地方勢がこのレースを勝ったのはもう10年も前、水沢で行われていた時代のメイセイオペラのみで、その後は中央勢の天下。特に2002年以降は3着以内を中央勢が独占しているように、地方馬にはきわめて厳しいレース。中央勢は地方に比べて格段に層が厚いのは確かだが、これほど地方勢が手も足も出ないというダートグレードもめずらしいのではないだろうか。
残念ながら休止されてしまったダービーグランプリも含め、盛岡のダート2000メートルは、なぜか実力以上に着差がつきやすいコース。地方勢が苦戦しているのは、そんなところにも原因があるのかもしれない。
今年もメンバーを見渡すと中央勢に圧倒されそうな感じだ。特に地元岩手勢にとっては、前哨戦のみちのく大賞典を勝ったのが、それまで重賞では最高4着、10歳のブラーボウッズではいかにも厳しい。
中心はフィフティーワナー。ここのところ惜しいレースが続いていて、前走東海ステークスGIIは、勝ったヤマトマリオンと同じような位置を進みながら直線では先に抜けられてしまい、馬群をさばくのに手間取った。それでも1/2馬身+アタマ差の3着。今回は地方勢との実力差もあり、直線でこの馬が抜け出すだろう。
実績ナンバー1はサカラートだが、ここのところ勝ちきれないレースが続いている。ここのところ、というより、05年9月の日本テレビ盃GII以来勝ち星から遠ざかっていて、年齢的にズブくなっているのかもしれない。ただ相手関係的には久々に勝てるチャンスではあるだろう。
そのほかの中央勢は不安な要素が多い。エイシンロンバードは昨年のこのレース3着も、勝ち馬からは1秒7も離された。東海ステークスを制したヤマトマリオンだが、前後のレースぶりを見ると、どうもフロック的な激走だった感じ。帝王賞JpnI競走除外でここに来たスウィフトカレントは初ダートだけに見送る。
ならば地方勢では、船橋のA2を連勝中のシンメイレグルスにチャンスがありそう。地方勢といっても、昨年まで中央の準オープンで活躍していたのだが。
◎フィフティーワナー
○サカラート
▲シンメイレグルス
△エイシンロンバード
△ヤマトマリオン
サマーチャンピオンJpnIIIの前哨戦となる吉野ヶ里記念。
出走12頭中の10頭が、このレースの前哨戦ともいえる黒髪山特別に出走していたが、それを制したオリオンザクロノスが断然といっていいだろう。前々走1800メートル戦を9馬身差で圧勝しているように、距離適性としては中長距離にありそうだが、4コーナーで先頭に立って押し切るという黒髪山特別でのレースぶりを見れば、地元勢が相手なら心配はいらないだろう。
その黒髪山特別でオリオンザクロノスに直線唯一迫って1馬身半差の2着だったザオリンポスマンが相手。
中央からの転入初戦で上記2等をまとめて負かしているシルクエレメントに逆転のチャンス。
そのほかとは勝負付けがすんでいるような感じ。荒尾のカシノバズライトは中央から移籍後の初戦を勝ち、これが2戦目となるだけに未知の魅力はある。
ただ配当的には本命対抗で堅そうな感じ。
◎オリオンザクロノス
○ザオリンポスマン
▲シルクエレメント
△カシノバズライト
サイレントグリーンは、おととしこそ2着だったが、ここ4年でこのレース3勝、2着1回という成績。盛岡芝2400メートルでは圧倒的な存在感を示してきたが、今年は前哨戦のかきつばた賞では中団のまま5着。そろそろ衰えを隠せない感じだ。
代わって盛岡芝の覇権を握ろうというのがボスアミーゴ。積極的に中央の芝にも挑戦しているが、盛岡の芝に限ればここまで8戦6勝、2着2回。その2着のうちの1回はコスモバルクに敗れたもので、ほぼ完璧な成績といっていいだろう。今年も6月7日のあじさい賞(芝1700メートル)を勝ち、前哨戦のかきつばた賞でも中団うしろから3〜4コーナーでひとまくり、直線で先頭に立つという完璧な勝ち方だった。地元勢にはこれといった相手も見当たらず、ここも負けられないところ。
芝の長距離で期待してみたいのが名古屋から遠征のマヤノグレイシー。中央時代は準オープン勝ちがあり、芝のマイル以上を中心に使われていた。9歳といってもまだ26戦しか使われておらず、前走名古屋1800メートルのオープン戦での7馬身差圧勝を見れば衰えの心配はないだろう。
サイレントグリーンも、前走かきつばた賞は5着に敗れたとはいえ、ボスアミーゴから0秒7差なら見限るわけにはいかない。
コスモアンファングは、あじさい賞3着、かきつばた賞2着の結果から芝向き。
金沢のマヤノオスカーは中央での初勝利が芝で、長距離のゆったりした流れが向いている。
◎ボスアミーゴ
○マヤノグレイシー
▲サイレントグリーン
△コスモアンファング
△マヤノオスカー
トレノ賞は1997年から2000年まで1400メートルで行われていた重賞で、今年新たに1300メートルの重賞として復活。地全協データベースの過去の重賞勝ち馬一覧を見た限りでは、高知1300メートルの重賞はこれが初めてのこととなるようだ。
高知の古馬戦線は、昨年あたりから地方交流の重賞やダートグレードに積極的に遠征する馬が多数出てきて、スペシャリストがオグリキャップ記念(笠松)に続いて西日本グランプリ(福山)を制すなど、活躍が目立っている。
先日のオッズパークグランプリ2008(福山)でも、マリスブラッシュが断然人気のキングスゾーンに競りかけていく積極的な競馬を見せ、勝ったマルヨスポットから0秒8差の5着に粘るなど健闘した。
今回のメンバーでは、ビッグフリートが06年のサマーチャンピオンJpnIII(佐賀)で4着に入り、JBCスプリントJpnIをはじめとする南関東のダートグレードに挑戦。その後佐賀に移籍したが、順調には使えず1戦だけして再び高知に戻ってきた。
高知での復帰戦、1400メートルのA3戦は、5馬身差で逃げ切り勝ち。06年に中央から高知に転入してからは決して順調に使えていたわけではないが、高知では3戦3勝と底を見せていないだけに、この馬が中心。
相手筆頭は、これが重賞初挑戦となるオオキナキタイ。06年秋に大井から転入後、徐々にクラスを上げ、A級選抜戦に昇格したここ5戦は2勝、2着1回と堅実な成績。今回、重賞勝ちの経験がある馬は、昨年の高知3歳二冠馬スパイナルコードと、03年に黒潮菊花賞を制したオリジナルステップのみ。古馬重賞勝ち馬がいないというメンバー構成なら、いきなりのタイトル奪取も期待できそうだ。
兵庫から戻ってきたスパイナルコードは、B級で6戦連続連対中。重賞実績がない馬ばかりが相手ならチャンスはありそう。
今春中央から転入後、A2・B級の混合選抜戦を勝ち、A級選抜でも2、3、2、4着と堅実に走っているルタンティールにも一角崩しの可能性はある。
◎ビッグフリート
○オオキナキタイ
▲スパイナルコード
△ルタンティール
帝王賞JpnIでのマルヨフェニックスにはドキッとさせられた。4コーナーでは先頭に立とうかという勢いで、結局は4着だったが、勝ったフリオーソとは0秒4差しかない。3歳時に遠征した黒潮盃であっと驚く圧勝を飾っているだけに、大井はよっぽど得意なコースなのかもしれない。名古屋コースも5戦2勝、2着3着各1回と相性は悪くない。何より今回と同じ舞台の東海ダービーで完勝しているのも心強い。東海地区同士の今回のメンバーなら不動の本命だろう。
相手筆頭はB級で3連勝中のテキサスイーグル。中央から転入後は1600メートルまでしか経験していないが、血統的にはもっと長い距離をこなしてもおかしくない。重賞初挑戦だった4月の尾張名古屋杯では53キロと斤量に恵まれたこともあり、8番人気という低評価ながら2番手追走からそのまま2着に粘った。今回はたしかに格下ではあるが、ここ一番での勝負強さに期待したい。
ミツアキタービンは、常に自身の脚元との戦い。脚元を気にせず、力を発揮できるような状態に仕上がっていれば勝負になるだろう。ただ今年8歳で、さすがに衰えは否めない。
中央からの転入初戦となるキーンランドスワンは、ダートの経験に乏しく、人気になるようならむしろ消してみたい。
B級で善戦を続けているシルクトワイライトはA級でも十分にやれそうなだけに、ここでも連下なら。
船橋から転入初戦のグッドストーンは、南関東でのA2クラスで近走大敗が続いていただけに、今回は様子見が妥当だろう。
◎マルヨフェニックス
○テキサスイーグル
▲ミツアキタービン
△キーンランドスワン
△シルクトワイライト