クラス別定で行われるばんえい3歳三冠の初戦、ばんえい大賞典。過去5年の成績を見ると、トップハンデを課せられた馬はいずれも連対できず、ここまでに重賞実績を残したトップハンデの馬にはひじょうに厳しいレースとなっている。まだ3歳のこの時期では、10キロや20キロのハンデが相当な負担になるのだろう。
というわけで、他馬より20キロ以上のハンデが課せられるオレワスゴイにとっては苦しい戦いとなりそう。逆を言えば、もしこのハンデ差で勝つようなことがあれば、怪物級ということ。
オレワスゴイを別とすれば、200万クラスの牡馬6頭が660キロで、同牝馬2頭が640キロ、コトブキタイガーのみが120万で650キロというハンデとなっている。
中心になるのはライデンロック。イレネー記念は5着だったが、昨シーズン最終戦の3歳牡馬オープン戦を勝利。今シーズンは200万クラスで8戦4勝、2着3回で、前走十勝ダービーでも接戦を制した。今シーズンもっとも力をつけ、勢いがあるのはこの馬だろう。
勢いなら負けていなのは、十勝ダービー2着だったウィナーナナ。今シーズン120万クラスからスタートし、最初の2戦こそともに3着だったが、その後は十勝ダービーも含め8戦連続連対中。5戦連続で2着と勝ちきれないレースが続いたこともあったが、前開催の勝入200万を勝ってはずみをつけた。十勝ダービー同様、おそらくこの2頭の争いだろう。
唯一120万クラスのコトブキタイガーは、やはり負担重量が有利で、一角崩しの可能性も。
イレネー記念3着のマルモスペシャル、2歳時は常にトップを走っていたホクショウジャパンらにもチャンスはありそう。
オレワスゴイは、過去の傾向からも見送る。だいぶ先だが、定量となるばんえい菊花賞とばんえいダービーが狙いだろう。
◎ライデンロック
○ウィナーナナ
▲コトブキタイガー
△マルモスペシャル
△ホクショウジャパン
金沢・MRO金賞のときにも指摘したように、サチコゴージャスの連勝が途切れた今の東海勢は、なかなか重賞を連勝できる力のある馬がいない。そのMRO金賞でも、やはり1番人気となったヒシウォーシイは2番手を追走しながら直線後退して7着に敗れた。
サラ・クイーンカップでゴール前の接戦を差し切ったイーストミーが今回は人気になりそうだが、3歳になってこれがようやく2勝目。サラ・クイーンカップも完勝というレース内容ではなかっただけに、やはり重賞を連勝できるほど力が抜けているとは言い難い。
ここは3歳1組特別を、いずれも逃げ切りで2連勝と調子を上げてきたアジュディサクセスを中心にしてみたい。2歳時のゴールドウイング賞では1番人気に期待されながら、9番人気のイーストミーに半馬身差の2着に敗れた。今回はそのときの雪辱を果たしたいところだろう。名古屋の1600メートル戦は、そのゴールドウイング賞での2着と、前々走3馬身差圧勝。これまで6戦している1400メートル戦よりも、血統的にもマイルかそれ以上で力を発揮しそうだ。
重賞を連勝できるほどの信頼性はないというものの、やはり実績的には古馬B級戦を勝っているイーストミーが最上位。好位や中団追走から直線勝負に賭けるというレースぶりから、自分で主導権を握れないところに弱みがあるのかもしれない。
サラ・クイーンカップで惜しい4着だったトミノプリズムは、マイペースで先行できれば粘り込みの可能性も。
駿蹄賞を勝って、東海ダービーでもタイム差なしの3着と好走したクロスウォーターだが、その後はイマイチ。牝馬同士ならと期待された前走のサラ・クイーンカップも6着。前が速くなったときに後方から追い込む脚質で、前走でもそういう展開になったのだがまったく見せ場がつくれなかった。駿蹄賞と東海ダービーに共通しているのは、サチコゴージャスが逃げて最後バッタリ止まったということ。今回もサチコゴージャスは不在で、前崩れの展開もあまり期待できないことから、やはり強くは推せない。ただ、アジュディサクセスとトミノプリズムが無理に競り合うような展開になれば出番が回ってくるかもしれない。
田中学騎手に乗り替って臨むミリオンフィルムズが不気味な存在。
◎アジュディサクセス
○イーストミー
▲トミノプリズム
△クロスウォーター
△ミリオンフィルムズ
リリーカップとイノセントカップが地方全国交流になっていることに、この原稿を書きはじめるときに初めて気づいた。北海道以外では2歳戦は始まったばかりで、さすがにこの時期に2歳馬のレベルの高いホッカイドウ競馬まで遠征してくる馬はいないだろう。今後挑戦してくる可能性があるとすれば、地理的に近い岩手くらいだろうか。
来る可能性がほとんどないから閉じておくのではなく、来る可能性がなくても、建前だけでも全国交流として門戸を開いておくのは大事なことだと思う。
で、イノセントカップは、ワンダフルクエストで断然。5月7日のフレッシュチャレンジは、スタートで大きく出遅れながらも3〜4コーナーで先団にとりつくと、直線はまったく持ったままで楽々と抜け出して快勝。2戦目となった6月25日のウィナーズチャレンジでは、またもスタートで煽って最後方から。しかし3〜4コーナーで大胆にも大外をまわして進出すると、直線では軽く追われただけで4馬身突き放した。父のコロナドズクエストは現役時代とても気性の悪かった馬で、馬場入りでは騎手を振り落し、レースに行けばビュンビュンと飛ばしていって、そのまま逃げ切ってしまうという、日本で言えば3歳時のサイレンススズカみたいな馬だった。ワンダフルクエストはそういう破天荒な気性というか、レースぶりを受け継いでいるのかもしれない。ここまでの2戦ではまだまだ実力を発揮しているとはいえず、ここでもどんなレースを見せてくれるのか楽しみではある。
相手には、前走オープンのスズカマンボ賞で6馬身差圧勝のカネマサディール。
持ちタイムやここまでのレースぶりから、ほとんどこの2頭の争いだろうが、モエレプロポーズは前走のウィナーズチャレンジでしんがり負けしているとはいえ、そのレースの勝ち馬がマサノウイズキッドでは相手が悪かったとしか言いようがなく、連下なら可能性はありそう。
前走アタックチャレンジを勝ったリロは、良馬場の旭川1500メートルで1分40秒を切る好タイムをマークしているだけに上積みがあれば。
◎ワンダフルクエスト
○カネマサディール
△モエレプロポーズ
△リロ
7月26日に行われた函館のラベンダー賞。道営勢にとっては、今年はなんとも残念な結果だった。直線、イグゼキュティヴが追い込むもハナ差の3着。地方馬にとって函館2歳ステークスJpnIIIへの出走権は2着までで、なんとも大きなハナ差だった。
そのイグゼキュティヴは牡馬だが、ホッカイドウ競馬からラベンダー賞に出走したそれ以外の馬はすべて牝馬。ラベンダー賞には当然のことながら今年2歳のトップクラスが出走したわけで、中10日で行われる2歳牝馬のこのリリーカップは「空家」状態になるかと思われた。が、ほぼ連闘で出走してきたのがアンペアだ。
ラベンダー賞でのアンペアは、スタートで煽ってやや出負け。すぐに前をふさがれてしまい、ほとんどレースにならなかった。それゆえレースでの消耗は少ないことから、ここに出てきたということらしい。栄冠賞では2着に負けたとはいえ、出遅れながらゴール前でネフェルメモリーを追い詰めたレースぶりは圧巻。出遅れグセは心配だが、ここでもスピードの違いを見せつけるだろう。
スピードならヒケをとらないのがメンバー中唯一の3勝馬、クラフィンライデン。前走旭川1000メートルのオープン戦を、良馬場で1分1秒5というタイムは優秀。アンペアが出負けするようなら、この馬が一気に押し切るかもしれない。
注目はイケノナイン。今年最初のJRA認定レースを好タイムで勝ち、今シーズンの開幕からいきなり2歳馬のレベルの高さを見せつけた馬。そのデビュー戦以来約3カ月ぶりの実戦となる。
オープン戦でクラフィンライデンに4馬身差2着のシルバーカテリーナは、勝ち負けまでは難しそうだが、どこまで差を詰められるか。
◎アンペア
○クラフィンライデン
▲イケノナイン
△シルバーカテリーナ
今年の東海地区の3歳世代は、なかなか抜け出してくる馬がいない。前半ではサチコゴージャスが5連勝(うち重賞4勝)で注目を集めたが、距離が伸びた駿蹄賞、東海ダービーではゴール前でばったり、いずれも4着に敗れ、巻き返しを図ったオッズパークファンセレクションin笠松でもケイゾクをとらえきれず2着に負けてしまった。
牝馬ながら駿蹄賞を制し、東海ダービーでもタイム差なし3着のクロスウォーターは、牝馬同士ならと思われたサラ・クイーンカップで断然人気に押されながらも見せ場なく6着と敗れてしまった。
さて、ここで注目されるのが名古屋のヒシウォーシイ。中央2戦未勝利で名古屋に移籍し、7戦6勝、2着1回で臨んだ東海ダービーを制覇。ジャパンダートダービーJpnIはさすがに相手が強く、レースをさせてもらえず勝ち馬から5秒7離された10着だった。実績ではナンバー1だが、前走大敗の反動は気になるところ。
ならば地の利があるノーブルシーズを中心にしてみたい。たしかに東海ダービーはヒシウォーシイに2秒1差をつけられる9着と完敗だったが、前走地元の古馬A2戦を制した実績を評価したい。3歳馬がこの時期に古馬のこのクラスに入って勝ち負けになるのは力をつけている証拠。その前走も今回と同じ1700メートルだが、8馬身差圧勝の北日本新聞杯も1700メートルだった。得意の舞台で地元の意地を見せたいところ。
相手はもちろんヒシウォーシイだが、地元ではミシカにも期待したい。5月以降3歳戦とはいえ6戦4勝、2着2回と、こちらも力をつけている。2歳時、川崎の全日本2歳優駿JpnIに出走(11着)してきたときは、その前走サラブレッドヤングチャンピオンで5着に負けているのに「なんで、ここに?」と思ったものだが、やはりそれだけ期待されていた馬だったのだろう。前々走3歳A1の1700メートル戦を5馬身差で圧勝しているのも強調材料。
重賞経験豊富なトミノジョーンズも連下なら。
中央未勝利から兵庫に転入して2戦2勝のダイワマーベリックにも未知の魅力。
◎ノーブルシーズ
○ヒシウォーシイ
▲ミシカ
△トミノジョーンズ
△ダイワマーベリック