台で、昨年のこのレースでは勝ったリミットレスビッドから0.2秒差の4着。斤量据え置きの54キロなら、一発があってもおかしくない。
キングスゾーンも7着に敗れた昨年と同じ56キロ。ただ昨年はアグネスジェダイに終始つつかれる厳しい展開で、向正面で手ごたえをなくしたもの。マイペースで先行できればまだまだ上位に食い込む力はある。
メイショウバトラーは、園田1400メートルは3度走って昨年の3着が最高という成績。昨年より1キロ軽くなった56キロとはいえ、相性のあまりよくないコースだけに上積みは難しいと見て切る。ただ7枠10番という外目の枠に入ったことは、この馬にはプラス。馬群に揉まれて砂をかぶるとまったくレースにならないが、砂をかぶらない外目を気持ちよく追走できれば一発があるので、その点ではちょっと怖いのだが。
◎スマートファルコン
○アルドラゴン
▲リミットレスビッド
△ベストタイザン
△キングスゾーン
フィールドルージュが登録のあった東京大賞典ではなくこちらに出走することになり、それによって東京大賞典では3歳のサクセスブロッケンが補欠から繰り上がることができた。万事、めでたしめでたし。と、思っていたところ、フィールドルージュは脚部不安のため出走取消となってしまった。彩の国浦和記念で期待にこたえられず4着だったが、まだ本調子になかったとのことで、今回は陣営も期待していただろうに、なんとも残念ではある。
そのフィールドルージュが回避したことによって繰り上がったのが、準オープンのボランタス。最近では重賞を1つや2つ勝っているくらいではダートグレードに出ることがなかなかに困難だが、東京大賞典と日程が近いこともあってか、準オープン馬がJpnIIのここに出られるとはちょっと驚いた。
実績・実力では、連覇を狙うメイショウトウコンが断然。前走ジャパンカップダートGIは、カネヒキリとヴァーミリアンの間に割って入る惜しい2着。スタートダッシュがよくないこの馬にとって、ゆったり流れる長距離戦は大歓迎。斤量も他の古馬より1kg重いだけの57kgなら、前走激走の反動でもない限り負けないだろう。
前走、クイーン賞JpnIIIでユキチャンとの叩き合いを制したヤマトマリオンも距離は長いほうがいいタイプ。メンバー的には、この2頭で堅そうだ。
配当的におもしろそうなのがムーンバレイ。一昨年、昨年とこのレースを惨敗しているが、ここ2走は地元戦とはいえ連勝中で調子はいい。先手を奪ってうまくマイペースに持ち込めれば、2着に逃げ粘った昨年の名古屋大賞典JpnIIIの再現はあるかもしれない。
アンタレスステークスGIII勝ちのあるワンダースピードも、もちろん差はない。
チャンストウライは、前走地元で行われたJBCクラシックJpnIでは見せ場をつくれず10着。復活の期待をこめて。
◎メイショウトウコン
○ヤマトマリオン
▲ムーンバレイ
△ワンダースピード
△チャンストウライ
昨年まで「アラブ王冠」として行われていたレースが、サラブレッド3歳馬のレースとして「福山王冠」となった。今年第35回という回次はアラブ王冠から引き継がれた。
鞆の浦賞で接戦を演じた2頭、クラマテングとサンディナナが中心となりそうだが、中央から転入してきて、未勝利ではあるものの賞金をそれなりに稼いでいるため、古馬B級からA級に格付けされている馬が3頭いて、その取捨に迷うところ。
鞆の浦賞は追い込み届かず2着に敗れたサンディナナだが、今年は一度も3着を外していないという堅実なレースぶり。この馬が連軸という意味での本命。古馬B1クラスで勝ち負けなら、3歳馬同士のこのメンバーでは能力上位。
デビュー以来の初勝利が重賞という期待がかかるのがアナザースター。中央未勝利だが2着1回、3着2回という成績があり、その賞金で古馬A2はメンバー中の最高格付け。3走前のA3特別では、兵庫在籍時に重賞2着が3度あるムサシボーから差のない2着。前走A2特別ではロジュマンに4馬身差の2着。サンディナナが2走前のA3特別でロジュマンに5馬身離されての2着だっただけに、サンディナナよりアナザースターのほうが能力は上かもしれない。ただやはりここまで未勝利ということで対抗に下げた。
話はそれるが、そのロジュマンも3歳。こちらは中央で1勝を挙げているにもかかわらずの福山転入で、すでに古馬A2特別を勝っているだけに、この馬が出てくれば本命だったかもしれない。
鞆の浦賞を勝ったクラマテングには重賞連勝の期待がかかる。
そのほかでは、鞆の浦賞3着でその後に古馬B2を勝っているオリオンオーロラや、中央未勝利から転入後やはりB2勝ちがあるウォータールフランにも可能性はありそう。
◎サンディナナ
○アナザースター
▲クラマテング
△オリオンオーロラ
△ウォータールフラン