昨年は中央から転入後3連勝でリュウヨウがここを制し、01年のシズノサンデー以来6年ぶりに地元金沢勢の勝利となった。しかしやはり地区交流となってからは東海勢に分があり、今年もフルゲートの半分、6頭が遠征してきた東海勢が強力だ。
注目は笠松のシールビーバック。中央から転入初戦の重賞・サマーカップをいきなり制し、川崎のスパーキングレディーカップJpnIIIにも遠征(8着)。中央時代はダートで1000万勝ちまでで、さすがにグレードでは厳しかったが、地方同士の地区重賞なら堂々の本命だろう。鞍上の濱口楠彦騎手といえば、少し前まではクインオブクインでダートグレード戦線を盛り上げたが、そのクインオブクインは今年のオグリキャップ記念2着後に北海道に移籍。その代わりというわけでもないが、このシールビーバックで全国の重賞戦線を盛り上げてくれそうだ。
もう1頭楽しみなのはテーマミュージック。昨年夏に休養があり、秋に復帰して以降はダートグレードや、明らかに相手が強かった園田の六甲盃を除けば大崩れがない。牝馬同士のここでは能力上位で、ここのところ3連勝中と好調。05年8月の金沢・イヌワシ賞以来の重賞制覇を狙う。
この2頭の力が抜けていそうな感じだが、地元勢のフェスティブドパリに一角崩しの可能性も。昨年暮れの中日杯はテンリットルの2着、前々走の百万石賞は4着とはいえ、勝ち馬からはコンマ4秒差。牡馬のトップクラスと互角に渡り合っている意地を見せたいところ。
名古屋のオーリーテンは、4歳になった今年、16戦10勝、2着4回。前走はB1特別2着で、まだまだ上のクラスでも通用しそう。勢いで上位食い込みもありそうだ。
◎シールビーバック
○テーマミュージック
▲フェスティブドパリ
△オーリーテン
ばんえい記念以外では、古馬重賞で唯一の定量戦。それだけに実力・実績どうりの決着が多く、ここ3年はミサイルテンリュウとサダエリコが1、2着を分ける結果。それ以前はスパーペガサスが3連覇している。
カネサブラックとマルミシュンキが回避して、今シーズンの古馬戦線を引っ張ってきた若い世代の3強のうち、予定通り出走してきたのはナリタボブサップだけとなった。となればナリタボブサップが大本命となりそうだが、これまで常に目標としてきた2頭がいなくなってどうか。
これまでナリタボブサップはこれまで第2障害ではその2頭に先に行かれまいと早め早めの勝負を仕掛けてきたが、今回は余裕を持って行けそうなだけに、その隙を突くのがフクイズミと見る。昨年11月以降、勝ち星には恵まれていないが、それでも2着は7回もある。先頭の馬からはやや置かれ、4〜5番手で障害を越えて追い込むも、前には届かず2着までというパターンが多かった。今回目標にするのは明らかにナリタボブサップで、離されずに障害をクリアできれば差し切り勝ちも見えてくる。金曜日最終レースの水分量が6.5%。土日のピンポイント予報を見ると晴れ間も出てきそうで、日曜日には適度に馬場が重くなりそうなのもフクイズミの末脚には味方となりそう。
相手はもちろんナリタボブサップだが、今シーズンまだ勝ち星がないミサイルテンリュウも、カネサブラック、マルミシュンキが抜ければ当然上位争い。
今シーズン初めての800キロの荷物なら、トモエパワーにも出番が回ってくるかもしれない。
◎フクイズミ
○ナリタボブサップ
▲ミサイルテンリュウ
△トモエパワー
福山桜花賞を勝って、福山サラブレッドのチャンピオンになったと思われたナムラベンケイだが、ここのところ精彩を欠いている。いや、実際に精彩を欠いているわけではなく、そう見えるだけだ。3走前の西日本グランプリは4着だが、地元馬では最先着。福山のサラブレッドは、現状全国区ではやや厳しく、この結果もしかたない。前々走のオッズパークグランプリ2008トライアルは、距離不足でアブソルートウインに5馬身差をつけられる2着、本番はさすがに距離不足に加え力も足りなかった。今回は、地元馬同士で距離もマイルとなれば再び中心視できる。ただ前回3月に行われたこのレースでは、コスモハードリカーに逃げ切りを許しているだけに、取りこぼす可能性もある。しかも今回、全馬54キロで、この馬だけ57キロなのも頭固定では狙いにくい。あくまでも連軸の中心か、3連単フォーメーションの1、2着で。
アブソルートウインは、さすがにオッズパークグランプリ2008では相手が強く勝負にならなかったが、マイルまでなら福山ではトップクラス。前々走のオッズパークグランプリトライアルに続いてナムラベンケイを負かす可能性も。
10歳の今年、福山に転入してきたブラックパワーは、福山で地元馬同士なら4戦3勝、3着1回と安定した成績。
3月の福山マイラーズカップ3着で、前走のマイル戦を差しきったリスティアグリーや、5月のカーネーション特別(1800m)でナムラベンケイに土をつけたことのあるファニーカイザーらにもチャンスはありそう。
◎ナムラベンケイ
○アブソルートウイン
▲ブラックパワー
△リスティアグリー
△ファニーカイザー
この時期の3歳馬による重賞となると、2歳時から重賞戦線を使われてきた実績馬たちと、デビューは遅いものの条件クラスを連戦連勝で勝ち上がってきた上がり馬たちとの対決となるようなパターンをよく見かける。しかし今回は新興勢力にめぼしい馬がなく、JRAからの移籍組にもこれといって目立った馬がいない。
ということで、当然のことながら中心は重賞での実績馬ということになる。
駿蹄賞を勝って東海ダービーでも接戦の3着と好走したクロスウォーター、2歳時に重賞を2勝して前走オッズパーク・ファンセレクションin笠松で復調気配のカキツバタフェロー、2歳時に未勝利の身でゴールドウイング賞を制したイーストミー、3頭による争いとなりそうだ。
中心は、この春以降に力をつけてきたクロスウォーターの勢いを買う。前走古馬B1特別では見せ馬をつくれなかったが、東海ダービーではメンバー中最速の上がりタイムでハナ+アタマ差の3着と惜しいレースだった。ただうしろから追い込む脚質だけに、1600メートルへの距離短縮には不安がある。
オッズパーク・ファンセレクションでは3着がイーストミー、5着がカキツバタフェローだったが、今回はカキツバタフェローを上にとる。古馬に編入された格付けでは、前々走でA3特別を走った(6着)この馬がメンバー中最上位。オッズパーク・ファンセレクションでは復調気配と聞いていたのだが、馬体重3キロ減の418キロで、デビュー以来の最低馬体重だった。ちなみにもっとも重かったのは、なんとデビュー戦の443キロ。馬体回復が復活のカギといえそうだ。
一発がありそうなのが、金沢のケイアイブランコ。中央から転入後は7戦4勝、2着2回。7着に負けたのは、中央未勝利との交流戦だった。何より重賞実績のある前記3頭が、いずれも中団や後方から追い込む脚質だけに、うしろで牽制し合えば、前でレースをすすめるこの馬の逃げ切りもあるかもしれない。
プリンセスアイリも注意しておきたい1頭。中央遠征や兵庫チャンピオンシップJpnIIは惨敗だったが、地元笠松では今年になってから力をつけてきた。4月の若草賞は離れた6着だったが、どこまで差を詰められるか。
◎クロスウォーター
○カキツバタフェロー
▲イーストミー
△ケイアイブランコ
△プリンセスアイリ
今年のJBCはご存知のとおり、園田競馬場で11月3日に行われるが、当日はJBCクラシック・スプリントのほかに、楠賞、兵庫クイーンカップと、重賞が4レース行われるという豪華版だ。
今年から重賞格上げとなった兵庫サマークイーン賞は、そのJBC当日に行われる兵庫クイーンカップの前哨戦という位置付けらしい。ただ3カ月半も間隔があるだけに、参考になるのかどうか。
毎日競馬場でじっくりレースを見ているわけではないぼくのような立場で予想するにはなんとも難解なレース(と言い訳をしておく)。重賞勝ち馬がいないどころか、重賞出走経験馬が数頭で、ほとんどが条件馬。おまけに中央から転入して戦歴が浅い馬も何頭かいるというメンバー構成で、力の比較が難しい。姫路1500メートルのコースを経験しているのも3頭しかいない。
ただ逆に、毎日のように競馬場に通っているというマニアックなファンだとか、地元トラックマンの方々にとっては予想に気合が入るレースなんだろうなあ、とは思う。
ここは、父が地方の活躍馬トーホウエンペラーであり、兵庫生え抜きのサンペールウルトラから。前走姫路1400メートルのA1級二組戦ではハナ差の辛勝。前々走中央500万下との交流戦は7着だったが、それでも勝ち馬からは0秒8差。ライバルになるであろう中央から転入して経験の浅い馬たちが、いずれも中央未勝利だったり500万クラスで苦戦をしていたレベルであることからも十分に勝機はあるはず。
そして楽勝まであっておかしくないのがアドマイヤチャチャ。中央から転入初戦の前走、姫路1400メートルのA2級二組戦は、中団追走から向正面で一気に先頭に立つと、直線では鞍上がうしろを振り返る余裕で6馬身差の圧勝。一発の期待がかかる。
同日のメイン、今回と同じ1500メートルのA2級一組戦でクビ+クビ差の3着まで迫ったフサイチミライも、兵庫で7戦して3着を一度も外さず、底を見せていない1頭。
中央未勝利から転入して15戦9勝、2着4回というオチャメデヒア、園田フレンドリーカップでベストタイザンのレコード勝ちの4着があるダンシングパールにもチャンスはありそう。
◎サンペールウルトラ
○アドマイヤチャチャ
▲フサイチミライ
△オチャメデヒア
△ダンシングパール